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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 封切りからだいぶ経ってたみたいなんですが突然の鑑賞。何故このタイミングなのかをまず説明いたしますと、こないだ観た「ぼくらのよあけ」について、感想を書いた後にちまちま他の人の感想もザッピングしてたんですよね。そしたらいい評価も悪い評価もあるわけですが、そこで「公開タイミングがほぼ同じだった漂流団地と内容が被りすぎてるやんwww」みたいな感想が結構あったんですよ。それを見て「そういや、どっかで予告は見た気がするけど結局観に行ってなかったな……」ということに気づき、せっかくなら比較するのも面白かろうと思って調べたんですが、当然どこの劇場ももうやってない。時期を逃したかと思っていたら、近所の小劇場ではまだやっていることを知り、しかも「今日が最終日」という偶然。こりゃぁ見逃すわけにもいくまいというので、久しぶりに小さなシアターにお邪魔してきたのであった。どうやらネトフリ配信作品らしいのでネトフリに加入すれば観られるみたいなのだが……でもまぁ、せっかくなら劇場で、ってのもあるし、わたしゃ頑なに配信サイトに登録したくないし。

 とりあえず折り畳みの前に点数だけつけておくなら、「『ぼくらのよあけ』よりはこっちの方が好き」ですね(点数とは?)。

 

【以下、一応ネタバレ注意だけど、まぁ、だいたい想像通りのお話よ】

 

 




 もうタイトルで「漂流する団地の話だなぁ」というのはわかるし、予告なんかを見れば「小学生たちが漂流した団地の中で笑いあり涙あり友情ありのドラマを演じる話だなぁ」までは分かるわけで、筋立てで一喜一憂するタイプの作品ではない。そういう意味ではSF的ギミックを盛り込み、何が飛び出すか予想が出来ない「ぼくらのよあけ」とはあんまり似てない作品だったとも言える。いや、似てると言われるのはもちろん分かるけどね。お子さん主人公で舞台が「取り壊し間近の団地」、幼いあの夏の日の風景に別れを告げるためのジュブナイル(あと水瀬ボイス)。こんだけコンセプトが被ってれば、そりゃ「偶然にしては似すぎだろ」と言われてもしょうがないとは思う。

 ただ、同じモチーフを扱ってチャレンジした作品という視点から見るなら、そのモチーフをフルに活用しているこちらの作品の方が、なんというか、制作コンセプトみたいなものは好印象である。2時間という短くて長い時間で1本のドラマを作り上げた時に、その骨子となる部分が明確で、真っ直ぐに観やすいのは断然こちらの作品だろう。まぁ、かたやこのためだけに作られた劇場オリジナル、かたや原作漫画ありで2時間にまとめられた映画なのであまり比較しても意味はないと思うが、「ぼくらのよあけ」がどうしてもとっ散らかったイメージでドラマに説得力が無かったのに対し、こちらの作品はとにかくメインのコウスケ・ナツメという2人の子供にスポットを当て、さらにその2人の関係性の間に「団地」というガジェットを組み込んだデザインがすっきりしているので、後にも先にもわだかまりは残りにくい。そういう意味で、お手本のような2時間劇場アニメだったんじゃなかろうか。

 いくつか評価すべき点を挙げるなら、まず真っ先に「団地」という要素そのものが挙げられるだろう。「ぼくらのよあけ」では「これ、別に引越し間近の団地である必要なくない?」とも思ったし、最後のロケット打ち上げも団地を結ぶ要素としては不必要にしか見えなかったが、こちらは「団地が漂流してる様を全力で画にしたい」というコンセプトからしてアニメ向きだし、そもそも現代社会では「遺物」に成り果ててしまっている団地というオブジェクトに対し、「現代の子供たちが別れを告げなければいけないが、それでもどこか後ろ髪をひかれるノスタルジーの象徴」としてはっきりと具現化させているのも分かりやすい。実際、私のように団地に住んだことがない人間は別に「団地だから」という理由だけで懐かしさは感じないと思うのだが、今作ではきちんとナツメの過去の停滞要因を団地と結びつけて「囚われ動けない過去」を具現化しており、そこからの脱却を明るい未来の象徴として転化できているため、「団地を想いながら前へ進む」という構図が万人に理解できるものになっているのだ。もちろん、懐かしさは単純に物理的な要素として受けと止めることも可能で、そこかしこに見える背景美術やガジェットへのこだわりは「団地らしさ」を高めるのに一役買っている。こうして2作品ものアニメで同時に郷愁の対象として団地が描かれているのを見ると、やはり高度経済成長を支えた「昭和の象徴」みたいな部分はあるのだろうなぁ。少子高齢化が進んで人口減少の一途を辿る日本において、もはや団地のような構造は時代遅れでしかないんだろうしなぁ。

 そうして「コウスケ・団地(のっぽ)・ナツメ」という、いわばものを媒介した三角関係みたいな物語は非常にクリアになり、しつこいくらいに描かれる幼馴染イチャイチャ展開がしっかりと「男女の友情」へと帰結する。多分今後は散々周りから冷やかされることになるだろう2人だが、どうせならこのまま高校生くらいで付き合うようになって欲しい(そこから結婚するかどうかはまた別問題だが)。正直、2人してあまり素直じゃない性格なもんで、序盤は跳ね返って周りをイラつかせるだけのメイン2人には辟易したものだが、自販機前のツートップ活動あたりから少しずつ本音を見せるようになり、きちんとお互いを思いやって向き合うようになる様は本当に思春期の子供さんが成長している様子を感じられるのでよかったですよ。

 そして、「コウスケ・ナツメ関係」というメインプロットも成立していることは一定以上評価しつつも、それでも私の最大の評価ポイントはダントツでレイナである。もっと踏み込んだらレイナ・ジュリの幼女百合コンビということになり、眼鏡のママみにすら感じられる圧倒的な統制力にも魅力は感じたが、その上でレイナという幼女がとにかく魅力的である。もう、本当に絵に描いたような(絵に描いてる)メスガキなのである。クソ生意気だし、周りに迷惑しかかけないし、親の金をちらつかせてばかりで本当にムカつくガキなのだが、その上でトータルで見たら「別に悪い子じゃないんだよな……」くらいの範囲に収まる奇跡的なバランス感覚。なにしろ起こってることが無茶苦茶すぎるわけで、どっちかといえば彼女のヒステリーやワガママの方が子供さんとしては当たり前の反応なのである。余計な事故に巻き込まれた立場というのは紛れもない事実であるし、彼女が誰彼構わず当たり散らすことで、周りが冷静になってかえって事態が進展した感すらある。幼女なのだからこれくらい本能に忠実に動いてもらった方がリアルだし、決して悪意から嫌なことを言ってるわけじゃないことも分かる。その上で一番大切だったジュリという存在に気づくことができて、終わってみれば彼女だって間違いなく成長できている。今作の「影の主人公」と呼べるのはレイナであろう。メスガキ業界の関係者の方は是非彼女の一挙手一投足に注目し、今後のメスガキ産業のエネルギーにしていただきたい。何がまずいってさ、レイナの衣装のハートマークが付いている位置なんよ。おめぇ、それは流石にちょっと……(既に悪い文化に脳が破壊された人間なりの感想です。スルーしてください)。

 ここまで全面的に褒めてはいるが、もちろん悪い点も結構ある。個人的に一番気になったのは、全体を通しての「しつこさ」というか、変化の乏しさみたいなもの。まぁ、ほら、「漂流中に起こるトラブル」なんてそんなにバリエーション出せないからさ、結局2時間の作中で10回くらいは「危ない! 落ちる!」ってんで手を差し伸べて掴むシーンがあったんじゃなかろうか。流石にそんだけ何度も何度も「落ちる!」されたら「もうええがな」ってなるよね。クライマックスのアクションシーンとして色々と見せたかったのは分かるのだが、団地沈没からゴールまでの一連の流れも、流石にクドくて「もうちょいコンパクトにならんかったか?」という気がする。「団地沈みそう」→「のっぽにお別れ」→「ナツメが我慢できずに飛び込み、コウスケが一度は引き止められるもやっぱり後を追って合流」→「観覧車先輩登場」→「コウスケ・ナツメがのっぽと和解」→「観覧車先輩と接続」→「観覧車先輩大暴れからの結局分断」→「コウスケ落ちそう」→「ナツメ落ちそう」→「観覧車先輩再登場からのお別れ」っていう流れ、もうちょい早くのっぽとお別れする決断ができてもよかった流れだとは思うのだが……まぁ、観覧車先輩がさ、レイナの思い出エピソードとしてもちょっと機能してるし、のっぽの存在意義を提示する補助の役割も果たしてたから決して無駄ではないんだけど、視聴中は「もうええがな」ってなってるのよ。この辺りの展開にもうちょいバリエーションがつけられてれば、クライマックスでも評価が上がる作品になったかもしれないのだが……手放しで傑作というにはちょい何かが足りないレベルで落ち着きましたよね。まぁ、一部フェティシズムを満たしつつの「なんか惜しい」採点、「ペンギンハイウェイ」とだいたい一緒なんよ。

 改めて、メスガキファンには是非とも見て欲しい作品です。結論はそれです。あと幼女百合好きもある程度は押さえておいてもいいかも。花澤少女が水瀬少女を引っ張り上げる展開…………そのまま南極行きそう。

 

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