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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 週の始まりは「有頂天家族」、そして週末はこの映画を満喫。何とも京都じみた、森見じみた生活ではないか。今作を最大限に楽しむことが出来る京都人であることを、大変に嬉しく思います。まぁ、私のような人間が「京都人」なんて名乗ろうものなら、生粋の京都人にぶぶ漬けの中に沈められるんだろうけども。

 

(以下、一応劇場版なのでネタバレ……とかいう要素がある作品じゃねぇな)

 




 

 

 一言でいうなら、「なんかもう、素敵」。語彙が失われる程度には素敵。例えばどこかでウルッと来るとか、爆笑するシーンがあるとか、そういう作品ではないのだが、頭から尻まで終始ニヤニヤしっぱなし、細かい台詞回しでクスクス出来て、意外な展開にプッと吹き出す、そういう何とも言えないおかしみが、とにかくエンドレスで襲い掛かってくる。小難しいことを考える必要はありません。とにかく「何だか分からないもの」が飛んできても、それはそのまま受け止めればいいんです。どこを取っても肩肘張らずに観られるし、本当に「快」だけで満たされているような作品。本当の意味でのエンターテイメントと言えるんじゃないでしょうかね。

 比較すべきは当然同原作、同制作の「四畳半神話大系」ということになるだろう。ただ、「四畳半」がシリーズアニメであり、こちらは単発の劇場作品という部分が大きく異なっている。視聴した人なら分かっていると思うが、「四畳半」は、アニメとして1クール、30分の「短篇」が十数本つながっている構造そのものが大きな意味を持っていた。そこには言わば「トリック」のようなモノが仕組まれており、毎回毎回繰り返される「お約束」の中に、少しずつ変容を混ぜ込んで世界の改変を描いていくという、トリッキーながらも実に大胆で、野心的な構造の作品だった。それに対して、わずか100分の今作はそんな面倒なギミックは一切仕込んでいない。とにかく「見せられる画」「魅せられる画」をただひたすら紡ぎ続けるだけ。どこからクライマックスが襲い掛かってくるか分からない。何が最高潮なのかは予測がつかない。ヒネたように見える馬鹿げた舞台設定には深読みすれば何らかの「意味」を見出すことは出来るかもしれないが、おそらく制作側だってこの短期決戦でそんな面倒臭いタスクを視聴者に課したりはしないだろう。画面に出てきた訳の分からない要素は「訳が分からない世界」だと思って素直に受け取ればいい。「訳わかんねぇだろ?」というギャグなのだから。その不条理こそが、この世界の真骨頂なのだから。

 「有頂天家族」を見ていても思うが、森見登美彦という作家は、本当に言葉の選び方が愉快である。これだけ短い時間の作品でも、心のどこかに刺さる変な台詞、何だか深遠なことを言ってるようでその実何も言ってない気の抜けた言明、そしてただただ意味不明な言い回し。1つ1つの台詞が「何だ今の!?」ってんでぐんぐん前に出てくる。眠くなる暇もないし、退屈する余裕は与えてくれない。「世界はこんなに面白いのか?!」とびっくりするような奇天烈で頓狂な展開がどこからでも飛び込んでくる。これでやってることが単に大学生どうしのラブだったりコメだったりするのだから恐れ入る。でもそうだよなぁ、人と人の関わり合いってのは、こうして手前勝手な不条理を互いに振り回して、たまたまそれがかち合うことを「出会い」というのだろうなぁ。

 これだけ理不尽な物語、アニメーションとして表現してどうなるものか、と天を仰ぐのが普通だと思うのだが、それを成し得てしまうのが湯浅政明。「四畳半」の時点で相性の良さは分かっていたわけだが、今作もまた、湯浅さんの持つ闊達な表現方法はこの世界観にドンピシャではまっている。どうにも、森見作品というのは現実離れしたコミカルな画風になればなるほど相性が良いようで、天下のP.A.WORKS作品ですら、敢えて久米田康治にキャラデザを頼んだのは宜なるかな、という感じ。今作は「四畳半」に引き続き中村佑介の手になる独特なデザインを更にアニメではっちゃけさせる方向に広げており、劇場ならではの大きな画面の使い方でやりたい放題。クライマックスの先輩VS乙女の夢幻決戦なんて本当の本当に何をやってるかさっぱり分からないのだが、それでもそこまでの蓄積があるおかげで「もうこれでいいや!」となる。もう、あのシーンは暴れるジョニーの記憶しか残ってないですけどね。ジョニー強いよジョニー。

 まぁ、あとはやっぱり「ご当地もの」だからこそ楽しめたってのもあるとは思うんですけどね。「有頂天」と同じではあるが、本当に、京都の町を丁寧にロケハンして、そのまんまの景色で落とし込んでくれているものだから、「京都には狸と天狗がいる」というのと同じくらいのリアリティでもって、「古本市をしきっている黒幕の老人がいる」とか「深夜の木屋町で詭弁踊りを踊り狂う集団がいる」も真に迫っているのだ(いや、いないです。いないと思う……)。もう、明日からは困ったら詭弁踊りに逃げるしかないですね。あれ、絶対足腰いわすけどな。

 とにかく愉快痛快不可解な作品。私が楽しんだ要因を改めてまとめると「ご当地もので真に迫る楽しさ」「原作由来の個性的な脚本部分」「湯浅さんが遠慮無しに叩きつける高濃度のアニメーション」と全てが満点。そして、ここに更に彩りを添えてくれるのが、やっぱり中の人ってことになります。今作はねぇ、中の人の使い方もかなり極まってますよ。乙女役の花澤香菜は言わずもがな。花澤香菜は壊れ役が素敵、ってのは周知の事実だと思うが、今作の乙女は間違いなくコワレキャラのはずなのに、小狡いことにはちゃんとメインヒロインとしての「憧れる可愛さ」がバリバリに残っているのである。この着地点が用意出来るのは、流石天下の花澤香菜と褒めるしかない。

 そのお相手役となるのは、はたしてどんな繋がりでキャスティングされたものか、なんとあの星野源である。いや、「あの」っていうほど知らないんだけど、逃げるのが恥とかなんとか、そんなこと言ってた人(適当)。最初のシーンで登場して第一声を聞いた時には「これはちょっと……」と思ったはずなんだが、気付けば「先輩はこれでいいんだ」という不思議な説得力を持つことに。多分、冒頭の木屋町パートはどっちかというと先輩のターンじゃなくて乙女のターンだったのが上手くいった要因なのかもしれない。冒頭から先輩の声ばかりが聞こえていたら気になっていたかもしれないが、最初は乙女視点(つまり花澤ボイス)中心で構成し、そこに少しずつ「情けない先輩」が溶け込んでくる。そしていつの間にか、先輩のトンチキなキャラも声が自然についてくる状態になっているのである。おそらく、この「先輩」というキャラは単なる「オタク気質の駄目男」で演じていたら、陳腐で張り合いの無いキャラになっていたのではなかろうか。彼の場合、「四畳半」の「私」ともまた違っていて、肥大化した自意識こそ相変わらずだが、別に彼はオタクでも引きこもりでもないし、憧れの人にアプローチをしかけるくらいはする「不器用な男」である。非リアには違いないが、決してオタクでも根暗でもない。その辺の「不和非リア」みたいな先輩の個性が、星野源に上手い具合にはまっている気がする。クライマックスで見せた自分大会議の様子なんて、あまりの必死さが本当におかしくてしょうがなかったし。

 メインの2人がこうして固まれば、あとは個性豊かな脇役は好きなように暴れるだけ。今作は本当にどのキャラもげっぷがでるくらいに濃いのに、それぞれ食い合わずに短い時間でも魅力が見えやすいのは嬉しい。個人的には(まぁ、中の人の影響ではあろうが)プリンセスダルマと城ヶ崎先輩のミュージカルシーンが大好きです。あそこだけは爆笑したところかもしれん。「城ヶ崎先輩! まさかそんなとこに!!」って思ったけど、あとで確認したらあくまであれば演劇の中での話だから、本人ではないみたいですね。残念。いや、どう見ても(聞いても)本人でしたけどね。まぁ、強いて残念だった点を上げるなら藤原啓治バージョンの樋口師匠で聞けなかったことくらいだろうが、一応今作は「四畳半」のパラレルワールドらしいですからね。こっちの世界でのCVはカズ中井なんだと言われたら、そりゃしょうがない。これはこれで憎らしい師匠のキャラは充分に出てるわけだしね。あとは「有頂天」でも出演してた麦人さんの李白ですわ。麦さん、ホントにいいとこ持っていくよなぁ。他にもキャストクレジットを見るまで全然気付かなかったロバート秋山はミュージカルシーンも含めて堂々とした仕事っぷりが本職顔負けだったし、そのパンツ総番長と結ばれた紀子さん役の人は「歌うますぎやろ!?」ってマジでびっくりしたし。確認したら新妻聖子さんという、なんと一昨年のプリキュア映画にも出てた人でしたね。そんときにも「うわ、めっちゃ歌上手いけど誰これ!?」って驚いてた。今後も歌が大事な役でこうして突然入ってきてくれるとありがたいですね。

 まぁ、色々と素敵要素が多すぎて、「これ、もう一回ダラダラ観たい」と強く思わせてくれるいい映画でした。今度湯浅さんが新しくオリジナルの映画作るみたいだけど、そっちはどうなるかなぁ。

 結論:ちょっと木屋町に繰り出して僕もCV甲斐田裕子なエロいおねーさんにひっかけられたい。っていうか甲斐田ちゃんと飲みたい。

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