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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 爽やかに、そしてちょっと切なく、大団円だよ、最終話。これが見たかった。ここまで見られた、それだけでありがとう。

 最終10区の戦いを描いたラストシーン。もう、残されたものはほとんどないのだ。ただ見たいものだけを見せてくれる「仕上げの一歩」としての最終回。もちろん、ハイジの走りにつながったのはカケルという大きな存在があってこそ。彼の走りに光を見たハイジが立ち上がったからこそ、寛政大はここまでたどり着くことができたのだから。結果としても藤岡を打ち破る大金星を勝ち取り、カケルはこれ以上ない結果を残した。未来を象徴し、来年以降のメンバーを支えていく、それがカケルなのだ。

 そして、そんなカケルの姿を眩しそうに見ていたハイジの最後の走り。彼の「最後」にはいくつかの意味がある。今年の駅伝はこれで終わり。第10区の走者なのだから当たり前だが、彼の走りで幕を閉じるのは4年生の面々全員でもある。シード権が取れても取れなくても、来年はいないメンバーにとって、ハイジのラストランは人生最後の「駅伝」の締めくくりだった。そして東体大にとっても、彼の走りは終わりを告げる存在となった。誰も不誠実な者などいない。参加者全員がそれぞれに全力でぶつかったのだ。それでも勝負事には結果が付いて回る。何もかもをなげうった覚悟の勝利、ハイジはシード権を勝ち取り、東体大は敗れた。数字に残るその結果は、それぞれにどんな意味をもたらしたのだろうか。

 そして、ゴール間際で訪れた、彼の「最後」。その意味に気がついたのは、この時点では本人とカケルだけ。これまでのつながりがあればこそ、カケルにはハイジの表情の意味も全てがわかった。あまりにも無情なその「音」の意味、あまりにも容赦ないその表情の訳を。それでも、ハイジの顔には一切の後悔はない。ここまでチームを引っ張り、約束通りの景色を皆に届けた。ハイジの走りは、ここでついに完成を見たのである。なんの後悔があるものか。

 それぞれにつないだたすきは、次の年へと続いていく。それぞれの人生が、そしてそれぞれの駅伝が続いていく。まだまだ若い彼らにはたくさんの困難が待っていることだろう。それでも、たすきをつないだ仲間の存在があり、たすきをつないだ自分の力がある。どんなに風が強くても、そこに向かって突き抜ける信念に、偽りはないのだ。走ることの、意味があるのだ。

 

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 風が、吹いているなぁ、第22話。そういえばここまでタイトルのことを考える機会ってあんまりなかったな。本当はもっと色々と意味があったんだろうけど、今回はダイレクトにカケルに、風。追い風向かい風、色々あるよ。

 Aパートはキングのターン。ここまで、ぶっちゃけメンバーの中でも一番影が薄く、キャラも捉えどころがなかったキング。しかし、ここにきて自らの内面と対話する段にいたり、彼が何故こんなにも地味で、わかりにくく、そして寂しかったのかが浮かび上がる。「大学四年間」と言っても人それぞれ、色々な過ごし方があるだろう。それこそ本当に充実した「学生」だった人もいるだろうし、ああすればよかったと後悔する人間もいる。思えば長い人生のたった4年間、大した長さでも無いのだが、それでも高校生までの型にはまった生活から脱却した初めての「社会」は、色々なことを教えてくれるし、色々なことで悩みもする。

 正直、キングの懊悩はなんだかわかる気がする。「大学生活にはきっと何か特別なものがあるはずだ」という漠然とした期待は、おそらく社会が作り上げた幻想。そこになんの根拠もないし、待っていて降ってくるキャンパスライフなんてものは高が知れている。それに気づいた時には手遅れなんてパターンも多く、キングはそれを理解した時には、すでにすっかり自分の殻が出来上がってしまっていた。別に目に見えて引きこもってたわけじゃない。人並みの付き合い、人並みの単位、人並みの就職活動。与えられたレールには従ったはず。しかし、そんな生活は自分が望んでやっていたわけじゃない。でも、それを他人にバカにされるのも腹が立つ。どうしようもないプライドと、どうしようもない焦燥感。そんなものに挟まれた日常に、背中はどうしても丸まってしまう。

 キングとハイジの関係性もなんだか妙なもんだ。キングの「俺は一番の親友じゃないだろう」というなんとも物寂しい独白は、自分から何かを成そうとしない者特有の諦め。知り合いはいる、友達もいる。でも特別な親友はいない。そんな現実を気にしてないそぶりをすることで、ますます視界は狭くなっていく。ただ一心に一つの目標に向かっていけるハイジなんて、キングからしたら最も羨ましく、最も忌むべきものだったのだろう。それでも、今となってはそのハイジの差し伸べてくれた手が、どれだけかけがえのないものなのかがわかる。最初に出会った時にはそっと触れることしかできなかったその手は、今や自分を「あるべき場所」に引き上げてくれる。きっと今なら、グッとその手を握り返すことができるに違いない。「走ることで自分と向き合う」なんて言葉はなんとも陳腐だが、キングの場合、ハイジに映る自分をみて、ようやくそこに「本当」を見つけられたのだ。こうしてみると、「特別になりたい物語」ってのは、日常のそこかしこに潜んでいるものなのだろう。

 そうしてキングがつないだたすきが、いよいよカケルに渡る。もう、ここからは何もいらないだろう。キングの必死の激走からたすきが渡った時の、明らかに「次元が変わった」ことがわかる疾風のような走り。それをみた王子は素直に「嫌になりますね」といつも通りの憎まれ口。それくらいに、カケルの走りはここにきて研ぎ澄まされた。前を走る藤岡がライバルとして機能しているからか。否、前に見えているのは自分の背中。過去に走ってきたどの自分よりも、今のカケルは速く走れる。そこには自分がいて、仲間がいて。努力では埋められない才能というものがあるなら、それは「努力した才能」だけなのだ。

 風が、強く吹いている。

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 それぞれの戦い、第21話。節目を迎える大学4年生、人生は泣いても笑っても、変化を続けていくのだ。今回のメインはユキとニコチャン。チームでも年長の2人のここまで道行きは、随分対照的なものだった。

 ユキは走るのが嫌いな男だった。王子と違って産まれながらの能力には恵まれ、その理知的な洞察力でもって、おそらくこれまで文武に渡りやろうと思ったことはそつなくこなせるタイプだったのだろう。自分は強い、自分は優れているということをこれまでの人生でしっかりと認識し、それをフル活用しながら生きてきたはずだ。しかし人生はそれだけで全てうまく行くわけでもなく、決して嫌いではなかったはずの家族との軋轢により、彼の大学生活は決して望んだ形ばかりではない。親元を離れて転がり込んだアオタケで、そこそこ理想的に、そこそこ自堕落に、なんだか淀んだ中での4年間だったのではなかろうか。

 そこに風穴をあけたのがハイジやニコチャンだった。必死の抵抗も虚しく少しずつ走ることを強制されていった日々。自分と同じようにそつなく賢い人生を送っていると思っていたニコチャンが少しずつ走ることに取り込まれていく中、結局走るのが楽しいなんてことは特に感じず、気づけばハイジに大役を任されこんな位置に。「そこそこできる自分」の姿に満足はしていたが、それでも前日の神童の姿を見せられれば、自分はやはり無力で、弱い存在なのだという事実を叩きつけられたかのよう。負けのない自分の人生に、そこで終わるという選択しかないのはどこか癪だったのではないだろうか。やるからにはちゃんと周りを黙らせる結果を出す。自分の強さを見せてやる、そんな走りが、ユキのモチベーションになったはずだ。そしてくだりの6区。予想以上のスピードと、それをコントロールしきる胆力を併せ持ったユキはやはり強かった。その強さは存分に周りにも知らしめることができたし、チームの順位を大きく上げて貢献。文句のない結果だ。しかし、ユキが見ていたのは全く別な景色。カケルが試合で見ているであろう「美しい世界」。どこまでいっても自分には届かない、最高速度の世界。負けを認め、卒業を認め、ユキは改めて、次のステップへと進むことができる。きっと、今回の経験で垣間見えた「美しい世界」を探しながらの人生になるのだろう。

 たすきを受けたニコチャンは、走るのが好きな男だった。高校時代まではそれなりに走れていたはずだが、成長期を超え、自分の体格というどうしようもない要素によって走る道を絶たれてしまった遣る瀬無い過去。他の道を探すなり、長距離にしがみつくなり、覚悟を決めた生き方はいくつもあるだろうが、ほとんどの人間は、やっぱりそこまで強くはないのだ。別にいいやと匙を投げ、妥協した人生の象徴たるタバコをくわえる日々。別にそれでも、大学生活は問題なく続いていく。

 しかし、やはりそこに現れたのはハイジだった。自分は弱いと目を伏せるハイジだったが、故障を乗り越え、逆境の中でも湧き上がる闘志を抑えられない彼の姿を見て、ニコチャンは過去の弱い自分を見せつけられるような気持ちになったのだろう。根底にある「好き」は変わらない。だからこそハイジに感化され、少しずつ走り始めることになったのだ。できることには限界もある。それでも、好きならば続けていけることもある。そんな自分の気持ちがハイジの役に立ったのだから、この1年間は決して無駄ではなかった。

 ニコチャンも、これを最後に走ることをやめようという気持ちはユキと一緒だ。今の自分の実力では続けていく意味は薄いこともわかっている。人生の節目で一つの理想を成し遂げたことで、ニコチャンは思い残すことなく、次の夢へと渡っていくことができるのだろう。彼にとっての「美しい世界」は、思い出の中でも色褪せないものになったはずだ。

 2人の男が結果を出した。残されたのは8、9、10区だけだ。そしてこの8区には、まだキングという曲者が残っていたりするのだ。彼のドラマはどんなものになるのか、と思ったら……なんとまぁ、同区の走者にあの榊がいようとは……。キングはキングで、苦しい戦いになりそうだなぁ……。そしてカケルの前に立ちはだかる藤岡。こちらもバチバチの頂上決戦が見られるだろう。待った無しのクライマックスだ。

 

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 言葉もない、第20話。ひたすらに涙、涙のお話である。こうして示される強さ、そして走るということ。もう、この1話だけでも作品の全てが詰まっていると言っても過言ではないだろう。

 神童の力走に対する残りのメンバーの姿勢が、それぞれの思いを表している。個人的に一番強かったな、と思うのはユキである。おそらく一番辛かったのは彼だったろう。目の前にあんな様子の神童をずっと置いて、それでも黙って送り出さなければいけない状況。何度も何度も、神童の手を取って「やっぱりやめよう」と言いたい衝動に駆られたはずだ。ユキだけの判断だったならば、「何もそんな無茶までして走る必要なんてないだろう」と合理的に判断して止めていたかもしれない。しかし、残りの8人の顔がよぎればこそ、神童を止めることなどできなかった。そして何より、目の前の男が一番走りたいと願い、その強い想いを邪魔することなどできないことを理解していたのだ。神童の強さの裏に隠れた、ユキの強さにも賞賛を送りたい。もちろん、朝の段階で神童のことがわかっていたメンバーは全員が同じ気持ちを抱えていたであろうことも。一番仲のいいムサなんて本当に大変だっただろうに。

 そしてこのタイミングで明かされるハイジの胸中。まぁ、今となっては始まりがなんだったかなんて些細な問題だ。すでに全員が走り始めた後であり、そのことを後悔している者など誰もいない。あとは、結果を出すだけだ。

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 王子頑張ったよ……第19話。もう、それだけで何もいらない。

 今回は1区2区3区。ただひたすら駅伝で走る選手を写している画面が続いているのに、一切緩むことなくドラマが紡がれる30分。単に勝負をしているわけではない。それぞれが何故走るのか、どこに向かって走るのか。そこにドラマがあるのだなぁ。

 王子の走りは、誰もが「できるだけ周りから離されないこと」を目標だと考えている。当たり前だ。これまでの王子の実力を見れば、完走するだけでも儲けもの。順位だのタイムだの、そんなことを気にするレベルには無いはずだった。しかし、これもレースの運なのか、1区は例年よりもスローペースで勝負が進み、王子もギリギリ集団に食らいつくことができた。気づけば最後にはフォームもぐちゃぐちゃになり、他校が勝負をかけた時にはさすがに着いていけなかった。しかし、そんな絶望的な光景を見ても、王子は走るのをやめなかった。いつも通りに悪態をつき、ただひたすら好きな漫画のことを考えて走る。それが彼なりのモチベーション維持法、これまで1年近くもの苦行を支えてきた心の支え。しかし、いつしか彼にとって仲間たちが力に変わっていた。王子に気を遣うハイジも、中継所で待つムサも、王子の一歩をしっかりと支えている。ただ走るだけなんて馬鹿げた行為に、王子は無情の喜びと達成感を得る。彼の人生に、かけがえのないものが芽生えたことの証である。ラストには滅多に見せない笑みを浮かべながらの完走。走りきった王子の精根尽き果てた表情は、疲労の中にもこの上ない達成感に満ちていた。

 そんな王子の走りを受けて、「エース」ムサが激走を見せた。やはり元々の素養があったのだろう。仲間の走りに刺激されて普段は穏やかな走りを維持していたムサのリミッターが外れる。彼の脳裏には病身の神童の姿もあったのだろう。背負った役割を全うし、ムサは最高の結果を叩き出した。周りの評価も、似たような姿の同郷人の活躍も関係ない。ムサは、ムサにしかできないことを成し遂げたのだ。

 そしてジョータへと襷が渡る。王子の激走、そしてムサの快挙。お調子者のジョータにとって、こんなにもテンションの上がる出番もなかろう。しかし、意外にも彼の心中は穏やかなもので、そこには直前のキングとの対話も関係していた。来年もまた走れるのかどうか。それを考えた時に、ジョータはどうしても弟のことを考えてしまう。これまで全く同じだと思われていた双子。しかし、そこには本人たちにしか分からない歴然とした差があったという。走ることで見つけたそれぞれの道。兄はここで、弟の背中を叩くためにせめてもの花道を飾る……

 だけかと思ったんだけどね! 来ちゃったね! ハナちゃん来ちゃったね! 彼女は果たして何を考えていたのか。そして、それを襷と一緒に託しちゃったお兄ちゃん。次の弟は、一体何を考えて走ったらいいのやら。そしてさらに、レースは山道へと続いていくことになる。次回のサブタイトルは「壊れても」。神童さん……。

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 神童さん?! 神童さん??!! 第18話! えぇ……まさかここまできてそんな……神は何故、試練を与えたもうのか。

 本番までのラストスパートを一気に展開。おそらく原作では色々あるんだろうなぁ、と思わせる日々の描写を、サイレントも交えてサクサクと展開していく演出になっている。あと何話あるのかは定かでないが、このあたりの日常パートを手短にまとめたということは、本番となる箱根の戦いをじっくり描いてくれるということなのだろう。もちろん、最近何かと多くなっているジェットコースター作品のような忙しなさがあるわけでもないし、はしょられたことによる物足りなさを感じるわけでもない。きちんと幕間のあれこれを想像できるようにシーンを切り取りながら、少しずつ本番へと加速していく緊張感が描かれている。

 ある程度筆を割かれたのは藤岡との対話シーン。実際に話をしたのはカケルとムサだが、藤岡の目的はあくまでハイジ。彼の足のことを心配したというのもあるだろうが、節目となる大学最後の戦いを前に、旧友と最後の誓いをかわしに来たのだろう。そのタイミングで出てこないあたりにハイジのしたたかさというか、底を見せない怪しさみたいなものもあるのだが……ちゃんと本番前のシティマラソンにも参加していたし、足の方はそこまで重篤ではないということでしょうかね。ついでに藤岡の旦那がムサに対する心無い中傷をさりげなくフォローしてくれるなんて展開もあったが、「黒人選手だから」みたいな揶揄についての問題って、原作だとどれくらい取り上げられていたんでしょうね。まぁ、これもあるあるというか、やっぱり日本人目線からだとどうしても感じてしまう印象ではあるのだが……別に何も反則やってるわけでもないのに「ズルいこと」みたいに言われるのはおかしいに違いないんだよな。ムサは大人だからそのあたりには慣れてて何処吹く風ですけどね。

 そのほかにも、双子とハナちゃんの関係性や、カケルの過去をめぐるスキャンダルなどの問題が手短に処理されていく。結局ハナちゃんはどっちにどういう感情を持ってるんでしょう。例のゴシップ記者の問題は、尺に余裕があれば多分1話分くらい使って胸糞悪い話を展開する選択もあったんだろうけど、この後に及んでカケルをこれ以上いじめてもしょうがないので、ゴシップ記者は思わせぶりに出てきた割にはあっさり終了(監督偉い)。まぁ、カケルの成長についてはこれまでたっぷり扱ってきた部分なので、ここにきて大きな問題にならずともあまり違和感はない。記事を読んだ榊くんが何を思ったかは気になるところではあるけどね。いっそ榊がカケルと同じ9区の走者になってたら笑うんだが、彼の実力だと流石にそれは無いのかしら。

 そうして諸問題を片付け、年の瀬、年明けと展開していく竹青荘。クリスマスパーティーのシーン、珍しく神童が酔っ払ってニコちゃんに絡んでた時に何を言ってたのかがすげぇ気になるんだけど、それ以外のカットはセリフが無いのにだいたい何言ってるかわかるのが面白い。双子にエロ話してあげるユキさんのドヤ顔好き。双子は結局この1年間は童貞を貫いてるんでしょうかね。遊んでる暇もなかったから多分そうなんでしょうね。さらには初詣、お正月と続き、いよいよ時間は1月2日を回る。少しずつ消えていく部屋の明かり、誰もいない廊下を写すカットでは、誰の顔も見えないのにそれぞれの部屋で布団に入っているメンバーの様子が勝手に想像できてしまうのがニクらしいところだ。ニラさん、静かにな。

 そしていよいよ区間の発表、エントリーから出陣へ。それぞれの区間担当については大体予想通りかとは思うが、1区2区がサプライズだったとのこと。特に1区の王子はなぁ……いや、確かにあの大舞台で悪態つきながら平然としてられるのが王子の強みなのは間違い無いのかも。ペース配分が難しそうな荒れる序盤戦、他人のペースを一切気にせず走れるなら大したものだ。あとは6区を任されたユキにプレッシャーがかかるくらいですかね。最大の見せ場となる9区、10区のクライマックスが今から楽しみ。

 楽しみなのだが……神童さん……あれって、試合当日の朝の様子だよね……大丈夫なのかな……ここにきて榊の呪いが現実のものに……どうなるの? どうなっちゃうの?

 

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 榊さん有能すぎひん? 第17話。もう、あいつがいてくれるおかげで寛政大学はなんとかやっていけてる。運命の赤い糸でつながれたクソ迷惑キャラが、実はチームをまとめる最大の功労者である。いささか便利すぎる気がするんですがね。

 前回までが感動の予選会だったので、今回は本戦との間に挟まる「溜め」回といった風情。ここにきて突然双子が造反するのはちょっと取ってつけた感があるのだが、それだけモチベーションの維持ってのは大変だってことなんだろう。おそらく狙いとしては「予選を通った」ことでもうすでに1つの目的を達成し、チームの中で生まれかねない中だるみをよりサイズのでかい「反乱」で緩和しようという(シナリオ要請上の)必要性。あまりに大きな目標を達成してしまうと、人はどうしたって気が緩むものだ。今回もし双子があんな大げさな造反に出ていなかったら、10人のメンバーのうちどれくらいが「まぁ、ここまででも満足だ」と思っていただろう。みんな精神的な成長は大きいはずだが、それでもキングあたりは割と満足してだらけてしまいそうな印象もある。

 そうした中だるみが起こるのを(結果的に)未然に防いだのが、今回の双子の造反であろう。彼らは最初に加入してからというもの、ほとんどハイジの言葉を鵜呑みにしてしたがってきた。なぜ今になって、という印象はあるものの、彼らの持ってしまった疑念は、実は残りのメンバーにも芽生えるべきものだった。ユキとニコちゃんの年寄りコンビに至っては、すでに加入時にその辺りの懊悩も織り込み済みで加わっていた感がある。「頑張ると言っても、明確にゴールがある目標なのか」と。「出ることが目的でなく、取れもしないトップを目指すというのはおかしくないか」と。カケルやハイジのように根っから「走る」ことを目的にしている人間は問題ないだろうが、それ以外の面々のように「他人から言われて」嫌々走り出した人間にとって、この微妙なニュアンスの差は案外重要である。アホな双子はこれまで一切そうした疑念を抱かなかったからこそ、たまたまこのタイミングで壁にぶつかってしまったのだろう。

 最終的には榊の一押しによって元鞘(?)には戻ったが、双子を引き寄せた最大の要因は、結局10人の誰もが双子と同じような悩みを抱えていたという共感なのではなかろうか。ハイジは繰り返し「俺も探している最中だ」と言っていたし、それよりも駅伝に接してきた時間が短い他の面々に答えなどわかるわけもない。それでも一度決めたからには走りたいという純粋な目的意識は、今回それぞれの表情に伺える頼もしいものである。ニコちゃん、ユキについては完全にその辺りをクリアしている。神童・ムサは元来親切な人間なので「付き合い」だけでも文句はないだろうが、すでにこれまでの練習で様々な喜びを知ることができただろう。王子に至っては「今更何言ってんだ?」ってなもんである。キングは……分からん。多分、ここまで費やしてきたものを考えたら最大効率を得たいっていう欲求があるんじゃないかな。

 最終的には敏腕マネージャー・ハナちゃんの鶴の一声でがつんと双子をねじ伏せて万事解決。本当に可愛いし有能すぎるマネージャーである。双子との関係性に何か不穏なものは感じられるが、ここは素直に感謝しておこう。あとはただ、それぞれの役割をまっとうするだけ。そんなタイミングで、ハイジの足なぁ……大丈夫だよなぁ……。

 

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 ボロボロ泣かされる……いいアニメだわ……第16話。なんで俺、ただ大学生が走ってるの観てこんなに感極まってんだろう。正月の駅伝なんてまともに見たことないくせに。

 分かってんねん、予選会通過できることくらい知ってんねん。だってまだ16話だし。このタイミングで予選会なんだから本戦に行けるに決まってるし。青春小説なんだからそこまで行くことなんて1話の時点からおよそ分かってるし。でもさ、これだけの熱量のある映像でドラマ展開見せられたら、やっぱり泣くよ。本当に頑張ってんだもん。格好いいんだもん。今まで捧げてきた時間が全て帰ってくる運命の時に、その全てを甘受できるありがたさよ。

 何度も何度も書いている気がするが、やはり今作の「走り」の見せ方は図抜けている。それが最大の見せ場になる作品なのだから当然といえば当然なのだが、これほどまでに難しいアニメの題材というのもなかなかないだろう。Production I.Gといえば「ハイキュー」などのスポーツアニメで見事な作劇を見せてくれるスタジオという印象があるが、ボールやネットもなく、対戦相手も攻撃も守備もない。ただ「人間が走る」というそのストイックな映像に、どれだけの情感を乗せることができるものか。今回は特にカケルの「速さ」の演出が見事で、最初に現れた現象は以前も起こった「光の渦に引きずり込まれる」という演出。向かう先に光が見えるなんて話はランナーズハイの表現としては割とよくあるのでそれはまだ理解できる部分。しかし今作の「走り」はそれだけでは終わらず、例えばカケルの走りによって左右に吹き飛ぶ雨や汗の飛沫を大胆な構図で見せることで恐ろしいスピード感を表現したり、折り返し後、すれ違ったチームメイトの目から見たカケルを描くことで、その速さを様々な側面から切り取っていく。ハイジにとっての「理想の走り」であるカケル。そして他のメンバーからは「人知を超えた憧れ」であるカケル。双子たちとすれ違った際のカケルの速さは、まさに神速。アニメだからこそ描くことができる、超現実の光景である。

 他のシーンに関しても、決して10人のメンバーがなおざりになっていない。個人的に感じ入ってしまうのは普段スカしているユキのみっともなく崩れた必死の形相だろうか。周りの連中にも突っ込まれていたが、やはり彼も随分変わったものだ。そして、何と言っても王子の活躍。どれだけ情けなくても、どれだけ無様でも、憎まれ口を叩きながら前に進み続ける王子の顔のなんと美しいことか。あそこで希望的なこと、無責任なことを言うのではなく、ポロリと皮肉をもらすあたりが王子の強いところだ。

 個人的には「走る」という行為を描いたアニメのシーンとしては最高峰と言ってしまっていいとすら思える今回のお話。コンテ担当の仲澤慎太郎氏という名前はあまり見覚えが無かったのだが、ジブリで制作進行を経た後にI.G関係の仕事を多く担当しているようである(それこそ「ハイキュー」、そして「ボールルームへようこそ」など)。今回は作監の数も多くてかなり力の入った話数だったことが伺えるが、まだまだこういった見応えのある映像を作ってくれるクリエイターさんというのは世にたくさんいるのだろう。ありがたい話である。

 これだけの感動をもらったのだから、今回はすんなり終わっておけばいいとも思うのだが……。ハイジの足に違和感、そして気づいてしまった双子、不穏な流れ。多分、双子たちだって今まで全然知らなかったというわけではないのだろう。しかし今回改めて、全身全霊でもって「タイム」という結果を気にして、それがはっきりした数字で見せつけられてしまったため、意識せざるを得なくなってしまったのだ。残りわずかな練習期間、果たして彼らのモチベーションは維持されるのか……。

 

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 ハナちゃんかわええなぁ! 第15話! 今作で唯一にして最高の女の子。こんなヒロインがいたらそりゃみんなして頑張ろうって気にもなるよな! 今回はやたらとあのシーンの作画も気合入ってたし。

 クライマックスへの高まりを着実に感じるお話。やれることは全てやりきり、あとは予選会を残すのみとなった面々。人事を尽くしたとはいえ、自分たちが決して飛び抜けたチームではないことも知っている面々。期待もあるが、やはり不安が大きいのは仕方ないところだろう。それでも、今となっては誰一人として「駄目で元々」なんてことは言わなくなった。双子のように「優勝!」なんて大きなことも言えないが、それでも、努力の量は自分たちが一番知っているのだ。せっかくの練習が無駄にならないよう、どうせなら「参加することに」ではなくて結果も伴ってほしいと、誰もが切実に願っているのだ。

 本番の会場を下見した帰り道、珍しくハイジがカケルに対してちょっと弱音めいた感情を吐露した。充分な練習をしたとはいえ、世の中にはもっとずっとハードな練習をしている連中だってたくさんいる。それこそ、カケルの高校時代はもっともっとスパルタで、しんどい練習をしたからこそ今のカケルがあるのは事実だろう。そうして無理にでも走らせて、やれることをやり切った方がよかったのか。メンバーの心情を優先するより、機能と効率を求めた方がよかったのか。すでに残された時間が少なくなったからこそ、そんな思いが脳裏をよぎるのはどうしたって仕方ない。しかし、ハイジの選択は正しかったのだと、カケルは考えている。彼のことだ、きっとその言葉は気遣いなどではなく本心だろう。少なくとも、カケル自身はそうしたハイジの指導方針があったからこそ救われたのだ。今の10人があるのは間違いなくハイジのおかげ。そう考えれば、やはりここまでの道のりは最善のものだったと信じられる。

 あとは無理やり詰め込めるものもない。ハイジの指導も、よりメンタルやコンディションについての現実的なものに集中した。補欠のいないアオタケ組の場合、1人でも不慮の事故で参加できなくなったらそれでおしまいなのだから、当然の配慮であろう。そして、狙ったようにして色々な不安要素もここで舞い込んでくるのである。もしかしたらテレビの取材を受けることだってメンタリティに何か影響を与えるかもしれないくらいのものだが、よりダイレクトに、例えばユキのところにはこれまで全く表に出てこなかった両親の影がちらつくし、双子は双子でハナちゃんとの関係性は一体どうなっているやら。ハナちゃん、流石に男は選んだ方がいいぞ……お世話になってる後援会の人の娘に手ぇ出したりしたらそれこそ問題だけども。それにしてもニヤニヤしてるムサの顔はムカつくな。

 まぁ、ここまでの道行きで様々な困難を乗り越えてきたメンバーなのだから、きっと今回だってそんな苦難も吹き飛ばしてくれるはず。予選会当日のえもいわれぬ緊張感は今作ならではのもので、駅伝の予選会なんて実際に見たことないのに、まるで本当にその場にいるかのようにピリピリしたムードが伝わってくる。ただみんなして並んで走るだけのシーンでも、ハイジを中心にメンバー内で様々なやりとりがなされており、これまでの練習での練度や、細かい計画性などが確認できて、やはりスポーツってもんはただ身体を動かせばいいってもんじゃないことも何となく見て取れるのである。そして、どれだけ計画を密にしても避けられないトラブルも……。

 流石にここで事故に巻き込まれることはないと思うが……よりによって危ないのがハイジってのが怖いよなぁ。頑張れハイジ、そして頑張れ王子。

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関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子
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