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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 まさかの全編エアボーイズ、第5話。常に狙いが明確で感心させられる本作であるが、まさかここまで徹底してくるとは。この姿勢は恐ろしくすらあるな。

 これまで数話かけて準備してきた「エアボーイズ」公演の本番。一体どんな内容なのか、気になるような、そうでもないような。正直「ぽっと出駆け出しアイドルの不慣れな演劇」なんて現実では全く魅力が無いわけだし、これまでの練習風景を見ても別におもんないやろな、という印象しかなかったのだが、作中では、なんとそのまま「おもんない」をダイレクトに引き出してきやがった。なるほど、確かに演劇ってこういう空気だよなぁ。脚本の突拍子の無さもすごく「それっぽい」気がする。「こんなんわざわざ金払って見に来る奴がいるのかよ」と思ったが、観客席を見ると、まず埋まってる座席数の時点でそこそこリアルだし、客の大半は若い男のアレコレが見られりゃそれでいいや、みたいなマダームがほとんどである。そうか、こういう客層に向けてサービスするのが少年ハリウッドなんだな……なんだかすごく納得した。

 「つまらない演劇」「素人集団の頑張り」。そうしたものを見せるために、今作は相変わらず尖った演出方向を見せている。「全編作中劇」という時点でも割と挑戦的ではあるのだが、普通は「作中劇」というものは「作中劇らしく」見せるものである。昨今のアニメならばライブシーンを描くことが多いが、ほとんどのライブシーンはPVのように「なるべくいい絵」が見えるように、非常に凝った造りを見せることがほとんどだ。演劇シーンにしてもそれは同じであり、「演劇」だけでなく「演劇をしている空間すべて」が描かれるのが常。古いところだと「CCさくら」の桃矢たちの女装演劇なんかが思い出されるし、そこそこ最近では「スタードライバー」の「戦争前夜」なんかがある。アニメ全体の構成を考えれば、「作中で演劇をやっているシーン」を描くことに意味があるわけで、そこには「演劇の演劇」という二重構造を明確に示すことが最低条件であるわけだ。

 しかし、今作の場合はそうした二重構造は極力排除されている。作中、わずかに観客席が映る場面もあるが、ほとんどのシーンにおいて、カメラは「観客目線」に固定されており、構図の変化はあってもズーム程度で、とにかく徹底的に「劇を見る視点」が維持される。また、「劇である」ことを示すために、普通はこうしたアニメ演出ではメタ視点が多く導入され、たとえば台詞をとちって焦るモノローグが入ったり、積極的に観客とのインタラクション(笑い声などを含む)を入れて二重構造が見えやすいように装飾するものだが、今回はそれがほとんど無い。唯一、「視野の外」が見えるのは生馬が台詞をトバして固まってしまうシーンだけなのだが、その時でさえ、モノローグなどは一切入らず、事実として「台詞が無い時間」が産みだされるに留まっている。そのため、視聴者目線でも、観客同様に劇中演出の一環のように見えていたのである(つまり、視聴者もキラのアドリブに救われたわけだ)。

 こうして、我々はいち「観客」として彼らの演劇をほぼ全てフラットな目線から鑑賞できた。正直、それがすごいことだとは思わないし、得をしたり、良い物が見られたとは思わないのだが、少なくとも今回我々は「少年ハリウッドファン」と目線を同じくしたのである。彼らの成長の第一歩を、完全にファン目線から目撃したのである。登場直後に「気持ち悪いもの」として提供されたアイドル活動は、現在でも引き続き「気持ち悪いもの」であり続けているし、今回のチープな脚本の演劇を見ればまだまだ「青臭いもの」であるが、それでも1つずつ、「ファン目線」をすり込まれることで、いつしか我々は少年ハリウッドのファンとしての権利を与えられ、彼らの物語を「良い物」として眺めるための下地を着実に作り上げ(させられ)ているのかもしれない。

 何とも不可思議な視聴感。実際、癖になってきてるのかもしれません。

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