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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 ヤベェ話の破壊力がどんどん増してきてるんだけど、第8話。なんでこの作品はこんなとんでもないシチュエーションを淡々と語ることが出来るんだ。一瞬ハートフルな話と勘違いするけど、そんなことねぇからな、やってることはかなりサイコだからな。

 「全部話すよ」という言葉の通り、本当に全部話しちゃう系男子、ニーノ。彼が抱えていた秘密は、表面をなぞるだけなら確かに前回判明した「ジーンが王室の家系」という事実にまとめられるのかもしれないが、それを取り巻く登場人物の全てが相当なクレイジー。人は忠義のみ、親愛のみでここまで人生を捧げられるものなのだろうか。

 33年前に不幸な事故で亡くなったとされていた王室第二王女のシュネー様(CVあおちゃん)。彼女がその事故で亡くなっていなかったことはすでに先週の時点で判明していたわけだが、そこにあったのは偶然の事故などではなく、王室ぐるみでの大々的な「王女出奔作戦」だった。どんな世界にも割とよくある、王室の旧態依然とした生活に嫌気がさす積極的な王女様。彼女が政治信条を学び、民草の生活に興味をもたれるのは決して悪いことではないのだが、枢機院長が言う通り、そうした「紛れ」が王室の血統にほころびを生じさせる可能性があるのもまた事実。必要以上に民に寄り添い、改革を求める王室の血筋ってのは、大体の物語においては崩壊の序曲か救国の英雄のどちらかになるものだ。シュネー王女の場合はそのどちらになるとも言えなかったわけだが、体制の安定を求める「国」サイド、そして個人の自由を優先させたい「家族」サイドの議論の結果、王女は秘密裏に「殺害」され、野に下ることが決定する。プランの立案は枢機院長だが、かれとて別に王女が嫌いだったわけでもなく、あくまで「国のため」の決定。その証拠に、出奔後の王女の生活を全力でフォローするため、めっちゃ有能な近衛兵を1人、同時に出奔させてアフターケアを手厚く行う方針だった。

 王女付き近衛の男、名をアーベントというが、不思議なことに彼のデータはこの作品のどこにもない。エンディングのキャストテロップにいなかったのである。まるで歴史の闇に紛れた彼の人生そのもののように。王女の出奔後、彼はずっと街の影に潜みながら王女をサポートし続けた。と言っても、王女が「別な人生を歩もう」と提案してくれたのであまり直接的な関与はせず、唯一手を出したのは旦那になったうだつの上がらない男に破格の職をぶん投げたぐらい。まぁ、その財だけで息子の代まで何不自由なく暮らしてるし、ジーンの様子を見てる限りでは相当なコネを生むマンションらしいのでかなり甘やかしてるのは間違いないのだけども。結局、王室からの離縁は成し得たわけだが、生活の根本は王室(アーベント家)からのサポートで成り立ち、その後もシュネー様ラブラブ過ぎるアーベントさんや、娘のことが気になってしょうがない親馬鹿国王のために逐一生活レポートが送信される仕組みを完備。もう、王族全体がシュネー様ストーカー集団みたいになっているわけだ。そんなに好きなんだったらもうちょっとやりようあるだろ。

 そんなストーカー業務を一手に請け負ったのが、これまた執念の固まりのようになったニーノの一家である。彼は王室の忠臣であるアーベントの忠臣という2段目に位置する人物なのだが、出奔のさいに息子を連れてくることを認めてもらった恩義もあるのだろう、その人生すべてをまるきりストーカー業務に捧げることに何ら疑問も不満も持っていない。というか、ニーノ父も熱心なシュネー様ファンクラブ会員なので、ストーカー業務が趣味と実益を兼ねてる状態に。シュネー様が好きだから業務を続けられたのか、それとも業務を続けるうちに愛着が湧いたのか。因果関係は分からないが、とにかく「なんてことはない単なる町民の一家族」を死ぬ気で追いかける謎のカメラマンの数奇な人生は充実していた様子。

 そして、そんな狂った人生は息子にも引き継がれる。あの日りんごのケーキを食べた時点で生涯が決まってしまったニーノ父子。普通に考えたら、幼い日に「お前はストーカーすることに人生を捧げることになるんだよ」なんて言われたらたまったもんじゃないと思うのだが、父親思いのよく出来たニーノ少年は、そんな激務(?)に文句も言わず、楽しげにストーカーを続ける父を親身にサポート。他所のご家庭の事情に一喜一憂する父親を温かく見守った。まぁ、それだけだったら単に「変な趣味(仕事)の父親」に理解のある息子というだけで済んだのだが……なんと、監視対象の息子さん(王子!)が進学なされたのを契機に、「お前、カメラ持って突撃しろよ」というとんでもない命令が下される。いや、おかしいだろ。25歳だってさ! (日本と同じ教育制度と仮定すれば)10歳年下の連中と高校生からやり直せってさ! どんなReLifeやねん!

 まともな感性なら「いや、それはちょっと……」と辞退するところだろうが、なんとニーノさん、カメラとメガネを身につけて全力パパラッチを敢行。10歳年下のガキとお友達になり、日々カメラを向けるあまりに堂々としたストーカー生活。周りから見たら「あいつらホモじゃね?」って疑われるレベルだと思うのだが、ニーノの長い長いストーカー人生から考えれば、そんな問題は些細なことだ。気付けばニーノさんもストーカー業務が血肉になっていたようで、可愛い妹さんも懐柔し、家族ぐるみで監視対象とのお付き合い。一介の従者の息子さんが、王族に連なるご家庭と仲良くなっちゃっていいのかしらね。

 そして、かの列車事故でついに監視対象は退場。同時に熱烈ストーカーだったニーノの父も退場。あまりに残酷な結末だが……まだ終わらない。アーベントさんは素早くニーノにコンタクトをとり、「監視対象はまだ残ってるんや」と変わらぬ様子。そして新たなストーカースピリットが、世代を超えて受け継がれていくのである。

 グロッシュラーさんがニーノを雇ったのって、たまたまなのか、それとも彼の出生を知っていたのか。ニーノからするとアーベントさんの方が上位の「上司」だった気もするので多分たまたまなんだろうが、同時に2つのストーカー業務をこなしていたニーノさんもなかなかのタマ。かつて「30年前からお前を見てる」と言っていたあの台詞は何の冗談かと思っていたが、なんとマジだったという強烈なオチである。「生まれる前から」監視してたわけで、現在のジーンが30くらいだとすれば辻褄が合うのよね。あれ、でもそうなると10歳年の差のニーノは40なのかよ……若いなぁ……。

 一歩間違えば狂気でしかない多数のストーカー集団を描いた今回のお話。ニーノの人生はどう考えても普通じゃないし、見方によっては「不幸」なはずなのに、何故かそう見えず、なんだかハートフルな絆の物語に見えてくるのが恐ろしい。しれっとこういう狂気めいたお話が流せるあたり、今作の豪腕をまざまざと見せつけられた気分だ。そして、この世界の人間はパンが好きすぎるということもよく分かった。小麦を焼けば世界が平和になる。もう、今作のタイトルが「パンでPeace!」でもいいんじゃないかな? 青春は食べ物やぞ。

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