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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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<以下の文章は、放送当時に執筆されたものである>
 
○第3話「腐った果実」
 脚本・川崎ヒロユキ 絵コンテ・藤原良二 演出・星野真 作画監督・日高真由美



 <あらすじ>
 
 雨上がりの校庭に佇むゆずき。四藁達はそんな彼女の様子を不思議そうに見守る。「憑依されたことを誰にも相談してないな」と。ゆずきは、水たまりに映り込む閻魔あいとじっと見詰め合う。
 
 ある日の下校時、ゆずきとその親友の秋恵は町なかでテレビのロケをしているところに出くわす。中心となっているのはアイドル歌手の森山ジュン。華やかな彼女を見て自分たちとの違いに嘆息する二人だったが、帰りがけに、路地裏で変質者に襲われるジュンを見つけ、助けを呼ぶことで彼女を救い出す。
 
 アイドルを助けたことで、事務所のマネージャーや社長から感謝される2人。当の森山ジュンとも親しくなり、お礼代わりにホテルでの夕食に招待される。
 
 その夜ホテルに向かった2人に接近する怪しげな女性。昼間の様子を伺っていたその女性は百田昌子と名乗り、訝しむ2人に「森山ジュンに渡してほしい」と手紙を託す。会食は和やかなムードで進み、ゆずき達は「死んだ後にもみんなの記憶に残りたい」というジュンの大きな夢に感心する。すっかりファンになった2人に心を許すジュンだったが、件の手紙を渡したところで空気が変わる。百田昌子の名前を挙げたことでマネージャー達の空気が緊迫したものになり、慌てて開けられた封筒の中からは、ジュンのあられもない姿の写真が何枚も飛び出した。
 
 気まずい思いの中でホテルを後にする2人に、再び百田が歩み寄る。彼女は、自分がジュンと同期だったことを打ち明け、昔の事務所ではジュンがファンを馬鹿にしたり、自分をいじめたりする最低の人間だったことなどを暴露する。百田自身、あまりに執拗なジュンの苛めに、自分の夢を断たれたことを恨んでいるという。
 夜中の空き地で百田の歌を聴く2人。正直な感想は「ひどくない?」だったが、百田はそんなことを気にする様子も無く歌い続け、さらに2人を通じて森山ジュンを空き地に呼び出して自分に謝らせる算段を練る。呼び出しに応じたジュンは、逡巡無く百田の前で頭を下げる。「情けない姿ね。今の地位を守るためなら、下げたくない頭も平気で下げるってわけ?」。 百田の蔑みにも、ジュンは表情を崩さずに全て受け止める。過去の自分の過ちを全て認めた上で、今の自分があるという。そんな冷静なジュンの態度に逆上した百田は、ジュンに芸能界をやめろと詰め寄る。「それが駄目なら死ね」と。
 
 沈黙するジュンに対して百田が次に言った台詞は、「じゃあ、あんたの力で私をデビューさせなさい」というもの。しかし、これに対してはジュンも「出来ない」と即答する。「あなたは実力が無いから」と百田の認めたくない現実を突きつけたのだ。「自分は過去にひどいことをしてきたが、今は本当に歌を愛している。そんな自分だからこそ、才能の無い人間をデビューさせるなんて出来ない」。
 
 「写真は好きにしていい。自分の蒔いた種だから、責任を負う覚悟はある」と言い残し、ジュンはその場を去る。怒りのやり場の無い百田は、その夜に藁人形を手にすることになる。
 
 ある日、出版社にスクープを売りつけようとした百田だったが、企みはジュンのマネージャーに先手を打たれ、未然に防がれる。マネージャーは写真を取りあげると、金を積んで百田の口を閉ざしにきたのだ。しかしその日、町で行われたライブイベントで、ジュンは自分の過去を全てファンの前で打ち明けた。客席で聞いていたゆずきと秋恵はその全てを理解し心打たれるが、同様に客席にいた百田には、それは許し難い行為だった。罪の告解をしてなおファンから受け入れられたジュンを見て、百田は藁人形の糸を解く。「たとえ自分が変わっても、過去に恨みを持った人間は許してくれるわけではない」。ジュンはライブ会場から姿を消した。
 
 気鋭のアイドル森山ジュンは、志半ばで謎の失踪を遂げた。しかし、彼女の帰りを望むファンは、彼女の歌を歌いながらジュンを待ち続けている。彼女の望む「伝説の歌手」に、彼女はなれたのかもしれない。
 
 
 <解説>
 
 意外なことに、今回のメインモチーフとなっている「過去の罪を償った人間に対する恨み」というのは、過去のシリーズでは扱っていないものだった。それだけに明確なプロットの分かりやすい筋立てになっており、随分ゆったりとした話の流れになっている。
 
 正直、メインの筋には特に語るべき事象もないのであるが、2人のアイドル(片方はアイドル崩れ)の持つ人生観の違い、「アイドル」「芸能界」「歌」といったものに対する態度の違いは、確執を生み出すのに最適な、非常に分かりやすい内容になっている。特に百田を説得する時にジュンの突きつけた数々の「現実」は、普通ならば偉そうに聞こえるものだが、それだけにジュンの「改心」が本当であったことがストレートに表現される。「私だって歌がうまくなるように努力をした」と叫ぶ百田に対し、ジュンの返答は「努力は、才能が無い人間がすがる最後の希望なのよ」というもの。どう考えても逆上している相手にかける言葉ではないが、一番厳しい現実が一番厳しい言葉で発せられたことによって、百田の持っていた最後の甘い希望は粉々になった。
 
 そしてラストの、「突然失踪したために伝説の歌手になった」というオチも皮肉が利いており、脚本の意図は分かる。ただ、まだ駆け出しのありきたりなアイドルがそこまで妄信的なファンを作れた理由も分からないのだが。確かに、実際こういう事件があればちょっとの間は話題にはなるだろうが、ただでさえ流れの速い最近の芸能界では保って一ヶ月ってところだろう。ジュンは本当に奇跡的な「アイドル」だったということなのだろうか。
 
 アイドルの演出の古めかしさとか、その辺の安直なオチの付け方とか、余裕を持ってやった割には今回の脚本は色々不満が多い。そもそもジュンが不良から模範的アイドルになるまでの変心の動機が分からないんじゃ、彼女の説く「芸能界の真理」もイマイチ説得力が出ない。そしてステージ上で「私は悪い子でした」と告白したところで、何も知らないファンが相手では、それは「贖罪」としての意味は持たないはず。どこかの誰かみたいに喫煙や万引きみたいな具体的な告白ならば話は分かるが、「たくさんの人に迷惑をかけてきました」程度の告白をされても、ファンはまったく気にならないだろう。どうにも、肝腎な部分でのプロットの練り込みが甘い。川崎ヒロユキは2期でも似たような不満を感じた気がするぞ(「Vの惨劇(二期13話)」)。よく言えば分かりやすくはあるのだが、おかげで安易なものになりがちである。
 
 他の要素も少しずつチェック。まず、なかなかその正体が見えて来ない山童ときくりの関係。山童は完全にきくりの配下ということだと思うのだが、ずっと付き従いきくりを「姫」と呼んでいるのはどういう理由からなのだろうか? 
 
 きくりがゼンマイをまいてやると「うああ」みたいな妙な声を上げるのは「ネギま」の茶々丸あたりからだろうか? 「究極超人あ〜る」の田中一郎もにたようなギャグをやっていた気もする。あのゼンマイ、あんまり運動効率は良くないみたいだ。
 
 そしてゆずきとあいの関係だが、今回は冒頭に水たまりを挟んで対峙するシーンがあり(鏡面を介しての地獄少女との会話は2期でも見られたもの)、作中ではあいのイメージがゆずきとオーバーラップするシーンが出てくる。確かに、こうして重ねて見るとあいとゆずきの面影は似ていなくもない。また、オープニングで見られる幼少期のゆずきはきくりにも何となく似ている。まぁ、キャラデザが同じなんだから当然……なのか? あいがゆずきと視界を重ねるシーンでは、夜空に真っ赤な満月が浮かんでいるが、この「赤さ」も地獄少女を表すモチーフの1つか。
 
 また四藁達の悪ふざけも直接ストーリーに関わるのかどうか気になる部分で、例えば今回はジュンとゆずきが会食するホテルのギャルソン役で輪入道が顔を見せている。これまでは「地獄コント」以外に三藁達が現世で姿を見せるのは、地獄通信にアクセスした人間の様子をうかがうため(「黒の轍(二期12話)」など)だけだったが、今回は中学の職員として働く他にも、こうしてちょいちょい顔を出すようになっているし、契約もしていないのに一目蓮が覗きにいくことも多くなった。いちいちこんな風に関わっていては全ての依頼をこなすのは大変だと思うのだが、やはりゆずきの回りには監視が必要ということなのだろうか?
 
 そうそう、地獄コント。今回のコントは「閻魔あいオンステージ」。メンバーでバンドを結成しており、ボーカルがあい、ギターに一目蓮、ベースが骨女でドラムが輪入道。山童はトライアングル、きくりはマラカスを預けられている。まぁ、あいが歌おうとしたら一言も発しないうちに鐘がなっちゃったせいで歌は聴けなかったんですけどね。これがあい(の中の人)は歌っちゃいけない、というメッセージだとしたら面白すぎるのだが。その後はメンバーによる演奏をバックにしての地獄流し。流す曲はデスメタルだったけど、「地獄」とかけてるんでしょうか? ヘビーなギターサウンドによる「イッペンシンデミル?」はなかなか新鮮でしたよ。
 
 今回のキャストは、アイドル森山ジュン役に高垣彩陽。ミュージックレイン2人目です。アイドル歌唱まで含めて流石の一言。彼女は今後もぐんぐん来そうだ。そして依頼者の百田昌子役はミンゴスこと今井麻美。今をときめくアイドル役(某M@ASTER)の人間がアイドル崩れってのはなかなか。ぶっちゃけアイマス組はほとんど知らんのだが、やっぱり特に印象に残るようなもんでもなかった。そんなことよりもゆずきの友達役でほんの一言二言台詞があるだけのアスミスが気になってしょうがないです。

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