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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 劇場に行くじゃないですか、「今週公開予定」ってんで、大量のアニメ映画のポスター貼ってあるじゃないですか。……ねぇ、スケジュール厳しすぎない? なんとか時間を見つけて相当な数の作品を消化しないといけないんだけど……。加えて極めて個人的な事情を付け加えると、基本的に私は「1日に複数本の映画」って観られないんですよ。1本目観た後にすぐ次を入れると、印象が薄れて感想書くのに影響が出ちゃうから。まぁ、単に濃密な劇場作品を2本続けて観るだけの体力が無いって話ではあるんだけど。今日も、「うわっ、スケジュールきつすぎ……」って思ったので頑張ってハシゴしようかとも思ったのだが、やっぱり1本観ただけで体力の限界がきたので断念した。 …………まぁ、今回は1本目が悪かっただけな気もするけどね! ということでこの作品!!

 

 

<以下、ネタバレを含む可能性はあるので一応未視聴注意>

 




 

 

 もう、ほんと疲れた……いや、予想通り、下馬評通りの作品だったのは間違い無くて、一言で言うなら「2時間ずっとトリガー」。もう、ほんとそれだけ。いや、でも普通の人間に「2時間ずっとトリガー」はキツいぜ? オードブルからデザートまで無限に生クリーム乗せられてる気分だ。もう、ほんとに凄まじい。生クリームが大好きな人には極上の2時間。歳をとったおじさんにはなかなかハード。いや、でもこれはやっぱスゴいや。そして、スゴい馬鹿だ。

 直前に観た映画作品が「スパイダーバース」だったこともあり、「こういう日本のアニメの目指したいものってどこにあるんだろう?」ということをあれこれと考えながら視聴していたのだが(そしてトリガー作品がその思索に向いているかどうかはやや疑問だが)、今作を観るにつけ、やはり日本のアニメ作品というのは本当に先鋭化が進んでいるというか、とにかく「好きな人に向けて」のピーキーな作り込みがガラパゴス的な魅力を生み出しているのだな、ということを確認した。今作の場合、もう制作側は完全に開き直って「好きな奴はこれが観たいんだろぉ!」というピンポイントの狙いを隠しだてすることなく叩きつけてくる。誤解を恐れず書いてしまえば「グレンラガンとキルラキルが好きな人間はこれが観たいだろ!」である。臆面もなく(本当に臆面もなく)グレンラガン的要素はグイグイ推してくるし、キャスティングも含めてどこまでもキルラキルが匂い立つ。主人公のガロが登場して声を聞かせてくれた最初のシーン、「これ、普通の地上波作品だったらキャストはこにたんか檜山になるんだろうなぁ」って思ったらその直後にすぐに二人とも出てきたのは笑った。おかげで開始5分で生徒会四天王がそろい踏みしたし。やっぱり新谷真弓が出てくるだけで「よかった、トリガー(ガイナックス)作品だ……」って安心できるのは良いよね。

 キャストの話は後からするとして、今作のピーキーな部分が一番わかりやすく出ているのは、幾何学的な意匠を前面に押し出した炎と氷の表現だろう。これまた極端な二元論になってしまうので多分に間違ってる部分はあるとは思うが、「スパイダーバース」を観ていると、やはり向こうのアニメのスタート地点って「現実」にあるんだと思う。それが実写でもCGでもカートゥンでもなんでも良いけど、とにかく「描きたい対象」が現実にあり、それに近づけて、肉付けしていくための技術が生み出される。転じて日本のアニメの場合、もちろんスタート地点は同じであったはずなのだが、ガラパゴス的な進化を繰り返すうちに「作品独自」「スタジオ独自」の技術面がどんどん研ぎ澄まされていき、気づけば道具立てそのものが色を持つようになった。シャフトならシャフト独自の、エイトビットならエイトビット独自の表現技法を持ち合わせており、それをどんな方向性の「世界」に合わせていくかを考えて作品世界を作っていく。いわば目的のための手段ではなくて、手段のための目的。世界を作るためのトップダウンではなく、道具を活かす世界を作るためのボトムアップ。そんな印象が強い。

 今作の場合、起点となったのは間違いなく「炎」であろう。しかも単なる炎ではなく、トリガーの持ち味とも言える頭の悪い猪突猛進な勢いを示す「燃え盛る炎」だ。今作でわかりやすいデザイン上のモチーフに「三角と四角」というのがあり、はっきりとした指向性を持つ炎は、勢い・先鋭を表す三角形をベースにデザインされている。リオが生み出したドラゴンなんかも研ぎ澄まされた「牙」のイメージであるし、バーニッシュが生まれる時に胸に宿したものは「三角形」である。プロメアの持つ「情動」は三角形の組み合わせなのだ。対して、フリーズフォースやバーニングレスキューが主力とする「氷」の兵器は全て四角形がベース。「四角四面」という言葉もある通りに規律や規則を表す四角形は、頑健さや実直さを表しながらも、凝り固まった停滞をも意味する。数々の突起をデザインにあしらったリオデガロン(ガロデリオン)に対してクレイガーXの無骨なカクカクした工業機械のデザインも「四角」。今回のトリガーは、とにかくこの「三角形の炎」と「四角形の氷」というモチーフを重ね、組み合わせることによってあらゆる画面を構成している。もう、その異様なこだわりの時点で面白い。ちなみに「三角」「四角」ときて「丸」はどこにあるかというと、「丸」を象徴したのはプロメス博士である。作中でほとんど見られなかった曲線のモチーフが一気に溢れ出すのは博士のラボのシーンのみで、博士が作ったデウスXマキナも悲しいまでにまん丸。彼がこの世界の「丸(融和)」の象徴だったという現れだ。

 こうして2つに分けた世界を、強引に混ぜ合わせ、「合体」させるというのは「グレンラガン」の時からのお約束。スタート時点で「暑苦しい火消し」と「クールな炎使い」という矛盾した配役が出ていた時点でこの二人が溶け合うことはわかりきったことであり、実にアニメ的なけれん味のあるシナリオでそのあたりのプロットを見せてくれる。シナリオラインだけで言ったらやっぱり無茶苦茶なところはあるし、「頭悪くていいんだなぁ」という強引なまかり通り方なのだが、やはりトリガーらしさってのはそのあたりにも出ているのだろう。

 「炎と氷が溶け合う物語」という、まとめてしまえばあまりにあっさりしたメインフレームを、とにかく暑苦しく、大仰な作劇でどんどん塗り固めていくのが本作の作り方。そこには圧倒的な「格好いい」の伝統が詰め込まれている。もちろん、ところどころに「格好悪い」「ダサい」が混ざっているのも嬉しいサービス。だってさ、もう、堺雅人のあの声で「滅殺開墾ビーム」って言われた時点で、もう何も言えないじゃん。あのビームでエンドロールが流れてもおかしく無いんだよ。っていうか、もう、作中で何回も「ここでエンドロールか?」って思うシーンがあるんだよ。休まずクライマックス、飽きずにオーバーワーク。よくもまぁ、こんな無茶苦茶な展開のアニメ作ろうと思ったよな。

 他にも細かい部分で色々突っ込みたかった部分はあった気がするのだが……例によってパンフが売り切れてたもんだから振り返りづらい。まぁいいや、最後は中の人の話。今作のMVPを誰にするかって言われると悩むんだが、松山ケンイチを押さえてやっぱり堺雅人でいいんじゃねぇかなぁ。クレイのあのあまりに酷すぎる役回り、冷静に考えれば流石に脚本としてどうなんだよ、とは思うところなんだけど(多分、博士殺すシーンなんかはなくても問題なかった)、それをあの声でやられると「まぁ、そういう奴だしな」で済んでしまうっていう。常日頃、「声優と俳優」って話題はよく議論される部分ではあるのだが、堺雅人ってさ、もう、普段やってるキャラからして多分にアニメ的だからむしろハマりすぎてるんだよね。堺雅人自身がアニメの主人公みたいなところあるよね。そりゃ滅殺開墾ビームも撃てるってもんよ。リオ役の人は俳優キャスト3人の中ではちょっと目立ちにくかったが、まぁ、抑えめの声での演技ってそれだけで難しいので、単純にガロ・クレイと比べるのはフェアじゃない気もする。トータルで見たら3人ともしっかり世界観にあった良い仕事をしてくれてたと思います。

 結局、不満点らしい不満点はないな。強いていうなら「マジでくたびれたからトイレ休憩があってもよかった」っていうくらい。2時間連続トリガーは、やっぱり人類にはハードワークすぎる。

 

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