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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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  ゆらりふらりと第10話。このタイミングでこういう話を持ってくるあたり、この作品の構成は憎たらしいなぁ、と思いますね。緩急つけて見せられるおかげで、視聴モチベーションが下がらないのはありがたい。

 今回のエピソードは、2つのポイントから「うまいなぁ」と思わせる佳作。複合的なものなので明確な分化は難しいが、一応脚本面と構成・映像面から見ていこう。

 脚本としては「緒花がいない日」というのが1つのテーマになっている。それまで甲斐甲斐しく働いていた緒花が倒れ、喜翠荘は数ヶ月前までの「緒花がいない旅館」になるはずだった。しかし、従業員のみんなは、入れ替わり立ち替わり緒花の寝室を訪れ、忙しい中でもあれこれと世話を焼いてくれる。民子や菜子が見舞うのは自然な流れだろうが、次郎丸や徹、そして女将までが見舞いに顔を出したことで、喜翠荘が数ヶ月前とは全く違う世界になっているということがよく分かる。

 ここまでのエピソードにおいて、明確にインタラクトしていく主体となったのは、当然のことながら主人公の緒花だった。無茶をしたり、努力したり、失敗したり、色々と波風を立てる中で、彼女の成長と交流を描いてきたのが、この作品だった。しかし、今回のエピソードでは、そうした「緒花からのインタラクト」がぴたりと止まり、明確に描写されたのはコウモリ退治や早朝清掃など、必死に喜翠荘の一員になろうと努めていた緒花の影の姿。そして、そんな彼女に対し、今度は他の従業員から積極的にインタラクトしてくる様子を描いたのが、今回の焦点であるといえる。中でも徹のアクションは一番意外で、まるで彼女に気があるかのように甲斐甲斐しく食事を振る舞っていた。これが、今まで緒花が築き上げてきた喜翠荘でのポジションを如実に表したものなのだ。他にも、自らの病床に見舞いに訪れたこともある緒花を見に来た女将や、同じようにまだ新参者の次郎丸は「動けない緒花」を面白おかしく見守っていたし、菜子はいつも通りの細やかな気遣いで彼女をサポートしてくれる。奇しくも最後に訪れることになった民子も、偶然見付けてしまった彼女の悩み、心の弱さを察し、頬を赤らめながらも最大のデレを見せてくれた。これら全てが、今まで精一杯頑張ってきた緒花へのご褒美なのである。10話という区切りで、ひとまず「喜翠荘の一員たれ」という緒花の第一ミッションがめでたく結果を残したことが、ハプニングをきっかけに明示されたのである。何とも心暖まる話ではないか。

 そして、そんなシナリオを描く何とも不思議なコンテ構成が、今回2つめの見どころ。「病床から見るぼんやりした世界」という得も言われぬ対象の描き方が、非常に面白い。例えば時系列を多少いじった演出であるとか、この作品では珍しい、夢の中の非現実的な景色であるとか、多少阿漕ではあるものの、弱った緒花が見せた珍しい泣き言を、あまり後ろ向きな面を出さずに、さらりと一夜の夢のごとく描出している。この作品ならではの、精緻かつ自由な外界描写があってこそ可能になった演出といえるだろう。また、菜子がやたら気にしていたテレビの音声だとか、少しずつ変わっていく外の景色、回りのお客や従業員の声など、あの「風邪で休んで寝ているときの何とも言えない異世界な感じ」が絶妙な情景として浮かび上がるのも面白い。何となくベッドから降りて、見るともなくテレビの前に座ってしまう描写とか、普段自分が活動している時間に床に臥せっていることに対する不安感、優越感みたいなものが、緒花の真面目な性格と絡んで不可思議な共感を醸し出してくれる。長いような短いような、布団の中から見える景色というのは、何度経験しても慣れないものだが、それがちゃんと「違和感」として浮き上がってきたのは面白かった。

 余談だが、「違和感・異世界観」の描写というのはアニメならではの遊びが色々と模索できる面白いモチーフで、個人的には印象の強いエピソードが過去の作品にも多い。いくつかあげておくと、夢のような不可思議な世界を旅する情景がどこか懐かしく、寂しげに見える「フタコイオルタナティブ」3話「エメラルドマウンテン・ハイ」。今作同様に風邪で学校を休んだときの不安感がエキセントリックな夢として表れた「ひだまりスケッチ」5話「こころとからだ」。夢とうつつを彷徨い、最後の最後まで謎が漂い続ける「地獄少女三鼎」17話「藁の中」。寝不足の制作進行が夢との狭間でひたすら猟奇事件に舞い込まれる「妄想代理人」10話「マロミまどろみ」など。アニメ独自の演出が傑作を作り上げる例がたくさんあり、今作も、その例に漏れずになかなか印象的なエピソードになったのではなかろうか。

 ただ、2つ気になることがありました。1つ、若かりし頃の女将と思しき写真が飾ってある喜翠荘。その写真自体はよいのだが、隣には従業員が全員集合したような写真が確認出来る。……なんか多くね? 昔の喜翠荘はもっと流行っていたのだろうか。

 2つ、今回夢の中に現れて緒花を東京に連れて行こうとした存在、孝ちゃん。もちろん緒花が勝手に見た夢なのでフィクションには違いないが、アニメ的な演出から考えると、彼は「緒花が仕事に挫けて東京に戻ることの体現者」になっているのか? ……だとしたら、孝ちゃんは作品的には「悪役」になってしまう気がするのだが……畜生、いちご唇にドキドキしてる徹とかとくっついたらただじゃおかねぇ。あー、でも風邪引いた緒花はどこか艶っぽかったのは事実だなぁ。デコとデコで検温とか、確信犯だろコラァ。

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  次郎丸役立たずすぎワロえない第9話。基本的に悪役がいない作品ではあると思うんだけど、お仕事繁盛記っていう性質上、怠惰と無能は悪に見えますよね。

 行ったり来たりのせわしないエピソード。7組の追加客で全室埋まり、追加の予約も取れなくなってしまう喜翠荘。元の予約が何組あったかは知らないが、大体従業員数から想像出来るくらいの規模かね。外観は立派だけど、ざっと見積もって10部屋前後ってところだろうか。ピーク時に中居3人、厨房3人で回すのは確かに大変そうだ。そして、そんな忙しい時間に一人空回りする緒花。確かに「徹を呼び戻せばどうにかなる」という思いつきは結果オーライだったものの、式場でのタイムロスと無謀なプランニングはハラハラし通しである。あげく途方に暮れたら昔の男友達と長電話まで始めてしまい、見ている方の焦る気持ちとキャラクターの行動がなかなかシンクロしなくて大変だった。実際は晩ご飯の時間に間に合えば良かったんだからそこまで慌てなくても良かったのかなぁ。

 「一体今何時なんだよ!」ってのが気になって仕方なかったので必死に情報を探してみたのだが、孝ちゃんが湯乃鷺駅についた電車が、時刻表から13時35分着のものか、14時44分のもののようである(その前の緒花への発信履歴は12時40分頃なので、大体つじつまは合う。また、東京を朝7時過ぎに出れば金沢には大体12時くらいにつけるようなので、時間的にも矛盾はしない)。ってことは、徹さんを捕まえた時刻は遅くとも15時前。まぁ、間に合いそうだな。残された謎は「お客さんたちのチェックインが1時とか2時ってちょっと早くね?」という部分なのだが、単なる温泉宿なら、やることもなくぶらぶらするためにそれくらいの時間に宿に入る可能性もあるのかもしれない。まぁ、細かく見てもあんまり意味のないデータであるが、「緒花、ゆっくりしすぎやろ!」という私と同じ意見を持った人は、これを見て胸をなで下ろすと良いと思う。

 で、すったもんだの末に徹を確保出来たあとは、綺麗にハッピーエンドに向かうだけだ。蓮さんも再起動に成功し、危惧されていた「平等なおもてなし」についても、必勝の女将ノートのおかげで万全の体制。可哀想なのは次郎丸にいらん接待を受けたお客くらいのもの。更に民子は徹の指示で初の揚げ物チャレンジまでさせてもらうというサブイベントが発生し、従業員一同は全員一斉にレベルアップを果たした印象である。1話であれだけ怒られていた緒花がちゃんと一人で接客できるようになっていたのは感無量ではないか。

 しかし、そんな中で振り回されっぱなしだった可哀想な男が一人。そう孝ちゃんこと種村孝一君だ。わざわざ一念発起して石川県まで出てきたというのに、結果はまさかの空振り直帰。安く見積もっても石川への往復は2万以上かかるようで、いくらバイトしていると行っても勤労学生には辛い出費だ。あこがれのあの人の背後には別な男の影がちらつくし、何を言っても暖簾に腕押し、感謝はされるも好意が見えにくい。かてて加えて東京のバイト先には怪しげな視線で見つめてくる同僚の女性までいるではないか。遠距離恋愛は大変だというし、更に相手が緒花では苦労は倍率ドン、更に倍。これは……いかにもこの作品らしい「昼ドラ展開」あるで。

 悩ましいのは、孝ちゃんは努力がいまいち実らずにぐらぐらと揺れる要素が多いにも関わらず、その原因となった緒花は全くぶれていないという点。彼女からしてみれば今回は遠くに置いてきた恋人(仮)に気を遣っている余裕など無かったし、そもそもその必要すら無いという判断であった。彼のエールに対しては彼女が出来る最大限の謝意を表しているし、彼女なりに充分にそれは伝えていただろう。電話口から見え隠れする徹という男の存在だって、緒花からすれば「徹はみんちの思い人」というのが分かっているので、ちょっと憧れたりはするかもしれないが、恋愛対象っていうカテゴリには決して入らない。バイクでタンデムしてメットを借りても、そこに思い起こされるのは勿論東京にいる孝ちゃんのことなのである。緒花は緒花なりに一途なのだ。ただ単に壊滅的なまでに鈍感脳なので、孝ちゃんにどんな影響を与えているのかを想像する余裕が無い上、自然に2人の男のイメージを重ねてしまっている自分自身の現状すら認識できていないだけなのだ。うーむ、罪作りな女よ。

 視聴者の意見としては、「あれだけ緒花から感謝感激を雨あられと受けてるんだから、男孝一、それくらいで満足してやれよ」とは思うのだが、一日かけて無駄足踏まされた上でそんな広い心を持てるのは、多分草食系なんてレベルじゃない。喜翠荘の繁盛記としてはハッピーエンドの今回だが、緒花と孝ちゃんのラブストーリーとしては、致命的なまでのバッドエンドともいえる悲惨な回であった。頑張れ孝一、お前の見ている女の子は、それくらい日常茶飯事の娘だ。

 逆に、一歩も二歩も進んでいる感があってずるいのが民子のスタンスである。初のメイン調理がいきなり揚げ物って、大丈夫なんだろうか。でも、これまで見取り稽古を繰り返してきただけに、ちゃんとミッションはクリア出来てましたね。「天ぷら粉を付ける時はちゃんと氷水で冷やす」「あがり具合は油の音でチェック」。あ、これ『美味しんぼ』でやったところだわ!(進研ゼミ風に) 最後に賄い飯で大量の天ぷらが出ていたのは、支度が終わった後に徹が民子に個別指導をしてやった結果なんだろうかねぇ。人数に比してやたら多かった気がするので、多分そうした裏の事情を仄めかす意味があったと思うんだ。イイハナシダナー。今回のコンテは篠原俊哉氏ですよ。ほんと、なかなかクオリティの落ちない作品である。

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  ばば抜きー、な第8話。やっぱりかな恵ボイスはアホな発言してナンボですよね。今期はかな恵ヒロインが多いんだけど、その中で一番好きなのは……エルシィです。2番目が明日葉です。でも、緒花ちゃんも好きです。

 前回は巴さんメインのサイドストーリーだったわけだが、今回は久し振りにこのお話が「緒花が飛び込んだ旅館経営物語」であることを思い出させてくれる、なかなか苦々しい展開。あれだけ必死に「お客が増えればいいのに」と願っていたにも関わらず、いざ客が増えてしまうとそれはそれで大変という、接客業の悲哀を描いた内容である。うん、まぁ、ちゃんと事前に予約を入れてくれる客ならいいんだけどねぇ。

 久し振りの稼ぎ時だというのに、あまりに暇だったもんだから徹と菜子が休み、更に奮起しちゃった女将さんは持病が出てしまって無念のリタイア。残された従業員は、接客部門が巴・緒花(一応若旦那)、料理部門に蓮さん単体という、ちょっぴり不安な陣容(豆じいはどこにカウントすべきなのかね)。何とかこれだけで回そうと努力していく過程が、緒花の成長物語として描かれていくことになる。

 胡散臭いコンサルタントに頼ってしまったせいで、どこかチームワークも整わない不安な喜翠荘。あげく余計なことを吹き込んだために、案の定蓮さんが機能しなくなるというとんでもないハプニングまで発生。時間勝負のかき入れ時は絶体絶命のピンチ。実を言うと、旅館経営なんて全然知らない世界だし、料理がちょっとばかり遅れるのがどの程度の打撃になるのかは今ひとつピンと来ない部分はあるんですが……まぁ、多分まずいことになっているんだろう。緒花は自分に出来ることを模索した結果、とにかく非番の菜子を呼び出して負担を軽くし、そのまま自分は徹を出迎えるために一人街へと駆け出すことに。……って、大丈夫なんかな。

 街までどの程度の距離があって、夕食までの時間がどれだけ残されているのか定かじゃないけど、とてもじゃないけど徹を引っ張り戻して作業させるだけの時間は残されていない気がするのだが。普通に考えてお客さんのチェックインなんて早くても3時くらいだろ。既に何組かの客が部屋に入っているわけで、夕食までの時間はせいぜい3〜4時間。街までの往復は、短く見積もっても電車を使っていることを考えれば1時間はみないと駄目だろう。あげく結婚式の会場で徹がどこにいるかも分からず……緒花ちゃん、いっそあんたが手伝うとか、もしくは福屋にサポートメンバーを頼んだ方が早かったと思うのだが。「ピンチっぽさ」は充分伝わってくるのだが、冷静に考えると、どこまでヤバい状態なのかイマイチ分からず、正解となる行動が見えてこないために、コンサルタントの判断VS緒花の心配り、という対比の構図もうまいこと浮かび上がらない。ちょっと描写不足な勿体無い切り出し方な気がするぞ。

 しかしまぁ、そうした「なんかよく分からない緊迫感」以外にも、今回は何点かのポイントが点在しており、それらをかき集めると結構密度の濃い物語になっているので、まとめるのはなかなかの難行だったとも見える。例えば、なんだか扱いの悪い考ちゃんの存在。思い立ってわざわざ石川くんだりまで小旅行しちゃう行動力は、一人の女の子を思ってのものだとしたらなかなか偉い。都会のもやしっ子だと思っていたけど、案外気骨のある若者かもしれない。向こう見ずな緒花との相性は悪くないんだろう。

 また、冒頭で倒れてしまった女将と、緒花の心の交流もなかなか見応えのあるパート。救急車を呼ぶのを制止したり、病室にいた緒花を追い払ったり、女将は相変わらず旅館経営に厳しい性格が前面に押し出されているが、緒花に対して素直に「ありがとう」といってみたり、全てではなくともこそっと客のデータを記録した帳簿のことをもらしてみたりと、最初の頃よりもずっと緒花に対して心を開いている様子がうかがえる。対する緒花の方は正面からそのことを喜ぶような描写こそ無いものの、常に経営のことを考えるときには「女将ならどうするか」という思考を行うようになっており、単なる意地悪婆としてではなく、ちゃんと「大先輩」「経営者」としての女将を見るようにもなってきた。それに加えて、「松前」「四十万」という名字の違いから逆説的に血のつながりを意識するという家族的繋がりを想起させる描写もあり、仕事上の上司部下としての接点以外にも、頑固なその性格には共感を覚える部分もあるのかもしれない。緒花が最終的に喜翠荘の住人となるためには、女将からの太鼓判が必須。そうした「ハッピーエンド」を迎えるためには、今後もこの2人の関係性には要注目である。まぁ、このまま緒花が喜翠荘に骨を埋めると、東京住まいの考ちゃんが不憫でしかたないけどさ……

 今週の結名の方言は沖縄。胡散臭い、うざい、なんかムカつく、という、お嬢キャラとしては完璧な立ち回り。あの子、クラスではマドンナ的存在なんだよなぁ……ちょっと鬱陶しくない?

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  能登輝いてるよ能登、第7話。いやぁ、これまでのレビューを見てもらっている人には分かると思うんですが、私がこのアニメで一番気に入っているキャラが、何を隠そう巴さんなわけですよ。そんな彼女の魅力やらアレやらコレやらが全開の今回のエピソード。楽しくならないわけがない。

 能登麻美子+行き遅れになりかけの働く女性っていう組み合わせは、つい最近「たんすわらし」でも見かけた組み合わせ。なんだろう、そんなに焦っているような、幸薄いような声に聞こえるんだろうか。公式の設定を見たら巴さんは御年28歳。まぁ、確かに田舎で働く一人暮らしの女性ならばそろそろ焦りが見えて、親戚からも声をかけられる歳ではあるが、最近は女性の婚期も遅れ気味になっているし、まだ慌てるような時間じゃないとは思うのだがね。巴さんは美人で気立ても良いんだし、あとは出会いの無さだけを何とかクリア出来れば……ねぇ。田舎の旧友達が片付くのが早すぎるだけなんですよ。そもそも、28歳で婚期に焦る女性なんて描いてしまったら、中の人の立場はどうなるってんだよ。気づいたらもう31かぁ……麻美子の結婚発表が出たら、流石に各方面から荒れそうなのが悩みどころだな。

 とまぁ、全編通じて中の人が透けて見えて仕方ないお話だったのですが、掛け値無しのコメディ回というのは、意外にも初めてでしょうかね。緒花は相変わらず、菜子は徹底した被害者体質、民子も単細胞なので基本が可哀想な子(ほんとチョロいな)、男性陣は頼りにならない。そして今回はなんだか女将までちょっと妙。巴さん、確かにこの職場は危ないかもしれません。そんな妙な旅館を訪れた客達もそれに輪をかけて妙な連中であったが、あまりの捻れっぷりのせいで、巴が何を企んでも全てが裏目裏目に出てしまうという展開は、実に分かりやすいシナリオながら、暗い要素を全てひっくるめて笑い飛ばせるだけの勢いがあり、余計なことを考えずに楽しむことが出来た。「冷静に考えて、法律すれすれとかいうより、完全アウトだろ」とか、「巴さん、なんでそんなにミリタリー用語に詳しいんすか」とか、突っ込んだら負け。フルメタルジャケットに精通した旅館の中居頭は、確かに嫁のもらい手は見付けにくいかもしれない。

 今回も作画レベルは高品質を維持したままで、特に最大の焦点となる巴さんの百面相がいちいち面白格好いい。端的に言うと、嫁に欲しい。泣きぼくろが特徴的な巴さんのお顔だが、にんまりと悪だくみするときの笑顔が実にチャーミングであるし、中居さんらしい和装をぴしりと身にまといながら、ポンプを振り乱して暴れ回るギャップが痛快である。実家に帰るだのなんだのと暗い話題も出ていたはずなのに、実は今回巴さんが素直に落ち込んで暗い表情を見せたシーンって無いんだよね。「はいぃっ! 私の○○人生終わったぁ!」って、今後テンプレで使われそうな名台詞だよ。

 他にも、サバゲー組のぶっ飛んだアクション描写とか、それに対抗してのシャキシャキした巴さんの動きとの対比描写とか、やたらと大見得切った動きの見せ方にキレがあった。誰の手のものかと思ったら、なんとコンテが岡村天斎である。いやいや、こんなとこで楽しんでないで「青の祓魔師」の方に全力を注ぎなさいな。いや、嬉しかったですけど。

 そして、もう今回はこの話に終始してるけど、やっぱり中の人が魅力的。能登石川弁可愛いよ能登。「〜がいね」っていう語尾は、昔、能登トークで初めて知ったんですよ。47都道府犬の石川犬は例によって新谷良子との頂上決戦があるが、多分麻美子が配役されるんじゃないかと期待してます。「婚期が気になって、地元に帰るとか、そろそろ仕事を辞めるとか悩んでるけど、後輩も可愛いし仕事も向いていると思うから頑張ってみる女性」。能登麻美子も、そうあって欲しいと思います。間違っても「はいぃっ! 私の声優人生終わったぁ!」とか言わないようにね。ご家族の方々が方言指導に入っているのはどんな繋がりだったのやらね。この作品は、能登家の存在の上に成り立っているのだなぁ。

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  チャイナ気分でハイテンション! な第6話。やっぱりP.A.作品といえばチャイナですよね。いのちなんだよね。ほんと、「true tears」「Angel Beats!」と固定ファンの多い作品を連発し、この「いろは」も話題沸騰のスタジオなのに、「CANAAN」だけは知名度が上がらなかったんだろう……名作なのになぁ。

 愚痴はさておき、しばらくはギャグだのエロだのとよく分からないサービスに邁進していた喜翠荘が、久し振りに初心に戻って商売と経営を考える旅館経営アニメに戻ってきましたよ。怪しげな経営コンサルタントのおねーさんに振り回されてお約束のサービスシーンを披露したりはしたが、皆さん真剣なのは間違い無いのです。そして、そんなに簡単に田舎の旅館の経営が上向いたら苦労はしないのです。ばあちゃんもそのあたりのことは承知してるからこそガタガタ言わずにどっしり構えているのだろうね。この手の「経営が危ないから頑張ろう」シナリオの場合、主人公たちが何か画期的なアイディアを思いつくパターンとしては、大体地元の名産を使った地味な新商品を開発したり、地の利を利用した名所名物を生み出して客を呼ぶのがお約束だと思うのだが、そう簡単に喜翠荘に名案なんか生まれてこない。それを、「昔女将が使っていた衣装」というものすごく身近にあるもので何となく決着させた着地点は、ほど良く納得出来る良いバランスだったと思う。

 この作品のうまいところは、あくまでドラマの流れを重視して無茶なご都合主義を引っ張りすぎないところで、例えば今回のシナリオなら、何となくハッピーエンドっぽく見せてはいるが、女将の古い衣装を純粋にプラス要素として喜んでくれたお客というのはほとんどおらず、家族連れは何となく険悪な雰囲気が解消されただけだし、衣装に気づいてくれた2組は、それが女将のものであると知っていた、いわば常連客である。そんな連中は別に営業努力をせずとも顔を出してくれるわけで、新規の顧客獲得には何の役にもたっていない。緒花のいう通り、これで「明日からお客が増える」なんて虫のいい話はないのである。ただ、それでも「緒花と女将の接点」としての衣装を引っ張り出してくる流れが自然に「良い雰囲気になった」ことを表しているし、前半のハレンチ衣装のインパクトがあったおかげで、その対比として出された地味な和装が、視聴者目線にはすごく由来のある、良いものに見えてしまうのである。冷静に考えればあんまり意味のない挑戦ではあるのだが、それを感じさせずに「イイハナシダナー」させてしまう構成は見事なものだ。

 また、個々のキャラクターの配置にも無茶をせず、着実に歩を進めている描写も上手い。具体的には、今回の「衣装案」は緒花の努力が実を結んで表に出た企画であるが、実際には、彼女の思いを受けた豆じいが提供してくれたアイディアである。つまり、旅館経営のド素人である緒花は、全体を見直すと、川尻コンサルタントのアホなアイディアに感心してとんちんかんな挑戦を試み、から回った結果、うまく落としどころを見付けただけなのである。なんでもかんでも「主人公が熱意を持って取り組んだから素晴らしい解決策が見付かったよ!」というご都合主義にならず、緒花なら緒花なりの、身の丈にあった解決レベルで収拾を付けてくれているのはありがたい。

 また、緒花は今回、何故かやたらとコンサルタントの川尻さんにこだわり続けている若旦那の縁とも関係性を深めた。店に愛着があり、何とか経営を上向きにしようと奮戦する縁だが、その方策はいささか見当外れ。それでも、緒花から見たら「失敗するとしても、やらないよりはやった方が良い」という精神は共感出来るものであり、積極的に彼のサポートに回ろうと奮起していた。そして、そんな二人を繋ぐ役割を果たしたのが、緒花の母親、皐月だったわけだ。同じ人物の弟と娘が、同じように振り回された経験から仲を深め、どこか似た部分を共有しあう。なかなか愉快な親族模様である。

 そして、そんな血縁の深さは、オチの部分であの頑固婆、女将とも繋がる。女将も、過去には喜翠荘を守るべく、「何か新しいことを」と悩んで悩み抜いたことがあった。その結果が緒花のたどり着いたあの衣装であったが、彼女のアイディアも、過去には旦那に反対された「斬新な案」だったようである。保守と革新のバランスというのはいつの時代も難しい問題だが、女将も長い人生の中で、絶妙なバランス感覚を養っていたようだ。女将→縁という親子関係と、皐月→緒花という親子関係の対比と類似が見事にオーバーラップして色々と想像させてくれるし、何故女将が皐月を勘当したのか、などの過去にも興味が持てる。細やかな人間関係に、まだまだ色々と面白さが隠されていることを予期させる、良いシナリオであった。

 一応他の連中にもちょっとだけ触れておくと、今回も素敵だったのは「中居頭」という立場をよく忘れそうになる巴さん。川尻さんの衣装作戦が失敗であったことを真っ先に見抜き、使えない従業員たちにとにかく頭を下げさせるためにひたすら平身低頭。若いのに大変なお仕事です。次回予告でなんだか大変なことになっていたみたいだが、彼女が暴れると作品の空気が変わってとても楽しいので、今後の活躍も期待したいところ。他は……前回までメインだった民子はホビロン役、菜子は……乳揺れ役。

 そういえば、今回コンテ演出を受け持った人物が許琮という(おそらく)韓国人なのだが、スタッフロールを見ると、今回は制作がほぼ海外委託という状態で、グロス請けをしているのがUNION CHOというスタジオのようである。調べていて気づいたのだが、P.A.作品はちょいちょい関わっていたところですな。一昔前なら海外丸投げの制作は「三文字作画」と呼ばれる粗悪品の代名詞みたいなものだったが、P.A.の管理体制が良いのか、それとも格段に技術が進歩しているのか、スタッフロールを見るまで一切気づかないくらいのクオリティであった。ふぅむ、隣国の技術も馬鹿に出来ないな。

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  魔法の言葉でホホビロ〜ンな第5話。便利だなホビロン。元々の意味とか全然考えないで単なる勢いだけの言葉になってるけどな。

 民子の恋の行方を左右する勘違い騒動が勃発。ま、見てる側としてはオチなんかすぐに分かるんだけど、結名が「単にバイクに乗りたかったから乗ったんだ」っていうのはちょっとアンフェアだよな。何かもう1つくらい伏線張っておいた方がしっくり来たんだけど……って、そんなに真剣に考えるトコじゃないな。かえって結名の適当ぽわぽわな性格が表れていたと考えると、むしろ面白くなっていたかもしれない。無免許(多分)の女子高生のくせにとりあえずメットだけデコるとか、ほんとによく分からん娘である。

 しかし、こうしてアホな騒動を見ていると、喜翠荘には本当に駄目な人間ばかりが集まっているな。暴走機関車緒花を筆頭に、ツッコミに回れない菜子、誤った人間拡声器の巴、基本的にクズの次郎丸。そこそこ規模のでかい旅館に見えるのに、こんなに使えなさそうな連中ばっか集めて経営を成り立たせてるばぁちゃんだけが偉い(そもそも、なんであの時間に従業員の大半が風呂掃除に集結してんだよ)。「あ、板前の大将も格好いい人か」と思ったら、公式ページの人物紹介には「プレッシャーにはとことん弱い」の一文が。将来的には、喜翠荘にものすごいお偉いさんが来て、テンパった板長が失敗ばかりするのをみんなでフォローするエピソードとかが放送されそうな気がする。

 結局、過去話が回想されたおかげで菜子と徹の馴れ初めは確認出来たが、現時点では二人の間に直接的な発展はない。あれだけ歯に衣着せぬ物言いの民子も、直接徹に胸中を告白するだけの勇気はないのだから。でもまぁ、徹は割と話の分かる男みたいだし、少しずつ師弟の関係を深めていけばよいですかね。

 むしろ、今回緒花の暴走で変化したのは、緒花と民子の間柄である。あれだけ険悪だった仲が、気づけばあだ名で呼び合える(仮)間柄にまでランクアップ。もともと民子は気骨のある娘なので、損得考えずに突っ走る緒花の向こう見ずな性格とは合う部分もあるはずなんだよね。とりあえずは喜翠荘の中での人間関係はこれで一段落。次回からは外部の人間も招いて物語が回り出すようです。初期にあったお仕事頑張りアニメとしての性格は、このあたりで戻ってくるんでしょうか。それとも、ずっとこのままホビロンアニメなんでしょうか。多分後者なんだろうけどな。

 そういえば、今回コンテを受け持っていたのが岡村天斎だった。あんまりP.A.Worksのイメージはなかったんだけど、CANAANの時にもコンテで参加してたんだね。今回も相変わらずの画面の綺麗さだったんだけど、何故か一番感じ入ったのは、民子が魚をおろしている時に使っていたまな板に残された傷跡の細やかさだった。1枚板のまな板って、ずっと使ってるとああいう味が出るんだよねぇ。板さん達の歴史が見えるようですわ。

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  現時点では今期トップ。好き勝手すぎるキャラクターのあり得ない競演、第4話。ホビロンは流行語大賞に名乗りを上げたりしないんでしょうか。

 ついに緒花が学校へ通い始め、世界がまた一つ大きく広がった。これにより一気にキャラクターも増えたのだが、学校パートで増える要素は2つ。1つ目は、ライバル旅館の跡取り娘、結名の追加。これまでお話を盛り上げてきた喜翠荘三人娘ともまた違う、独特な空気の読めなさがなかなか気になる娘である。戸松遥の似非方言による登場のインパクトも秀逸で、今後はそのパワフルなキャラクターでもって色々とかき回してくれそうな期待がある。あ、でも似非方言なら「47都道府犬」を是非。「美味しいだがねー!」

 そして2つ目の要素は、ツンケンしてばかりで扱いづらいことこの上なかった民子の、新たな一面の発露。そうか、あんな微妙なセンスで、性格もあまり良さそうじゃないけど、しゃべらなかったら美人さんなんだな。クラスメイトに「姫」と名付けて崇拝するなんて文化は私の学生時代にはあり得なかった事態なのであまりピンと来ないんですが、確かに憧れる気持ちは分からないでもない。「そんな民子なら、もっとちゃんと仲良くしてみようか」という別方向からの行動エネルギーを緒花に与えてしまうきっかけにもなってますかね。

 そんな学校パートを挟むことで、旅館での活動も色々と刺激が増えています。一番賑やかになっているのは巴さんな気がしますけど、ああいう引っかき回し役がいるおかげで、三人娘の色恋沙汰が刺激されて勝手にヒートアップ。民子は更に徹を意識するようになるだろうし、緒花は東京に置いてきた考ちゃんのことを思い出して悶々。必要以上に発情してる子が多いアニメやな。

 風呂場でのコミュニケーションなんて阿漕な売り込み要素もありつつも、本当に1つ1つの要素が完成しているこの作品。色々と楽しい部分は多いが、今回は2つのファクターを取り上げよう。1つ目は、一切クオリティが低下せず、P.A.Worksの自負が見事に形になっているグラフィックの美しさ。キャラの表情が魅力的に見えるのはキャラ絵が本当に綺麗に出ているおかげもあるし、温泉町の風情ある景色の美しさといったら。今回は雨に煙る町並みの雰囲気は本当に良かったし、雨上がりの神社の参道のきらめきが実に見事。これは本当に、石川県の観光PRになる気がします。

 そして2つ目は、「空気が読めないひどい連中」というキャラクターどうしのかみ合わない会話の描写と、その演出。緒花の「おやすみ!」→「おはよう!」の繋ぎとか、思わず吹いてしまったし、「ホビロン!」を使うタイミングも、どっかおかしくて苦笑いが絶えない。女の子連中でまともだと思っていた菜子も、緒花との会話で頻繁に会話の流れをぶった切るスルーを連発し、やっぱりどこかおかしな子であることがよく分かる。「挽肉的な呼び名で!」って、どんな後悔だよ。石川県民はなんでもメモを取る。これは要チェックやで。本当かどうかは巴さんの中の人に聞いて下さい。「このあたりの人って、考え事を必ずメモにとるんだろうか」って、緒花が突っ込むとこはそこじゃない。やっぱり緒花が一番変な子。

 変な子フェスタとなっているこの作品。戸松が登場したことで中の人的にはかな恵ちゃん、あいなまで、新人賞声優がそろい踏み。若いパワーのみなぎるキャスト陣ですな(小見川もね!)。若い娘の発情を憎々しげに見つめる巴さんの中の人は、一体どんな気持ちで若い人たちの頑張りをみているんでしょうね。能登に力を、がこのアニメなら、能登に男を、が次の目標になるのかもしれません。

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  こういう方向にいくのか、第3話。勢いは衰えずだが、アニメとしての魅力はなんだか別な方向に突き抜けようとしている気もします。

 前回、ようやく喜翠荘の面々に溶け込むきっかけを得た緒花だったが、その足がかりとなった「復讐のまかない」の作成途中に、駄目作家次郎丸に捕獲され、ドキドキ亀甲縛りタイムへと突入する。本当ならば軟禁からの性的暴行と、確実に数年はパクれるぐらいの所業を重ねたはずの駄目作家だったが、幸か不幸か、捉えた少女はやけに逆境に慣れた、ちょっと倫理観にズレのある不可思議女子高生。ある意味本気の駄目男に何かを感じ取り、そこから奇妙な協力体制へと移行。結果、次郎丸はさらなる窮状へとたたき込まれ、車両盗難からの投身自殺へ、望まざる駄目コンボを炸裂させるはめになる。

 正直言って、緒花の心理状態はさっぱり分からないし、次郎丸のどこまで言っても駄目なメンタリティはイライラすることしきり。それでも、とにかくギャグと真面目の紙一重のテンションで駆け抜ける謎のカーチェイスや説得劇が無駄に面白い。海岸線を滑走して断崖でやり合ってくれたおかげで絵画のような美しい背景が堪能出来るし、岸に寄せて白く砕ける波の細かい描画など、本当に無駄とすら思える徹底した動画が情感を煽る。これで本当の悲劇、本当の昼ドラが流されるならば「もうマジで昼に放送すればいいじゃん」ってな話になるのだが、そうはならなかったのがこのエピソードのやっかいなところだ。人が死にそうだったり、大犯罪者が生まれたりしているのに、あくまでギャグ、徹底して肩すかし。1話2話と重苦しい話が続いていただけに、このハズしかたは予想外だった。また視聴体勢を改めないと駄目かもしれんぞ。

 艶っぽいシーンに勢いのあるダイビング、ばあちゃんの迫力ある説得シーンなど、あの手この手で見せてくれるこの作品だが、締めるところはちゃんと締めているので見ていて満足感がある。具体的には、今回のテーマはあくまで緒花と民子・菜子の関係性だ。菜子との仲は、崖っぷちの水泳談義で一気に進展し、「中居の仕事だけでなく、他の要素でなら自信が持てるから、コミュニケーションがとれる」という解決を見た。ちょっと卑怯な歩み寄りのようにも見えるが、必要以上に人見知りの激しい菜子が相手では致し方あるまい。

 そして、今回一気に株を上げたのが民子である。サブタイトルにもなっている謎の言葉、「ホビロン」。冷静に考えれば「痛い子や……」というだけのひどい言葉なのだが、あの訳の分からないメモ帳の書き込みからは、今まで見せてきた「死ね!」の高慢でとりつく島もないひどい態度とは打って変わって、ちょっと可哀想に思えるくらいのくそ真面目さが感じられる。そして、真面目は真面目なのに、たどり着いた答えが「ホビロン」なのである。もう、可哀想を通り過ぎて愛おしい。これを見たら、もう緒花も彼女に敵対しようとは思わないだろう。大量のほうれん草によって氷解した二人の仲が、「ホビロン」によって強烈に結びついたのがはっきり見えるのである。何とも小憎らしい脚本ではないか。

 あとはまぁ、ハイクオリティな画質を活かした濡れ場の無駄なエロさですかね。愛生・かな恵ちゃんの百合プレイとか、様々な楽しみ方ができますよね。一番安易なのは、場所を学園都市にスイッチさせる楽しみ方でしょうか。ふっふふ〜ん。サテンサン!

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  順調に進行してますね、第2話。いやぁ、1話目で期待はしてたけど、2話目も全く落とすことなく、面白いですね。オリジナルものでこの勢いはありがたい。

 シナリオラインは、分かりやすい「新しいコミュニティに馴染んでいく話」。ただ、今作主人公いろはの場合、主人公として分かりやすい克己心の表れが、だらしない母親の教えに従った結果、というのが面白い。いきなり生活環境が変わり、若い身空で慣れない仕事に放り込まれるという厳しい状況において、いかにも現代っ子らしいいろはが腐らずに前を見続けられるのは、それまでの人生をずっと情けない母親のフォローのために捧げてきたため。まかないを振る舞えるだけの料理の腕前もそうだし、どれだけ自分の期待が裏切られても、どれだけ他人とのコミュニケーションがうまくいかなくとも、「それが当たり前」という母親の身も蓋もない教えを胸に留めておけば耐えられるもの。これまでの人生の延長として、母親の影を引きずりながら、いろはは戦っていた。

 しかし、今回のエピソードでは、そんな母親の呪縛を1つ解き放つところから、彼女の物語が始まる。「他人を信じるな。だまされる前に刈り取れ」という母親の信条は、新しい環境で人間関係を作っていく上で、彼女のプラスにもなったが、大きな障壁にもなってしまった。いろはは、まずそこの調整を行うことで、新たな活路を見いだすことに成功したのだ。体当たりの姿勢はそのままで「人に頼る」というごく当たり前の決意をすることが、彼女にとっての成長物語。ちょっとズレたこの感じが、どこか新鮮に映る要因なのだろう。

 いろはのまっすぐなキャラクターも魅力だが、周りを囲む人々も、本当にブレないおかげで人間関係が非常に見やすい。「死ね」を連呼する民子は、他者を寄せ付けない老舗旅館の象徴のような造形になっているし、それを実際に体現したばあちゃんの圧倒的存在感もたまらない。他にも「ゴシップ屋」「度が過ぎた人見知り」「駄目さを絵に描いた様な客」など、「本当にいろはもとんでもないところに来てしまったなぁ」と思えるだけのコテコテの配置である。今回新たにキャラクターが出てきたのが、調理場担当のよく分からんあんちゃん、宮岸。1話では単なる苛つく奴だと思ったのだが、いろはに負けない「空気を読まない」スキルは、面倒なメンタリティの人間が多い喜翠荘の中では、分かりやすくて助かるくらいである。いろはからのイメージはあんまり良くないみたいだけど、割と付き合いやすい人間なんじゃないかしら。まぁ、今んとこ一番強烈なキャラクターはお母ちゃんだけどな……

 それにしても……普通の「お仕事アニメ」でまっとうな昼ドラ展開が売りの作品、っていう触れ込みなんだけど、端々にやたらマニアックなネタ回しがポロポロ出てくるのは、脚本の岡田麿里の悪戯なんだろうか。「女将を呼べ!」を「どこかで聞いたことがある台詞」だと感じたり、「容赦無く駄目な人、お母様の教えは」と追想するいろはちゃん。あんた、「おぼっちゃまくん」とか知ってる世代じゃなかろうに。あまりにも懐かしいフレーズだから、聞いた瞬間吹いたわ。伊藤かな恵ボイスでネタ回しさせたり、ポルノ小説読ませたり……いいぞ、もっとやれ。ちなみに、個人的なツボはいろは(かな恵ちゃん)が菜子(あいなま)に対して「背が高くて格好良い、スポーツとか出来そう」とうらやましがるシーン。身長差は相変わらずの20㎝オーバー! 

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