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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 商人が求めるべきものとは何かを問われる、原点回帰の最終話。「金だけが人生じゃない」といえば聞こえはいいが、それは金の価値を知らない人間の戯言。求め続けた先に、11人の持つ「価値観」の答えがある。

 暴動渦巻く北の町。エーブとロレンスはそれでも目の前に迫る巨万の富へと確実に歩を進める。前回までにロレンスが察知した「何か」について、ホロも当然うっすら感じ取ってはいた。しかし、それを隠すことにしていたロレンスの本音は、ホロの想像する以上にセンチメンタルなものであった。この商売は、成功しても別れ、失敗しても別れ。それならば、いっそ根底からひっくり返して無かったことにしてしまえないか。連れのそんな情けない思惑に、ホロは激高する。ロレンスも、だからこそ本心を伝えたくなかった。伝えてしまったことで、最後の道も閉ざされてしまった。

 商会にホロを受け渡し、ロレンスとエーブの最終決戦が始まる。「嘘はついていないが真実は何も語っていなかった」エーブと、その思惑を悟りながら、彼女の本心を見極めたいロレンス。この作品にしては珍しく切った張ったの攻防になり、エーブはすれ違う自分の「価値観」でロレンスを組み伏す。稼いで、儲けて、その先に何があるのか。商人の道に限界は見えず、教会への復讐にもリスクはついて回る。危ない橋を渡り続けるエーブの人生を、ロレンスは見透かしながらも問いかける。

 エーブの目に映るのは、自分を不幸にした者たちと同じ、商人としての果て無き探求。ロレンスに対しても、「それを求める以外にない」と断言し、最終的には「期待している」という言葉を残して力で金をもぎ取って消えたことになる。彼女の信念に正義があるのかどうかは問題ではなく、あくまで求めること自体に彼女の未来が見える。ロレンスの口を封じず、宿の念書を置いていったところに、彼女に残された懊悩が伺える。

 結局、ロレンスはそんな彼女の姿に反発を覚えながらも、1つの真実を得ることができた。「望んでも手に入らないものがあるが、望まなければ何も手に入らない」。どれだけ危険な目に遭おうとひたすらに自分の目指すものを求め続けるエーブの姿勢を見習い、ロレンスは今できる最大限でホロを求めた。賢狼には我慢ならないその選択も、狡猾な商人の手管で先回りされてしまってはどうしようもない。大馬鹿者の行商人と、それに「惚れるのが怖い」小さな神の旅路は、再びの出発を見たのである。

 エーブという「対立図式」を持ち込むことによって、ロレンスとホロの仲を掘り下げたエピソードの幕。前回の黄鉄鉱編でも一応の答えは出していたと思うのだが、今回の取引では、ロレンスが自分の大望とホロをはかりにかけることになった。こうして書いてみると非常に俗っぽい「金か女か」の選択なのだが、そこに「金を求めることに疑問を抱きつつも、ひたすら突き進む商人」であるエーブを対比させることで、1つのラブストーリーとしての結末をすっきりと見せることに成功している。

 某孤独なグルメサラリーマンばりのアームロックを見せたロレンスの武闘派っぷりは意外だったが、やはりこの作品の場合、そうした立ち回りより、後半のホロとの対峙の方が見どころである。この手のヒロインに叩かれるヘタレ主人公というのはよくある構図だろうが、まさか一撃目が平手でなくてナックルというのはなかなか見られない光景だ。尻尾を逆立て、渾身の一撃を見舞うホロは、本当に怒っていたのだろうし、本当に悲しかったのだろう。しかし、それ以上に、ロレンスの本気に応える必要があったからこその拳だったのだ。2人の関係はもはや金がどうこうとか、旅がどうこういうレベルではなくなっており、新たな旅の中では、2度と今回のような確執は起こらないに違いない。

 ラストシーンでは教会の鐘が高らかに鳴り響く中を、2人が手を取り合いながら商会から出てくるという非常に象徴的な「門出」の演出で幕を閉じている。金色の光に包まれた巨大な船も、2人の新たな「船出」を示す非常に明確なメッセージといえるだろう。

 毎週追いかけていく中で、「どうせ2人して揉めてるけど最後にはよりを戻して旅を続けるエンドだろ」というのは分かっている。それでも、2人の微妙な関係性にやきもきさせられながら引き込まれるのは、ひとえにその描写が真摯だからだ。今回も、ロレンスはこれまでのようにヘタレた考えこそもっているものの、序盤のホロへの告白、エーブとの対峙、そして迷い無いホロ救出の算段にホロとの直接対決と、1度たりとも迷ったり、困ったりしていない。彼は彼なりの成長を経て、今の関係性を見つけ出しているのである。ホロも、そんなロレンスの変化があるからこそ、完全に上に立つことが出来ずに、あんな愛らしい姿を見せてくれるのである。

 原作エピソードは多分12期を通して4本は消化された。しかし、原作はまだまだ残っているはずだ。このままのクオリティで、さらに続きが見られることを期待したい。

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