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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 ちょっと遅くなったけど、やるよ!! 今年はより明確に意志をもって、省エネ化、文章の削減に取り組んでいきたいと(少なくともこの書き出しをスタートした時点では)思っている。今の世の中、削れるものは削っていかないと。まぁ、この企画自体が一番のリストラ対象な気もするが……。

 (以下去年までの記事からのコピペ)一応毎年のことなので約束事をコピペしておくと、タイトル賞の選出は何故か毎年「仮装大賞」の賞に依っており、タイトル部門以外の賞は、基本的に3位まで取り上げてある。(コピペ終わり)毎年「なんでこんな設定にしたんだろう」と自分で自分を責めてばかりいるが、考えてみりゃ、ある程度多角的にいろんな作品を取り扱えるんだから悪い設定ではないのかもしれない。

 また、今期は執筆コスト削減のためにある英断を行った。それは、「サブタイトル部門」の廃止だ。各アニメのエピソード1本1本を選出対象とした部門で、決して無意味ではないと思うし、この部門があるおかげで毎回のアニメを観る張り合いにもなっていたのだが、いかんせん、この部門だけ圧倒的に選出と執筆の手間がかかるもんで、負担の大きさに耐えきれず、この度リストラさせてもらうこととした。おっちゃんも寄る年波には勝てないので、こうしたリタイアはしょうがないと思っている(リクエストがあったら復活するかもしれんけど)。とりあえず、これで確実に文字数の削減はできるだろう。

 

 今期エントリーされたのは、「2022年4月期以降に終了した、もしくは現在放送中である」ことを条件として、ある程度最後まで視聴していた以下の176作品。冬クールのとんでもねぇ量には驚いたものだが、そこで頑張って削減したこともあり、年度を通しての本数だけでいえば一応史上最多まではいかず、ギリギリ「全盛期並み」に踏みとどまった。ちなみに、仮に冬クールでの「3話切り」をやらなかった場合、ここから9本増えて史上最多になっていた可能性もある。さらに、具体的な数字を確認すると、今年度は「通常枠163本、ショート枠13本」の内訳で、実は通常枠だけならぶっちぎりで史上最多だったりする。来年度以降も、明確に「3話切り」も視野に入れた試聴体制にしないと、そろそろヤバいかもしれない。どこかで「アニメは週40本までよ!」みたいな絶対ルールを敷けば楽になれるのだろうが……。

 一応過去のデータと接続すると、本数の増減はこんな感じ(括弧内がショート枠を除いた数字)


7674596790
103(93)132(121)149(133)152(129)
170(148)170(150)183(157)157(135)
160(141)155(148)176(163)

 コロナ期に落ち込んだ数字がいくらか正気を取り戻させてくれたというのは皮肉なもんだな……。

 続いて劇場作品だが、こちら13本で意外にも微減。てっきり劇場商法はもっと加速するかと思っていたのだが、そこまで劇的に数字に変化がなかったのは意外かもしれない。まぁ、単に俺が気づいてないだけで制作・上映されてる作品数は増えてるのかもしれんけど。どうにも最近はアニメ映画単体での興行収益が一極集中の傾向があるよねぇ。せっかくの媒体なんだからもうちょっと多様性を求めたいところなのだが……どうしても予算がかかるし動くまでに時間がかかるのがネックか。一応、これまでの数字の変化は以下の通り。

7→4→6→12→8→6→

9→1715172271913

 なお、毎年のことだが劇場作品については基本的にこのグランプリの選出基準からは外すようにしている。

 

 


○一応ある程度見ていたエントリー作品(アイウエオ順・ショートアニメは【】で表示)

「アークナイツ -黎明前奏-」「RPG不動産」「アイドリッシュセブン Third BEAT!(2期)」「アオアシ」「アキバ冥途戦争」「悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました」「阿波連さんははかれない」「あやかしトライアングル」【ある朝、ダミーヘッドマイクになっていた(略)】「アルスの巨獣」「イジらないで、長瀞さん 2nd Attack」「異世界おじさん」「異世界のんびり農家」「異世界迷宮でハーレムを」「異世界薬局」「痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。2」「ヴィンランド・サガ Season2」「宇崎ちゃんは遊びたいω」「うたわれるもの 二人の白皇」「うちの師匠はしっぽがない」「うる星やつら」「英雄王、武を極めるため転生す」「Extreme Hearts」「エスタブライフ グレートエスケープ」【永久少年 Eternal Boys】「Engage Kiss」「オーバーロード」「大雪海のカイナ」「お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件」「乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です」「お兄ちゃんはおしまい!」「オリエント 淡路島激闘編」「骸骨騎士様、ただいま異世界へお出掛け中」【かぎなど シーズン2】「かぐや様は告らせたい -ウルトラロマンティック-」「陰の実力者になりたくて」「カッコウの許嫁」「彼女、お借りします(第2期)」「神クズアイドル」「可愛いだけじゃない式守さん」「艦これ いつかあの海で」「機動戦士ガンダム 水星の魔女」「CUE!」「吸血鬼すぐ死ぬ2」「境界戦機」「虚構推理 Season2」「金装のヴェルメイユ」【クールドジ男子】「くの一ツバキの胸の内」「久保さんは僕を許さない」「組長娘と世話係」「黒の召喚士」「群青のファンファーレ」「恋は世界征服のあとで」「後宮の烏」「5億年ボタン【公式】」【Call Star -ボクって本当にダメな星?-】「ゴールデンカムイ(第4期)」「コタローは1人暮らし」「このヒーラー、めんどくさい」「古見さんはコミュ症です。(第2期)」「最近雇ったメイドが怪しい」「最後の召喚師 -the Last Summoner-」「サマータイムレンダ」「史上最強の大魔王、村人Aに転生する」「忍の一時」「シャインポスト」「邪神ちゃんドロップキックX」「社畜さんは幼女幽霊に癒されたい」「シャドーハウス 2nd Season」「シュート! Goal to the Future」「シュガーアップル・フェアリーテイル」「処刑少女の生きる道」「ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン(第2期)(第3期)」「新テニスの王子様 U-17 WORLD CUP」「新米錬金術師の店舗経営」「スパイ教室」「SPY×FAMILY」「聖剣伝説 Legend of Mana」「それでも歩は寄せてくる」「盾の勇者の成り上がりSeason2」「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか(第4期)」「ダンス・ダンス・ダンスール」「チェンソーマン」「ちみも」「ツルネ -つながりの一射-」「ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の(略)」「であいもん」「D4DJ All Mix」「デート・ア・ライブ」「てっぺん!!!!!!!!!!!!!!!」「デリシャスパーティプリキュア」「転生王女と天才令嬢の魔法革命」「転生賢者の異世界ライフ」「転生したら剣でした」「Do It Yourself!! どぅー・いっと・ゆあせるふ!」「東京ミュウミュウにゅ〜」「東京リベンジャーズ 聖夜決戦編」「トモダチゲーム」「トモちゃんは女の子!」「TRIGUN STAMPEDE」「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」「とんでもスキルで異世界放浪メシ」「NieR: Automata Ver1.1a」【にじよん あにめーしょん】「人間不信の冒険者たちが世界を救うようです」「農民関連のスキルばっか上げてたら(略)」「ノケモノたちの夜」「BIRDIE WING -Golf Girl’s Story-」「HIGH CARD」「BASTARD!! -暗黒の破壊神-」「はたらく魔王様!!」「Buddy Daddies」「薔薇王の葬列」「パリピ孔明」【ピーターグリルと賢者の時間 Super Extra】「ヒーラー・ガール」「ヒューマンバグ大学」「ビルディバイド -#FFFFFF-」「ヒロインたるもの! 嫌われヒロインと内緒のお仕事」「ひろがるスカイ!プリキュア」「夫婦以上、恋人未満。」「ブッチギレ!」「不徳のギルド」「不滅のあなたへ シーズン2」「ブラック★★ロックシューター DAWN FALL」「BLEACH 千年血戦篇」「プリマドール」「ブルーロック」「文豪ストレイドッグス(第4期)」「便利屋斎藤さん、異世界に行く」「僕のヒーローアカデミア(第5期)」「惑星のさみだれ」「ぼっち・ざ・ろっく!」「ポプテピピック(第2期)」「本好きの下剋上(第3期)」【舞妓さんちのまかないさん】「魔入りました!入間くん(第3シリーズ)」「魔術士オーフェンはぐれ旅 アーバンラマ編」「まちカドまぞく 2丁目」「マヴラヴオルタネイティヴ(第2期)」「魔法使い黎明期」「継母の連れ子が元カノだった」「万聖街」「虫かぶり姫」【名探偵コナン 犯人の犯沢さん】「メイドインアビス 烈日の黄金郷」「メガトン級ムサシ 2nd Season」「もういっぽん!」「もののがたり」「モブサイコ100」【八十亀ちゃんかんさつにっき4さつめ】「ヤマノススメ Next Summit」「勇者、辞めます」「勇者パーティーを追放されたビーストテイマー(略)」「ユーレイデコ」「UniteUp!」「妖怪ウォッチ」「ようこそ実力主義の教室へ 2nd Season」「4人はそれぞれウソをつく」「よふかしのうた」【夜は猫といっしょ】【齢5000年の草食ドラゴン、いわれなき邪竜認定】「弱虫ペダル LIMIT BREAK」「ラブオールプレー」「ラブライブ! スーパースター!!」「ラブライブ!!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会(第2期)」「理系が恋に落ちたので証明してみた」「リコリス・リコイル」「REVENGER」「RWBY 氷雪帝国」【令和のデジキャラット】「恋愛フロップス」「連盟空軍航空魔法音楽隊ルミナスウィッチーズ」「老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます」「咲うアルスノトリア すんっ」


 
 
○今期視聴した劇場アニメ作品(視聴順)

「オッドタクシー イン・ザ・ウッズ」「バブル」「犬王」「ゆるキャン△」「夏へのトンネル、さよならの出口」「君を愛した一人の僕へ」「僕が愛したすべての君へ」「私に天使が舞い降りた! プレシャス・フレンズ」「ぼくらのよあけ」「雨を告げる漂流団地」「かがみの孤城」「金の国 水の国」「すずめの戸締り」

 

 

 





<タイトル部門>
技術賞
‘10「デュラララ!」 ’11「輪るピングドラム」 ‘12「さんかれあ」 ‘13「蒼き鋼のアルペジオ-アルス・ノヴァ-」 ‘14「ピンポン The ANIMATION」 ‘15「ブブキ・ブランキ」 ‘163月のライオン」 ‘17「正解するカド」 ‘18「はねバド!」 ‘19「映像研には手を出すな!」 ‘20GREAT PRETENDER」  ‘21「明日ちゃんのセーラー服」
’22「モブサイコ100 Ⅲ」

 日進月歩なアニメの技術面を讃える部門。毎度の確認だが、この部門はいわゆるCGやらなんやらの純正テクノロジーと、コンテ演出など、クリエイターの技巧をごちゃ混ぜにしているので判断基準がややこしいのである。


 日々進化するCG技術の躍進は毎年比較しやすい要素である。いつも通りに「最強CG専門スタジオ」の名前を拾っていくと、オレンジが繰り出した「TRIGUN STUMPEDE」、ポリピクの「大雪海のカイナ」あたりは安心して見ていられる。最近はこれに海外からの進撃も無視できない状態であり、Yostarの「アークナイツ【黎明前奏】」なども要注目。似たテイストで国内の勢力を探ればバイブリーの製作した「ブラック★★ロックシューター DAWN FALL」あたりも見ておく必要があるだろうし、ゲームデザインをアニメにそのまま落とし込んだような「NieR:Automata Ver1.1a」の精巧な画面を生み出したのは天下のA-1 Picturesである。

 個人的に注目したいのはポリゴン・ピクチュアズがまた新たなデザイン方面で地平を切り拓いた「エスタブライフ グレートエスケープ」。「日本的アニメーションとCGキャラデザインの融合」は常に技術と予算の壁にぶち当たり、それらで圧倒的な差をつける海外資本とは別な生き方を模索しなければいけない分野であるが、こちらの作品のキャラの動かし方、そしてサンジゲンが試みている「D4DJ All Mix」のような表情の付け方は、今後の日本の「キャラ文化」を支える新たな試みの一端と言えるだろう。時代は流れ、さすがにCGアレルギーを患う人の数も減ってきている。このまま、ジャパニメーションの技術革新は進んでいくことだろう。

 どこまでがCG処理と言えるのかは定かじゃないが、アニメで描くことが難しいとされてきたものを技術力でブレイクしたのはCG業界の古豪Production I.G.が繰り出した「アオアシ」。広いフィールドと大人数が同時に動く盤面の制御を必要とするサッカーというスポーツはは本当に手描きアニメ泣かせのジャンルだったわけだが、ついにそれを乗り越える作品が出始めたことで、新たな方法論が作られていることだろう。I.G.は「ハイキュー」などで結果を出し続けながらの進歩なので、大手スタジオがこうしてノウハウを蓄積していくことでさまざまなジャンルのアニメに光明が見える気がする。そういう意味ではMAPPAが挑んだ「チェンソーマン」の作画演出も私は好意的に解釈しており、いろんなジャンル、いろんな技法が受け入れられる土壌が育って欲しいもんだと切に願う。

 スタジオ単位での技術の話ばかりになってしまったが、クリエイター単位で気を吐く作品だって当然元気に作られており、やたらと印象深かったのは「ヤマノススメ Next Summit」の荒ぶり方。ゆる萌えアニメだからとて油断しているととんでもねぇスキルの集大成が突然襲いかかってくることがある。「おにいちゃんはおしまい!」の病的なまでの執拗さにも「アニメを面白くするんだ」という執念が感じられるし、「Do It Yourself!! どぅー・いっと・ゆあせるふ!」のようにオリジナルの存在感を1から築き上げた作品だってある。ジャンルを問わず、まだ見ぬ地平を探求するクリエイターたちの努力は尽きることはない。

 ということで、今期も見事な執念を見せてくれた「モブサイコ100 」を、素直に今年度の技術力の頂点に持ってこよう。多くを説明する必要のない、日本の伝統的な「神作画」にこだわり続ける圧倒的な作画枚数。シンプルなバトルものなので見せ方はテンプレもあるはずだが、そこに甘んじて終わらず、トリッキーなサイキックバトルを演出するが故のエキセントリックな見せ方の探究。個性大爆発と王道の見事なマリアージュ。「アニメ化されて嬉しい!」という根源的な幸福を存分に見せてくれる。そういうアニメばかりになれば日本も平和である。

 

 


努力賞 
 ‘10「世紀末オカルト学院」 ’11「ブラック★ロックシューター」 ‘12TARI TARI」 ‘13「聖闘士星矢Ω」 ‘14「ばらかもん」 ‘15「デュラララ!×2」 ‘16「魔法少女育成計画」 ‘17「魔法使いの嫁」 ‘18「プラネット・ウィズ」 ‘19「キャロル&チューズデイ」 ‘20「とある科学の超電磁砲T」 ‘21「やくならマグカップも 二番窯」
’22「うたわれるもの 二人の白皇」

 数ある部門の中でもダントツでフワッとしてるで賞。もう、「他の部門で選びにくかったやつを拾い上げる場所」って何年か前にCOしてるけどね。

 一応、毎年の傾向として「地味ではあるが質の良い原作ものを評する感じ」という設定があり、例えば直近だと相変わらずの滲み出すようなエグさが味わい深い「ヴィンランドサガ Season2」あたりは代表的なところ。そしてほぼ恒例になってきた「ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン」も当然この枠である。同じくジャンプ漫画で言うなら本当にかっちりと平均値が高くて引き込まれる「僕のヒーローアカデミア」、そして最後までクオリティが落ちそうで落ちなかった「サマータイムレンダ」なんかも、ここぞという評価は難しいが捨て置くのは勿体無い秀作であろう。あとはまぁ、去年もあげたけど「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」。長尺作品、お疲れ様でした。

 ジャンプ系以外では本当に楽しかったのが「もういっぽん!」。女子柔道なんて渋い題材でここまでしっかり入り込ませる結果になるとは正直思ってなかった。さらによりジワジワ染み込んでくるテイストを評するなら「であいもん」なんかもじっくり味わいたい作品だ。アニメってのは特別な刺激を求めて観るものばかりじゃないからね。「曰く言いがたいが嫌いじゃぁないんだぜ」っていう枠だと例えば「うちの師匠はしっぽがない」とか「このヒーラー、めんどくさい」とかもこの枠に放り込んでおこうかしら。見ててホッとする要素を強く求めるようになると、歳をとったことを実感させられます。いや、元からそういうとこあるけどね?

 というわけで、今年度一番長い付き合いになっていた作品の節目として、ここは一つ、「うたわれるもの 二人の白皇」に花を持たせてあげてくださいよ。振り返ってみりゃぁ、この「アニメグランプリ」の企画を始めて2年目、2006年のグランプリ作品が「うたわれ」だったのよねぇ……あれからもう、作品も、製作者も、そして私も、ずいぶん長い旅路を歩んできたものである。君だけの旅路と言いたいところだが、どうにもわたしゃ前進してる気がしないけどね。1つの思い出がしっかりと終わりを迎えることで、新たなステージにも目を向けられるってもんでさぁ。

 

 


ファンタジー賞 
’10「あにゃまる探偵キルミンずぅ」 ‘11「うさぎドロップ」 ’12Fate/Zero」 ‘13「翠星のガルガンティア」 ’14「ログ・ホライズン2」 ‘15GO! プリンセスプリキュア」 ‘16「フリップフラッパーズ」 ‘17「少女終末旅行」 ‘18「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」 ‘19「ドロヘドロ」 ‘20「モンスター娘のお医者さん」 ‘21「シャドーハウス」
’22「ヒーラー・ガール」

 なんとなく「ふぁんたじっく」を評する部門。ちなみに最近知った事実なのだが、「fantasic」っていう英単語は存在しないんですね。辞書を引くと「fantastic」の誤用から和製英語として広まったものらしい。ということは、ファンタジー賞も適当に私が意義を決定しても何も問題ないということである(初めからそう言うとるやろがい)。

 さて、ある程度範囲を狭めた狭義の「ファンタジー」と言って真っ先に浮かぶのはやはりなろう的な剣と魔法のファンタジー世界。これだけのアニメが放送されているのになろう系列に触れないのは流石に健全ではないのでこの部門で処理していきたいが、直近で一番惹かれたなろう系といえば「転生王女と天才令嬢の魔法革命」であろう。ほぼ転生要素を考える必要がなく、純粋に「ファンタジー世界での百合的サムシング」として素直に楽しむことができる佳作。「5000年の草食ドラゴン、いわれなき邪竜認定」は中国アニメとしての存在意義が生まれると言う稀有な例で、広く国際的に愛されている(??)なろう文化の新しい生き様を見た気がします。お約束のチート&マウントも文化が変われば見え方が変わるということを教えてくれたのは「虫かぶり姫」。なろう的なバックグラウンドって、もう本当に「素材」の一部でしかないのかもしれませんね。渋いところでは「魔法使い黎明期」は紆余曲折を経て評価を上げてきた稀有な事例。なろう作品にも「うまい歳の取り方」みたいなものがあるのかもしれません。そして最後のなろうはファンタジーとかけ離れる気がするけど、「影の実力者になりたくて」。むしろ「なろうだけどお仕着せのナーロッパ的ファンタジーじゃないよ」っていう部分が売りだった作品かもね。

 なろうっぽいけどなろうじゃない作品群に幅を広げていくと、例えば「便利屋斎藤さん、異世界に行く」はどんななろうよりもファンタジー世界の無茶苦茶さを奔放に描いてくれた愉快な作品。同じチートにするにしても、ユーモアのセンス1つでここまで見え方が変わる。「後宮の烏」はお国柄を入れ替えた堂々たるチャイニーズ・ファンタジー。アジアンテイストの舞台設定って、何故か不思議な魅力がありますよね。そしてアジアはアジアでもがっつり日本の文化に浸かってしまう「異世界おじさん」。これはもうファンタジーアニメでもなんでもねぇな……。

 結局「どんだけしっかりと細部まで世界を作ってくれるか」っていうのが、ファンタジーだろうがそうじゃなかろうが、一番大事なところなんですよ。そう考えると、問題作には違いないが「不滅のあなたへSeason2」なんかも世界創造の規模で言えば記念碑的作品なのかも。あとはまぁ、「メイドインアビス 黎明の黄金郷」とか。あんなグロエグいファンタジーはいやだけど、そこに目を背けられないくらいにずっしりとした「世界」が横たわっているなら致し方ない。もっとさっくり、手軽なファンタジーが楽しみたい方は「万聖街」とかに逃げるのはいかがでしょう。愉快で痛快で、それでいて可愛い。ファンタジーってそれでいいと思うんです。

 とまぁ、こんだけいろんなところをまわっておいて、最終的にこの部門で選ぶたった1つの答えが「ヒーラー・ガール」ってのはどうかと思うんですが……。たった1つ、「歌が病を癒す」という要素を現実世界に混ぜ込んだだけで、ここまで不可思議で魅力的な世界が立ち上がるものだろうか。ヒーラーがいるんですから、そりゃ立派なファンタジーでしょうよ。たとえそれがガチガチに手術を行っているICUの中だったとしてもさ。たった1つの「非現実」から世界を膨らませ、それがアニメの根幹を無し、最大の魅力を作り上げる。設定の作り方ってのはこうするんだぜ、という見本のような作品。私も何か世界を作るなら、こういう「何気ないはずがとんでもない」という像を描いてみたいものである。

 

 


演技賞 
’10「屍鬼」 ‘11「C3 シーキューブ」 ’12「夏雪ランデブー」 ‘13「戦姫絶唱シンフォギアG」 ’14selector spread WIXOSS」 ‘15「六花の勇者」 ‘16「クズの本懐」 ‘17「メイドインアビス」 ‘18「ハッピーシュガーライフ」 ‘19「荒ぶる季節の乙女どもよ。」 ‘20BEASTARS(第2期)」 ‘21「かげきしょうじょ!!
’22「異世界おじさん」

 声優部門の支店みたいな賞。性癖が滲み出るで賞。

 ただひたすら「声優がいっぱい出てるし贅沢」っていうだけでもそりゃ色々ありますよ。たとえば「うる星やつら」なんかキャストだけでお腹いっぱいになるわけで、あんだけのベテラン勢が真剣にバカなことやってるんだからそれだけで価値がある。無駄遣いをより先鋭化させたのは「吸血鬼すぐ死ぬ2」だろうか。ほんと、ええ声の格好いい人らが全力でふざけ倒す光景はそれだけで楽しい。いや、「ポプテピピック2」のことではなく。

 何もベテラン勢だけでなくても良くて、快進撃を見せた若手の陳列ショーみたいな趣だったのは「くの一ツバキの胸の内」。あんだけの数のキャストを揃え、1つ1つのエピソードを小分けにして成立させてくれたおかげでどのファンからも好印象が得られるというズルい構造。美少女動物園で個々のキャラを見せながら統制取るのはめちゃめちゃ大変そう。若手・進撃・そして歌唱! ってんで見どころ満載だったのは「シャインポスト」。アイドルアニメで新規タイトルが覇権を握るのは難しくなりつつあるが、それでも演者のパワーと制作陣の熱意さえあればなんとかなる気がするよ。これが男性アイドルだと「アイドリッシュセブン Third BEAT!」になるわけだが……。楽しさの本質が異次元の作品であった。保志総一朗こそが永遠の17歳みたいな存在よ。

 演技賞ということで何故か私の頭から離れなかったタイトルが「継母の連れ子が元カノだった」。ごくごく少人数で回すタイプの作品だったのだが、それだけに1つのキャラから発せられるエネルギー量が膨大なものになっている。どうにも不安定で一歩間違えればギャグにすらならないような設定と展開を、ただ平熱で処理しきったメインキャスト陣に改めて拍手。同様に密度の濃いキャラの絡みを見せてくれたのはなんと言っても「ぼっち・ざ・ろっく!」でしょうかね。まぁ、後藤ひとり単体を生み出したというだけでもフランケンシュタイン博士に並ぶ大罪だとは思いますが。そして話題作の並びなら当然「機動戦士ガンダム 水星の魔女」の救いのないキャラクターの数々も並び立つ存在感。「死因 能登麻美子」とかでAIに質問したら死傷者数が出たりしないだろうか。あとはまぁ、声優陣にどれだけ無茶なキャラを押し付けられるかでチキンレースしてた感のある「アキバ冥途戦争」とかね……「現実に出来ない役ができる」。それこそが声優業のいいところ。

 というわけで、単に楽しかった作品の名前をあげていっただけな気もしますが、そんな中でも最高のキャストカロリーを誇り、天国を彩ってくれた「異世界おじさん」を今年の声優名鑑に刻み込みましょう。もう、戸松遥は永遠だし悠木碧も、豊崎愛生も、小松未可子も永遠なんですよ。そして当然、子安もな。

 

 

 


ユーモア賞 
’10「パンティ&ストッキングwithガーターベルト」 ‘11gdgd妖精s」 ’12「しろくまカフェ」 ‘13「マイリトルポニー〜トモダチは魔法〜」 ’14「スペース☆ダンディ(シーズン2)」 ‘15「てさぐれ!部活ものすぴんおふプルプルんシャルムと遊ぼう」 ‘16「ヘボット!」 ‘17「ゲーマーズ!」 ‘18DOUBLE DECKER ダグ&キリル」 ‘19「女子高生の無駄づかい」 ‘20SK-エスケーエイト-」 ‘21「異世界美少女受肉おじさんと」
’22「不徳のギルド」

 もっとも異質であるが故に選考が至難を極める部門。今年度も個性派ラインナップが充実しました。こんな世の中だからこそ、アニメを見て笑わせておくれよ。

 愉快なアニメにも色々とテンションの差というものはある。例えばすでに上の別部門で選出済の「異世界おじさん」のギャグは本当に1ネタで押し切るようなパワープレイだが、配置自体でネタが完成しているという美味しい設定。同じように「出落ちでもう掘り下げようなくね?」って思ってたのに不思議と長続きし、噛めば噛むほど味が出たタイトルだと「阿波連さんははかれない」がある。ゆるい日常系が基本であるはずの「○○さん」系作品の中では異質なほどにキャラを研ぎ澄ませて攻めた作品だ。

 どうにも私はこうして「出落ちじゃね?」とネタの限界を勝手に決めつける傾向にあるらしく、そこをひっくり返して「そんなことないぜ!」とガンガンに攻め立てられるのが気持ちいいらしい。例えば「ちみも」なんて出てきた1話目時点でオチてすらいなかった可能性もあるってのに、いつの間にやらほんわか日常三姉妹コメディをとっとと通り過ぎて、きちんとテーマ通りの「地獄の」作品になっていたのだから見上げたものだ。

 天井知らずのポテンシャルを引き続き叩きつけてくるのは、「吸血鬼すぐ死ぬ2」。なんでかわからないけど、本当に「会う」作品なんだよなぁ。こんなしょうもないギャグのはずなのに……とりあえずアルマジロが丸まってれば全ては解決するってことなのかなぁ。「まちカドまぞく 2丁目」も引き続きとんでもないハイカロリー。終わった後の「もう、桜井弘明作品が浴びられないなんて……」という喪失感が尋常じゃなかった。いや、その後に「令和のデ・ジ・キャラット」があったけどさ。そこはなんかこう、違うじゃん。ショートアニメはショートアニメで破壊力が増す部分もあるんだけどねぇ、「Call Star-ボクは本当にダメな星?-」も変なとこに刺さる珍味みたいなアニメでしたよ。イカレた世界設定に思考が追いつけない感覚がぶっ飛んでたのは「エスタブライフ グレートエスケープ」。どんなヤクでトリップしてたらあんな世界が描けるものかと、むしろ製作陣が心配になってしまうくらいの作品であった。

 他にも「かぐや様は告らせたい -ウルトラロマンティック-」はギャグアニメ枠に混ぜてしまっていいのかとか、「トモちゃんは女の子!」のギャグ部分をピックアップする意味はあるのかとか、色々と葛藤はあったのだが、最終的にこの部門はベスト3に残ってもおかしくない3本が最後まで選考に残った。

 まずは「恋は世界征服のあとで」。好きか嫌いかと聞かれたら本当に大好きな作品で、ただひたすらデス美さんを愛でていたいと思える幸せな作品だったのだが、今作を「ユーモアナンバー1」という評価にするのもなんか違う気がして一応半歩譲る形。そしてもう1本「このヒーラー、めんどくさい」がなんでこんなにツボっちゃったのか本当に分からなくて困っているのだが、アニメとしてのクオリティを考えて泣く泣く第2位のポジションに持っていく決心をした。

 その結果残ったのは、エロも萌えもギャグで飲み込む「不徳のギルド」だったわけである。不徳はなぁ……ついに「地上波修正が入っちゃうそっち系作品」が初めてグランプリで賞を取れるまでになったんですよ。エロかろうがなんだろうが、それ以外の部分の面白さがあれば関係ないんですよ。ビバ不徳、ビバおっぱい。こんなアニメでもいい話がたくさんあるんです! ほんとです! 

 

 


アイディア賞 
’10「魔法少女まどか☆マギカ」 ‘11TIGER&BUNNY」 ’12「戦国コレクション」 ’13「ガンダムビルドファイターズ」 ’14SHIROBAKO」 ‘15「おそ松さん」 ‘16「ユーリ!!! on ICE」 ‘17「アクションヒロインチアフルーツ」 ‘18「ゾンビランドサガ」 ‘19「ダンベル何キロ持てる?」 ‘20「デカダンス」 ‘21Sonny Boy
’22「アキバ冥途戦争」

 「その発想はなかったわ」を評する部門。後世になってからラインナップを確認して「新しかったなぁ」と思えればそれでOKなのだが……改めてカオスな並びになってるなぁ。

 私が歳をとって頭が硬くなったからなのだろうか、最近「その発想はなかったわ」と思う回数が増えてきた気がする。それだけ発想が貧困で伸びにくくなってるってことなのか、それとも純粋に楽しさを多く拾えるようになったのか、それは分からないが、今年も色々と私の想像を超えたものを提供してくれる作品が作られた。

 年度頭にそんな飛び道具として口火を切ったのは「BIRDIE WING -Golf Girl’s Story-」。「女の子にスポーツさせてりゃウケるっていう安易なアニメだろ」って思ってたら(そしてそれは事実なのだろうが)、まさかの「プロゴルファー猿」路線。見る見る異次元へと世界観が崩壊していく様子がとてもとても愉快。バカの考える無茶アニメ、最高じゃないですか。無茶すぎて2期の製作が遅れてしまったことなんて些細な問題よ。同じくスポーツの枠をぶっ壊して魅力に昇華した作品は「ブルーロック」。こちらはアニメとしてのクオリティも高く、いろんなところがエポックメイキング。ベスト3に食い込んでもおかしくないタイトルよ。

 意外なところから新鮮さを覚えてしまったタイトルは「ヒューマンバグ大学」。アニメとしては省エネでおまけ程度のもんだし、シナリオがめっちゃ面白いかと言われたらそうでもないはずなのに、「よく分からんトリビア+生死をかけた理不尽ドラマ」という掛け合わせが不思議とクセになって、いつの間にやら随分楽しみな作品に成り上がっていた。これこそトリビアの泉で言ってた「どうでもいいことの快楽」なのかもしれない。同様にどうでも良さが突き抜けて変な味になった作品には「Call Star -ボクって本当にダメな星?-」がある。あの設定で始めて、まさかあんな風に進んでいくとは思わないじゃん……。


 普段あまり触れない文化は新鮮に感じることが多いが、慣れ親しんでいたはずの「アイドルアニメ」で衝撃を受けた作品は2本あって、1本目は「神クズ☆アイドル」。男性アイドルものなんてすぐ飽きるだろうと思っていたら、絶妙な設定の合わせ方に少しずつ引き込まれていったのは驚いた。逆に女性アイドルものなのに文脈が少年漫画的だったのが「シャインポスト」。アイドルのイデアは今後も日本のアニメの中で追究され続けるのだろうなぁ。ちなみにアイドルからは多少はみ出るが「連盟空軍航空魔法音楽隊ルミナスウィッチーズ」も新鮮といえば新鮮。手持ちの材料をうまいこと料理して新しいメニューに仕立ててくれた好例ではなかろうか。

 最後まで選出で悩んだタイトルは「便利屋斎藤さん、異世界に行く」。親の顔より見たなろう設定をそこまで大きく動かさずにきちんと違う軸に移し替えられたのは、「ちょっとしたこと」ではあるけど効果は大きい。まぁ、むしろ一昔前の「真っ当なファンタジー」の亜流なのかもしれないが……アニメの数が多いからこそ、均して同じになるんじゃなく、その差が際立つデザインが光るといいね。

 というわけで、今回選ぶのは光るもなにも、他に比較するものが存在しない混沌のアニメ、「アキバ冥途戦争」である。これを「お仕事アニメ」で括るな。まぁ、発想の起点の「メイド+任侠」っていう組み合わせはそこまでおかしな発想だとも思わんのだけど(?)、そこから安易に「じゃぁ任侠パロ適当に流しとけばいいや」ではなく、メイドものとしても任侠ものとしてもイカれてる方向に常に全力で走り続ける覚悟は本当のバカにしかなしえない偉業。あまりにも偉業が異形すぎるもんで、視聴後に感想を落とそうと思っても何を言っていいかよく分からないというのがカオスの極みである。とりあえず視聴中はそのどうしようもない世界に浸り切るしかないのだ。覚悟を決めろ、それがアイディアの新たな地平だ。

 

 


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プロフィール
HN:
Thraxi
性別:
男性
趣味:
声優のこと全般
自己紹介:
関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子
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↑越えられない壁
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