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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 ジョージ格好いいよジョージ、第6話。今回はバトル無しエピソード。その分、じっくり画面を見ることが出来る回でもあります。

 シナリオラインとしては非常に明確な「巨悪」が判明する転機となるエピソード。エルクレスと呼ばれる「夢魔の元締め」の存在が判明し、メリーの身の上の謎も何となく明らかになった。さらにそれに付随して夢路の夢の中での傷と現実の関係や、様々な夢魔がどのようなスタンスで「世界」を構築し、対峙しているのかも分かる。説明役として登場してくれたチェイサーは無駄に格好いいだけでなく、治療役だったり、夢魔としてのサンプルの1人だったり、無理矢理夢に引きずり込むことでメリーと夢路の関係性を進展させたりと、八面六臂の大活躍である。1話で出てきた使い切りだと思ったキャラがこういう風に重要な役割で絡んでくれるっていうのは、ちょっと嬉しい。

 バトルがないおかげで山内コンテの特殊性が些か見にくい画面ではあったのだが(あと演出が違う人だからかも)、今回メインで描かれたのはメリーの心配であったり、「夢無くし」に対しての言いようのない不安であったり、夢路の男の子らしい決意であったり、目に見えない部分で現れる「心情」の重さがあるので、要所要所での山内コンテの重さが効いてくる。明快な1枚絵で表現する「止め画」の技法は分かりやすいインパクトを与えてくれるが、逆に「見せない」ことによる心情の描出もさりげなさが印象に残る作劇法。今回なら、夢路の見舞いに友達が訪れたシーンで、メリーが涙を拭って強気な笑顔を見せるカットがあるが、実際には涙を拭う手元ではなくて膝元にカメラを固定してみせたり、ずっと仮面を付けて表情が「見えない」チェイサーの心情が止め画とカット割りで少しずつ彫り込まれていくのをみせたり、緊張感を維持して飽きさせないだけの画面になっている。

 他にもチェイサーの飲むワイン(?)の瓶を通した魚眼越しのような独特の歪んだ画面とかはいかにも山内さんらしい変化だし、この作品の最大の胆を意識してなのか、最終的に必ずメリーのヘソにズームが固定される偏執的なカメラワークも秀逸だ。最初にメリーが奮起して立ち上がるシーンなんかは、中途半端な位置にカメラが固定されていたので「妙だな」とおもわせられるのだが、メリーが立ち上がると、ちょうどヘソで止まるように出来ていて「あぁ、なるほど」と思える。ラストの夢路に抱きつくシーンも同様。どこまでヘソなアニメなんだよ。

 やっぱり癖があるコンテワークの方が見ていて楽しめますな。時折この作品を評して「画が動かない手抜き作品」みたいなことが書かれているのを見ることがあるのだが、本気で非難しているとすれば(ネタとして言う分には知らんけど)、これほど勿体ないことは無いと思う。「動かす意味」を考えながらアニメを見ているなら、必然的に「止める意味」についても考えるべきだと思うんだけどね。止め画に意味がないとか言い始めると、「NOIR」とか絶対見らんないじゃんね。

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 秋谷智子なんて名前をものすごく久し振りに見た気がする第5話。最初「どこかで聞いたことがある気がする声なんだけどなー」と思ってたんだけど、流石にこの名前は出てこなかった。印象もぜんぜん違ったし、随分雰囲気が変わった気がする。こうして懐かしい名前がぽっと出てくると声優業界も苦労してる人が多いんだろーなー、という余計な心配ばかりが先立ちます。

 さておき、今回はちょっと流しただけでも「あ、また監督コンテ回だ」と分かる重苦しくてどこかまだるっこしい不思議な味わい。ただ、これまでの山内コンテ回はその「重さ」みたいなものが味として生きていた気がするのだが、今回はちょっともっさり感が先立って気になる部分が多かった。脚本に難点があるのか、前後のつながりが理解しにくいパートが多かったんだよなぁ。

 具体的には、一番理解出来なかったのは突如由衣がデイドリームを発動させたシーン。何故エンギがあの場面で突然夢魔狩りを始めようとしたのかが前後のつながりからさっぱり分からず、唐突な印象は否めない。「器」のことを気遣っているならば、もう少し落ち着いた状態で、心の準備が出来てから活動した方がいいと思うのだが。これまでメリーがなかなか見付けられなかった他の夢魔たちとの邂逅は、普通に考えたら千載一遇のチャンスのはずなのだが、前回といい今回といい、流石に夢魔のバーゲンセールが発生しすぎだと思うのだが。

 そして、純粋に突っ込み対象として釈然としないのが、メリーの現世滞在期間のくだり。サマーセールのチラシを「10回くらい見たことがある」とのことで、夢路は「まさか10年……」と驚愕していたわけだが、どう考えても、普段のメリーの行動は10年もうろうろしていた奴のものではないだろう。ドーナツも知らなかったし、スーパーの試食品との接し方も確実に「ものを知らない」人間の反応である。あの状態で10年もの苦闘を想像するのはちょっと無理があるだろう。別にサマーセールのチラシなんて、1シーズンうろついただけでも10回くらい見られるわけだしね……

 他にも、かなり無理矢理なエンギの見境無い突撃とか、突如行われる姉についての昔語りとか、脚本のラインがどうにも唐突。バトル展開まで持って行かなきゃいけない要請があるのは分かるのだが、もうちょっと基盤を固めてからやるべきことをやって欲しいものである。

 バトルシーンの演出は、1枚1枚の画の持ち味を活かした山内風が最も出やすいパート。今回はメリーが珍しく白刃取りやらなにやらで動きのあるシーンを見せてくれたのは嬉しいのだが、ここでもやっぱり前後のつながりが見えにくいのが気になる。エンギが必殺技の名前を叫んでから発動するまでやたらタイムラグがあったり、大量の刀を放つアクションを披露したのに衝撃波の大きさのみでそれを表してオリジナリティが見えなくなってしまったり、印象的にやりとりされた稲穂の意味がよく分からなかったり、見得を優先するとしても、ちょっと無駄が多すぎた気がする。癖のある演出ってのは堪能出来るかひっかかるかは紙一重だと思うのだが、やっぱりある程度の基本線が維持されていた方が良い場合もあります。ま、総じて動画面は面白いから、それはそれで維持して欲しい部分ではあるんですがね。ここまで細かい動画にこだわっている作劇って、なかなか他のクリエイターでは出来ないことだろうし。

 今回の余談・遠藤綾の姉キャラに後藤沙緒里って、なんか妙な配役で楽しい。中の人でイメージすると絶対姉妹として破綻する。あと、荒鷲先生はあれだけキャラが濃いのに、中の人になると突然没個性になる。ある意味役者としては正しいのかも。

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 おやっさんの職業、顔つきからしてもっといかつい商売だと思ってたのに、まさかの喫茶店経営に腰砕けの第4話。うむ、似合ってるような、そうでもないような……コーヒーについて蘊蓄を語るポーズが絵になるのは、ひとえに藤原啓治ボイスがずるいせいだ。

 今回、ようやく山内監督がコンテ業務から外れることになり、よく言えば見やすくすっきりした内容になっているが、悪く言えばその分味も素っ気もなくなった。3話までは楽しみに見ていただけに、担当するクリエイターでこれほどまでに変わるものかと再認識してちょっとがっかり。いや、ちょっと度が過ぎたファン意識なだけかもしれませんけど。原作が素直なんだろうね、あんまり引っかかるポイントが無いんだわ。

 とはいえ、今回はシナリオラインそのものにもちょっと「?」が飛び交う内容になっている。現時点で「夢魔」というのがなんなのかは未だはっきりしていない部分が多いのだが、そんな中でどんどんイレギュラーな事態が進行しており、ベースに何をおいていいのか分からない。

 具体的に言うと、今回の部長と夢魔の関係性は、どこまでがセーフで、どこからがイレギュラーなものであるのかがいまいちピンと来ないのである。夢路は1話で夢魔に追われていたが、彼の場合は「突然白昼夢(もしくは普通の夢)の中で襲撃される」という被害であり、現実世界への影響力は皆無だった。先週登場したみなととイチマの関係にしても、友情があったおかげでみなとちゃんは現実世界でもイチマのことを思って友達を作らずにいたようだが、イチマ自身が現実に干渉する力は持ち合わせていなかった。

 しかし、今回のクリスの場合、確実に現実世界にも侵攻している。二重人格となって一時的に「器」である肉体もコントロールしていたし、部長が携帯端末を2つもっていたことを考えると、文通のための携帯を用意するくらいの行動はとれたということだろう。そこまで出来るのだったら、既に半ば「現実に現れた」といってしまっていいのではなかろうか。もちろん、クリスは部長に対して害意があったわけではないことは描写されているので、夢路を襲ったジョン・ドゥや先週のイチマと違って部長を乗っ取らなかったことの説明は付くが、既に「器」を共有している状態ならば、無下に追い払うだけでなく、何か共存共栄の道を探るという選択肢もあったと思うのだが。

 つまり、一番分からなかったのは、部長が落ち込んでいるのを見ていきなりキレ始めた夢路のテンションということになる。確かに、初めての恋に胸を躍らせる乙女を裏切ったというのは許し難いことなのかもしれない。雨の中を呼び出して、彼女をびしょ濡れにさせていたことだって、腹立たしいと言えばそうだろう。しかし、それはクリスとて仕方なくやったことである。彼には部長と顔を合わせる手段が思いつかず、文通という不格好な方法でしか意思疎通が出来なかった。そのような状況において、部長の「器」を乗っ取らずにコミュニケーションを続けていたことは、これまで登場した夢魔と違い、クリスが友好的だったことを示す証拠ではなかったか。

 そう考えると、いくら何でも夢路の行動は短絡的だ。クリスを失って悲しむのは部長であるはずだし、夢路が真っ先に考えなければならないのは、「クリスを消し去ること」ではなく、「唯一デイドリームや夢魔の存在を知るものとして、クリスと部長の逢瀬の方法を考えること」だったはずである。それをせずにただ拳を振り回すだけというのは、いささか頭の悪い行動パターンだ。

 そして、そんな夢路の勢いに乗る形で、メリーも「夢喰い」を名乗っての夢魔討伐を決意してしまう。ま、あの状況なら夢路をボコボコにしていたクリスを悪者だと思うのは仕方ないが……それにしても、「自分が夢の世界に帰るための方法を探る」っていう第一目的を忘れてやしないか? 問答無用でぶっ飛ばしたら証拠も何もあったもんじゃないだろうに。「私を祓えるのか?」なんて意味深なことを言ってたクリスなんか、格好の情報提供者だったかもしれないのにな。

 という感じで、メイン2人の行動原理が無茶苦茶なので、今回はあまり楽しむことが出来ませんでした。バトルシーンにしても、やっぱり「メリーの武器は単なるパンチキックだけ」という決定的な「見栄えの悪さ」があまり解消されていないし、何かもう一工夫ほしいところである。画面で引きつけてある程度シナリオの齟齬を吹き飛ばせるような作品を期待したいものだ。いつまでも「メリーちゃんが可愛い」だけでは保ちませんぜ。

 それにしてもメリーちゃん、よくもまぁ、あの短時間で野球ゲームのスコアをあそこまで離されたもんだな……夢路は一体どんな難易度でプレイしてたんだろう。

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ミスドがコラボする日も近い気がする第3話。うぐぅのたいやき、シャナのメロンパン、メリーのドーナツ。やらない手はないだろう。

 3話になり、ようやく作品の流れの基本が見えてきたところのように見えるが、何と今回も山内監督コンテ回である。すげぇ気合いの入りよう。おかげでコンテが重いこと重いこと。こういうみっしりした演出回は疲れるけど視聴後の充実感が段違いなのでたまらんものがあります。

 先に断っておくと、シナリオライン自体は特に変わったこともなく。一応、メリーと夢路が共闘関係を結ぶための大切なファクターが描写される回である。2人の関係性を語る上では外せないエピソードとなっているが、例えばバトルが斬新だとか、びっくりするような展開が待ち受けているとか、そういうことはない。

 ただ1ついえるのは、充分ヒロインは可愛く描けているということだ。メリーは独特のコスチュームで活発に動くことでちゃきちゃきした魅力を遺憾なく発揮しており、独特の臍見せルックが躍動的な身体の動きを見せるのに効果的に機能している。また、それ以外のヒロイン勢でも、今回ゲストキャラ(?)として登場した幼女みなとのぽやっとした外面と、それと対照的に缶蹴りでみせた子供らしい元気の良さ、そして夢魔と対峙した時の屈託のない純朴さも伝わってくる。相対した夢魔の方も、大胆な表情の崩しでもってその悪辣さは伝わってくるのに、メリーに攻め立てられてほっぺをぎゅ〜っとされているときはどこか憎めない、子供っぽい小憎らしさが出ている。各々の作画の安定感はかなり高い。ラストシーンでは遠藤綾ボイスの新キャラも登場し、まだまだそっち方面の楽しみ方は期待できそうである。

 そして、それ以外に視聴のポイントとなっているのが、各シーンごとの癖のあるコンテワーク。やはり山内重保のコンテというのは「流れ」「繋ぎ」の演出ではなく、1枚絵を基調とした「見得」の構図が印象的だ。数えているわけではないので本当に印象論でしかないのだが、カット数は一般的なスタイルよりもかなり多くなっているのではなかろうか。その上でせせこましい印象ではなく、むしろどっしりと重たい印象になっているというのが、この人の見せるアングルや距離感の妙である。

 試しに例を出してみると、冒頭の夢路と勇魚の会話のシーンなんかはいきなり分かりやすい。遠望やアップなど、様々な角度から2人の会話の流れを繋いでいき、その中にはあまり関係のない風景のアップ、夢路の顔を追うカット、二人の足下を写すカットなどが連なるのだが、奇妙なことに、最後の最後に至るギリギリまで、勇魚の顔は画面に出てこない。首から下だけのカットなどで繋がれており、「何故か見えない」勇魚の顔が気になって、視聴者はやきもきしてしまう。最後の最後、「立派だと思うよ」という勇魚が夢路に向けて評価をする段にいたって、ようやく彼女の顔が大写しになる。このことによって、勇魚の気持ちがどこにあるのか、というのが視聴者に最大限の効率でもって伝わるようになっている。

 他にも、切れかけた電球のフィラメントが大写しになるカット、公園で遊ぶ子供達を、大写しになった端の手すり越しに見るカットなど、画面の遠近を大胆に崩して奥行きを見せる描写も面白い。メリーがデイドリームに飛び込んでくるシーンでは、落下するメリーと一緒に桜の花びらが一枚だけ画面に迫り、画面を多い隠すほどに寄るカットもある。ここでも、華麗に飛び降りたメリーの「上から下」という動きの迫力を、近接する花びらで見せる効果がある。

 画面の含意でいうと、ドーナツとそれに見立てた雲のリンクも面白い。最初に、夢路と勇魚の会話が終わり、メリーが鉄塔の上で思いを馳せるカットに繋ぐ場面では、2つにちぎれてばらばらになった雲の切れ端が見える。これはシンプルに、夢路とメリーがばらばらになっていることを表すもの。そして、みなとにドーナツを分けてもらったシーンでも同じような雲が見える。こちらは「みなとにドーナツをちぎって分けてもらった」こととの対比。そして、戦い終わって最後の夕空に浮かぶ雲も、まだちぎれたままになっているのだが、その形が最初とは変わっており、寄りそうようにして繋がりそうな形になっているのである。こういう間接的な部分にちゃんと意味を乗せてくるコンテは好みです。

 ただまぁ、その分バトルシーンなどの動きを期待するシーンでは重さが「テンポの悪さ」に繋がりかねないのは懸念材料だろうか。今回も「謎のこけし落とし」というよく分からない技を使う夢魔を相手に、そこまで劇的な大立ち回りもなく、割と淡泊なバトルとなっております。ほっぺぎゅーから最後のビンタに繋ぐ部分の達成感はあるのだが、そこまでの見せ方は賛否両論出そうな出来ですね。ま、これってメリーっていうキャラクター自体が、派手な必殺技のない「単なる凶暴な女の子」であり、見せる要素が少ないことが原因になってる気もするんだけどさ。

 最後は当然、中の人の話。今回はゲストキャラ2人の存在感が半端無い。幼女みなと役は、いまや飛ぶ鳥を落とす勢いとなった日高里菜。こうして単発キャラで聞くと、彼女に独特のちょっと掠れた声音の特徴がよく分かる。現在「STAR DRIVER」でやっているミズノあたりと音域は同じで、まだ「演じ分け」というのが完璧とは言わないが、きちんと役の呼吸に合わせた差異が意識されているのは伝わってくる。今後が楽しみな良い声です。そして、そんなみなとを籠絡しようとする夢魔・イチマ役には、前の番組「禁書目録」からはみ出して来ちゃったかのような井口裕香。ゆかちの悪者ボイスはなかなか聞く機会がなかっただけに、不覚にも笑っちまうくらい楽しかったです。ぼちぼち紋切り型のロリっ子だけでなく、イロモノ系でも見せていくチャンスが欲しいですね。中の人のことを考えりゃ、もっとテンション芸で見せる幅は広いはずなんだから。これで次の番組「みつどもえ」でもしゃべれば奇跡のゆかち三連射が達成出来るところだったのだが、残念ながらしゃべりませんでした。そう考えるとナチュラルに4番組連鎖とか達成してた豊崎は化け物だな。

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 緊張感が持続、第2話。作画演出アニメだから2話で崩れるかな、と思いきや、2話続けての監督コンテ、作画にはちゃんと総作監の藤井さんもついており、1話と同レベルの品質が維持されていました。結構気合い入ってんのかな。

 今回描かれたファクターは大きく2つ。1つ目は、作中メインヒロインと主人公の関係。メリーは一度は橘家のやっかいになり、ドーナツの魔力でもって餌付けされかけるが、やはり自分の理念は曲げることはせず、一人静かに旅路へと出て行ってしまった。親父さんがむやみに渋いおかげで出立のシーンなんかもやけに決まっている。素直に橘家の団欒に溶け込み、憧れのまなざしを向けるメリーの態度もごく自然に描かれていたため、この旅立ちが一際印象的だ。画の遠近を大胆にあしらった1枚絵のごときコンテがそこかしこに散見され(例えば食事中の親父さんをバックにメリーのスプーンの柄を手前に置いた画面など)、大きな物語の1ピースとしての「一時の別れ」を演出している。きれいな画だ。

 ただ、画面には色々と感心出来るものの、シナリオラインについてはちょっと弱い部分もある。結局ヒロインのメリーに記憶がないというのが難点で、彼女のいう「たくさんの帰りたいという気持ち」だけが、彼女の原動力となっていることは分かる。分かるのだが、彼女の生い立ちはそれ以外全てが謎に包まれており、単に「帰りたい」と言われても、そこに共感して見ることは困難だ。まだ世界設定すら完全に把握仕切れていないような状態で、さらに謎を含んだキャラクターの心情は実に追いにくい。決意を秘めて橘家を後にする姿は絵になっているとはいえ、楽しそうだったベランダでの表情を見ていると「別にもうちょっとゆっくりしていってもいいのに……」と思ってしまう。シナリオ上どうしようもない部分ではあるのだが、ちょっと勿体ない。

 で、もう1つ今回描かれていたファクターが、よく分からないけどとにかく夢路たちのクラスメイトであるところの、看護婦志望の子と夢魔の関係性。ユミと呼ばれる「夢を見付けた少女」と、それに興味を持って友好的に彼女を応援するセリオという夢魔。その関係性は、出会った夢のフィールドを象徴するひらひらと舞う花びらに彩られ、断片的なカットからでも十全に伝わってくる部分。それだけに、荒涼とした「他の夢」に巻き込まれ、セリオが消滅してしまったことの衝撃が大きい。視聴者側からはセリオがどんな奴で、ユミという少女が誰なのかすらよく分からないはずなのに、セリオを失ってしまったユミの変容が本当に心を痛める。短いカットながら、「夢魔の本質」を見せる上ではなかなか見事な構成だった。大量の罠や鎖に巻き込まれていく「悪夢」のシーンも、実に印象的で見応えがある。こういうどこか現実離れをした画を作らせると、やはり山内演出は面白い。

 このくらいのレベルで毎週進行してくれると、割と無難な画面が多い今期の中ではいい刺激になりそうな気がします。期待。

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  今回の主役が夏目だったことに気付く特別編2本目。乃莉なずななんかよりも夏目の方がよっぽどひだまりメンバーっぽいわ。

 1本目は帰省のお話。見ていての感想は、ただひたすらに「あー、こんな娘が欲しいわー」という1点のみ。一人娘がゆのって、本当に良い家庭だよなぁ。お父さんがベタ惚れなのもよく分かるし、それを見てるお母さんの視線も優しい。お父さんの仕事は多分普通のサラリーマンなんだろうけど、割と若々しいのにちゃんと持ち家があって、娘を私立の高校に通わせてるんだからそれなりの甲斐性もあるんだろう(まぁ、ゆのが高校2年生なんだから若く見積もっても30代半ばなわけだが)。こういう家庭でのんびり愛されて育ったからこそのゆのであるな。近所のおばちゃんからは「見るたびに綺麗になって」と言われており、視聴者からすると「いや、わからねぇよ」と言いたいところだが、試しに2期1話(受験の話)を見ると、確かに今よりちょっと幼い感じがする……気がする。こうして娘は育っていくのですよ。泣け。手料理の肉じゃがを食ってむせび泣け、父親よ。

 そう言えば、確かアニメ設定ではゆのの出身は山梨県のはずなのだが、随分移動に労力を使っていたみたいだった。首都圏の交通網はよくわからんのだが、山梨に移動しようとすると下手に新幹線で移動するよりよっぽど時間がかかるというのは本当なんだろうか。それとも、単にひだまり荘があまりアクセスの良くないところにあるのか。前回の夏目エピソードからすると後者かな? そう考えると、わざわざ関門海峡を越えてやってきた宮子のパワーってやっぱり凄いな。

 そして、ゆの家の名物と言えば、超天才ニャンコのニャン太であろう。でかい、ブサい、賢いと三拍子揃ったふてぶてしい同居人だが、ちょっと家を空けたくらいではゆののことは忘れていないようだ。私は、過去に1年近く実家を離れていたら飼い猫にちょっと警戒されて落ち込んだ経験があります。おかげで最近はこまめに帰って御機嫌を伺うよう、注意するようになりました。ただ、確か幼少期のゆのがニャン太にしがみついていたエピソードがあった気がするのだが、昔からずっとゆの家にいるとすると、ニャン太ももういいお歳であろう。せいぜい長生きして欲しいものだ。

 2本目は、一転してにぎやかなひだまり荘に戻ってのバベキュなエピソード。何でも用意出来るひだまり荘の設備も大したもんだが、思い立ってすぐに行動出来るメンバーの付き合いの良さもかなりのもの。普通、暑苦しい夏休みの炎天下で飯を食おうって言ってもいやがる人間がいそうなもんだけど。気付けば買い出しや調理など、ちゃんと役割分担が出来ているのも阿吽の呼吸。このあたりは流石だ。メンバーによって干物やマシュマロなど、好みの食材は別れているが、基本的に肉にがっつく人間は1人しかいないのであまり喧嘩にならないのも安心。それどころかイレギュラーな追加メンバーが2人も増えても許容出来るだけの受け皿もあるのだ。一体何人分の食材を用意したんだろうか。

 そう、実を言うと今回のメインは、冒頭に書いたように乱入したイレギュラーメンバーの方だ。他の友達との勉強会の帰りに立ち寄った夏目は、3年目の夏休みにして、初めて沙英と同じ釜の飯を食い、一緒に写真をとり、あげくメールアドレスの交換にも成功した。もう、ひだまり3期で最大の事件と言ってもいい事態である。ホントに良かったよ……原作の方でもまだ3年生の進路は決まっていないが、このまま離ればなれになってしまうんだろうか。気になるなぁ。

 そして、もう1人の追加面子である吉野屋先生は、いつも通りに何となく参加して校長に怒られただけだが、個人的には中の人のせいでものを食べてるシーンがものすごく幸せそう。アスミスが「まつきさんは餌を与えておけば大人しくなる」と言っていたが、こんな30過ぎの独身女性で大丈夫なんだろうか。あ、いや、吉野屋先生の話ですよ。立て続けに「スタドラ」と感想を書いたら、今期はやたら30代独身女性教師がアツいシーズンになってしまった。ついでだからこの勢いで「とらドラ!」でも見直そうかしら。

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  久し振りなのに全然久し振り感が無い特別編その1。終わったのは夏だけど、そこからラジオもやってたしねー。この「すぐ隣にずっといる」感じがまさにひだまり。特別編といっても、せいぜいオープニングが差し替わった程度であとは本当にいつも通りに。この絶対的安心感といったら。

 Aパートは新入生組も交えてのファミレス話。なんか、この6人が「女子高生らしいこと」をやっているのを初めて見た気もする。そして、たかだかファミレスでこの盛り上がりようは一体何なのだろうか。一応やまぶき高校って首都圏にある設定だった気がするんだが(埼玉だっけ?)……ま、学校回りは割と田舎っぽいイメージだし、ファミレスで大盛り上がりしたり……するかぁ? そういう意味では、本当に現代女子高生らしくないとも言える。

 しかし、ファミレスってのがなんかよく分からないワクワク感があるのもまた事実。特に普段自炊がメインのひだまり荘メンバーからすると、ちょっと値の張る外食っていうだけでもお祭りムードになるのも仕方ないだろうか。子供のようにはしゃぐゆのと1年生コンビ、純粋に食い物の質で浮かれるヒロ。そういえば宮子は今回あまり値段のことについては文句を言ってなかったな。コストパフォーマンスは悪いはずだから、普段の彼女なら抵抗しそうなものだが……そんなにドリンクバーを制覇したかったんだろうか。

 そして、一番の驚きはなんと言っても大家さん。年齢不詳の彼女だが、まさかファミレスのオープニングスタッフに混じることになろうとは。普段の姿を知っているだけに、違和感バリバリだ。しかもあの格好をしても別に恥ずかしがるでもなく、店子たちと普通に接しているのもなんだか意外。本当に図太い人だな。そういや、オープニングスタッフって普段よりも時給がいいはずだから……流石やで。ユニフォーム姿の大家さんの乳が意外とでかいのは新発見。あと、宮子相手にだけライスの盛りを増やしてくれたり、結構生徒達のことを気遣ってくれているのもいいとこですね。

 Bパートは念願の一本。単行本特別編である「夏目ができるまで」が完全映像化。サブタイトル画面もコミックスの挿絵そのまんまだ。アニメ化されたエピソードとしては断トツで古い時代の話で、ほとんどが夏目視点という非常にイレギュラーな構成である。そして、夏目が無闇に可愛らしいので困ってしまう。デレ多めのツンデレキャラとしては、夏目はものすごく絶妙なポジショニングを維持してますよね。

 入学式初日の不安な様子をモノトーンの映像で上手いこと表現しており、そこに現れた沙英の存在感の大きさと、膨れあがった存在感に反比例する形で生まれてしまったツンデレ要素の権限のタイミングが実に良い。冷静に考えると、ツンになる事件としてはなんだかよく分からない嫉妬の方向性なのだが、それだけに夏目の不器用さが実に痛々しく、それだけに愛らしくもあるのです。きっとこのまま卒業まですれ違うんだろうなぁ……不憫な子。ファミレスパートのよく分からない突っかかり方とかも、ほんとに小憎らしいしね。あ、でも正月エピソードとかでは幸せそうだったから、案外些細なことから埋め合わせは効くのかも。そういう意味では幸せな子。

 それにしても、原作を読んでた時にも思ったんだけど、やっぱり「私は夏目」って自己紹介したのに、そのレスが「私は沙英」っていうのはおかしいよね。初対面なんだから名字で名乗れよ。ま、ひだまりキャラが自己紹介をするたびに思うことなんだけどさ。もういっそ名字は「新谷」だと思ってしまおうか。

 久し振りにアニメを見ると、やっぱり3期は2期までの癖の強さが弱まっているのは事実。ただ、その上でやっぱりひだまりはシャフト作品以外の何物でもないということも再確認。今期は癖の弱い「それ町」だけなので、こういう「きっちりシャフト」な演出方向を見ると、「これはこれで落ち着くなぁ」という自分の病状の深刻さが分かってちょっとショックだ。でも、今更「本当に普通のひだまり」とか見たいとは思わないしなぁ。このまんま行きましょう。

 ウメスが「またきてねー」って言ってたし、きっと「また」あるんだろうと思いたいね。

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 特に変わったこともなく、みんなで過ごす1日が幕を閉じる最終話。何事も無く、ゆののバスタイムで1日が終わり、作品も終わる。この感じがひだまりなんだなぁ。 みつを。

 というわけで、無事に最終回と相成った今回。ただ、流石にほんとに何も無いエピソードでは終わりにふさわしくないということで、以前から仕込んでいたトマトの伏線を回収し、完全オリジナルエピソードでひとまずの幕引きを行っている。時系列のことを考えるとあまり季節を進ませるわけにもいかないし、かといって祝日や行事などの目立つ日付を使ってしまうと原作との齟齬が生じてしまうかもしれない。ということで、トマトを使ったちょっとした「ハレの日」をアニメオリジナルで作り出したわけだ。キャストですらぎくしゃくしていたくらいに「新入り」というファクターが注目された今作だけに、6人がひだまり荘全体を使って1つの作業を完成させていくというメインプロットは、実に分かりやすい構成である。女の子がたくさん集まってやりたいことは何かと問われれば、やはり真っ先に出てくるのは「美味しいものを食べる」ことなのだろう。

 今回はそうしたプロットの進行のために「各人の役割」を演じるパートが多く、特に腹を抱えて笑うようなシーンは用意されていない(個人的にはアバンの吉野屋先生の家に何故かWiiがあったのが一番気になった)。宮子の一人ギャグやヒロ沙英夫婦ののろけなんかは笑いどころとして用意されていたのかもしれないが、1年生コンビなんかは単にまったりしていただけで、特に面白い点も無い。何かネタを仕込んでくるかと思っていた大家さんですら、特に何もせずに和気藹々と空気を共有しただけである。普通のアニメならばこんなことは起こりえないはずなのだが(サザエさんでももう少し起伏はあるだろう)、これで成立してしまうのがひだまりの凄いところ。これまで2期以上もかけてひたすら積み重ねてきた「ひだまり荘の日常」は、トマトを収穫してちょっとしたパーティーを開くだけでも、1つのエピソードとして見られるようになってしまうのだ。このスタイルは凄い。

 一応最後にゆのが星を見上げたところで「ほしみっつ」としての締めも完了し(まぁ、タイトルからすると☆☆☆と「リストランテひだまり」をかけている意味合いの方が強そうだが)、無事にこの3期も閉幕。単に「おしまい」で閉じられた物語だけに、これは普通に……ありそうだな、4期。ただ、現時点で原作のストックはほぼゼロですのでね。しばらくのあいだは、アスミスのラジオでも聞いて待つことにしましょう。 

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 乃莉の家のスクリーンセーバーがちょっと欲しい気がする第11話。シンプルな動きだったけど、あれ、どこに行ったらもらえるんだろう。

 今回は久し振りの現在過去構成。現在のエピソードは、乃莉の部屋のパソコンのお話。このご時世にひだまり荘の文明の停滞っぷりはすさまじいものがあるが(沙英の原稿が手書きってのはすごい)、パソコン1つ動かすのにあそこまでの大騒動になるとは。まぁ、確かに世紀の変わり目くらいの時期の初心者ってあんなもんだったけど……今時パソコン全然さわれない高校生って、どれくらいいるもんなんでしょうね。乃莉はネットはもちろんのこと、CGツールやweb電話にいたるまで、それなりに活用している模様。確かにあれだけ興味の無かった集団に突然やってきたらヒーローに見えるのかもしれない。まぁ、実際の中の人でも乃莉の中の人がツイッターやらネトゲやら、1番使いこなせそうではあるな(ネット最古参は宮子の中の人だろうが)。

 他には乃莉っぺの関西弁とか、絵描きに憧れを抱くなずなとか、そのあたりの1年生の普段見られない姿が見どころかしらね。まだコミカライズされてない部分なので、オリジナルみたいな気分で見られたパートでした。そういや、ゆのっちはパソコン「落とす」のは知らないのにあっちの「落とす」は知ってたのね。なんか妙な語彙知識だなぁ。

 Bパートは冬の別れの話。製作品と校長の部屋に富士山があったのは、何かの自虐ネタとかでしょうか。まぁ、そうした展示物の数々は原作では全て描かれたわけではないので、なかなか面白い部分ではありました。そして一応この作品では影の薄い「ゆの達の2つ上の学年」にスポットが当たる話という意味もあり、再登場願った有沢先輩はもちろん、校内放送では久し振りに出番(声だけだけど)の藤堂先輩が頑張ってしゃべってます。彼女もどこかに進学決まったんでしょうかねぇ。あぁ、あとサブキャラといえば、今回初めて名前が判明した謎の先生(皆口先生)も台詞が1つだけありました。彼女は何者なんでしょうか。

 ラストのmarbleの楽曲ともすんなり合わさる春と桜のエピソード。関西は1週遅いのでちょっとズレたが、卒業シーズンという放送時期と合わせた心憎い一本。そして次回は最終回。タイトルからすると、ずっと引っ張ってきたオリジナル要素のトマトで何かしでかすんでしょうかね。 

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