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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 見てきました。まだちゃんと特典貰えてよかったです。杏さやだったので「ひゃっほう!」ってなったけど、考えてみたらこの作品の場合にはハズレが無いからどれでも「ひゃっほう!」だな。

 ネタバレ警告前にはっきり書かせてもらいますが、当方、この映画の評価を一言でするなら「100点満点で120点」です。国産劇場アニメでここまでビリビリ来たのは、多分「花いろ」のどストライクだけだと思う。とにかく全てが圧倒的にハマりました。だから貶し言葉も、懐疑的な評価も一切出てこないことを先にお断りしておきます。本作はその構成のために賛否あるらしいのだが、どのあたりに「否」があるのか理解出来ないくらいのものです。

 

<以下、ネタバレなど注意。あと、多分長文注意>




 さて、今作の何が凄いかを一言で語るのは難しいが、敢えて一点に絞るとするならば、ごまかしのない横綱相撲で、正面からファンの期待を受け止め、思い切り投げ飛ばしたことではないだろうか。「一度シリーズとして完結している作品の劇場版」というのは様々なハードルがあり、どのように「プラスα」を加えていくのかは非常に悩ましい問題だ。「スタドラ」のように完全に総集編としてしまい、新規部分はおまけ程度にとどめるか、視点を変えて書き添える「あの花」のようなスタイルになるか。サブエピソードとして何かを追加する「花いろ」「シュタゲ」のような方向性もある。どれも一長一短とは思うが、本作の場合には「厳然たる続編」として、新たな物語を産みだすことに成功している。そして、その「新たな地平」は、一筋縄ではいかない茨の道。穏当に「それっぽい追加エピソード」でお茶を濁せばどうとでもなるところで、それを良しとせず、「このまま『まどマギ』の世界が進むべきはどこなのか」という成長の物語を視野に入れ、それを形にした。そのチャレンジ自体が、まず最大の功績といえる。

 さて、真っ先に「賛否」あるらしいメインシナリオのことについて片付けてしまおう。今作のシナリオは、視聴中に「ここで終わっておけばいいのに!」と一瞬思わせる箇所がいくつも存在している。個人的な感覚だと、最初に仁美ナイトメアを退治した戦隊ノリのところなんかもそうだし(この時点ではまだ笑って見ていられたからね)、ほむらが真実に気付き、まどかを守るために自己犠牲の中で滅び行く部分もそうだろう。そして、最も多くに視聴者がそう感じたであろう、まどかによるほむら救済シーン。ここで終わっておけば、「普通の劇場続編」として幕引きして、「それなりの満足感」で終わったものである。そしてその後のほむら覚醒。ここでようやく終わるかと思われたが、最後の最後、エンディングテーマ後のキュゥべえの復讐フラグまで、全て「まだあるのか!」のオンパレード。最後の1シーンだけは今後の可能性を踏まえた商業的な必要性も加味されたものであるが、やはりあれがなければ天下のインキュベーターの名が廃るわけで、やはり必要なシーンだったといえる。

 本作のあらすじをまとめると、「旧シリーズでまどかがちゃぶ台をひっくり返して終わったが、キュゥべえはちゃぶ台を直したい。しかし彼はちゃぶ台の組み立て方すらしらないので、唯一知っているほむらを脅して直し方を尋ねた。ほむらは答えたくないと反発するが、彼女自身もやっぱりちゃぶ台の上のまどかの姿が見たかったので、キュゥべえが得しないようにちゃぶ台を魔改造して立て直した」という物語である。このあらすじについて、キャラクターの心情など、おかしな部分が何一つ無い。焦点となるのは主人公・暁美ほむらの心情ということになるが、元々テレビシリーズの段階で、今作の主人公はほむらであり、全てはほむらの絆の物語であった。そして、まどかが「理」になるまでに神格化された原因は、彼女の思念の籠もった複数回のタイムリープにある。であるならば、そのタイムリープを繰り返したほむら本人にも、同じような権利があって然るべきなのである。

 「安易なバットエンドにしてまた虚淵が喜んでいるだけだろ」などというのは浅薄な見方でしかない。まず、今作がバットエンドだという見方からしておかしい。むしろ、主人公であるほむらの心情を慮るなら、テレビシリーズの幕引きの方がバットエンドである。彼女の願いは「まどかの幸せ」であり、テレビシリーズは願いが叶ったとはとうてい言い難いものである。対比させて表すなら、テレビシリーズ(並びに劇場前後編)の幕引きは「納得の行くバットエンド」であり、今作のほむらが産みだした世界は、「納得の行かないハッピーエンド」といえる。ほむらの望みが「まどかの幸せ」だったのは間違いのない事実だが、より正確に記すなら「彼女の思うまどかの幸せ」である。今作において、この大願は見事に成就しており、これ以上のハッピーエンドはないだろう。「ほむらが狂った」ように見えるが、彼女は自分の口ではっきりと「希望や絶望よりも上の愛」について語っている。「狂った」というのならば、自己犠牲をいとわず、全ての魔女のために身を捧げたまどかの「希望」が既に狂ったものに違いない。ほむらは、ようやくそんなまどかと同じラインにたち、「愛」をかなえることが出来たのである。なんと理にかなった、すっきりした脚本だろう。

 「まどかが神である」というあり得ないスタート地点から始まったあり得ない物語。そこから「ほむらの神格化」に至るまでの道具立ては、実に理にかなっている。何しろあの「理にかなっていることでは右に出るものがいない」ことで有名なキュゥべえさんプロデュースの作戦が根本にある。それなら納得出来ないのは人類側に責任がある。いわば今回はまどか神・キュゥべえ神・ほむら神という、3柱の神の三つ巴の争いを描いた神話である。まどかという不可侵存在を打倒(正確には支配)するためにキュゥべえは対抗する勢力であるほむらを人質に取り、作戦は成功したかに思われたが、彼はほむらの実力を侮っていた。キュゥべえの戦略を利用して神域に登り詰めたほむらは、これまで叶わなかった自らの「愛」を振りかざすためにまどかに「叛逆」する。最終的には、彼女はまどかに対立することまでほのめかしており、愛情の行く果ての結末としてはおかしな構図に見えるかもしれないが、あくまでも愛情は一方的なもの。神と人間の間に平等な愛情関係が成立するはずがない。この度ようやく「神と悪魔」という対等な関係になったことで、改めて「対立しながら」彼女たちの新しい愛が育まれていくに違いない。

 さて、こうした見事なまでの「叛逆の物語」であるが、これを描くために、あらゆるものが「描くため」「魅せるため」に費やされているのが今作の凄まじいところである。いくつもの要素をぶった切って見ていかなければならないので大変だが、思い出せる範囲で何とか列挙してみよう。

 まず、本作で最も賞賛を浴びるべきは誰なのか? アニメ作品は数多の人間の手によるものなのでその中から「功労賞」を選ぶのは難しい。映像、脚本、音声、あらゆるジャンルが一つになっての完成度である。だが、乱暴承知で敢えて選ばせてもらうとするなら、私は、今作の立役者はコンテを作り上げた笹木信作氏ではないかと思う。エンドロールを見てぶったまげたのだが、なんと、この2時間の映像、1人コンテなのである。普通、劇場作品の場合は2,3人で分担してとりまとめることが多い。流石に尺が長すぎるし、1人では仕事量が多すぎて、統制が取れなくなる。それをやってのけたという作業量だけでもびっくりなのだが、今作の圧倒的完成度は、どこを取っても何一つ無駄が出ない圧倒的な情報の集積密度によるもの。これだけの繊細で巧緻なコンテが作られたことに驚きを禁じ得ない。振り返れば、笹木氏といえばなんと言ってもテレビ版の10話担当である。これくらいの荒技をこなすのも納得であるが、並大抵の仕事でなかったのは間違いないだろう。新房総監督、宮本さんももちろん相当尽力されているとは思うが、ここは一つ、現場の中枢であったと思われる笹木氏に最大級の賛辞を送りたい。

 次点で名前を挙げるなら、今回の画面の恐ろしいまでの迫力を産みだす元凶、劇団イヌカレーということになるだろうか。イヌカレー空間が「まどマギ」のキーパーツであることは誰も文句のないところ。これまでの作品では「魔女の結界」という異界を表すツールを担当していたために、あくまで「サポート」だったわけだが、今回は物語のほとんどが「魔女の結界」たるほむらの空間で展開されるため、全てを支えたのイヌカレー空間であった。あれだけ「重たい」画面、ずっと見せられたら慣れたり、飽きたりしそうなものだが、最後の最後にいたるまで、今作における「魔女ほむら」の存在感は圧倒的。作中、唯一脚本に冗長さを感じた部分に「杏子とほむらがバスで見滝原を脱出しようとするくだり」があるのだが、あのシーンも、余すところなくたっぷりとイヌカレー世界の広さ、高さを堪能するためのシーンだったと言われれば文句の言いようもない。「ほむらの物語」である「まどかマギカ」という作品の中で、最後まで「ほむらの力」が顕現し続け、それが訴求力となったことは、イヌカレーによる尽きることのないイマジネーションのエネルギーが絶対的だったことの表れである。シナリオを追うだけでも痙攣が止まらないような作品だが、映像面においても、「アニメ映画」のブレイクスルーとなる新境地が産みだされた。

 その他にも、たとえば相変わらずたまらない梶浦音源の話とか(まさか魔法少女の変身シーンで1人1人にテーマソングがつくとは思わなかった)、見たいポイントはたくさんあるのだが、もう1つだけあげておきたいのは、「ファンサービスの徹底」である。どれだけ大きなシナリオでも、どれだけ立派な画面でも、やはり前提として「視聴者を楽しませる」ことが必要不可欠。今作の場合、わずか12話(+劇場2本)しかない旧作の全てを利用して、「ファンの求めるまどマギ」を想像の埒外まで提供し続ける。序盤の戦隊魔法少女ノリの見せ方なんかは分かりやすいところで、変身シーンだけでも2時間耐久動画が余裕で耐久出来そうなくらいのエキサイティングっぷりであるが、その他、全ての要素が「この作品がまどマギであること」を主張し続けている。何しろ「ほむらの描いた理想のまどか」が活躍する世界。全ての要素は、我々が見続けてきた「まどかマギカ」の物語に嫌でもリンクし続けるのだ。杏子が電話を受けたゲームセンターのDDRなんかがそうだし、ドキッとする演出では、ほむらVSさやかのシーン、水滴の飛沫に2人が映り込むところなんかは、さやかがほむらに救出された旧作シーンのセルフオマージュになっている。

 ファンが作り出した「その先のまどマギ」もふんだんに取り込まれており、マミさんがはっちゃけ過ぎる様子なんかは、作品のベース以上に、ファンが盛り上がったティロフィナーレムーヴメントがそのまま活かされた、という印象を受ける。メガほむと覚醒ほむらのギャップなんかも強調されていた部分で、ほむらが眼鏡を外すシーンでたっぷり尺を取って「ここからが本番だ」と思わせるところなどは固唾を呑んで見守ってしまう。さやかが得意げな顔で「人生経験が豊富」だと歌い上げるシーン、テレビ版で散々見てきたほむらの部屋のイカリ(時計の振り子)が動き出すシーン。どれもこれも、旧作を見ていたらザクザクと刺さりまくるカットばかり。個人的にキュンとして落涙ポイントになったのは、花畑でのほむらとまどかの対話。まどかが対話しながら少しずつ三つ編みを編み上げていこうとする所が非常に暗示的で切なくなってしまう。ほむらの三つ編みは眼鏡と同様に「何も知らない弱いほむら」の表れであり、まどかは優しく諭しながら、彼女が現実を見ないように、魔女から少しでも遠いところへ行くように、必死に三つ編みを編み続けるのだが、全てに気付いてしまったほむらはそれを自ら拒否して解き放ってしまう。まるで2人で積み上げた歴史が霧散してしまうかのようで、本当に切なかった。まぁ、一番泣いたのは、オクタヴィアさんの現出シーンだったんですけどね。思わず小声で「キター!」って叫んでましたけどね。アツいよう! 敵キャラ味方展開がアツ過ぎるよう! 多分、やっぱり私が一番好きだったキャラってさやかちゃんなんだろうなー。

 ほんとは1人1人のキャラについても掘りさげて行こうと思っていたのだが、ここまでの文章でも長くなりすぎたので、せっかくだから1キャラだけ。……シャルロッテちゃん!!!! 本作ではベベちゃんと呼ばれているが、彼女のキュートさにもうメロメロよ。劇場版製作にあたって「新キャラ公開→CVアスミス」の流れで「またシャフトキャストだし! ここでアスミスとか安易なひだまりキャストめ!」と思ったが、ベベちゃんをやるなら仕方ない。もー、愛らしくて愛らしくてね。本作で唯一の不条理があるとしたら、ベベちゃんの存在だけなんですよ。存在自体はいいんだけど、彼女がマミさんと一緒にいる理由は何一つ説明してないからね。でもまぁ、マミさんのとこに置いておくしかないよな……ゆのっちは宮ちゃんと同居してないと不自然だもの。ひだまりでゆのっちが宮ちゃんに食べられたことがあったので、これでおあいこですね! (そういや今作でミズハスはマミさん、たー君、忍野扇の3役やな!)

 というわけで、話の締めは当然キャストの話になる。まー、いつも通りの話になってしまうわけだが……悠木碧という神域と、斎藤千和という神域。今作は旧作以上に「千和よ……おぉぉ、千和よ!」と叫ぶしかない出来ですね。本当なら、やっぱりほむらの心情っていうのは追いかけるのはすごく大変なんですよ。限られた時間で、あれだけの変化(何しろ概念すら飛び越えた)を実践したキャラクターなのだから。それでも、そこにあくまで「人の業」を残しながら顕然とし続けたのは、そこに息づくどこまでも人間らしさを持ち続けた千和の呼吸があったから。本当に幸せなキャラ、本当に幸せなキャストであった。あおちゃんの演じるまどかは今回「ヒロイン」ポジションだったのでいくらか抑えめではあったが、一番のインパクトは最後の学校のシーン、ほむらからリボンが帰ってくるあの場面。あそこに残されたまどかは「ほむらがもぎ取った一部」であるはずなのだが、それでもまどかは、弱さ、優しさの中に「揺るぎない強さ」を持ち続けていることが感じられる。やはり神と悪魔の最終決戦は避けられない流れであるのか。あとは相変わらずのキュゥべえの中の人とかね。そうそう、まどかママのキャストはちゃんと出てくれたすごくホッとしてます。1人でも欠けたら実現しなかった世界ですから。

 ……ふぅ、これだけ書いて、多分書きたかったことの3割くらいしか出てきてないとは思うのだけど、ひとまずこれくらいで。さて、これは流石に2度目の視聴があるんだろうなぁ……。

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