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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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  あれ? 豆じいの息子さんは? 第19話。なんだよ、あれだけの衝撃(主に巴さんの)を伴って明らかになった事実なのに、その後のネタはないのか。見たかったのになぁ、若い豆じい。ひょっとしたら息子さんは班長大槻みたいなガタイのいいおっさんだったりしてな(声の遺伝的に)。

 先日修学旅行に行ったばかりだと思っていたのに、緒花たちの学校はあっという間に文化祭シーズンを迎えた。以前から「よく分からんけど今時の若者にしちゃテンションの高い奴らだな……」と思っていたクラスメイトたちは、案の定イベント間近で大はしゃぎである。そして、この手の作品で女子高生が開く模擬店といえば、メイド喫茶と相場が決まっているのだ(次点でお化け屋敷)。一応、このクラスには学年のプリンセスこと結名がいるために「姫カフェ」という名前にはなっているが、姫カフェってのは姫が給仕してくれるカフェのことであって、厨房で姫が調理するカフェではない気がする。民子は今のポジションで不満がないみたいだからいいんだけどさ……ほんと、料理が絡むと真面目を通り越してちょっとおかしいレベルの娘よね。

 しかし、「チーム喜翠荘」がイベントに参加して、もめ事が起こらないはずがなかった。本番間近に控えた教室で、猛る民子、キョドる菜子。……あれ? 珍しく我らが緒花ちゃんはトラブルの中心にいませんね。もう、気持ちの悪い夢を見るだけで充分にお仕事を果たしたということなんでしょうか。孝ちゃんは本当にネタ要員以外の何ものでもなくなってしまったなぁ。徹が中途半端にイケメン風のヘタレだから、孝一が出てきてもキャラがどっか被ってる気すらするし。もう、いっそ本当に転校してきて一緒に姫カフェやったらいいのに。

 さておき、とにかく今回のトラブルの中心は緒花じゃない。そして意外にも、結名でもない。菜子と民子が、それぞれ別の教室の別なテンションで、それぞれに問題を抱えているのだ。と言っても、菜子の方は大した問題じゃないけど。前回の一件で多少は物事に自信が持てるようになった(気がする)菜子は、文化祭の委員を任されている。そして、緒花のクラスとは対照的に、菜子のクラスは文化祭とか面倒だから極力楽に済ませたい現代っ子気質。結局、クラスの俊才を利用して半分サボりとすら思えるなおざりな展示会でお茶を濁すことになっており、菜子はそんな俊才と一緒に展示の準備だ。そして、才能がある人間ってのは、どこか変わってる人間が多いのも事実でして。うーん、確かにそれはオムライスじゃなくて……でも道路でもなくて……頑張れ菜子! 喜翠荘にいる人間なら、卓越して人智を越えちゃった言語センスが備わっているはずなんだ! グルグルお目々が実に可愛らしいぞ!

 そして、より深刻なのが民子の献立計画の方。実は修学旅行の時の告白タイムが伏線……というか問題として尾を引いていて、あのときに民子がフッた男に懸想している女子が、厨房チームに紛れ込んでいた模様。そして、正直ついていけないオムライス騒動である。まぁ、誰が見ても民子の方に分があるよなぁ。オムライスさんの方の言い分はよく分からんしなぁ。自分が惚れた男をふっといたくせに、その上メニューから得意料理を削るとは何事だ、って、どんないちゃもんだよ。どう考えてもレンジとホットプレートじゃオムライスはきつかろうて(いや、サバはいいのか、って意見もあるが)。普段は堅物の民子がトラブルの原因になってることも多いけど、今回ばかりは民子に非はない。まぁ、ちょっと突っ走り過ぎの感はあるけど、クラスの人間だって民子に任せている時点である程度は覚悟していたことだろう。実際、あの子が教室を飛び出した後も、困り顔で民子の周りを取り巻いていた連中もいるわけで、全部が全部民子の敵、って状態でもなさそう。うーむ、女子高生って面倒くせぇな。

 ま、なんやかんや言ってこれまで巻き起こってきた数々のトラブルと比べたら些細な事件である。今後、格段に鬱陶しくなった縁を巴さんがどのように扱うのか、という問題と同じくらいの比重で見守っていくことにしよう。そして、豆じいの息子の正体とは? 次週に続く!(?)

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 きなこもちときもなこちは似てるけど、キャラクターと中の人も何だか似てる気がする第18話。いや、身長的に。なこちと並んだ時の緒花の小ささが際立って見えるのですよ。どこぞのネタ画像で、伊藤かな恵・大亀あすか・悠木碧・竹達彩奈で豊崎を取り囲む、っていうのがあったんだけど、あいなまさんのスタイルの良さは際立ってますよね。

 というわけで、今回はあいなま回、もとい、なこち回。今期も絶好調で「魔乳秘剣帖」「ゆるゆり」と豊崎キャラは花盛りですが、そんな中でそこそこ控えめなキャラだったのが、この押水菜子であった。緒花が猪突猛進、民子も一心不乱、結名が唯我独尊で各々好き勝手やっている中で、どうしても菜子だけは強く押し出して来ないイメージがあった。しかし、なぜそのような配置になっていたのかが、今回ようやく明らかになったわけだ。つまり、菜子が前面に出ると、とてつもなく痛い子だからである。今回だって、「なかなか引っ込み思案が直らないなぁ」と思い悩み、給料アップや友達とのショッピングをきっかけに自己啓発を試みる、というだけのシンプルな筋立てであるはずなのに、何故かそのモチーフに人魚姫を絡めて自分ワールドに突入したり、思いあまってお大尽プレイに突入したりと、どうにも振り切れ方がおかしい子。なるほど、こんなんだから変人緒花や民子ともうまくやっていけるのであろう。

 なこちファンにはたまらない回だったとは思うのだが、前回までの重々しい雰囲気はどこ吹く風の完全ギャグ回だったために、ところどころにちりばめられたネタの数々を回収するだけでも忙しい。特に菜子の人魚イメージ映像の時の気持ち悪さは突出しており、蓮さんフィッシュの違和感はとてつもないものである。本作は映像のレベルが非常に高くて、どの画面にもこだわりが溢れているのであるが、そんなこだわりが全力で異物を描いてしまったら、そりゃぁ気持ち悪くなるのは道理である(でも、何故か豆じいの方は案外フィットしていたりもする)。

 その他、珍しく女子高生4人ががっつり絡んだ回でもあるので、4者4様の個性も良く出ている。喜翠荘トリオが浮世離れしすぎているせいで、普段は天然お嬢キャラで通しているはずの結名が突っ込み役に回らざるを得ない様子など、見ているだけでも可哀想になってくる。菜子のいう通りに、菜子自身も緒花も民子も「友達が多くない」タイプなのは間違い無かろうが、こんな連中と付き合ってるってことは、多分結名もそこまで親友が多いタイプじゃねーな。そして、菜子を更衣室に押し込んだ時の「ハウス!」の意味が分からん。石川県民は(ナンパ野郎共も含めて)県民全員がおかしな言語センスを有しているんだろうか。

 結局、オチとしては「あんたは自分らしくしてればいいじゃない」というすごくフツーの結論でめでたくキモナコチが誕生しただけなのであるが、今後の喜翠荘の未来を思うと、あんまりハッピーエンドに見えないのが気になるところである。菜子が自信を得て好きに仕事に邁進すると、なんだか失敗する様子しか想像出来ないんだけど。菜子たちはもうそろそろ進路とか考えなきゃいけない歳だと思うんだけど、一体どういう未来予想図を描いているんだろうね。

 そうそう、気になるといえば、何とも不思議な押水家の実態ですかね。家族構成は両親、菜子、小学校低学年くらいの弟、更に小さくて幼稚園児くらいの妹、そして赤ん坊の子供4人で6人家族。菜子だけやたら歳が離れているけど、ご両親は見た感じ案外若くて、せいぜい40前後ってところだろうか。父母ともに教育者らしく、菜子に家事を任せきりで2人してアツい教育論を戦わせている。わざわざ仕事の議論を持ち帰ってるってことは職場は違うと思うけど、菜子が「そういう話は学校で」って言ってることから考えて、教育委員会とかじゃなくてどちらも現場勤務か。

 以上の実情から推察するに、当然職場結婚で一緒になった夫婦で、第一子の菜子については、デキ婚とか、不測の事態による結婚。その後生活が安定するまでは菜子の子育てと蓄財に励み、歳を重ねて余裕が出てきたところで改めて家族計画、子だくさん、という流れではなかろうか。つまり、しばらく一人っ子を経験している菜子は幼少期の間に引っ込み思案な性格が形成されてしまったわけだが、両親の教育の賜物か、弟たちの面倒を見る姉気質はきっちり養われた。両親も、菜子がよく出来た娘だから安心して仕事に邁進しているのであろう。唯一の謎は、「お母さんの乳は別に大きくない」ことである。なこちの胸は隔世遺伝か……ちなみにお母さんの中の人はみっここと新井里美。母子揃って「ジャッジメントですの!」。職場にいったらサテンサン!

 さらに余談だが、押水弟の中の人は水原薫、そして妹の中の人は、今回初めてスタッフロールで目に止まった「慶長佑香」という人。これまでもちょろちょろ本作では登場していたようだが、物々しい名前を今回初めて認識しました。「どんな人なんだろう……」と思って所属事務所である俳協の公式プロフィールを見ると、「所持資格」の欄に「危険物取扱責任者乙・ヨガインストラクター」。……なにもんやねん。

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  真夏の昼の夢、第17話。シナリオ的には予定調和の展開と言ったところですが、昼ドラとして有名な本作の割には、意外にも丸く収まる良いお話になりました。今回の「縁編」とでもいうべき2本は、男の子目線だとかなり印象深い、いいエピソードになったと思っとります。

 映画騒動はやはり詐欺。あれだけの準備とはったりをかました詐欺行為ってのも実に手が込んでいて「元が取れるんかいな」と思ったが、やはり映画撮影云々とかになると相当な額が動くんでしょうな。監督以外のスタッフもどうやらほとんどが担ぎ上げられた善意の第三者だったらしいので、痛い目を見たのは喜翠荘のみ、といったところだろうか。遠隔地で聞きかじった程度の皐月でも手に入れられる情報を貴子がチェックしなかったのは片手落ちとしかいいようがないが、こういう「花形職業」みたいな業界って、一般人は分からないコトだらけだからねぇ。意外に嘘みたいな詐欺の手口でも騙されてしまうもんなんですよ。

 しかし、そんな手痛い被害にも、終わった後の喜翠荘は案外元気。それもこれも、縁が1人で全てを抱え、従業員や来客たちにことの大きさを伝播させなかったことによる。もちろんすちゃらか3人娘たちは撮影の中止を残念に思ってはいるみたいだが、その裏で動いたであろう巨額の資金については特に知らされていないのだろう。「自分で全てをやる」と宣言した縁なりの、一応のけじめの付け方だったのだろう(知らされなかった次郎丸は不憫だが……)。

 さて、今回は誰がどう見ても縁(と貴子)が主人公の物語になっていた。そして、前回に続き、そこに現れるのは家業を巡って展開される1つの「家族劇」である。2話ともあの西村純二の手による脚本・コンテだったこともあり、一貫したコンセプトで構築されたプロットが、様々な内面性を巧みに描き出していて実に見事である。読み解くことは難しくなかろうが、改めて「家族」のあり方について、どのように描出されたのかを確認していこう。

 主人公となった縁は、女性に手を上げようとしたら逆に反撃されるという、本当にどこまで言ってもヘタレ要素が無くならない駄目な奴。しかし、今回のことで「喜翠荘のために何かをやろうという意志」は本物であることが確認されたし、その熱意を認められ、女将からはきちんとフォローが得られた。前回「全権を任せる」と縁に判断を委ねた女将は、今回の一件をもって、息子を正式な喜翠荘の後継者として認定する儀式としたのである。結果的にはその結果は思わしくないものになってしまったが、そのことはあまり重要ではない。あくまで、「喜翠荘のために力を尽くせるか」というのが重要なのである。

 経営者としての先人たる女将、その女将の軛から逃れるために飛び出し、新たな道を追い求めた皐月、そしてそんな女性2人の後を必死に追いかける縁、その傍らの貴子。この4人の関係性は、今回もプールのモチーフで描かれている。前回の回想では、「浮き輪がなければプールにも入れない縁」が、「プールサイドで見下ろす女将」と「プールから跳ね上がる皐月」を見上げるという構図が印象的だったが、今回の回想においては、ついに皐月はプールから上がり、一人「外の世界」へと歩き出している。代わりに、現在の時間において縁がプールの中に引きずり込んだ人物こそが、貴子だったのである。

 縁は、未だにあの日のプールから自力で上がることすら出来ず、一方的に落ちるばかり。それは、貴子の手を借りても結局変わらず、憧れたあの日の皐月の背中を追いかけることは叶わない。しかし、既にプールに「足がつく」ようになった縁は浮き輪を使わずにプールに立つことが出来るようになったし、そこから必死に引き揚げようとしてくれる貴子という女性もいる。そして、現時点においては、未熟な縁も、向こう見ずの貴子も、2人でプールの中をもがき続けるしかない。あの夏の日、プールサイドの皐月ははるか高みを滑空する戦闘機を見つめ、まだ見ぬ世界に狙いを定めた。今回の貴子と縁も、1対に並んだ2機の戦闘機に、2人の未来を思うのである。四十万の家の人間しか入り込まなかったプールの中に初めて飛び込んだ貴子は、今後も縁と共に、この家における新たな女性像を刻んでいくことになるのではなかろうか。

 今回初めて「今は母さんでいいよ」と「母親であること」を許容した女将、そして、外界からの視線を常に送り続けながら、喜翠荘の経営とは完全に決別し、姉としてのバックアップを約束した皐月。面倒ながらも力強い女性達に支えられ、喜翠荘はまたやり直せるに違いない。あとは、本当の主人公である最後の「四十万の女」、緒花が何をしたいかである。ま、今回は完全に観客でしかなかったけどねー。

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  夏ですな……第16話。この作品は画面のクオリティが半端じゃなく高いので、うだるような日本の夏の暑さが画面からにじみ出てくるように感じられる。日本海側はフェーン現象のせいでまた無闇に暑いんだわ。そういえば、この作品って季節感がリアルとリンクしてるんだね。緒花が喜翠荘に移ってきたのが春先のことだから……まだ湯乃鷺生活は3ヶ月くらいってことなのかな。

 前回の予告通り、今回から縁がメインのエピソード。野郎がメインという時点で心躍らないような予感がしていたのだが、ちゃんと女の子もはっちゃけているので決してそんなことはない。むしろ脇に回ってぎゃーぎゃー騒いでいる方が女子高生トリオはお気楽でいい感じかもしれない。難しいドラマで頭抱えて唸るのは大人たちの仕事です、ってなもんで。緒花は完全に外野で馬鹿やってるだけだったけど、実は菜子の方が馬鹿度合いは加速してるんだよね。結局今期のあいなまはエロ・馬鹿枠オンリーか? 尻がエロいのよ、この子。

 「喜翠荘に映画が!」という今回の事件。本当に連ドラで起こりそうないかにもな展開は、これまでずっと経営状態に頭を抱えてきた縁が起こした、一発逆転、起死回生の一手。いつも通りに及び腰でことに及んではいたものの、女将のゴーサインを受け、貴子から強力なバックアップを得ることで、縁もようやく一人前の仕事が出来るようになってきた。着実に夢に向かって歩を進め、まさに湯乃鷺レボリューションが起こるか、起こらないか。普段女性陣(というか緒花)がメインの場合、どんな苦境でも最終的には気合いで乗り切ってしまうだろう、という安心感があるわけだが、野郎どもが主人公の場合、逆に「必ずどこかでつまずくんだろうな」という真反対の安心感があるため、そのターニングポイントを探す視聴体勢になるのが自然の成り行き。当初は1話完結だと思って観ていたので「詐欺展開か、それとも誰かが病気で倒れたりするのか」と思っていたが、どうやら撮影自体は順調に進んでいる様子。映画自体もそこそこパワーがあることは確かみたいなので、こけるとしたら縁が一人で切り盛りした他の旅館組合との折衝面でのトラブルかねぇ。真夏の日差しの中で電話のベルが鳴り続けるラストは、なんだか妙なトラウマが刺激されるおっかないシチュエーションである。このままじゃミズノちゃんが島から出られない!

 冗談はさておき、今回はあくまで縁のお話ということで、とっ散らかって色々な突っ込みポイントがありながらも、実は案外しっかり男の子の物語が彫り込まれている。女子高生トリオがプール掃除できゃっきゃうふふだったり、最萌えキャラである蓮さんが可愛すぎたり、豆じいと女将の仲睦まじさがほっこりしたり、そういう部分にばかり目をやっては駄目だ。あ、結名が組合の会議に出てたのも前回の続きでちょっとした成長物語なんでしょうね。

 違う、縁の話だ。縁は大学時代に貴子と映画制作のサークルに参加していたという過去があるらしく、「喜翠荘で映画を」というアイディアは、女将からは出てこない、この2人のオリジナル。そこに息子の小さなこだわりと信念が感じられたからこそ、女将は珍しくすんなりGOサインを出したのかもしれない。これまでは完全に貴子に踊らされる格好で奇策を弄していた縁だったが、今回の件だけは、自分の持つ何らかの才能が活かせるかもしれない仕事なのだ。それが証拠に、初めて縁は「若旦那」らしい働きが出来るようになり、自分よりも明らかに若輩者である次郎丸に対しては、熱く語って訓戒するまでの立ち位置になっている。見たところ撮影準備も順調なようだし、主演女優は女将の年季の入った所作を見て何か感じ入るところもあった模様。老舗旅館を舞台にした「地元密着映画」も、ひょっとしたら案外良いアイディアなのかもしれない。一昔前には「おくりびと」で似たようなブームも起こったしねぇ。

 だがしかし、だがしかしだ。未だにくすぶり続ける、縁の奇妙な劣等感と、今一歩が踏み出しきれない押しの弱さは、最後の電話のベルを待たずとも、幾ばくかの不安を残すのも事実である。彼が大学時代に撮ったという唯一の作品には、「プールと女子中学生」というファクターが強くしがらみとして現れており、それは幼少の頃の原体験が現れていると自己分析している。そして、この「幼い頃のプール」の映像は、これまで描かれてきた「四十万の女」の物語を改めて踏襲する内容になっているのが興味深い。

 具体的には、まずプールにいる縁は幼い姿なのでどこか頼りなく、浮き輪の中に収まって太陽を見上げている状態。プールサイドには若かりし頃の女将が佇んでいるが、真夏の日差しが逆光になり、その表情までは読み取れない。幼い縁は、必死に母親に呼びかけるも、絶対的に「上」にいる女将は返事をしてくれない。そして、そんな隔たりを持った2人の間に飛び出してくるのが、スクール水着姿の中学生、皐月である。彼女の姿も強烈な逆光のおかげで表情までは読み取れないが、躍動感溢れるジャンプによって水面から高々と飛び上がり、女将同様に後光が射した状態。この3つのシルエットが、喜翠荘という施設や、四十万という血族そのものの関係性を表しているのである。

 彼岸におり、高所から微動だにせず縁を見下ろす、圧倒的な存在として描かれる女将。そんな女将の前でも臆することなく、高みを目指し躍動する存在が皐月。そして、自らの力で浮くことも出来ず、そんな2人の女性をただ見つめるだけの縁。「原体験」とはいうものの、どちらかといえば、この風景が表すものは、縁を現在まで縛り続けるコンプレックスなのではなかろうか。

 そんな「四十万の女」に対するコンプレックスは、今ようやく打開の時を迎えようとしている。新たな映画が「縁の手によって」出来上がれば、大学時代の「処女作」は打ち破られ、縁はようやくあのときのプールから上がることが出来る。此度のミッションは、喜翠荘の命運を賭けた商売であると同時に、縁の旅館経営者としての人生をも左右する、奇妙な形の大舞台となったのだ。さぁ、縁はこの重責を、無事に乗り越えることが出来るのだろうか。待て次回。

 余談だが、最近色んなところで斧アツシの声を聞いている気がする。この低音はどこにいてもインパクトがあるせいで耳に残りやすいのかな。ただ、ここ最近のメイン役は魔乳胸則だったりするから胡散臭い。どう聞いてもその内メガトーンを呼び出しそうだし。おかげで今回の映画プロディーサーも胡散臭くて仕方なかったわ。

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  もじゃ毛バースト、第15話。てっきりサブタイトルから豆じいがものすごいところでサポートに来る話かと思ってたのに……全然関係無かった。当たり前か。一番印象に残った部分は、「結名さん、最低2泊の旅行の割に、なんか荷物少なくね?」です。嘘です。多分マンゴーアイスチキン南蛮添えです。

 前回のエピソードで、「効率化を狙う旅館経営」と「従業員を人として見た旅館経営」という2極対立を狙い、そこから緒花たちのイデオロギーを計るのが目的なのかと思っていたのだが、結局、そうした部分については主人公補正がかかるのが意外と早かった。色々とハプニングは起こっているはずなのだが、それがあまり大事にならずに穏便に収束するだけだったので、肩すかしを食らったというのが正直なところ。それもこれも絶大なるシャワー丼の効果なのか……すごい言葉だな、シャワー丼。ものすごく興味深い語形成なのだが、いかんせんサンプルとして特異すぎるからあんまり参考にならないのが悔やまれる。ホビロン・ボンボるに続き、いちいちおかしな言葉を考えないと気が済まない世界なんだろうな。ただいまンボル〜。

 さておき、結局今回の肩すかしの主犯格となったのは、前回かき混ぜるだけかき混ぜてくれた結名であった。「旅館の仕事は嫌いだからやらない」と言ってのけ、そのまま我が道を突き進むものかと思っていたが、番頭さんが意外にクールで素っ気なくしてくれちゃったおかげで、お嬢様としては面白くなかった模様。ツンデレというにも幼すぎるような態度で、初めての旅館の仕事にチャレンジする流れを自らで作ってしまった。ふーむ、そこは徹底して袖にして欲しかったものだが。前回までの余裕ぶった超然とした態度は、回りからちやほやされて女王様で居られたが故のものだったらしい。ひとたび他人に目を離されると、自分の方を見て欲しくて容易く食いついてしまう。なーんだ、意外とお子様じゃないか。

 結名のお子様ツンデレを誘発させたのは、窮地に陥ってもある程度冷静に行動出来た番頭さんの努力の賜ではある。また、もじゃ毛こと暴走機関車緒花が走り出したせいで、自然とみんなの目がそちらに向いてしまったことも一因だったろう。本当に、自分が注目されないのが嫌な性分なのだ。そして、実際に風呂掃除に参加してみると、なんとこれが初めての労働経験。大変には違いないが、万全のアフターケアを受けて「仕事も案外悪くない」とのご感想。単なる食わず嫌いならぬやらず嫌いだったのか。そりゃまぁ、接客業でお客さんに喜んでもらうっていう経験は、いつ誰がやっても悪い気はしないもんですよ。何だか妙な展開だったが、結名にとっては小さくとも大きな一歩。これで福屋旅館も、跡取りの心配はしなくてよくなるのかな?

 今回は、ある程度恣意的に「福屋の娘」たる結名と「喜翠荘の娘」たる緒花が比較されている。自分から率先してハプニングに飛び込み、機転を利かせて苦境を乗り越えて見せた緒花と、完全に受け身体勢で意に沿わぬ仕事に巻き込まれ、初めてであるが故になかなかうまくいかない結名。番頭さんは「同じはずなのに違うもんだな」という感想を漏らし、2人の娘っこの吟味をしてみせた。ただ、流石にこの比較は結名には酷だろう。確かに血筋としては同じ「旅館の娘」には違いないが、かたやずっと大旅館の娘として生まれ育った箱入りであり、かたや怪物じみた母親に引きずり回され、実際に旅館に関わりだしたのは最近という、雑草みたいな娘。そりゃ、強度に差があるのは当たり前なのである。どう考えても、修学旅行中に旅館の中居を志望する女子高生の方が普通はおかしいだろうに。

 それでももじゃ毛は止まらない。この猪突猛進っぷりは相変わらずの四十万の血であるが、そんな全力疾走の中にも、いつの間にやら身についた中居のノウハウなど、女将の指導が行き届いていたのが分かるのはにくい演出。とっさのトラブルにも動じずに機転を利かせられるアドリブ力は天性の肝っ玉の強さによってもたらされたものだろうが、接客業では最も重要な要素である。番頭さん、真剣に嫁に貰う算段をしてみるといいかもしれません。一応喜翠荘は跡取り息子がいるから大丈夫かもしれませんよ。

 そして、今回最大のクライマックスとなるのが、緒花たちにも、そして視聴者たちにもご褒美となった、女子高生4人のお風呂シーンである。旅館ものというジャンルのおかげでお風呂サービスの多い本作であるが、今回は広い露天風呂に友達同士というシチュエーションが開放的にさせたのか、いつもよりも更にきわどいあれやこれが目白押し。なんだその不自然な形の木の枝は! でもまぁ、緒花の場合はエロっていうより全裸ギャグって言う方が正しい気もするけどね……何にせよ眼福。みんなで鼻から吸って口から出す練習をしておきましょう。

 次回は……縁のメイン回? なんだろうな、この心躍らない感じは。

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  とどろく結名節、第14話。さぁ、オープンエンドも変わって心機一転の2クール目。オープニングが前期にも増して疾走感があって良いですね。女子高生の青春絵巻なので、やっぱり緒花たちは走ってナンボですよ。まぁ、一番躍動感に溢れてたのが巴さんのカラオケシーンなのは内緒ですが。喜翠荘の日常が色々と垣間見られるようで、何度も味わいたい映像になっています。

 さておき、新たな物語の口火を切ったのは、サブヒロインの中でもこれまであまりスポットが当たらなかった外様の子、和倉結名嬢であります。緒花たちの高校が修学旅行ってことで、向かった先がたまたま結名の許嫁の経営している旅館だったという、何とも都合の良い(悪い?)展開である。ちなみに、途中で結名がしゃべっていた方言によると、旅行先は宮崎らしい。宮崎に修学旅行って、どの程度一般的なものなんだろうな。石川県民のスタンダードは知らないからピンと来ないけど、そもそも修学旅行に行って海水浴を楽しんでいる時点で理解が及ばないのである。最近の学生はそんなもんなんかねー。

 さておき、今回は水着からスタートしたってことで単なるサービス回になるのかと思いきや、やはり無駄な話は作らないのがスタッフの心意気らしい。喜翠荘、福屋に続く新しい旅館を登場させることで、緒花たちの考える「旅館哲学」に新たな揺さぶりをかけようというのがこのエピソードの狙いだろうか。そして、この話を見ることで、ようやく結名というキャラクターの存在意義が見えるようになってきた。それは、あくまで「普通の女子高生としての視点」を提供すること。いや、結名自身はかなりの変人なので「普通」とは言い難い部分もあるのだが、緒花・民子・菜子と3人並ぶと、みんな真面目で猪突猛進タイプなので、どうしても価値観が片寄ってしまう部分がある。そこに一石も二石も投じる役割が、ライバル旅館の跡取りである結名のお仕事だ。

 旅行先でも旅館経営と中居の作法について目が向いてしまう喜翠荘組。しょせんは見習い連中の視点なので企業戦争とはほど遠い社会科見学レベルの視察ではあるが、それでも単に遊びに来ている修学旅行生としては異質である。緒花は喜翠荘との違いに興味津々で番頭や中居を観察していたが、そこで一抹の疑問を感じる。そのことは、民子も、そして結名も感じ取っていたようである。一言で言ってしまえば「心ある旅館経営」とでも言うべきそのファクターは、あくまで人の手でなされる喜翠荘の昔ながらのもてなしの心とは一線を画したものであり、大旅館の運営に期待を持って見ていた緒花にとって、何とも残念なものになっていた。

 そして、都合良く起こったバイト中居の離反劇。宜なるかな、という展開ではあるのだが、そこにとどめを刺すのが結名の一言。許嫁をふり、さらに旅館経営というこの作品の本質すらあっさりと蹴飛ばす結名の奇妙な存在感。猪突猛進に「ボンボって」いた緒花の価値観とは真っ向対立するその姿勢は、傲岸不遜でありながらも、何故か奇妙な人生哲学も感じさせるものである。次回、緒花は確実にこのトラブルに首を突っ込むことになるだろうが、結名との関係性は、一体どんなものになるのか。楽しみである。

 それにしても……結名のキャラが想像以上に強烈。当初は単なるふわふわしたお嬢キャラだと思っていたのだが、どこか達観しているような、何とも超越的な雰囲気もあり、夜の密会での許嫁とのやりとりは、「わがままなお嬢」として見える一方で、何かあの旅館の「失点」に気づいているような口ぶりでもある。大量の中居見習いが居並ぶ中でさらりと「旅館なんて興味がない」と言い放つ奔放さは、わがままというよりも、枠に囚われない自由さも感じさせるものだ。一体どういうスタンスに落ち着かせたいのか、未だ脚本の意図が読めないのである。

 そもそも、今回の騒動に単純な「善悪」が付けにくいのが難しい。普通の精神論だと、「働いている人間のことを考えずに徹底したマニュアル化を強いた旅館の経営姿勢が問題なのだ! もっと心を込めた経営を!」という流れなんだろうが、番頭さんが頑張って進めていた経営の効率化は、商売としては至極まっとうなものだし、努力は報われるべきだ(実際、緒花たち旅行客は旅館に充分満足している)。適当な態度でバイトに取り組んだ中居見習い達の態度こそが、見ていて不快になるものだし、どちらかというと悪役であろう。

 ただ、そうなると結名が善悪のどちらに属するのかがややこしくなる。結名の態度は、どちらかというとバイト中居たちに賛同する流れだ。「お前の旅館経営はつまんねーんだよ」と言い切ったわけだし、旅館なんて興味がない、という態度も、青春まっしぐらの緒花とは対極である。しかし、結名自身の言い分には、特におかしな点は無い。花の女子高生が若い身空で人生を決める必然性は無いし、無限の未来を自由に楽しみたいという彼女の意志は尊重されるべき。無理矢理福屋という家系に縛られる必要も無い。もちろん、告白を断るのも、許嫁をふるのも、全て彼女の自由。はっきりと意志を相手に伝えている分、誠実とも言える。じゃぁ、彼女は「善」であるのか? いかんせん、主人公の緒花から見ると、どうも「良い人」にはならないようなのである。この齟齬を、次のエピソードでどのように捻ってくるのか。本当に次が気になるお話である。

 その他、蛇足ついでにいくつか書いておくと、今回のコンテはなんと「ハガレン」監督を務めた入江泰浩。個人的には「SOUL EATER」のオープニングコンテの印象が強い作家さんなんだけど、今回はあんまりエロくない女子高生達を精一杯サービス混じりで描いてくれた阿漕な画面作りが印象的である。ただ、前回全力投球したせいで気が抜けたのか、特に中盤のシーンで作画がへろへろになってたのがちょっと勿体無かったな。あ、でも河童なこちの反則ボディは驚きのサイズです。緒花の入浴シーンもやるせないエロさです。

 そして、今回最大の焦点となった結名であるが、戸松の音域が、実は案外出てこないような部分だったので新鮮。本当に微妙な差ではあるんだけど、基本の発声からちょっとだけうわずらせて上げてやることで、結名の持つ奇妙な鬱陶しさが面白い味になっている。今期だけでも真朱・鳴子などで引っ張りだこの戸松であるが、1つ1つの役作りでこういう仕事が出来るからこその需要なんだろうと、ほとほと感心する。あと、今回メインで暴れてたバイト中居の中の人が小松未可子でしたな。ジョーイ君だと違和感無かったってことは、やっぱり女性の声として聞くとそこそこ低いな。

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 圧倒的最終回風味! 第13話。いやぁ、これやこれ。これが見たくて「いろは」を見ているのですよ。前回までの打ちのめされるような物語もひと味だけど……やっぱり緒花ちゃんは前を向いてる表情がよく似合う!

 とにかく、女将・皐月・緒花という3代の対立・対話・関係性がみっしりと敷き詰められ、その1つ1つを見ているだけでも楽しい、この作品の真骨頂のようなエピソード。作画も含めて、今まで溜まってきた鬱憤を全て吹き飛ばすかのように「見たいもの」がてんこ盛りでした。

 今回のテーマは当然「家族」。どんな人間でも、どんな状態でも、「家族」というテーマは必ず人に訴えかけるものがある便利なもので、鉄板であるが故に、それを描くのは易しい作業ではない。今期、脚本を任された岡田麿里は「あの花」と本作の同時進行体勢だったわけだが、「あの花」が男女の機微を中心とした「横の繋がり」で構成されるのに対し、この作品は徹底的に血縁を中心とした「縦の繋がり」が描かれるのが対比的。ややこしくて、泥臭くて、生々しい部分があるだけに、この珍妙な「家族劇」が映えるんです。

 1人ずつ見ていくと、まずは女将。「娘の顔を見たら平手で横っ面をはらない自信が無い」というので最初はケンに回った女将だったが、皐月のわがままに付き合わされて、気づけば土俵に上がっていた。一度は縁を切った娘との久し振りの再会は、本来ならば彼女に憎悪と決別を思い出させるものになっているはずなのだが、接客のために動いた女将の手から繰り出されたのは、より的確な「歓待」の指示。よく知っている娘だからこそ、何をすれば喜んでもらえるのか、それを考えることが出来る。この姿勢は「旅館の経営者としての義務」だから動いた、というのが表面的な動機であるが、最後まで見ていれば、そこに営業理念以上のなにかが含まれていたのは明らかであった。経営者としての信念を曲げ、わざわざ調理場に立ったことがそれを如実に表している。

 女将の態度をここまで軟化させ、夢の3代対談を実現させた功労者は、当然3代目「四十万の女」である緒花だろう。皐月を呼び出すだけ呼んでおいて、いざ乗り込んでこられるとどうしていいか分からずにワタワタするのは経験の浅さ故だろうが、持ち前の責任感の強さから、「皐月をもてなして評価を変えてやる」という本来の目的は充分に果たせていた。女将の指示を受けて「対皐月戦線」の最前線で奮戦出来たのは、やはり緒花だったのだ。また、最後の対談の席では、酔った勢いに任せて「母親を認めざるを得ない」という本音がポロリとこぼれ出た。既に先週までで形成されていた「母への敬意」だが、それが夢の対談を舞台に、表面化した形である。また、今回は祖母の意外な素顔に立ち会うことが出来たのも、彼女が次のステージへ進む重要な契機となるだろう。気づけば喜翠荘は緒花が「帰る」場所になっていた。彼女の頑張りは、確実に実を結んでいる。

 そして、渦中の人物である松前皐月だ。「敵地」喜翠荘へ乗り込んできた皐月は、傍若無人な振る舞いの中にも、フリーライターとしての「仕事人」の顔を挟み、娘や従業員を圧倒して見せた。放蕩娘とは言っても、長年喜翠荘でたたき上げられてきた生まれながらの旅館の娘。その辣腕は、従業員の目から見ても純粋に「四十万の血」が見て取れる。

 そんな皐月は、はっきり言ってしまえば今回は和解目的で喜翠荘を訪れている。最後に迎えた三代対談は彼女の狙い通りの舞台であったし、そこで手にした情報と、与えた情報は、全て彼女の思惑通り。駄目だ駄目だと思っていた「母親としての仕事」だったが、女将と緒花の連携を見て、自分がちゃんと「伝統の伝達者」として機能できていたことを知る。それと同時に、緒花に「ちゃんと旅館として歓待してみろ」と挑発したのは、緒花が自分と同じで、仕事に打ち込み始めたら回りが見えなくなることまでを読んでのこと。人生で初めて失恋という壁にぶち当たった愛娘に対する、彼女のなりの発破のかけ方だろう。そして、酒に負けた年老いた母に対しても、彼女は「娘」としての視線を向けた。弱くなった母、優しくなった母。彼女は、自分を守り続けるためにそれを受け入れることは出来なかったが、それでも若さ故に作り上げてしまった頑なな関係性を解消する方向には向かうことが出来ただろう。

 一晩という短い滞在期間ではあったが、皐月にとって今回の宿泊は、「母親」として、「娘」として、自分が築き上げてきた成果が確認出来た、至福の一時だったのだろう。もちろん、そんな柔らかい部分は最終的には「女」の自分で覆い隠す。出がけに緒花に渡した手紙が「仕事人間」としての1つのけじめのスタイルをとっているのは、そうした外面的な理由によるものだろうし、「それはそれ、これはこれ」というドライな教えを娘に託す、社会の先輩としての優しさである。

 三者三様の「四十万の女」たち。仏頂面で仕事一辺倒の女将。仕事も人生も謳歌しながら、社会のはみ出しものの烙印を押される皐月。何事にも不器用で、走り出したらブレーキが利かず、初めての恋に挫ける緒花。面倒の種類は違えども、そこにはぶっとい芯に支えられた「四十万の血」が生きている。「みんな結局同じなんだ」ということが分かる会談シーンは、やってることはムズムズするような親子の対話なのだが、その一言一言にあふれ出るような愛情が感じられて、終始ニヤニヤしっぱなしの名シーンである。今回は特に、緒花の百面相が本当に可愛い。作画的にはぶちゃいくになっている気もするのだが、突っ走って、間違って、ひっくり返るのが緒花の真骨頂。ボロボロととめどなくこぼれ出る孝一への思いも、人生の先輩2人に受け止めてもらったことで、少しは軽くなっただろう。ラストシーンでは、全身全霊の思いを山の上から叫ぶ緒花の顔が確認出来るが、その目に宿る光は、皐月から受け継がれた「松前の血」が宿っているように見えた。こうして女は強くなっていくのであるな。

 ついでに、今回は皐月さんの入浴シーンが過去と現在で計2回。豆じいの前でタオルを脱ぎ捨てる勇姿は、実にマニアックな嗜虐傾向に目覚めそうな大サービスシーン。豆じいが役得過ぎてずるい。ちなみにこのシーン、皐月の声が伊藤かな恵で、女将の声が本田貴子なんだよね。遺伝って怖いなぁ……

 更に蛇足ついでに、どうしても私は男の子ですんで、皐月や緒花よりも若旦那の縁の方に感情移入しちゃったのがさりげない印象点。女親と娘って、やっぱり色々とややこしいんですよ。そういう時に、どれだけ頼りなくても便利なのが息子っていう存在で、女将は「皐月の顔をはりたおすかもしれない」と言っていたが、実際に連打を浴びたのは縁なのである。男の子は、こういう役割を受け入れることで家族を回す役割があるんですよ。納得しろと言われるといささかひどい扱いだが、これも1つの信頼の形じゃないかと。頑張れ、縁。

 次回からは新展開。いきなりの結名回ですか。実はすごく楽しみです。水着のサービスシーンもあるみたいだけど、緒花はびっくりするくらい色気がないな!

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  ボンボるおしまくりの第12話。なんでこの町の住人はオリジナル日本語の制作と普及に余念がないのだろう。普通、自分が考えた「新しい日本語!」なんて恥ずかしくて使えないと思うのだが……あかん、ホビロンが危ない。

 さて、前回からの続き、「東京編」。今回も緒花大暴走は留まることを知らず、2つの人間関係に対して決定的な変質をもたらすことになった。視聴者としてはどちらも無視することが出来ないものだが、まず最初に、どちらとも関係無い、徹との関係について片付けてしまおう。実を言うと、徹・緒花間の間柄は、単なる憎まれ口を叩くだけの同僚レベルだと思っていた。確かに緒花は徹を信頼して必死に彼の姿を探し求め、最終的にバイクでタンデムするまでになったわけだが、あれはあくまで緒花の仕事に対して猪突猛進な姿勢が現れただけのこと。いわゆる男女の仲に進展するようなものではなかったはず。唯一おかしかったのは緒花が熱を出した際の徹の検温アクションのくだりだけだが、あれも今回緒花が言った「女性の扱い方が下手」の一部として処理してしまえるレベルだと思っていた。しかし、どうも今回の様子を見ていると、どこまで自覚的なのかは定かでないが、徹の方は視線に熱が籠もっているらしい(民子がそう分析しているのだから間違い無いだろう)。さて、徹はどのあたりから緒花に対する態度を変え始めたやら……最初から見直したら兆候が確認出来るのかな? そのあたりがどうも唐突な気がして、ちょっと気がかりなのです。

 それ以外の2つの人間関係は、やはり歪ではあるものの、描写が重いためにそれぞれの意味はじっくり考えさせられる。まず、こじれにこじれた孝一との関係性。外野から乱入してきた新たな恋人候補五十嵐との対話を経て、緒花は自分の孝一に対する思いを再確認するとともに、同じ思いを抱いていたはずなのに報われなかった孝一に思いを馳せる。ここで緒花は、ようやく大きな成長を果たすことになる。「孝一のドラマなら、自分は悪役ではないか」と。

 通話が終わった後にたまたま緒花はそのことを「ぼんぼり」に例えていたが、これまで全ての悲劇、活劇の主人公であり、ヒロインであるように動き続けてきた緒花にとって、「自分は脇役、しかも悪役であるかもしれない」という気づきは実に大きなものだ。他者の視点を経ての自己認識というのは、幼児の成長過程においても重要なプロセスであり、それを頭ではなく身体で理解し、1つの真理としてたどり着いた緒花は、ようやく1段「大人」へと進んだ。

 しかし、その気づきが孝一とのベストエンドを迎えられないのが苦しいところ。自らの「悪行」を悟った緒花だったが、孝一への好意はあくまで「生物として?」である。未だ恋愛感情というものにはたどり着いていない。その状態では、残念ながら「自分への好意」という孝一の感情を理解することが出来ない。本当の「好き」に出会っていれば、道の選びようもあろうものだが、それが無くなってしまった今、「悪役」たる緒花は舞台から去る以外の選択肢を持たなかった。孝一がどんな状態で電話を受けていたのかも、考える余裕はなかったのだ。

 そして、孝一と五十嵐に教えられた「他者の存在」が、緒花と皐月の関係性にも変化をもたらした。これまであってはならなかった「他者が主役の視点」を手に入れた緒花。駄目人間とは言っても母親の人生にもドラマはある。そして、その主人公はあくまで皐月でしかない。そこに娘である自分が入る余地は無いのである。残念ではあるが、皐月誘拐計画は一度鞘に収めるつもりだった。しかし何の因果か、結果的に皐月は喜翠荘へと向かうことになった。車内での会話から、更に松前皐月という人物の深層が彫り込まれていく。

 結局、この作品は「緒花と喜翠荘」の物語であり、換言すれば「緒花と四十万の物語」、「松前と四十万の物語」であり、血縁関係の物語だ。そして、喜翠荘にいただけでは、そこには女将と緒花しかおらず、その間を埋める存在が不足している。四十万スイ→松前皐月という関係があってはじめて、そこから皐月→緒花が構築され、その総和が女将→緒花なのである。皐月が自らの人生を費やして手に入れた人生訓が緒花を育てたのであり、それが緒花と喜翠荘の関係を生み出した。ついに、そのコネクタたる皐月が、渦中に飛び込む。

 「母親が間違っていることがどれだけありがたいと思うか」。皐月の発言は一見すると実に適当で、無責任なものであるが、これがなかなか含蓄に富んでいる。この一言だけで、数十年前の喜翠荘がどんな場所であったのか、想像出来るというものだろう。

 この作品も、いかにも岡田麿里、といった風情で「あまり正面から見たくないもの」を遠慮なく見せてくれるエグさがある。今回の東京編は、そんな側面がぐいぐいと前面に出たハードな展開であった。舞台は再び喜翠荘へと戻る。さて、一体次週から何が起こるやら……

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  何がなにやら11話。舞台が一転東京へ、そして、緒花の暴走一切止まらず。

 先日の覆面取材記者騒動の余波が突然現れた。喜翠荘だけでなく、湯乃鷺の旅館勢は軒並み低評価という厳しい採点に、緒花たち喜翠荘の面々はもちろんのこと、福屋を含めた旅館組合は額を寄せ合っての緊急会議、善後策を講じることになった。しかし、そんな中でも女将は冷静に「他人の評価の意味を受け止めろ」とにべもない返事。自分の努力が報われなかったことに不満たらたらの緒花が、それで納得出来るはずがなかった。

 頑張るときには前のめり過ぎて前転する勢いなのが緒花という娘。女将が止めるのも聞かず、そのまま東京の出版社まで殴り込みをかけると、強引に記事の責任者の所在を探り当てる。しかし、そこに記されていたのは唯一の親族である母親の名前。すぐに問い詰めに向かうが、こちらも「仕事だから」とすげない返事。怒り心頭の緒花は、座り込みを含めて反省を促す強攻策に出るも、たかが小娘1人にどうにもならない問題はある。久し振りに叶った孝ちゃんとの再会も心の渇きを癒すどころか、更なる難問を突きつけることとなり、緒花の悩みごとは臨界点を越えてしまう。

 

 ふむ、本当にこの娘はよく分からない。青臭い理想論を振りかざすだけならば「若いね」で終わりなのだが、その行動力が尋常ではなく、あれだけの発端からわざわざ出版社に押しかけて脅迫まがいの行動にまで出てしまうのだ。更に、主犯格に母親がいると知った後も、「仕事だからああいう記事を書いたのも仕方がない」と渋々認めつつも、落としどころとして提案したのが「ちゃんと喜翠荘を訪れ、自分なりの正しい評価を執筆しろ」というもの。確かに社会に飲まれて駄目になった(と緒花は思っている)母親の更正策としては意味のあることなのかもしれないが、既に当初の問題は投げ出してしまっていることに気づいているのだろうか。今更皐月が何を書こうが、既に記事として載ってしまった事実は変わらないし、喜翠荘が受けたダメージは回復しない。いくら母親が喜翠荘に対する認識を改めたところで、それは緒花の自己満足以外の何ものでもないのだ。

 それでも緒花は止まれない。自分が信じた正義が負けるのが我慢出来ない。それが松前緒花という女の子なのだから、仕方がないのだろう。だが、自分が正義だと信じられない状況で、彼女がどうなるか? それこそがまさに、再会を果たした孝一との関係性である。

 話の流れから「相手に対して誠実な返答をしなければならない」と説こうとした緒花だったが、これまでの自分の態度こそが、最も不誠実なものであったと思い至ってしまい、押し黙ることに。孝一はちゃんと態度で示してくれていたのに、自分は忙しさを理由に、その返答を誤魔化し続けていた。突然そのことに気づいてしまった緒花は、喜翠荘のこと、母親のこと、そして孝一と一緒にいた知らない女性のことなどがグルグルと頭を回り、わけが分からなくなってしまった。すると、彼女は更に走るのである。ただただ走って、泣いて、転げ回って。本当に何も出来なくなって。次回のサブタイトルを見ると、このどうしようもない独り相撲は、まだまだ底の見えない転落劇となってしまうのか。わざわざ東京を訪れていた徹と民子の手により、本当のどん底の一歩手前で救出された緒花だったが、ややこしい彼女の内面を考えると、今回の「心が動き続けた」事件は、後々まで尾を引きそうである。

 正直、彼女の心理面は追い切れないところがあるので、なんだか置いて行かれたような気になる突拍子も無いお話だったが、まるまる1本緒花が暴走する様子だけを延々描き続けるというしんどいシナリオだったおかげで、その痛々しさは違和感から極限状態の倒錯感に変わったような気もする。緒花の主張する論理はおかしいし、馬鹿馬鹿しくすらあるのだが、それは一朝一夕で生まれたものではなく、皐月という破滅的な母親の下でこれまでの人生を歩んだ、1つ1つの積み重ねで得られた彼女の歪みである。今回の対峙でそれが浮き彫りになり、最終的にはそれを是正し、大人への階段を上るエピソードになってくれれば、ドラマとしても見栄えのするものになるだろう。孝ちゃんとの関係性ばかりはどうにもならない気もするが……何とか胸のすく終わり方になって欲しいもんである。

 まぁ、幼女緒花のくしゃくしゃ顔とかは可愛かったし、とにかく突っ走っている方が彼女は可愛く見える。多少の無茶も若さ故の魅力と思えば、これだけの無茶な展開も、いわゆる1つの萌え要素、かもしれません。

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