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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 観てきました。これで2月に観ようと思っていた劇場作品はなんとか網羅できたことになります。短期間で結構な回数劇場に通って、しかも違う映画館3つ回ったもんだから疲れましたな……まぁ、なんだかんだ言ってこれだけ観られる場所があるという自分の周りの環境には感謝しなきゃいけないのだろうけども。

 とりあえず折りたたむ前に先に書いとくんですが、「鹿の王」に続いてで残念ですが、あんまり刺さらなかった作品です。「鹿の王」の場合には「まぁ、刺さらんかもな」って覚悟して観に行ったので別に構わなかったんだけど、こちらはある程度期待して観に行った部分があるので、うーん……。ムズカシイネ。

 

<というわけで以下はネタバレを含む可能性があります。本作の場合は……まぁ、若干注意かねぇ>

 




 当然今作を観に行った最大の動機は「あの『よりもい』スタッフが再結集!」という売り文句である。「よりもい」が傑作であることは人類であれば異論の出ないところであろうから、当然そのスタッフが新作映画を作ったというなら期待しなきゃならんだろう。ただ、よくよく見れば厳密には「同じスタッフ」ではないということに注意が必要だ。「よりもい」脚本はあの花田十輝であったが、今作は脚本もいしづかあつこ監督が自ら執筆している。キャラデザや製作スタジオが同じなので映像で似通ったところはあるが、「花田脚本をいしづか演出で」というのと「いしづかあつこ脚本・演出」では様子が違うのは当たり前といえば当たり前。ただ、それは承知の上で期待していたのであるが……刺さらんかったなぁ……正直言うと全編通して「俺は何を見せられているのだろう?」と首を捻りながら観続けていた。でもこういうこと書くと「あんなに面白いのにそれが分からないの!?」って言われるとなんか悔しいので「つまらんかった」じゃなくて「分からんかった」と書いておくのが私なりの逃げの姿勢である。

 さて、それじゃぁ何が「分からなかった」原因なのかを考えていく必要がある。まず、中心となるのは「青少年の成長譚」であるとする。これに関してはパンフレットを確認したら監督本人が言っていたので間違いない大目標であり、本作主人公・ロウマが片田舎の町でくすぶっていたところに刺激となる事件が起こって、すったもんだの末に彼が世界規模の視野を持って「外」へ飛び出していくというお話。うむ、こう書けばわかりやすい。そして、「きっとそういう話なのだろうな」という予断を持ちながら視聴を続ける程度には主張ははっきりしていたと思う。ただ、そうして「成長」とか「拡大」を描くにしては、やけに展開が浮ついているのである。「本当に何が起こっているのだろう?」というのが、ピンと来ないのである。

 便宜的に、実際にロウマの周辺環境で起こったことを「現実」、それ以外の心象風景とも言えるアニメ的な演出を「幻想」と記述するが、本作における現実と幻想の境目がなんだかぼんやりしている。実際に後になって振り返れば幻想と言えるパートは実はほとんど存在せず、一番幻想チックだった冒頭のドロップの電話ボックスですら「現実」であると語られている。強いて幻想をあげるとするなら、山中で寝ていたロウマが観た夢の、地獄のような景色に浮かぶ電話ボックスのみが「幻想」の範疇に入るもので、彼らが旅の果てに見た水没した道も、突然なんの脈絡もなく遭遇したクマも、どれもこれも現実パートである。そして、青春の中の成長譚を描く際に、ロウマに刺激を与えたのは間違いなくそうした「現実」であろう。それは理解できる。

 ただ、問題は視聴者目線でそうした2つの世界の区別がつかないということ。これは極端な例ではあるが、途中までドロップという存在があまりにふわふわしていたせいで、「こいつ、実在する人間なのか?」という部分すら疑ってかかっていた。どこからともなく現れたドロップ。彼の生い立ちも特に語られることはなく、ただ2人の前にポッと出てきただけの謎の妖精のような存在だ(考えてみりゃ、女装パートで周りの人間にも見られてはいたのだろうが、そこも明確に事実として定義するような言葉はあまり無い)。「このドロップってのは何のためにロウマの前に姿を表し、何を伝えたがっているのだろう?」という疑問をずっと抱えながら筋立てを見守ることになるのだが、その際に、「男子高校生3人組」の現実ラインというのがやたらと乱高下する。すげぇ卑近で、いかにも「地元の高校生仲間」っぽい話題を出して「リアル高校生」の肌感を強く押し出すシーンもあるし、反対に急にポエミーなことを言い出して現状を幻想に押し上げようとするような動きも見せる。彼らがジタバタとあてもなく彷徨う山中での強行軍は、「現実レベルでロウマが強くなるための試練」だったのか、「ふわふわと浮ついたドロップが見せる夢まぼろし」なのか、そのあたりがどうにも落ち着かない。

 そして、そんなドロップが最終的にまさかの「命」というテーマを抱えたキャラだということを明かされる。どこで生きてきたのかさえよく分からず、トトからしたら付き合ってせいぜい数日とかそこらの謎の存在が、急に「余命が危ないかもしれませんよ」ってんで命の尊さを訴えるポジションに回される。正直、わたしゃここの食い合わせが一番「ハァ?」となってしまった。「ドロップ、そういうトリガーになるの?」というのがやたら違和感があった。命の尊さを訴えるってのは、そりゃ情操教育としては大切な要素ではあるだろうが、ふわふわと落ち着かずに「こいつ何なんやろ……」と訝しんでいる状態で突然「ま、死ぬんですけど」と言われても「え、あ、そう……」くらいしか感想が出てこない。おそらく制作側の狙いとしてはそこに至るまでの山中強行軍でたっぷりと交流を描いて「仲間」としての存在感を強く残したかったのだろうが、如何せん「幻想」のイメージがぬぐいきれいていない状態。ロウマたちに何かを残す存在としては、まだ役者不足である。

 また、どうにも「ここで盛り上がってください」みたいな押し付けが強い印象もあり、BGMとか演出で「はい、ここが盛り上がりです!」みたいな上げ方をするのだが、あんまりそこで身体がついていかない。その際たるものがきらきら星のくだりで、「突然踊るよ!」はまぁ、劇場作品のお約束みたいなところはあるが……そこは楽しさを強く押し出す必要のあるシーンだったんだろうか? そっからのキックボードVSリヤカーのくだりとかも、「身体弱いやつに無理させんな」「お前ら、そもそも絶賛遭難中なのに命の危機をさっぱり怖がってないな?」など、3人のテンションについていけずに演出的な「盛り上がりムード」がから回っている。ロウマがあの2日間の冒険で感じたものって、結局何だったのだろう?

 そうして「高校生の小さな冒険譚」が幕を閉じ、ドロップが退場し、そこで幕引きになったら流石にしょぼいぞ、と思っていたらさらに物語は予想外の方向へ進み、何とドロップの適当すぎる手がかりだけを基にして2人がアイスランドへ。いや、別に行ってもいいけど……「そこまでするようなモチベあったか?」というのが正直な感想だった。2人は「何をしに」アイスランドへ行ったのか。その答えはおそらく「ドロップが言っていた宝物を探しに」なのだろうが、そこで気になるのは「滝の上の電話ボックス」というとりとめのない話の存在感。3人でその情報を共有するのは山中での何気ない雑談からだったわけだが、初見で聞いてる側としては「何言ってんだこいつ?」てなもんで、わざわざ電話ボックスの意味も分からないし、何か元ネタがあるのか? くらいしか邪推のしようがない。最後まで見ていれば「電話」であることが伏線として回収されるのだが……それって伏線っていうかなぁ。語られたところで謎が増えるばかりで、あんまりうまい接続だとも思わないのよね。どんでん返しならぬちゃぶ台返しみたいな印象で、当の2人はそれで納得していたみたいだが、視聴者目線からしたら「で、結局何が起きたって話?」と首をかしげるばかりである。おそらく劇場作品らしい「大きな起こりと収束」をそこで見せようと思ったのだろうが、それこそ「幻想」の領域がどこまで広がっているのかが想定できなくなってしまい、見せたいものが非常に散逸的になってしまっているように見えるのだ。

 とか言うてる私の感想も随分散逸的になってしまったが……まとめると、「生の男子高校生3人組を描きたいという、近しい質感」と、「大きな大きな世界へ飛ばすために広がる茫漠とした幻想の浮遊感」みたいなものがどうにも噛み合わなかったかな、というのが私なりの結論。まぁ、もしかしたら私が全く理解していないだけで、そこの2つに綺麗な接続を見せている要素がきちんとあるのかもしれないが……多分、仮にそうだとしてもあんまり劇場で1回見て満足できる体験にはなってない気がするよ。90分一本勝負のシナリオってのは難しいなぁ。

 

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