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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 気力が充実しているうちに、ってことで、今週2本目の劇場作品視聴。上映時間の関係で、「ヱヴァ」よりもこちらが優先された。9月に入って、しかも平日真っ昼間の回なのでさぞ空いているだろうと思っていたのだが、会場は満員御礼。女性だけのグループで見に来ている客なんかも多くて、一般受けするアニメって何が理由なんだろうなーとか考えさせられる。あと、一昨日の「ホッタラケ」との客入りの差についても考えさせられる。こっちにこれだけ客がいるなら、ホッタラケももう少し混んでてもいいと思うのだが……宣伝のうち方が悪いんだろうか。片や日本テレビの単なる「協賛作品」で、片やフジテレビの「開局50周年作品」。負けるなよ、フジテレビ。

 さておきの感想だが、うだうだ言ってるけど、確かにこれだけ客を呼ぶものなのは間違いない。視聴後の天晴れな爽快感から言えば、おそらくほとんどの人は「ホッタラケ」よりもこちらを選ぶだろう。立派に劇場の大スクリーンで見る意味があり、大勢で見ても恥ずかしげもなくアツくなれる、非常にストレートに感情に訴えかける作品だ。技術的な面で言えば「ホッタラケ」は非常に高度なことをやっているし、その挑戦的な画面作りは評価に値するが、単純に「画面で魅せる」力量ならば、こちらも負けてはいない。流石に細田は、何を描けばいいか、何を見せればいいかを心得ている。

 批判を承知で描くならば、作中の「現実」パートは特に新しい部分や、目を見張る部分が有るわけではない。細かい構図の取り方、微細なキャラクターの挙動などの動画部分は勿論高いレベルにあるが、今のアニメ技術で言えば、地上波作品でも充分可能なレベルの、「普通のアニメ」である。まぁ、描いているものが「昔ながらの日本の田舎の夏」なのだから特にチャレンジングなことをされても困るわけだが、あくまで「ストーリーを追うパート」としての役割が大きい。

 そして、そんな「日常」との差異を明確に出せるのが、仮想領域である「OZ」の描写。序盤から随分飛ばしてるなぁとは思ったが、非常に分かりやすい「仮想空間」をイメージしたCGワークは、バトル展開ではっきりとその存在価値を示す。序盤はキングカズマとラブマシーンの第一形態の試合。この時点で非常に見応えのあるアクションシーン。CGワークはどうしても表面だけの軽い描写になりがちだが、この作品の場合、全てのオブジェクトにきちんと体重がのっている。そして圧巻はラブマシーンが最終形態になってからの一連のバトル。4億ものアバターを飲み込んで膨れあがった巨大なシルエットと、それを構成する粒子のような個々のアバターの存在感。その全体のデザインが、キングカズマの吸収後に形を変えるシーンなんかは鳥肌ものだし、最後の夏希との対決シーンは、花札がどうとか、ルールがどうとかいう細かい設定を吹き飛ばしてひたすら熱気だけで持って行く恐ろしいパート。こいこい対決からキングカズマの最後の一撃までの一連の流れは、目頭が熱くなるような、この作品の象徴とも言える渾身の出来であった。

 シナリオ面についても、やはり時間の限られた劇場作品という媒体をきちんと理解した、非常にけれん味あふれるそつのない仕上がり。メインとなるモチーフはタイトルにもある通りに「夏の合戦」なのでヴァーチャル空間でのAIとの戦い。これを日本古来の上田合戦に対応させているわけだが、この他にも物事を全てリンクさせてメタファー関係をつなぎ続けることで、描かれる全ての事象が一本のシナリオとして筋が通る。例えば豪邸の大家族に象徴される「家族」のモチーフは、主人公健二が栄に「家族が感じられて幸せだった」と告げた後、一回目のOZ騒動で栄が持ちうるコネクションの全てを使って日本各所に檄を飛ばすことに繋がり、打倒ラブマシーンのためにワークステーション、電源、電波設備などを持ち寄る陣内家の結束、最終的には夏希にアバターを託す世界中のOZユーザーへとつながる。最初は「何のこっちゃ」と思ったOZ内でのバトルという概念も、キングカズマの強さが現実世界の佳主馬の持つ悩みへ繋がり、暗に詫助の持つ「力」への疑問や、健二の内包する一途さを浮き彫りにするツールとして使われる。

 他にも高校野球の試合がシナリオ全体の状況の善し悪しとリンクしたり、非常に「分かりやすい」直感的な演出によって、多少なりとも無理のある設定を多方面から重層的にカヴァーしているのがよく分かる。これが阿漕だったり、陳腐だったりせずに、きちんと流れの中で効果を上げているのは流石としか言いようがない。

 あとは個々のキャラクターの魅力だろうか。当初陣内家の面々が大量に登場したときには、健二同様に「覚えられる訳ねーだろ」と思ったものだが、物語も終盤、陣内家の結束のシーンでは、いつの間にか個々の人物のパーソナリティはきちんと理解できるようになっている。これは脚本上の見せ方はもちろん、個性的なアバターの造形なども効果を発揮しているだろう。余計な説明などではなく、象徴的な「画」で伝えてくれるあたり、アニメ作品としての真骨頂と言える。

 最後に蛇足と分かりつつも、やはりキャストの話。細田作品は「時をかける少女」もそうだったが、何故か声のプロを使わずに素人を引っ張り込むという、どこぞのヒゲ親父が生み出した日本の劇場アニメの「悪しき」伝統に則っている。今作は永井一郎や玉川紗己子などの聞き慣れた声もちょっとはいたが、メインはやはり素人。でもまぁ、実はそんなに気にならなかったり。主人公健二役は、あくまでヘタレ感が出てればいいので、ビシッと決めるパートが少なくて楽だったかも。まぁ、主人公の影が薄すぎるせいだけども。ただ、やっぱり感情が乗ったパートでは「勿体ないなぁ」と思う部分もあり、特に感情の揺れの大きい夏希は、泣く、喜ぶ、怒る、困るといった起伏の幅が制限されていて勿体なかった。プロと素人を比べるとはっきり分かるのはやっぱり泣きのパートと、あと息だね。劇場アニメでは何故か少女が全力疾走するシーンが必ずある気がするのだが、ああいう芝居は一朝一夕では出来ないなぁ。

 

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