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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 成った……第10話。これがバンド、これがバンドリ。

 「バンドが出来たな」って思えるこの瞬間、ビビッとくるものがある。これがあのきらきらぼしのアニメと地続きの世界ってのが信じられないくらいに、心と心の物語がある。彩度も細度も桁違い、そんな「バンド結成」の物語を目の当たりにした。見せつけられた。結局、「バンドもの」の一番の良さって、こうしてバラバラの個性がぶつかり合って、1つの完成形を生み出すところなのだよな。今作はそれを担当したのがよりにもよって「迷子」の連中ばかり……たっぷり10話もかかったけど、そのゴールはこれまでになく堅牢なものとなった。

 バンドの絆なんて都合のいい言葉を使っても、結局は個人、別人、赤の他人。みんな考えてることなんて違って当然。それを擦り合わせていく過程でギスギスも生まれるだろうよ。今回のお話は本当にご都合主義で、ラッキーの塊みたいなもの。それでも、5人が5人とも自分の心に嘘をつかずに辿り着けたその幸運を噛み締めるのに恥ずかしいことのあるものか。

 今回の立役者、要楽奈にとってのバンドは「おもしれー」だ。最初から最後まで1ミリたりともブレることのない最強の女。そんな楽奈を動かすのはただひたすらにセンスのみ。「つまんねー女の子」に成り下がってしまった燈は、自力で悩み抜き、苦しみ抜いた先の大きな勇気の果てに、再び楽奈の「おもしれー」へと返り咲いた。燈をもっと「おもしれー」にするためには、楽奈も労を惜しまない。こないだのゴタゴタで燈周りの人間関係はおよそ把握していたのだろう。あとは野生の嗅覚で持って、必要なパーツをステージ上に集めてくるだけ。おもしれー燈がいれば、そんなことは容易いのである。楽奈は「おもしれー」バンドを手に入れた。

 椎名立希にとってのバンドは「燈」だ。彼女が喜んだからバンドを始めた。彼女をステージに立たせるために何とかバンドを続けようとした。それがダメで、自分のせいで燈がついに崩れて、立希は自責に追われながらも何も出来ずにいた。しかし、立希の希望である燈は、彼女の想像以上に強い「歌い手」だった。想像の埒外の行動に出た燈。立希はそんな彼女の言動についていけない自分を認めたくなくて、みないふりをしていたが、楽奈に無理やり引き摺り込まれ、自分が隣に立っていいと認められたおかげで、再びスティックを握ることができた。そよが何を考えているのか、睦が何を思っているのか。立希はまだ何もわかっていない。それでも今は、燈がステージに立っている。自らの意志でそこに残り続けている。自分のこれまでの行動が、そんな燈にちょっとの勇気を与えられたのだと、立希は自分を認めてあげることができただろうか。

 千早愛音にとってのバンドは「見栄」だった。みんながやってるなら自分もやらなきゃ。ステージの上で目立てる方法は手っ取り早くバンドだろう。そんな浅はかな考えが散々に打ち砕かれ、「でも、自分で結成したバンドなんだから自分が必要である」という最後の望みすら、前回の顛末で儚く散った。もう燈との繋がりは何もない。そう思っていた愛音。そんな彼女の打算の果てのバンド活動を塗り替えるには、ただ1つ、それが見栄でも嘘でもなく、本当に「愛音の生き方」であると示してやる必要があった。なに、難しく考える必要はない。ただ愛音が必要だと、そう彼女に伝えてやればいい。誤魔化しじゃなく、誰かの代わりじゃなく、そこに愛音が立っていてほしいと。そう言って手を引かれるのが、彼女にとって何よりも救いだったのだ。燈が繋いだ関係性は、今や愛音にとっての「本当」になり、自分以外の他者のために、彼女はステージに立つ理由を得た。

 長崎そよにとってのバンドは「CRYCHIC」だった。自分の人生を変えてくれたあのバンド、祥子・睦・燈・立希の立つステージだけが彼女の目的だった。その可能性がゼロであると祥子に叩きつけられ、そよがバンドをやる理由は何一つなくなったはず。バンドをやらないのなら、今までお為ごかしで作り上げた関係性も必要ない。そう考えたからこそ全てをぶっ壊し、終わらせようとした。他のメンバーに悪意を持っていたわけではない。自分はもう終わったのだから、そこにこだわり続ける人間がいては、互いに不幸にしかないからだ。そんなそよの諦観をぶち壊すのは難しかったが、ここはもうパワープレイで行くしかない。そう、「CRYCHIC以上」を作り出すしかないのだ。新しく賭ける価値のあるものを、そよを加えた5人で作れることを示すしかないのだ。今ここに全ては揃った。あの愛音が全てをリセットして見せたのだ。それなら自分だって、今ここ清算してみせなければ、なんとも格好悪いではないか。「自分のことばかり」だったそよが、ついに他人に手を引かれ、他人のためにベースを取った。

 バンドの主役は誰だろう。ボーカルが主役か、それとも「メンバー全員が主役」なんて綺麗事がまかり通るか。それは個々のバンドによっても違うのだろうが、まだまだメンバー全員が迷っている5人の中で、そこに道標を与えるにはやはり真っ直ぐに目指せる目標が必要になる。それは夢と言ってもいいし、野望と言ってもいい。とにかく、バラバラの方向を向いている勝手で最悪なメンバーが、思わず同じ方向を向いてしまうような、強烈な光が要る。高松燈にとって、バンドは「詩」になった。なぜバンドを始めたのか、CRYCHICの悲しい経験があったのに、何故自分は再びマイクの前に立ったのか。彼女の詩は目的ではなく手段だ。彼女の歌はゴールではなく道程だ。答えが見えず、分からないからこそ、みんなで探す必要がある。その先を見たいからこそ、1つのものを作り上げるために躍起になれる。燈の詩にはそれだけの力があったのだ。

 見たい未来が、この先にあった。だから、バンドが成った。

 

 

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