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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 エグいよぅ……第4話。これまで以上に、今作今シリーズの方向性を決定づけるエピソードとなった。これで、まだ4話だというのに残念作画でなかったら決定的な話数になったんだろうけども……今期も危ういのか、しっかりしろ作画班。

 嗚呼、青柳の人生とは何だったのか。サブタイトルにある「ヨブ」とは何なのかが気になってググってみると、旧約聖書に登場する、「神への信仰を貫き通した人物」とのことである。信心を無上のものとし、ただひたすらに信仰を続けたヨブは、そこに疑念を抱くものから様々な苦難を与えられ、神からもまた試練を与えられた。最終的に、ヨブはその心のあり方を認められて幸せな結末を迎えるのだが(それ故に「救済」であるが)、今回の話における青柳監視官には一切の救済が訪れていないことは、何とも悪意の籠もった名付けである。いや、正直言うと、このまま色相が濁り続けてギノさんのハードモードみたいな人生を歩み続けるのかとも思っていたので、彼女のあまりに不幸な人生がここで幕を下ろしたことも、1つの救済と言えるのかもしれないが。……それでもなぁ、やるせないなぁ。……黒の下着が実にセクシーでした……。

 この途方もない胸くその悪さは、今期のテーマが「シビュラの破壊」と直接的に結びついているためであろう。腹の立つ要素はすべて「シビュラ」に向けられており、たった1つの異分子である鹿矛囲の存在から始まって崩壊を始めたシビュラ神話と、それにすがる無数の人々の愚かさが、滑稽を通り越して哀れであり、苛立たしく見えるのである。元々1期の頃から視聴者視点ではシビュラの滑稽さは見えていたわけだが、それはあくまでメタ視点でのお話であり、作品世界内では「シビュラの絶対性」は(槙島と常守の存在を除いては)揺るがないものであった。しかし、鹿矛囲はその絶対神話を作品世界内でぶち壊そうと目論んでいるわけで、社会を支えるシステムそのものが歪み始めた世界では、そこに依拠する度合いが高ければ高いほど、その姿は苛立たしく滑稽になるのである。

 今回そうした「滑稽さ」が如実に描かれたのは大きく3つのサイドに分かれる。1人目は、言わずと知れた霜月監視官。彼女の情けなさ、苛立たしさは順調に育まれており、今期ではどこぞのアンジュ姫と並んで2大胸くそヒロインとして大活躍。単なるシビュラ至上主義(この世界の一般傾向である)ならば「社会が悪い」と諦めもつこうが、彼女の場合はこれに輪をかけた権威主義的傾向があり、「シビュラを基準とする」のではなく、「シビュラに責任を転嫁して考えを放棄する」という、いわばこの世界におけるゆとり世代みたいな思考回路の持ち主である。シビュラを是としない朱ちゃんを軽んじるだけならまだしも、彼女の場合、すべての判断はシビュラのおかげであり、シビュラのせいであり、シビュラのためである。ひたすらに自己弁護を繰り返して現実を見ない彼女は現場に出てもさっぱり役に立たず、最悪の方向へ足を引っ張ることしかしない。こうした人物像は、ものの見事に「打倒すべきシビュラ」を体現した所産といえるだろう。今まではまだ辛うじて「ちょっと可愛い」から許されてきたが(?)、今回は作画崩れで可愛い要素すらなくなったので、もう本当に腹が立ってたまらないのである。ある意味、実に良いキャラクター造形である。

 もう少し全体的な目線で見れば、当然のことながら公安全体も「シビュラの犬」であり続ける滑稽な存在である。霜月のようにはっきりと「愚かさ」が提示されているわけではないが、鹿矛囲の目論見通りに青柳さんを狙撃してしまうその判断、そしてクライマックスとなったスプラッタシューティング劇場、どれもこれも、現実世界の常識に照らし合わせたら常軌を逸した行動だ。そして、三係を中心としたこの愚かな立ち回りの根源には、シビュラの象徴たる禾生局長が控えているのである。彼女(つまりシビュラ)の判断は、今回の事件を明るみに出さず、すべて公安の力でもみ消してしまうこと。つまり、彼女は「シビュラの限界」を見せつけた鹿矛囲の意図を理解し、突きつけられたシビュラの穴についても自覚的であるということだ。今回の事件の犯人だった美馬という男(CV:江原正士)は、シビュラに認められず、メンタルケアを続けてひたすら薬物を摂取した結果、感情そのものを喪失してしまった(と本人は捉えている)。局長たちは「都市伝説」というレッテルを貼ったが、無理矢理薬物で感情を抑えることに副作用がないはずがないわけで、実際にそうした患者は不特定多数存在しており、シビュラ社会が続いていればその数は確実に増えていくだろう。つまり、現行のシビュラシステムは、先細りで破滅的なシステムでもあるのだ。もちろん、局長はそんな事実は認めないし、極力鹿矛囲の存在を消す方向に動くに違いない。しかし「透明人間」の力を持つ鹿矛囲を相手に、こうした欺瞞が一体どこまで通用するものか。あれだけ凄惨な事件現場、最終的には美馬までもがエリミネーターで除去されたというのに、真犯人である鹿矛囲が堂々と顔を出し、特に身を隠そうともしていなかったのが象徴的である。鹿矛囲は、その存在自体がシビュラの網の目をくぐり抜ける天敵であるのだ。

 そして、こうした鹿矛囲とシビュラの戦いの中、信念を守り抜くために最後まで戦い続けたのが、青柳という女性であった。この世界には今、2つの信心がある。1つは、美馬が持ち続けた「鹿矛囲への思慕」である。正確を期すなら、おそらく今回のサブタイトルである「ヨブの救済」は美馬に向けられたものと解釈する方が自然である。彼は窮地に訪れて救いを与えてくれた鹿矛囲をただひたすらに信じ、彼の教えのために戦い、すべてをまっとうした結果として、自分の望むものを手に入れてこの世を去った。彼の信心でもって、鹿矛囲は更にワンランク上の戦術的要素を手に入れることになり、「神への奉公」も見事に結実している。対して、最後の最後まで「平和のため」に戦い続けた青柳監視官を待っていたものは、ギリギリまで信じ続けたドミネーターという兵器による虐殺である。彼女があれだけの異常事態においても、ひたすらドミネーターを信じ続けたことを愚かしいと見る向きもあるかもしれない。だが、彼女の判断する「正義」の基準はそこにしかなく、これは彼女個人ではなく社会の問題であった。むしろ、そこまでして頼みにしていたドミネーターを最後にはかなぐり捨てて、自らの手で美馬に立ち向かったところに彼女の「救済」はあったのかもしれない。

 しかし、そうして手放したドミネーターは、無情にも彼女を悪だと断定した。エリアストレスにより、係数は美馬をも上回った彼女は、既に監視官ではなく、一人の潜在犯でしかなかった。シビュラを手放し、一人の人間としての自分を信じたことで、彼女はシビュラの庇護下から突き放されてしまったのである。すべて鹿矛囲の思惑通りとはいえ、どこまでも救われない、一切の「救済」を与えられない結末。本当にやるせない、最悪の結末だ。彼女の生き様にこそ、此度の「鹿矛囲対シビュラ」の理不尽のすべてが詰まっている。はたして、朱ちゃんは彼女の無念を晴らすことが出来るのか。彼女が最期に掴んだ「人間の意思」を受け継いでくれるのか。何か1つでも、彼女の死が反撃の一手に繋がることを望むものである。

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