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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 クライマックスってきた、第6話。まだクレジットとしては6話目なんだけどね。なんだかこれまで蓄えてきた様々なものが炸裂する大きなうねりが感じられるのは何故だろう。

 アバンは再び薬師丸の過去のお話。前回その光景が初めて現れ、彼の人生の起点が決して綺麗なものではないことが語られていたわけだが、今回はそれに加えて稲荷の奇っ怪な振る舞いについてもスポットが当たっている。てっきり「瀕死の子供を拾ってきて助けた坊主」の話だと思っていたのだが、実際には「悲壮な決意で死んでいった子供の死骸を拾ってきて生き返らせた呪術者」の話だった。しかも、当然そこには子供自身の意志は一切考慮されておらず、ただ「子供が欲しかった」という稲荷の欲求のためだけに産みだされた「息子」が存在している。なるほど、これまで「家族の物語」と言われてきたために問答無用で「家族とは暖かなものだ」と思い込んでいたが、こうして成り立ちを見てみると、明恵がコトに向かって自分を殺せと言っていた意味も何となく分かるような気がする。

 結局、鏡都の存在が示すように、世の理は全て作られた「ニセモノ」である。かつて稲荷に恋して人間となった絵の中の兎もニセモノであるし、そこに連れてこられた新たな息子も、器こそホンモノであるが、命自体はニセモノだ。稲荷が自らの血でもって作り上げた「特別製」の石榴によって与えられたかりそめの命。石榴は古来より血肉を表すツールであり、薬師丸は稲荷の血肉を分け与えられただけの作り物ということになってしまう。当然、その後に産みだされた仏の兄も、鬼の姉も、全てニセモノには違いない。ニセモノたちは本物の京の都では生きるに窮屈すぎたために、都がまるごとニセモノである鏡の都に移り住んだ。そして、いつの間にかニセモノの家族は離れ離れになり、ニセモノの3人が、必死にホンモノを探すだけの日々を過ごしていたというわけだ。

 もちろん、探す方向性こそ似ているが、3兄弟にとって「ホンモノ」が表す意味はそれぞれに異なっている。鞍馬にとってのホンモノとは、自分の技術が活かされ、ふざけた物理法則などに支配されない「物質世界」であろう。ものが壊れても勝手に直ってしまうなどという無茶苦茶を、鞍馬は根本から認めることは出来ない。だからこそ、外を目指してコトを利用する。八瀬にとっての「ホンモノ」は、幼い自分を育ててくれた母の愛情に違いない。消えてしまった両親の、とりわけ母の面影を探すために、八瀬は過去にすがりながら、新たな壁の破壊を望む。そのためならば、いけ好かない兄と協力してコトを「試験」することも厭わない。

 そして、明恵が望む「ホンモノ」とは一体何なのか。ニセモノに辟易して全てを真実の姿に戻すことを望むのならば、最終的にかりそめの命を与えられた明恵こそが消えるべき存在である。自分自身が偽りであると感じるからこそ、彼は日々を漠然と生き、目的意識に溢れるコトを疎んじてもいたのである。しかし、そんな毎日もいい加減に終わらせたくなる。コトがこの世界を打ち破り、最終的に「死なない」自分の体をも打破してくれれば、彼も「本来の」姿に戻れるかもしれないのである。ただ、はたして本当に彼の望みが「回帰」であるかは怪しい部分もある。確かに、元を正せば彼は既に死んでおり、家族も世界も全て偽りのものだ。しかし、だからといってこれまでの人生が全て偽りだとは思いたくないだろう。稲荷の家族となって共に歩んだ日々は、今回もサイレントの形式で様々なシーンを垣間見ることが出来た。四季を生き、長い間両親と共に過ごした時間は、やはりニセモノではなく本物であったと思いたい。コトが現れ、彼女の「パパ」と「ママ」は偽りではなく確かに存在する「本物」であるという。それならば、やはり家族とともに過ごした明恵の過去についても、コト同様に満ち足りたものとして受け入れることができるのではなかろうか。

 結局、稲荷の無邪気な「なければ作ればいい」という超常性のせいで、どうにも世界は拗くれてしまっている。その中で一体どこから修正していくのか、ということが、現在の焦点というわけだ。ついに八瀬と手を結んだ鞍馬は、手っ取り早い方法として、コトを「調査」することで外との接点を見いだそうとしている。コトを守らんとする明恵は身勝手な兄と姉の行為に抗おうとするが、三人議会が2対1に分かれてしまっている現状では、明恵もなかなか手が出しづらい。鞍馬が隠し持っていた不可思議な「扉」への効果でもって、コトは再び異界との接続を果たすことになるのだろうか。

 今回の見せ場は大きく2つ。1つ目は、尋常ならざる稲荷の笑顔が寒々しい、薬師丸の過去パート。単なる造物主、人の親というだけでは終われない稲荷の不可解な人物像は、今後の物語の焦点となりそうだ。また、理解を超えた稲荷の勝手極まりない横暴に反発する薬師丸の困惑も非常に見応えがある。CV斎藤千和による渾身の「生を恐れる少年」像は相変わらず見事なものだ。

 2つ目の見どころは、今回クライマックスとなった三人議会とコトによる2対2のバトルパート。第0話でも描かれていた活劇であるが、やはりダイナミックなアクションシーンで野放図に暴れ回る超越者4人の個性は非常に画面映えする。今回ようやく本気でバトルに入ってくれた明恵の数珠アクションも良い出来だし、巨大で鈍重なロボを相手に巨大ハンマーを操りながら飛び回るコトの飄々とした感じも面白い。最終的にこれに古都や稲荷も参加しての乱闘模様とかになれば最高なんだけどな。

 次週、なんだかあっさりと古都との接続には成功。ついでに父親とも再会? はたして残りの話数で何が起こるやらね。

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