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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 年を取ってから怒られるのは恥ずかしいですよね、第27話。ついに訪れた。訪れてしまった、利休の「デレ」。先週分もかなり大きな時代の転機だったように見えたが、ここまで半年間この作品を観てきた身としては、利休の軟化というのは最大の衝撃である。あと1クール、一体何をしたらよいのか……

 今回最大の事件は、歴史的には茶々の懐妊なのである。これによって長らく世継ぎ問題で頭と心を悩ませていた「種なし」秀吉は破顔一笑。これ以上ない有頂天状態で、見たこともないような大盤振る舞いで大金をばらまく始末である。この浮かれ気分が利休にも伝染するのかと思ったが、利休は先週起こった丿貫逝去事件のおかげで傷心中。落ち込んで落ち込んで、もう自分がやっていたこと全てが許せないレベル。そのために筆頭茶頭の職を辞するというところまで自分を追い込んでしまった。何をするにもホントに極端なじいさんである。

 しかし、ここで複雑なのは秀吉の心中である。大茶湯の際には何としても引きずり下ろそうとした利休の地位。それが、一年を過ぎた今になって向こうから辞めようと言ってきたのだ。本来ならば渡りに船、願ったり叶ったりの状態のはずだが、秀吉の脳裏をよぎったのは、先日見たあの悪夢であった。豊臣兄弟の抱える最大の罪、それを信長を巡る本能寺の一件。そして、そこには利休もずっと一緒に顔を連ねてきたはずなのだ。いや、むしろ当時の関係性で「父親替わり」であった利休の方が、信長の謀殺に荷担した割合は大きいとすら言える。その「主犯」の利休が、突然このタイミングで自分から離れようとしだした。その真意をくみ取ることが出来ない秀吉からすれば、これは単なる「逃げ」にしか見えない。もう、こうなれば侘びがどうだのと言っている状況ではない。一人でも罪を抱えた人間は多いに越したことはないというので、秀吉は、結局利休を手放さなかった。

 この意外な裁定に、思わず含み笑いを漏らしてしまう利休。秀吉がずっと自分を煙たく思っていたことは承知しており、よもや引き留められるなどと思ってもみなかっただろう。しかし、いざ申し出を断られてしまった時には、目の前の猿が何に怯えているのか、全て分かったのではなかろうか。今や関白として全ての頂点に立つ小男は、日本で一番、臆病なのだ。そのことは、親代わりで面倒をみてきた利休が一番よく知っているのである。結局、利休と秀吉は、最後まで思惑が合わずじまいだ。

 そして、「業」に縛られ続ける秀吉を見て急に楽になったのか、利休は自らを焼き尽くす「業の炎」が消えたことを感じた。そうなってしまえば、まずはこれまでやってきたことの清算をしていかねばならない。大仏堂の建築で「侘び」の新しい融合形を目指し、気軽な意匠の提供を快諾。そして、勝手な思い込みで頭ごなしに叩いてしまった織部には、ちゃんとした謝罪を。肩の力を抜いてあの馬鹿みたいな顔を見れば、馬鹿は馬鹿なりに楽しくて新しいことをやっていたのだと、今更気づかされたのだ。何事も、好きが高じて突き詰めていくと、いつしか「好きだ」「面白い」ということを忘れて、「究めなければ」と必死になりすぎて、当初の目的を忘れてしまう。こういうジレンマってのは、きっと昔からよくあることなのだろう。それが日本人のもつ「オタク気質」の根源なのかもしれない。自分に厳しく、責め立てるよりも、馬鹿馬鹿しくても楽しんでいる者の方が、最終的には正しい道なのであった。

 「黒」を離れた利休は清々しいまでの好々爺に変身した。衣装もすっかり色味が落ちたし、茶碗も赤、茶室も明るく、なにやら顔の色まで白くなったように見える。目を開いて微笑む、口を開けて馬鹿笑いをする、二人でせこい商売の話をしてにんまりする。これこそが、堺の大商人から端を発した、千利休の本当の姿なのかもしれない。

 今回は、がらりと変わってしまった利休の新しい人生を彩る、これまでと真反対の演出方向が実に新鮮で、茶室のシーンだけでもカルチャーショックを受けてしまうくらいのギャップがある。その衝撃は織部が茶室のにじり口を開けた時のBGMなんかにもよく現れていて、これこそが「次なるへうげものの世界」なのだろう、ということを感じさせてくれるのだ。先週見せた「黒い」世界と、今週見せた「白い」世界。こういうメリハリがきちんと画面上の演出にのってくれるから、この作品は楽しい。織部の幸せそうな顔を見ていると、見ている人間もなんだか幸せな気分になりますよね。

 しかし、それだけでは終わらないのも、この作品の難しいところ。「楽しさを見付けて、過ぎたることも面白ければよし」と2人で浮かれる織部と利休とは裏腹に、落書きを見た秀吉の発する言葉には血の気が多い。落書きのような些細な「遊び」でも、それは泰平を乱すものになるのだ、と冷徹な返事だ。はたして、この国で「遊び」を求めたへうげ方は通用するのかどうか。静かに緊迫感が高まっていきますよ。

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