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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 夢とも現とも、第9話。死ぬの生きるのを繰り返し、菊さんの腹ん中もだいぶ見えてきた様子で。

 前回の顛末は、結局菊さんの高座が実現しなかったという幕切れだった様子。親分さんは6年の実刑が決定し、東京のそのスジのもんの動きも変わってしまうのかもしれません。6年ってぇのは短いようで長い年月。「うちのボンが小学校に入って中学生」って言ってたけど、そのボンの年齢も6,7歳そこそこなんだからなぁ。親分さん、塀の中をどんな気分で過ごすんでしょうか。

 そして、そんなボンも随分生意気に成長しているご様子。今まであんまり意識してなかったけど、どこまで行っても信乃助にとって与太郎は「与太ちゃん」なのね。「おとっつぁん」と呼ぶタイミングがあるのかと思ってたんだけど、その辺の線引きは小夏にもしっかり教え込まれているのか、それとも、父親ってのはそういうもんだと思ってるのか。今後信乃助が大きくなるにつれて、自分の家庭環境をどのように考えるかは色々気になるところだ。でもまぁ、「じぃじ」は「じぃじ」なんだね。天下の八雲と一緒に銭湯へ。この時代の風呂屋はまだまだおおらかだった様子で、背中に彫り物がある与太でも自由にウェルカム。こんなアニメでもお風呂回があるもんですね! いわゆるテコ入れというヤツ……ではない。いや、どうだろう。作中屈指の萌えキャラである菊さんと、ショタ味あふれすぎる美少年な信乃助、それに無駄に筋骨隆々でいい身体の与太のスリーショットは、ある意味サービスシーンと言えなくもないか。

 まぁ、冗談はさておいても、裸の付き合いで師弟の会話もはずみ、こんなところでもなきゃ漏れ出てこないようなお話も聞ける。菊さんも少しずつ外向けの顔が変わってきており、与太に対して素直に「落語やりながらコロッと死にたい」なんてことを言うようになった。結局あの一席ではネタが出来なかったので未だ高座には上がってない状態だが、少しでも落語がやりたいっていう本音を隠さずに与太に相談出来るようになったのは大きな進歩だ。そして、そんな師匠の晴れ舞台に与太が選出したのが、なんと刑務所の慰問会。振り返れば与太が菊さんと出会った記念すべき場だったということで、これ以上無い復帰の花道であろう。

 とんとん拍子で進んだ慰問会の復帰戦。それにしてもまぁ、菊さんってのはこういうところで性根の座った人でね。この日の高座にかけたのは「たちぎれ」というネタ。当方、寡聞にしてこのネタは知らなかったので調べさせてもらったが、どうやら上方落語がもとになっている話のようで、あまり聴く機会が無かったようだ。菊さんがこのネタを高座にかけた理由は明らかで、噺の中身が「罰として軟禁された者が、外の者に会えないために起こる悲劇」を題材として扱ったものだから。刑務所で受刑者相手に聞かせる話として、こんなにもぴったりと……痛切なものもないだろう。そういえば与太との出会いの時にはムショの中で「死神」をやってるわけで、この人、誰が相手でも一切の容赦がないのな。芸の力を信じ、自分の芸をどう見せるかを知っているからこそ、こうして聴衆にダイレクトに叩きつけるネタをチョイスするんだろう。

 案の定、ネタの最中には聴衆も、看守さえもが涙を隠せない圧倒的な引力を見せつける。菊さんのネタではお馴染みだが、雪が降り出し、次第に「噺の中の世界」に引きこまれる演出で物語の臨場感が嫌でもかき立てられる。しかし、皮肉なことにこのお話がダイレクトに響くのは受刑者ばかりではなかった。「本心が伝えられず、思いを寄せた女性に先立たれてしまう不甲斐ない男」というモチーフは、またもみよ吉の幻影を浮かび上がらせることに。噺の中では芸者の小糸、菊さんの中では放埒なみよ吉。先立つ女性への未練は募り、菊さんの漏らす「生涯伴侶は持たない」という誓いは、ネタを飛び越えて現実を侵食する。必死に謡を務める小夏も、そんな菊さんの心情に打ちのめされる形で涙をにじませる。この男は、復帰をかけた晴れの舞台でも、ただひたすらに自分を責め続け、打ちのめしているのだ。

 しかし、この日の高座では再びみよ吉に「連れられ」るようなこともなく、菊さんは無事にお勤めを終える。果たして復帰の一歩目として相応しかったのかどうかは分からないが、とにかく、八雲がまた高座に戻ってきたのである。多少なりとも落語に対して前向きに接することが出来るようになった菊さんは、その流れで与太の「居残り会」なんてものも聞きに行くが、元気になればなったで途中退場からお小言の一つも漏れるってもんで。まー、2人の「落語道」ははっきりと違うビジョンから成るわけで、そこで完全に相容れることは出来ないのだが、別に菊さんだって与太をいじめたくてそんなことを言ってるわけではない。あくまで「自分のやりたい落語と違う」ってだけだ。もうすっかり1人前になった与太のことはそれはそれで認めるわけで、樋口先生を通じて受け渡したのは、これまで後生大事に御守りとして携えてきた助六の扇。こうして、後世に少しずつ、自分が残せるものを伝えていくのだろう。

 与太は与太で自分の落語を見つけている。だとしたら、残りわずかな人生、「八雲の落語」はどこへ行くのか。前向きになったとはいえ、体力的な限界があるのは事実だし、みっともない姿を晒してまでお客の前に出たいかと言われたら、それは違う気もする。一体どうした心境からか、菊さんは一人、改修も間近な演芸場へ足を運び、真夜中の一人芸に興じる。今となっては自分の芸の出来に不安は付きまとい、なかなかお客様の前で披露するのも憚られる。そんな悩みの末の、闇の中の一人高座。かけるネタはあの日の「死神」で、かつては助六を葬るための鎮魂歌として作り上げた演目である。此度菊さんが計ろうとしたのは、おそらく自分の命の行く末。落語と一緒に「心中」しようとしていた命の炎は、ここで消えるべきなのか、消えるわけにはいかないのか。

 全霊を込めた迫真の「死神」。演じきったその先には、あの日と変わらぬ助六の姿。あの日葬ったはずの最大の理解者の姿を持って現れた幻影は、菊さんの弱音を、本音を全て受け止めたあとで、改めて命の在り方を問う。生きたいのか、それとも逝きたいのか。たゆたう意識の中で命の炎は劇場を焦がし、気付けばそこは煉獄の中。導いたのは死神なのか、芸の神なのか。しかし、そのまま思い出の劇場とともに命を終わらせることも可能だったはずだが、最後に伸びてきたのは死神の手ではなく、憎たらしい愛弟子の手。そして菊さんは、みっともなくも「生きたい」と声を漏らすのである。

 またも菊さんは「未練」という言葉を漏らす。でもさ、人が生きたいって思う事って、それは普通のことなんじゃないのかね。未練なんて、そんな言葉で飲み込んじまうのは、それこそみっともない話じゃないかね。菊さんの生は、まだ、終わらないよ。

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