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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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○「キノの旅 -the Beautiful World- the Animated Series」 6

 実はこれが初見。相変わらず偏った趣味趣向をしてるもんだから、こうして「大定番」と言えるような作品でも割とスルーしてることが多いのです。もともとラノベって文化は守備範囲外だからなぁ。

 「ラノベ」という言葉が散々使い倒されて久しいが、勝手なイメージではこのあたりの作品が「ラノベ」という文化を現代に導いた過渡期だったんじゃないかと考えていた。これより前になると「スレイヤーズ」とかそういうタイトルになるんだろうが、そこから電撃文庫が出てきて、そこから少しずつファンタジーラノベのスタイルが確立され、「ラノベ的」な印象が固まっていく。そんな時代(調べてみたら本作の第1巻はちょうど2000年の発売とのこと)。このくらいの時期、私は全くファンタジー作品というものを読んでいなかったし、付け加えるなら、アニメも大して見ていたわけではない。ちなみにアニメの第1期は2003年の放送だが、そのあたりの時期もまだ視聴体制が定着しておらず、WOWOWでの放送がメインだった作品など見るべくもなかった。そうした背景があるおかげで、今回の作品でめでたく「初見」と相成ったわけだ。

 そして1話目を見ての感想だが、なるほど、これは人気が根強く残っているのもわかる。簡単な言葉でまとめてしまうなら、色々な部分が「巧い」作品だ。「旅」というタイトルを持ち、「国を渡り歩く」という体裁をとっているが、キノが渡り歩くのはもはや「国」というか「世界」である。1話目はおそらく数あるエピソードの中でもそれなりにインパクトの強いところを持ってきたのだろうが、「人を殺してもいい」という、かなりショッキングな内容の「世界」が描かれている。今作は先人からなんとなく似たイメージを引っ張ってくるなら、例えば星新一のショートショートのように、分かりやすく「もし」という非現実を持ち込み、そのネタ1つで、身の丈にあった物語を構築している。ショートショートならば4ページくらいで終わってしまうが、本作なら数十ページで1つの「世界」といったところだろうか。「もし、人を殺すことが罪にならない国があったら?」という「if」の世界の中で、しっかりと視聴者の好奇心を満たすだけの内容が盛り込まれている。

 「人を殺しても罪にならない」というこの一文だけで、当然我々は「そんな物騒な」という懸念を抱き、その先入観を「観察者」代表であるキノが表明する。彼女が夜な夜な銃を構えるトレーニングをかかさなかったのは、そうした先入観がなかなかぬぐいきれないことの表れだろう。その後、一応メインのネタとしての「殺すことは罪ではないが許されていない」という事実が明かされ、「法による拘束力というのは1つの指針でしかなく、それを共同体の運営者全てでまかない、いわば全員に逮捕権や防衛権が認められた状態なら世界は問題なく回る」という「if」の世界が見える。もっと突き詰めて考えればこの設定でも矛盾は生じるのかもしれないが、「もし」の思考実験としては充分なネタ回し。コンパクトにまとまっているのでこの1ネタだけでも「お話」として成立しているし、むしろこれだけの短時間でメインテーマがしっかり伝わるだけの要素を無駄なく展開できている筋運びはお見事。最後の最後、次の旅人に「またこの街の殺人罪の話をするんやろ?」と思わせておいてクレープで落とす小憎らしい会話の楽しみも忘れていないのが良い。

 こうしてしっかりと「お話」で見せられるアニメというのはやはり貴重だ。映像面についてはそんなお話の邪魔をしないよう、動きも少なめでなんとも大人しいものだが、今作ではこれくらいのさりげない画面回しの方が合っているのだろうね。そして何と言っても、そんな不思議とゆったりした空気を歩くキノとエルメスのバランス感。つまりは悠木碧の天性の「呼吸」感。そりゃまぁ、キュアショコラに憧れている人間ですので、抑え気味で男の子っぽい演技だって問題なくできるのは知っているけど、キノの場合、捉えどころがなくてどこか浮世離れしたような不思議な存在感が呼吸から漏れ出してくるのが嬉しい。かつて師(?)である沢城先生も言っていた「呼吸からキャラを作る」という奴だ。前クールは血管がブチ切れる役しかやってなかったし、ここいらでゆっくり、喉や体を休めてほしいもんです。いや、一番喋ってるんだから全然休まる現場じゃないんだけどさ。

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