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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 エンドカードの金糸雀が可愛かったのかしら、第4話。あの2人の絡みってあんまり無かったからなんか新鮮。第1ドールと第2ドールなのにね。ちなみに今回真紅が語っていた他のドールの状況のトコで金糸雀の名前だけ挙がらなかったのは何故なのかしら? 無視されてるわけじゃないよね……

 今回も非常に分かりやすい監督コンテ回。今回はやや明るめの成分が多いお話だったが、その分明るさを取りやすくなったライティングの妙が光る回である。最初にNのフィールドを脱出して、その後はいよいよ真紅復活からのバトル展開か! と思っていたら、結局まるまる1話使って「ティーポット買いに行くだけ」というのも凄まじいシナリオであるが、なんだかそれだけではなかったような緊張感があり、どっと疲れが出るのは流石の畠山節。1つ1つのシーンでとにかくずしりと重みが出るのは、このゆったりしたテンポも加味すると実に顕著な特徴になっているといえるだろう。個人的には、最後にジュンがお茶を入れた後の台所のカットがお気に入りで、それまで本当に薄暗くてしみったれた下宿の中で嫌々お茶を入れさせられていたのに、最後の1回は台所に眩しいライトが灯っており、ジュンがその中で少し嬉しそうな顔をしていたのが印象的だった。

 その他、最初にホーリエに促されてネジを巻くまでの矯めつ眇めつ真紅をいじくり回すシーンや、バイト先のレジで嫌な店長にじっと顔を見られるシーンなど、1つ1つのカットで「今ジュンはどんな気持ちなのだろう」ということを考えるだけの余裕があり、言外に多くの情報が盛り込まれている。リュックの中の真紅が声だけでジュンの心情を感じとり、「巻いた」ジュンと同じ人間なのだ、と感じ取る描写なんかも気が利いている。そしてなんと言っても、ジュンが見ていないところで1人ちょこちょこ歩き回る真紅の可愛らしさ。元々真紅ってドールの中でもあんまり愛嬌の無い方なのだが、今作はドールのデザインが一回り小さくなっており、そんな彼女が狭い下宿を何の気なしに歩き回っているところがやたら萌える。とどめは当然ジュンの靴を履いてみるシーン。真紅ったら、意外とお茶目なところもあるのよね。ホームセンターにいって「犬の」ティーポットを所望したところで「そういやクンクンとかいたな」ということを久しぶりに思い出したのであった。雛苺が居てくれればもう少しコミカルな顔も多く見られるんだろうけどなー。まぁ、出会いのエピソードとしてはこれくらいのウェイトが良いのでしょうね。

 女の子と会話も出来たし、なんだかいい感じになってジュンの気持ちも盛り上がってきた。わけだが、そんなうらやま けしからんテンションが長続きするはずもなく、最後はじわじわとにじり寄る不気味な雪華綺晶の襲来で締め。一人畳に座っている真紅を一気にズームアウトするカットも、いかにもホラーっぽい画面の揺らし方が不気味さを煽っていて楽しい。はたして、雪華綺晶ってどんだけ強いのでしょう。CV千葉千恵巳の時点で、何か恐ろしい力を持っている感はありますけども。

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 エンドカードで水銀燈が誰かと手を繋いでるのね、第3話。全然見えないからちょっとホラーな感じにすら見えるけど、服からしてやっぱり真紅なのか。あの角度で手が出てるってことは確実に地面にぶっ倒れていると思われるが……やっぱり銀様、真紅のことを持ち帰りたいくらい愛してるのかしらね。

 今回も監督コンテ。すげぇバイタリティである。そして、通して1人コンテを貫いているおかげで、今回もイメージはぶれていない。じっとりずっしり流れる静かな映像のせいで、もう心が折れそうなくらいに重たくて重たくて。今期はわたモテやらげんしけんやら、やたらチクチクする作品が多いが、ローゼンもそんな作品になってる。そうやなぁ、大学生になって心折れるとかなぁ。仮に中学生時代の俺が今の俺にメールして現状を聞いてきたら、多分2度目に返信返ってこないレベル。せめて色々と人生に間違った分岐点のことくらい教えてあげたいけど、メールくれるのって「違う世界の自分」だから意味ないのか。

 とりあえず、ジュン君はなんだかんだ言いながらも別世界の自分の言うことは大体信じてあげている模様。まぁ、ディアゴスティーニ方式で問答無用の通販商品が届く様子を見てしまったら、何が起こっても不思議じゃない、という認識は生まれるだろう。その上で、自分の才能を認めて応援してくれるような内容があるのだったら、クソつまらない学校やバイトをサボって趣味に没頭しようと思うのは当然なのかもしれない。ブランクがあると言っても、やっぱり服飾デザイン関係が好きなんだろうね。まぁ、1期当時のジュンにそんなステータスがあったかどうかは全く覚えてないのだけど。片手間であれだけのものをこしらえるって、並大抵のスキルじゃないと思うぞ。別に学校でも堂々としてれば良かったと思うのだが……中学生男子には無理な相談かなぁ。家にお姉ちゃんしかいないのも問題だよね。どうしたって「お姉ちゃん子で女の子趣味になっちゃう自分」が意識されて、思春期だったら無駄に嫌悪感を持つことになるだろうし。

 ま、そんな青少年の心理分析はさておき、バイトも休み、俗世から離れて仕事に没頭したおかげで、無事に真紅の衣装は完成。そしてこのタイミングで雪華綺晶にもばっちり見つかったらしいです。今回はそんなきらきーの魔の手が伸びてくる様子が実にホラーじみた演出で描かれており、携帯ディスプレイに表示される文字列ってのは、陳腐なくせしてやっぱりなんか怖い。歪む世界のイメージは「引きずり込まれた」ということを否応なく意識させるのに、その実行犯である雪華綺晶自身の姿はどこにもなく、現時点では敵の姿すら判明していないというのも、見えない部分の恐怖を煽る。それまでの現実世界の描写は徹底的にディティールを作って描写されているのだが、ジュンが飛ばされたフィールドも「大量の人形の頭部が転がっている」という基本的な恐ろしさはあるものの、ちょっと離れただけでも闇に溶け込んでしまうのでどこか不安定に見える。「見えるのに不安定」というこのギャップの付け方も、長年ディーンがホラー絡みで蓄えてきたノウハウなのかもしれない。

 そして、今回とても気になったのは、音響の使い方。音楽担当は過去作品と同じ方が担当しており、雰囲気は統一されているのだが、やはり「キャラが動く萌え作品寄りのアニメ」として作られていた旧アニメに比べると、今作はまるで実録映画のような、地に足がついたBGMの使い方でとにかく「異様さ」を消す方向に動いている。どこかゴシックなイメージを含ませた音楽によって「ローゼン」の世界になっているのは間違いないのだが、特別にそれを押し出すのではなく、あくまで「日常に流れている一部」として見せるための配慮が一貫しているのである。こういうこだわりのおかげで、ねじ曲がりはじめた世界の異質さがますます際だつわけで。こういう空気はクセになると本当にたまらんのですよ。

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 1話とは何だったのか、第2話。そうだな、この雰囲気になってこその畠山作品な気がする。ずーっと暗い中に、不思議な色彩が溢れていてステンドグラス越しに観てるみたいなドキドキがある。よくもまぁディティールを維持しながらこういう幻想性を引っ張り出してくるものだと思う。

 1話目のあらすじ紹介が終了し、今回から本格的に新作品へと突入した。1話目くらいは連載始まった時に立ち読みしてたので何となく覚えているが、「あの」ジュンを知っていると「何が始まったんや」と愕然とする。いや、元々のジュンも充分引きこもりだったわけだが……「中学時代に人間関係にミスって、そのまま不登校から大学でぼっち」とか、マジで勘弁してほしいプロフィール。バイト先での冷遇っぷりも見事なもので、よくこれで引きこもりから立ち直った状態で頑張れているな、と感心してしまう。一度社会復帰を志して大検受けた人間だから、そのあたりの精神面は強化されているということだろうか。考えてることはあんまり成長したようには見えなかったけども……。結局、今回はドールが1体も登場せず、無心にヤスリがけしてドールを作る孤独な大学生の様子が描かれるに留まった。いや、でもな、なんだかんだでちゃんとバイトの同僚の女の子には声かけられているしな。あの娘はええ子やないか。高森奈津美ボイスってのもポイント高いよな。

 お話の方はまだジリジリとして動かないので、あとはそのじっとりとした薄暗い空気を堪能するアニメということになっている。何せ今回も監督手ずからのコンテ回である。この人は画作りが特徴的なのにやたら手が早いようで、「さんかれあ」の時にも半分近くのコンテを自ら担当していた。そして「世界観の統制」ということを考えると、この手間は値千金である。きちんとディレクションが示されることで他の人もコンテ演出に手を付けやすくなるだろうし、何よりも視聴者が観やすい環境を作り上げてくれる。今回も、だいぶ話題になったらしい「謎の赤丸」などの独特な演出が目を引くものに仕上がっており、相変わらず退屈させない。まぁ、あの赤丸が「ミスじゃないか」と話題になるあたり、今の視聴者って一体どうなってるんだ、と不安にはなるが……演出意図が分からない、というならいいが(実際私もよく分かってないし)、あれをミスだと思うのは流石にどうかと思う。アニメ作って視聴者に届けた後に「演出なんで」とわざわざ説明するスタッフってのも、心苦しいものがあるよなぁ。

 とはいえ、形はどうあれ、視聴者が「画面を気にして」くれるようになるのは悪いことではあるまい。今後も色々と意匠を凝らした画が見られることが期待出来るだろう。

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 おっそろしい終わらせ方してきた、最終話。これは流石に予想外、Cパートがあるのか、と思ったら無かったのが怖い。色々と考えることの多いラストエピソードである。

 内容としては「後日談」だが、冒頭で千紘が独白しているように、この後日談はハッピーエンドを迎えた幸せカップルを祝福するためのものではなく、新たに生まれた不安と責任を、現実として描いていくことにある。前回ヒーロー然として活躍して見せた千紘だが、いざ礼弥が散華の家を離れて1人の女の子になってしまえば、それを守っていくだけの器があるのかどうかは自分でも分からない。いや、今回の様子を見る限りでは、現時点では荷が重いと言わざるを得ないだろう。考えて見れば当然のことで、どんな変態性癖を持っていようが千紘は単なる男子高校生。1人で何が出来るわけもない。しかし、あのとき団一郎と交わした約束を嘘にするわけにもいかないし、何よりも、目の前には守りたいと思った女の子がいる。千紘の悩みは、意外と根深い。

 そして、悩みというなら礼弥も同じだ。彼女の望みは「普通の女の子として生活したい」だが、それが叶わないことは本人が一番よく知っている。食卓では馴染むことが出来ないし、学校にだってなかなか行けない。そんな身で思わず言ってしまった千紘への「願い」の重さに、礼弥もどう感情を表していいものかと思い悩んでしまう。互いが互いを思うあまり、どうにもよそよそしく、口を突くのは謝罪の言葉ばかりだ。

 しかし、それでも時間は進んでいく。2人はとにかく、自分の中にあるものを包み隠さず出しながら、少しずつ歩いていくしかないのだ。回りを取り囲んだ「家族」たちもそれを応援してくれている。萌路もわんこも、ちゃんと礼弥のいる生活を受け入れ、彼女を1人の人間として見てくれている。それが分かったからこそ、礼弥は少しだけ前に進めたのだろう。そして、ラストシーンでは半ば強引ながらも、2人の関係性は成就することになった。千紘の流す血の一滴が、礼弥との間をつなぐことになった。互いの「不幸」と「幸福」が入り交じり、ようやく、「それぞれの思い」から「2人の思い」になった。そんな余韻の残る幕引きである。「後日談」の後の後日談が、きっとこの先もずっと続いて行くんだろう。来年の花火大会は2人で見られると良いな、と。そう思える終わり方。

 ブツリと切れたような終わり方に見えるが、実際は今回の1話で大きなまとまりが構成されている。千紘の「理解」と礼弥の「決意」という2つの要素で関係性は大きく回り始めているし、どこまでいってもイレギュラーな関係なのだから、普通じゃない状態でも受け入れてこその幸せもある。そういう「妙な関係」が分かっただけでも、2人にとっては大きな進歩であったのだと思う。少しずつ募っていく2人の関係性は、今回実に鮮やかな「光」の色彩に彩られており、ラストシーンの崩れたボーリング場のシーンは、あり得ないほどの光の渦が実に印象的だった。これまでずっとエンディングテーマの時に礼弥が歩いていた奇妙な場所だったのだが、ラスト1話で眩しく輝くことで、2人の門出を祝しているようにも見える。また、今回は冒頭アバンで千紘が黒のインクを紙面に垂らすところから始まっており、その真っ黒な滴に何とも言えない先行きの不透明さ、不安の要素が現れていたが、最終的に、この「滴」は千紘の熱と命がこもった「血の一滴」になった。血で繋ぐ関係性、というのもなかなか生々しいものがあるが、おそらく2人の関係を表す最もシンプルなツールなのだろう。

 最終話ということで、当然の監督コンテ回。今回も実に様々な意匠がこらされており、「光」の見せ方が実に印象的。花火のシーンでの二人を彩る眩しい明かりと、最後に礼弥が落とした「小さな花火」の滴もなかなか象徴的である。元々「命を失ったものの命」を描かねばならないという、無理難題に挑んでいた本作であるが、こうした様々な表現でもって、礼弥という存在の異質さを維持しつつも、そこに感情の通った1人の人間を「生かす」ことに繋がったのではなかろうか。何とも象徴的な、奇妙な後味のお話でした。

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 まややん、どっとあいのパーソナリティ決定おめでとうございます、第11話。流石にのりにのってるなー。本人がどういう方向性で行くのかまだ決めかねている感はあるけど……アイムだから正統派路線なのかなー。

 さておき、存外あっさり決着してしまった、親父さんVS千紘の直接対決。ハーフゾンビ化した人間相手に「武力」で挑もうとした親父さんの運が悪かったとも言えるのだが、それにしたっていくら何でも折れるのが早すぎる気がしないでもない。先週展開したあの重々しい過去話は一体何だったんだ。こんなに早く団一郎から憑き物が落ちてしまっちゃ、一人取り残された亜里亜さんが可哀想過ぎる気がする。

 まぁ、元々団一郎の方が確実に「間違った」存在なわけで、それを打破するのは正攻法ならば無理な話ではない。千紘は一貫して「礼弥の意志を尊重せよ」と言っていただけだし、団一郎側のメンタルを考えれば、あの場に礼弥本人が現れてしまったことも敗因だったかもしれない。結局、今まで誰一人としてやってこなかった「面と向かって正論を吐く」というのが、一番簡単な打開策だったってことなんだろう。また、礼弥がこれまでになかったとんでもない状態になってしまっているというイレギュラーも、十数年間凝り固まってきた団一郎の妄執を解き放つのには一役買っていて、「死してなお逃げ出したかったもの」であるという事実を突きつけられたら、さしもの団一郎も折れるしかなかったと。……うーん、やっぱりそれならもう少し早くに気付いても良かったと思うし、そこまでこだわったなら、もう少し折れずに狂乱しそうな気もするんだがなぁ。

 敢えて千紘のオリジナルの強さをあげるとしたら、多分、あの信じられないような緊張感の無さこそが最大の武器なのかもしれない。普通に考えたら、突然見ず知らずのおっさんに拉致られてサーベル突きつけられたら、そりゃぁ萎縮するでしょう。あの時点ではハーフゾンビの毒については一切自覚症状が無かったわけだし、礼弥から団一郎の狂気については漏れ聞いている。何故ああもあっけらかんとおちょくることが出来たのかはよく分からない。この世界で一番強いのは千紘のゾンビなみに鈍感な図太い神経だったってことなのかしら。ある意味、器のでかい男ではあるよね。だからこそ団一郎も愛娘を任せる決心がついたのかもしれないけれども。「死姦だけはするなよ」って、親父さんも悩ましい忠告をしていったもんである。ラストで飛行機に乗って団一郎が飛び立つシーンの映像がやたらと美しかったのに感じ入りましたわ。

 というわけで、一応本編は決着がついた。次週は後日談ってことで諸々の後片付けになるんだろうか。片付いてない問題といえば、今回ラストでなんか不穏な空気になったわんこと礼弥のライバル関係とかか。いや、あと1話2話で解決する問題じゃないけど。わんこの思い切りの良い行動は見てて気持ちが良いですよね(あとエロいよね)。個人的には、礼弥には適度に天寿を全うして幸せな末期を迎えてもらい、最終的には千紘がわんことくっつけばそれでいいと思ってるんだけど。あんまり千紘は乗り気じゃないのかなぁ。ゾンビバニーであそこまでテンション上げる奴だからなぁ。

 ゾンビバニーといえば、今回前半で無駄にテンション高めでお送りした礼弥のコスプレショーはメイドコンビのテンションも相まってなかなか楽しいシーンだった。桑島メイドは加虐が似合う、ってね。しかし、地下牢まで用意されているとは、おそろしい家だぜ散華家……。

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 随分空いた気がする第10話。完全にサイドなストーリーが1話入った上に1週休みだったもんだから、冒頭で千紘が拉致られてるの見て「あぁ、そういえば」ってなったよ。

 本筋に戻って、拉致られた千紘の視点から謎めいた散華家の過去が紐解かれていく。語り手は礼弥の義母、亜里亜。散々飲んだくれていただけのキャラクターだった彼女の内幕が、今回一気に明かされることになった。これまでのストーリーから、散華家は基本的に「異常なしきたりを持ち、礼弥に不幸を押しつける諸悪の根源」であると思われていた。禁忌的な愛情を注ぐ団一郎と、それを見ても一切娘を助けようともしない亜里亜。単なる「駄目な名家」がそこにあると思っていた。しかし、今回の話を見る限り、どうにもそう簡単な二極対立にはなっていないようである。亜里亜はもちろん、団一郎にも、「ああなって」しまうだけの理由というのはあるものだ。

 まず、散華団一郎という人物が持つ「正しさ」と「過ち」。最も意外だったのは、家柄・血筋を大事にしているお堅い人間だと思っていた団一郎だが、彼は若かりし頃、意中の相手を求めるために一度は家を捨てる決心までしていた。彼の目には家から用意された「花嫁候補」などはいっておらず、たった1度の会話だけでもって、家柄もなく、人並みの身体機能すら有することが出来なかった純真な少女こそ理想の相手だと見据えたのだ。そう考えると、彼の価値観、ものの考え方は、実に高潔であるし、立派なものであると言える。彼は、俗っぽいレッテルなどではなく、あくまで自分が求め、自分が必要としているものに対して純粋であるだけだったのだ。考えてみれば、彼がこれまで行ってきた奇行、蛮行の数々も、ただひたすら「礼弥を守る」ために行ってきたことであり、自分のための打算や、計算尽くの行動などではなかった。

 そして、そんな団一郎に見初められて玉の輿を狙う亜里亜。彼女についてもまた、実はその胸の内に純粋なものを秘めていたことが分かる。確かに、最初のうちは他のメイドたちと同じように散華の家を狙っての作戦であったかもしれないが、彼女が団一郎に尽くしてきた心遣いは本物である。「相手に取り入る」というのはあくまで打算を承知した行為者の側からの見方であり、行為の受け手から見れば、それはあくまで「やって欲しいことをやってくれるありがたい存在」である。そして、実際に「やって欲しいことを的確にやる」には、非常に神経を使わねばならない。それが出来ていたということは、狙いはどうあれ、亜里亜は団一郎にとって「ありがたい」存在であったはずなのだ。

 しかし、残念ながら亜里亜の願いは団一郎には届かず、そうこうしているうちに彼に大きな不幸が訪れてしまう。最愛の人を失った団一郎は、この時点でどこか歪んでしまっていた。そして、そんな彼にひたすら尽くし続けた亜里亜も、彼の妄執に巻き込まれていくことになる。願い叶って後妻として散華家に加わった亜里亜だったが、気付けば彼女が望むものは「団一郎の愛情」になっていた。打算から動いていたはずの行為が、気付けば純粋な愛情になっていたのである。そして、既に団一郎はそれに応える能力を失ってしまっていた。そこには、何の罪もない礼弥という異物が入り込んでいたのだから。

 こうしてみると、誰が悪いこともない、本当に悪い偶然が重なった結果である。団一郎の悲劇にはかける言葉も無いし、それを見続けてきただけに、亜里亜の心中も思って余りある。どこかで修正出来たかもしれないが、結局どうにもならなかった「家族」の姿がそこにはある。そして、そんなどうにもならない状態の「家族」に、今、降谷千紘が飛び込んできたのだ。ノイズとしての彼の影響で、まず亜里亜の仮面がはがされた。娘のボーイフレンドに迫る亜里亜に対し、千紘は当然それを突っぱねた。全ての拠り所を失った亜里亜の正体は、単に恋に焦がれ、夢破れた一人の女の子でしかなかった。思えば礼弥のゾンビ化も彼女にとっては本当に可哀想なイレギュラーであり、ようやく団一郎の思いを自分に向けられるようになったかと思ったら、死んだ娘が呪いのようにつきまとってくるのだ。そりゃぁ、おかしくなっても仕方ない。少女のように泣きわめく彼女を見ていると、なんだか本当に申し訳ないような気持ちになってしまうのである。

 そして、最後に残されたのは、ゆがみから解き放たれていない最後の砦、団一郎ということになる。純愛を貫き通し、自らを強く持ち続けた1人きりの男の戦い。人生で2度目の「最愛の人の死」で挫けかけた彼だが、ゆがみを大きくする方向で、彼はまだ立ち続けている。彼の妄執を、千紘はどのようにして解放することが出来るのだろうか。正直、ここまで来たら誰も不幸にはなって欲しくない。円満な解決を期待して、次回を待ちたい。

 ちなみに、今回は若干動画面で不安の残るシーンも見られたのだが(フェンシングのシーンとかかなり微妙だった)、相変わらず、1つ1つのカットの見せ方に気が利いているので、あまり動きが無くても気にならない。今回は壁の穴から団一郎の様子をのぞき見る亜里亜のシーンがものすごく胸に詰まった。見開かれた目の変化と、切り替わるシャッター音、切り替わる画面。目の前に広がる1つ1つの「景色」が、亜里亜に絶望を刻み込んでいく様子が痛々しく伝わってきた。そして、やっぱり人妻はエロかった。

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 まさかの萌路回、第9話。なんでこのタイミングよ。無難に入れるなら1話前に入れておいてくれりゃいいものを。

 というわけで、流れを気にせずにサブストーリーを挟んでの尺調整。一体どんな意図があるんじゃろうか。時間軸の流れがよく分からない状態になっており、前回の千紘誘拐事件の後になるのか、それともそれ以前の回想となるのかははっきり示されていない。ただ、萌路が礼弥のことをはっきりと「ゾンビである」と認識しており、萌路もそのことを隠そうとしていなかったことを考えると、これはどうやら後日談と捉えるのが正しそうである。だとしたらますますなんでここに入ったのか謎だけど……ここから千紘と団一郎の対決をクライマックスに持ってくるためなのかしらね。

 とはいえ、正直言うと「流れがぶった切られた!」ってな感じもしないのである。別にここにしれっと萌路のお話が入ってきても特に不満は無いし、これはこれでいいお話だった気がする。普段はなかなかスポットが当たらないキャラクターだったので、その日常が垣間見えるだけでもなんだか楽しい。だってこれ、「女子中学生が和気藹々とはしゃぐお話」ですから。

 血は争えない(?)のか、萌路が中学校で参加しているのは3人きりのオカルトハンターグループ。どうでもいい話題に引っ張られながらも、萌路自身は特に嫌そうなそぶりも見せずに友だち2人につきあっている。ワニの話やら豚骨の話やら、中学生にしちゃアホすぎやしないか、という気がしないでもないが、ほのぼの日常系アニメだったらこれくらいでも大事件である。いや、個人的には「世界にまた一人豚骨派が生まれた」っていうのは結構な事件だと思ってるけども。嘔吐しそうな程きつい豚骨臭を嗅がされた後のラーメンって、食えるもんなんだろうか……。

 そんな些事はさておくと、今回のお話のクライマックスは萌路と亡き母親の思い出である。どうやら幼少の頃に母を失っており、記憶もあまり無いようなのが不憫だが、それでも何となく「良いもの」を持っているということは分かる。そして、何故かそれが既に熱を持たぬ礼弥の面影に重なるという。「萌路の母親もゾンビだったんじゃないか疑惑」をさておくと、本来ならば何の言われもないはずの闖入者であるところの礼弥を、「母の面影」という非常に密な関係性で結びつけてしまうというのは、単純ながらも効果的な関係構築。普段あまり接しない姉のような年上の女性とコミュニケーションを取る萌路が初々しくて、こういう方向性の魅力はなかなかアリだ。ラジオでゆかちも言っていたけど、萌路って一見するとテンプレ的なクールキャラなのだが、特別お兄ちゃんラブ属性を持っているわけでもないし、こうして正面から向き合ってみると、案外年相応の、普通の女の子だったりするのが良いところなのかもしれない。しかし、およそ母親の愛情というものに縁がなかった礼弥を見て母の面影を感じるというのも、なかなか皮肉なセッティングではあるのだが。

 これでこのまま良い雰囲気で幕を閉じてくれりゃいいのだが……次回予告がな! ぶちこわしだよ! 面白いからいいけども!

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 それベジタリアンと違う、第8話。おおらかすぎるだろ降谷家。千紘もよくその状態で一緒に食卓囲む気になったな。

 ストーリーがようやく進むことになった1話。おかげで予想通り過ぎる展開なので書くべきことは多くないのだが、事ここに及んでまだ大したスピードではなく、少しずつ少しずつ千紘と礼弥の間を埋めていっているのが、ものすごい尺の取り方だとは思う。まぁほら、女性の買い物って本当に長いからね……一時間以上も死体を散歩させて大丈夫なのかよ、という心配は気にしないことに。

 堂々と外出したことが意外なのは、そうした「衛生面」の問題だけではなく、千紘が現在礼弥の置かれている状態をなんだか軽く見ている気がするという問題がある。興ざめな話をするなら、「一度死んでいるはずのよそのお嬢様を連れ回している」という状態になるわけで、散華の家があんなおかしな家庭じゃないとしても、普通は死体の引き渡しやらなんやら、どう考えても表に出すことなんか出来ないくらいに面倒なことになっているはずなのだ。にもかかわらず、「まぁ、動いてるからいいんじゃね」くらいの軽い気持ちでショッピングに赴いてしまっており、そこは当然、散華の家から刺客が襲ってくるわけだ。今までの親父の所業を聞いていれば容易く想像出来る事態だと思うんだけどねぇ。いささか不用心ではあるな。もっとも、とにかく自由を謳歌したいという礼弥の希望を最優先させているからこその結果なんだろうけれども。

 ここでまとめておかなきゃいけないのは、果たして誰が礼弥の「現状」を知っているかという問題だ。千紘・わんこ、そして当の本人は間違いなく認識しており、まぁ、じいちゃんはアレでいいだろう。萌路は見たところ認識してないみたいだし、もちろん千紘の親父さんも気付いてないはず。では、散華のパパさんは、今どういう認識なんだろうか。数少ない「娘の死を直接見た人間」なので、礼弥が死んだことは認識しているはずだ。その上で、更に娘に何が起こったか、ちゃんと把握できているのか。今まではそのあたりが全く分かっていなかったのだが(何せパパさんの登場シーンが少ない)、今回の顛末を見る限り、どうやら大体の事情は理解しているらしい。襲撃犯たちが「ものすごい力で」と報告する時も事情を知っている風だったし、そもそも「娘が異常な状況下にある」ということを理解していなければ、単に千紘に「娘を返せ」と正面から恫喝してやればいいだけ。それをしない、それが出来ないってことは、少なからず世間に言えない状態になっていることは把握しているのだろう。

 では、そんな状態の娘に対して、今度はどういう態度に出るべきだと考えているのか。これが現状分からないままだ。あれだけ溺愛し、自分の所有物として礼弥を手放さなかった団一郎。彼の愛した「娘」は一度失われ、文字通り以上の「傷物」になってしまっている。1つの可能性として、この時点で彼の興味が潰えた、ということも捨てきれないが、今回の執着を見る限りは、まだ彼は娘を手元に置きたいという意志があるらしい。しかし、その割には千紘たちに対する圧力が弱い気もする。かつては娘に余計なことを吹き込んだ同級生を転校・引っ越しにまで追いやった狂信者が、事実上娘を籠絡した男に一切手を出していないというのは、流石に心境が変化していると見るべきだろう。今回の荒事についても、襲撃犯は3人ぽっちでそこまで大きな作戦でもない。なんだか半端な状態で礼弥に襲いかかっている。果たして団一郎の今の心中はどんなものなんだろうか。残りの話数でちゃんと片が付けばいいのだが。

 なんて無粋なことを色々と考えるのも、やっぱりなかなか筋が進まないから。ただ、この作品の場合はそれで中身が薄いって気もしないのが不思議なところで、今回は単に千紘と礼弥がデートしているだけで終わってしまっても問題無かった気もするくらいだ。いや、違うな、わんこの銭湯シーンの方かな……女子中学生がカフェの代わりに銭湯を使うとか、女子高生が鬱憤晴らしの「やけ風呂」に入るとか、不思議な風習の町である。ものすごくどうでもいいことなのだが、何故かこの銭湯のロッカー、20番だけ無い。なんか意味があるのか、単なる作画の間違いなのか。

 エンディングが流れて、神妙な気持ちで視聴を終えようとしても、次回予告で全部吹っ飛ばしてしまうのがこの作品の良いのか悪いのか分からないところである。萌路はあの次回予告の仕事にそれなりの誇りを持っていたのだな……。

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 圧倒的わんこ回、第7話。すごかった。恐ろしく濃密な幼なじみっぷりだった。我が心の金字塔である「俺妹」6話に迫る勢いだった。そして……メインヒロインが1度も出ないという衝撃の回でもあった。こういうのを見ると、「酢めし疑獄」の「マサオがいない!」っていうネタを思い出します。ホントどうでもいいですけど。

 さておき、わんこと千紘の出会いから現在までを一気に描いた、ある意味非常に重要なエピソード。彼女が何故あそこまで千紘に気を向けているのか、というのが(実はあんまりよく分かってないはずなんだけど)しっかり伝わってくる。この丁寧さは、やっぱり今作の最大の特徴だと思う。今回は「手」という部分が大きくフィーチャーされており、2人の出会いが「手を繋ぐ」ことから始まり、最後にわんこが千紘に迫る際にきっかけとなったのも「手を振ること」だった。わんこが千紘とのつながりを実感するためにしばしば繋いできた「手」が、二人の距離感をよく表している。2人が並んで歩く、という実にどうでもいいシーンが多く挟まれており、その構図も、木立を挟んでなんだか舞台演劇のように見せたり、同じ構図で過去と現在を行き来して2人の「変わらなさ」を見せてみたり、大人しい画面ながらも気が利いている。特別なことなど何もない2人だが、ただ歩いているだけでもそこに積み重なったものがある、ということが伝わってくる。

 そして、そんな「手」の関係をこれまで満喫していたからこそ、新たに表れた礼弥というライバルの「唇」の関係性に、どうしようもなく鬱屈してしまうのである。いやー、いじましい。ここまで見せられると、礼弥には申し訳ないけどやっぱり千紘はわんこと幸せになるべきなのかな、とも思える。親公認だし、お互いよく分かってるしね。せっかく壁ドンやったんだから、そのまま押し倒しちゃえば良かったのに。ちなみに、今回わんこが実に見事な壁ドンを見せてくれたわけだが、同じアフレコ現場には声優界でも壁ドンの第一人者と言われる(?)新谷良子氏がいたのである。何の気遣いだ。

 さて、そんなシンタスが演じていたのが幼い頃の千紘君だったわけだが、もう、正直言って心配しか出てこない。5歳の子供が全力でゾンビ映画って……しかも単に見た目に盛り上がるんじゃなくて、ちゃんと中身を理解した上で(しかも吹き替え無しで見て)、ゾンビに愛が芽生えているわけだ。すげぇ子供だ。秀才以上の素材なのは間違いないはずなんだけど……知育よりも情操教育をした方がよかったな……突然死体を求めて桜の木の下を掘り始める5歳児はちょっとなぁ……見た目は可愛いんだけどなぁ。5歳の頃からずっとあんなに猫々してたんだなぁ。ロリわんこも可愛かったし、今回のロリショタは普段とは違った別な破壊力がありましたよ。

 まぁ、ロリでなくてもわんこは可愛いですけどね。普段和装っていうのもなかなかのポイントだけど、考えてみりゃ「軽めの茶髪・幼なじみ・矢作紗友里声」っていう組み合わせは、バクマンの香耶ちゃんと同じ組み合わせなんだ。良いな。そりゃぁ次回予告も萌路から譲り渡されるってもんだ。プロデューサーは気をつけような。

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関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
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