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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 寿限無タイフーン、第4話。もう、一生分の寿限無を聞かされた気分。

 今回は今作には非常に珍しいエピソードになっている。まずもってオープニングとエンディングがちゃんとついていたというだけで珍しいんだけど、それだけ頭と尻がはっきり前後から切り取れるような内容だったと言えるのかもしれない。それにしても、4話目にして初めてのエンディングテーマだったわけだが……映像が謎過ぎてびっくりするな。「心中」のイメージからはかけ離れた映像で、すくすくと伸びゆく竹のイメージが表のテーマなのだが、そこから何故か無人の高座をイメージさせるパーツだけが舞い落ちるという。結局一周して怖いやつじゃん。「助六の落語」のあけすけな勢いを見せながら、最終的に「心中」のもの悲しいイメージに着地する、曲芸みたいな映像である。当然作劇は畠山監督本人が担当している。なんなんだろ、この人。

 そして、オープニングやエンディングの有無以外にも今回は割と特徴的なお話で、なんと、表立って悲しかったり、苦しかったり、思い悩むような要素が作中に(ほとんど)出てこない回なのである。前回からいきなり時代がすっ飛び、息子の信乃助の年齢からすると大体4〜5年後くらいだろうか。かつては真打ち昇進とともに芸の壁にぶち当たった与太郎だったが、周りからの激励の効果もあって無事にブレイクスルーを果たしたらしく、スキャンダルによる風評被害もどこ吹く風。再びあの当時の勢いを取り戻し、「助六の落語」にも身が入る。これだけの大人気になったのだから天狗になって芸をおろそかにしそうなものだが、根っから自分の「馬鹿さ加減」を理解している与太は決して今の自分に慢心することなく、テレビに出ながらもきちんと演芸場に顔を出し、忙しい日々の合間を縫って夜間の居残り練習まで欠かさないという。こうした彼の落語に対する真摯な姿勢が、新しい「助六の落語」を産みだすに到ったのだろう。

 また、この数年で小夏が楽屋に入るようになったのも大きな変化。ヤクザの親分との一件で無事に与太との間にあった壁がなくなり、「夫婦」になったのかどうかは定かじゃないが、少なくともわだかまり無く接することが出来る関係にはなったみたいだ。実の父、母、そして憎らしい八雲じいさんを育てた寄席の中に身を置き、彼女は何とか新しい生き方を見つけようと努力している。もちろん、落語が好きなことは変わらないのだし、一番近いところで与太郎を「見守って」「見張って」いられるポジションが色々と丁度良いのだろう。唯一の懸念材料は菊さんがチクチク小言を言ってくることくらいだが、まぁ、そこはしょうがない。信乃助の存在はまさに「子はかすがい」ならぬ「孫は接着剤」みたいなもんで、鉄面皮の菊さんだって、調子の良い信乃助の振る舞いには相好を崩さざるを得ない。

 今回1つ目の名シーンはやはりこの楽屋のシーンだろう。「寿限無が出来るんだ」と言ってまさかの一席を始めてしまう信乃助。それを見て与太が盛り上がるのは分かるのだが、なんとまぁ、小夏さんまで親馬鹿をフルに発揮して顔を上気させていた。今回は小夏が主人公のお話なのでとりわけ彼女の表情が細かく表現されており、すげぇ分かりやすい表現を使うなら「めっちゃ可愛い」です。この時のテンション上がった小夏さんも実に愛らしい。そして、そんな馬鹿親子のテンションが上がっているところにチクチクやりに来る因業なジジイ。こりゃぁまたピリピリしちゃうか、と思いきや。このじいさんも可愛い孫(?)にコロッとやられてしまうのである。菊さんの人生においては「子供」という対象とふれあう機会も他になかったが、やっぱり信乃助のことは大事に思っているんだろうか。なんか、信乃助の顔って小夏以上に助六に似てるんだよなぁ。ただ、流石にそれで年端もいかぬガキに負けてちゃ癪だってんで、高座に上がって「明烏」をかけるあたりが菊さん流。まぁ、流石にトリを務める大看板が前座話の寿限無ってわけにはいかないものね。正直、菊さんの得意分野ど真ん中であろう明烏は長めに聞いてみたかったところなんだけど。

 そして、団欒睦まじい与太のご家庭に更なるご褒美を提供するのが幼稚園での落語会だった。「園児が全員寿限無を唱えられる幼稚園」とか一周回ってホラーみたいな映像にもなっていたのだが、まぁ、子供っていこういう「意味の無いもの」を覚えるのが好きだからね。「スリジャヤワルダナプラコッテ」とかね。そして、子供だらけで礼節もしきたりも気にしなくて良いボランティアの落語会ってんなら、与太だって多少の無茶は許される場。千載一遇のチャンスで狙ったのは、なんと小夏を高座に上げてしまうことだった。なるほど、こりゃぁ他の場所では出来ないし、これだけお膳立てがあれば、小夏がはるか昔、楽しげに「助六の落語」をそらんじていたあの時代が再び戻ってくるには充分な場所だ。腹をくくって噺を始める小夏。その堂に入った仕事ぶりは流石の血筋である。最後には園児たちとのコール&レスポンスまでばっちり決めて、落語の楽しさに感無量。このシーンの真っ赤になった小夏さんもやたらに可愛いんです。もう、とにかく今週は色んな小夏姐さんが可愛いんです。画伯ボイスのキャラでこれだけの愛嬌を発揮したキャラって初めて見たかもしれないな。

 そして、この顛末が「女を高座に上げちまった事件」とかで後に尾を引く展開になるのかと思いきや、そこはきっちりわきまえている小夏さん。高座に上がったのはあくまでイレギュラーな場と割り切り、そこからの無理はしない。今後の憂いもなく、ただ小夏さんがちょっと幸せになれるだけのお話でした。たまにはこういうお話があってもいいよね。

 これだけで終わるなら本当にハッピーなお話だが……まぁ、流石に八雲パートもちょこちょこと。今週一番の緊張感があったのは菊さんと樋口先生のタクシーでの一連のシーン。菊さんは先生のことを評して「違和感」という言葉を使っていたが、それは彼の思う落語についての違和感なのか、それとも先生の言動と内実に関する違和感なのか。まぁ、控えめに言っても割と不躾な人なのは間違いないので、菊さんが警戒するのも致し方ないところなのかもしれないが、別に樋口先生の信念自体は今のところ間違ったものではないだろう。「自分の見てきた落語は自分と一緒に終わらせる」という菊さんの信念も個人の自由なので邪魔出来るものではなかろうが、樋口先生の「生き残る落語」の話だって至極まっとうな意見である。この対立はおそらく本質的に埋まることのないものだろう。どれだけ先生が歩み寄ったところで、菊さんの刻んできた歴史を完全に理解することなど出来ないのだから。しかし、菊さんが破り捨てた原稿用紙はあくまで「自分は落語に新しい命の可能性など見出さぬ」という決意表明であり、それは決して先生の野望を邪魔するという意味でもない。今後、先生は菊さんの人生観を変えて、協力を仰ぐことが出来るのだろうか。

 そしてラストシーンは助六の名を刻んだ扇子をじっと見つめる菊さん。パチンと閉じて後は暗闇。助六は、この世に求められている存在なのか、それとも菊さんの思い出の中だけにあり、闇に葬るべき代物なのか。答えはまだ出そうもない。

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