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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 ネクストステージ・佐伯沙弥香、第7話。さぁ、いよいよ物語は新たな段階へ。正統派モンスター、佐伯沙弥香の登場である。いや、前から出てたけど。

 まず、手前勝手な思考修正をしておかねばならないことをここでお断りしておく。もともと原作を読んだ時点で沙弥香のポジショニングというか、キャラクター設定はかなりお気に入りだった。というのも、アレな言い方にはなってしまうが、沙弥香の立ち位置は非常にわかりやすい「百合漫画のヒロイン」のそれなのである。秘めたる想いをうちに抱えながらも、「同性同士での恋愛なんていけないわ」と自戒して封じ込めたるその感情。いわゆる「ささめきこと」としての百合スピリットである真っ当な精神性を持ったヒロイン。別な意味でモンスターである侑や、最終的な攻略対象と言える燈子の超然とした立ち位置に比べ、沙弥香の感情は分かりやすく摂取できる「望ましい百合成分」だと思っていたのである。

 しかし、ここまでのアニメを視聴して来て、この安易な受容には大きな齟齬があることを痛感させられた。ここまで再三書いて来たことだが、漫画版で受容していた時点では侑と燈子の関係性がここまで面倒で、ここまでけったいなものだとは理解できていなかったのである。2人の関係性の中には青春だとか禁忌だとか、そうした言葉でひとくくりに出来ないような複雑怪奇なものが入り乱れている。それを理解した上でなければ、本作の人間関係を読み解いていくのは難しい。おかげで、「単にメインの2人に向けて放り込まれた分かりやすい爆弾が沙弥香なんやろ?」という安易な理解については、(別に間違っていないとは言え)幾らかの修正が必要になってくると思われる。幸か不幸か、原作はそこまで読み込んでいないので、このままアニメを見続けることで新しい認識を構築していくことができるのではなかろうか。何やら最近沙弥香メインのスピンオフ小説も出たらしいので、アニメ視聴後はそちらもありがたくいただこう(その前に、まず原作揃えるところから始めないといけないけども)。

 これは純粋にありがたいことだが、このアニメはそうして原作で取りこぼした要素を(もしくは原作では描かれていなかった要素なのかもしれないが)余計なまでに描ききり、感情を押し固めた鈍器でぶん殴ってくるような作品になっている。原作の持つ要素をじっくり煮詰めて、アニメの持つ強みを存分に活かした作劇だ。今回も沙弥香というキャラクターの入門編みたいな内容のくせして、容赦無く生の感情を叩きつける呼吸困難必至の30分。やっぱり原作の時以上に沙弥香さんのパワーが上がっている感がある。個人的にかやのんボイスはノンケ要素の方が強いと思っていたのだが、結局一流の声優ってのは「感情が乗せたいだけ乗せられる」っていうだけの話なのでなぁ……。曲に入る第一声からの流れでオープニング映像を見ると、今までと同じ映像のくせに「沙弥香さん!」ってなってしまうのほんと辛い。

 Aパート「秘密のたくさん」。これ、サブタイトルが「たくさんの秘密」じゃないあたりが、作者の日本語センスよね。「たくさんの秘密」だと存在名詞だから確実に「ある」んだけど、「秘密のたくさん」だと副詞終わりだからその存在が確定しない。ふわふわと浮ついている現時点での侑・燈子・沙耶香の形容としてはこちらの方がしっくりくる。単純に考えるなら、ここでいう「秘密」は侑と燈子の関係性、沙弥香の秘めたる想い、そして新たに登場した先生と喫茶店店長の関係性などのこと。侑たちの関係性については前回山ほどしんどい話が出たので今回はちょっとしたサービスショットみたいなご褒美要素が多めで、名前呼びで簡単にぶっ壊れる燈子のお花畑脳は素直にニヤニヤするべきところ。まぁ、その裏側にある燈子の自虐とも取れる踏み込みチキンレースっぷりは前回垣間みえてしまった地獄みたいな感情なので、軽々しく切り込んじゃう燈子の業の深さも嫌という程見えてしまうわけだが。ゴーサイン出しちゃう燈子さんのカットに「止まれ」って停止線が出てるあたりが嫌らしいよね。ちなみに停止線はカーブミラーに映ったものが見えるように描かれているが、今作は「反射」というモチーフも効果的に使われており、Bパートでもコーヒーに反射する沙耶香の顔が印象的に描かれている。「秘密」が増えてしまった現在の状況下で、直接見せることができないものたくさんあり、今回はキャラクターの目の部分が隠された演出も多いが、どれだけ隠してもそこかしこに映ってしまっているのも色々と示唆的である。

 そして語られてしまった沙弥香の想い。まぁ、今までの様子を見てれば初見の人間でもわかるようなヤツではあるのだが、そのシンプルさ故、破壊力も格別である。好きなところは? と聞かれて「顔?」とダイレクトに答えているあたりに沙弥香さんの取り返しのつかない感情がよく現れており、中学時代に先輩に唾つけられたせいで生み出された百合の萌芽が、燈子という劇物に触れたせいで完全覚醒してしまった沙耶香さん。もし過去に下地が作られていなければ何も起こらなかったのかもしれないし、先輩があんな下衆でなかったらわざわざ燈子と同じ今の学校にも来なかったわけで、実に因果な巡り合わせである。

 そして、2人の関係性のねじれっぷりも実に心苦しい悲鳴ポイント。沙耶香の方は、過去のトラウマもあって燈子に踏み込めない。最後に喫茶店店長が説明してくれていた言葉を借りるなら「相手を傷つけたくないための優しさ」であり、沙弥香が踏み込まないのは自己防衛と怯えの入り混じった後ろ向きとも言える感情。そして、そんな沙耶香の接し方に感謝しつつも、完全な理解を示しているわけではない燈子。燈子は「立ち入らないからありがたい」と言っているが、それは優しさでもなんでもなく、沙耶香サイドの事情である。そのうわべに見える「優しさ」に寄りかかってしまうあたりが燈子さんのモンスターたる所以で、どうにも侑という異物に出会ってしまったせいで、沙弥香の捧げている自己犠牲がますますお気楽に摂取されていくようで容赦ない。このナチュラルボーンな残虐性こそが、燈子を燈子たらしめている部分なのだろう。彼女の無警戒な「秘密」との接し方で、いちいち沙弥香が心をざわめかせているとも知らずに。

 そんな沙弥香の救われない感情が少しずつ前に進み始める気配を見せるのがBパートの「種火」。こちらはまたシンプルなサブタイトルである。まさかの身近に現れた「公然たるレズカップル」。この街はなんて素晴らしい街なのだと慄いてしまうが、でもまぁ、CV森なな子のキャラなら誰だって納得できるから良しとしよう(いいのか)。お相手は中原麻衣なんだぞコンチクショウ。俺らからしたら、ビジネス百合営業の元祖とも言える唯一存在やぞ。声優業界初の公然たる同性キスシーン声優だぞ。ストロベリーにパニックやぞ。そこに宝塚のパワーを組み合わせてしまったら、もう文句を言えるわけがなかろうが。

 そんな「百合の先輩」に人生相談に行く沙弥香さん。あのわずかな2人のやり取りだけからあっという間に「その気」を察知して確認しにく洞察力と行動力を見ていると、「やっぱりこいつ、才能を与えられたらまずいやつなのでは?」っていう心配が先に立ってしまうが、とにかくその直感は的確なものであり、先輩もそんな沙弥香の覚悟を見てとり、実直に応えてくれる優しい人だった。ただ沙弥香の悩みを聞き、受け入れてくれる先輩。そしてそんな先輩の人生に、自分の悩みはもしかしたら別な解決方法があるのではないかと考え始める沙弥香。踏んでも良いアクセルなのかどうかはまだ分からない。しかし、たかだか高校生が判断できる人生の機微などたかが知れたもの。これまでの自分では思いもよらない生き方が、世界にはあるのかもしれない。その端緒となる感情が、今ここで芽生えるのである。先輩の方は別に他意あってのアドバイスではなかろうが、間違いなくそれは「種火」となる。ご丁寧にサイフォンでコーヒーを淹れてくれる先輩。ふつふつと湧き上がり、上へ上へと昇っていく流れの中に、確実に沙弥香の感情がリンクしていく。

 さぁ、侑さんもあまりのんびりしていられないかもしれないぞ。生徒会室では、目に見えぬ嵐が巻き起こっているのだ。

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