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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 見に行ってきました。知り合いに「よかったよ」と勧められたのもあったし、元々興味はあって見に行くつもりだったので。平日昼間にゆっくり見るのが俺なりのジャスティス。振り返ってみると、劇場オリジナルアニメ映画って今年頭の「ヨヨネネ」以来なので実に1年ぶりである。元々あんまり数は多くないし、そこまで劇場作品に力入れて見に行かない人間なのでこんなものか。劇場に行くこと自体、夏の「K」以来だから約半年ぶりだし。

 で、そんな久しぶりの映画だったが、端的に言えば「聞いていた通りの満足感が得られるもの」だった。優良可の評価基準ならば「優」を出して問題無い作品になっていただろう。しいて難点をあげるならば、基本的にどこを取っても王道的な作品ではあるので、滂沱の涙を流して感極まるという類のものでもないし、ここにしかない唯一無二を一言で説明するのは難しい。「どこが良かったか」と問われれば「すべてにおいて悪い点が1つもない」と答えることになってしまうタイプ。それこそ「ヨヨネネ」に似た扱いにはなるだろうか。あ、あとパンフレットがやたら高い。豪華仕様の分厚いやつだったからしょうがないんだけど。「劇場作品観たらとりあえずパンフ買う」宗教の人なので、出来れば安価なやつと豪華版で分けてもらえると助かるんですが。まぁ、今回は様々なスタッフへのインタビューなどが充実していることにも大いに意味があったので結果オーライではあるんですが。

 

<以下、ネタバレなどを含む感想になるので一応注意>




 さて、端的に「これが良かった!」と褒めるのが難しい作品なので、最初に何かを取り立てるわけにもいかず、1つ1つ要素を解体して見ていくことになる。個人的に一番話したいキャストのことは最後に回すとして(いつものことなので)、やはり脚本について触れていくべきか。虚淵玄というクリエイターの作品も、気付けばそれなりの本数を見ている。そして、「まどマギ」の衝撃や「PSYCO-PASS」のエグさなどを通して、世間で言われる「Butcher」虚淵の存在は認識しつつも、そうした表面的な部分の評価だけでは終わらないだけの素地を持つ作家であることを感じることが出来た。本作のシナリオは、どこをとっても非常に王道的であり、いわゆるヒネた仕掛けや、斜に構えた後味の悪さはほとんど感じられない。アンジェラ・ディンゴ・フロンティアセッターという3者の存在のみで描かれたシンプルな対人模様に、ディーヴァという分かりやすい「楽園」のSF的設定。タイトルには結末部分を隠そうともしない「追放」の文字が刻まれており、どれだけ勘の悪い人間でも、大筋のシナリオラインは「大体こういう話だろ」と想像出来る範囲のものだ。もちろん、せいぜい2時間でまとめなければならない劇場作品の場合、度肝を抜くようなサプライズ展開なんてものはなかなか描けないわけで、大体はシンプルな筋立てに落ち着くことになる。本作もその枠からはみ出ることなく、やりたいことのみが前面に押し出された、脚本家の意図が分かりやすいセッティングになっていた。

 こうしてシンプルなシナリオになると、やはり陳腐さが目立つ場合が多くなると思うのだが、本作の場合、そうした退屈さはほとんど感じられない。もちろん他の諸々の要素との兼ね合いも大きいのだが、「求められる物語を、求められるサイズで、求められる刺激を盛り込みながら」まとめ上げるというのは、容易なことではない。「物語とはなんぞや」をきちんと理解した上で、起承転結の全体像を見て、それに見合った要素をきちんきちんと配置し、回収していく地道さと経験則が必要になる部分。本作の場合、そうした「地道なプロセス」がほぼ完璧に敷かれていた。1つ1つのシーンで退屈させないだけの新情報を盛り込むバランス感覚や、様々な情報の中に、小さいながらも興味を維持させるだけの「なるほど」を入れてくる手際。短い時間でSF設定のすべてを伝える必要があるが、それが説明で終わらずに「お話」と有機的に結合する自然さ。そういう部分に、一段上の「確かさ」が感じられる。端的な部分で表すなら、例えばアンジェラが延々ビルを上りながらカメラを設置しに向かうシーン。このシーンは、タッグを結成したディンゴとアンジェラという2人の主人公の関係性を分かりやすく説明するという意味を持ちながら、アンジェラをひたすら動かすことで彼女の真面目さ、仕事への熱意を伝える。現在の地上の情勢やフロンティアセッターの立ち位置を説明する長い長い説明台詞が必要になるパートであり、画面中で延々アンジェラが走り回ることで視聴者を退屈させずに説明を聞かせるだけの時間稼ぎにもなっている。そして、締めでディンゴが嘯く「高所恐怖症なんだ」という一言が、ラストシーンでのディンゴの選択をきっちり補強する伏線としても機能しているのである。1つ1つのシーンでこうした細かい配置が本当にしっかりしているので、2時間見続けていても一切退屈を感じさせない。

 メインシナリオについても「陳腐さ」という表現はしたものの、オリジナルのテーマ性は過不足無く盛り込まれており、単なる過去の作品の模倣には終わっていない。ディーヴァという「楽園」の設定は、正しい意味でのディストピアに近いもので、「データによる管理社会」「人間の個が危うくなった世界」といった、これまでの虚淵テーマにもよく観察されたもの。そうした「どこか不安をかき立てる安寧からの脱却」といえば、現在でも「PSYCHO-PASS」で描かれているものだし、「翠星のガルガンティア」におけるチェインバーとレドの成長なんかにも投影されている。ただ、今作で特徴的なのは、ディーヴァが最後まで単なる「敵」として描かれていないこと、そしてフロンティアセッターの選択についても決して「正解」として描かれていないこと。確かにディーヴァ上層部におけるフロンティアセッター破壊命令は理不尽であるし、2時間の物語のみを見れば「悪」と断じてしまっていいのかもしれないが、それはあくまで暫定的なものであり、あの世界においてディーヴァを「悪」と見る人間はほとんどいるまい(ディンゴですら、ディーヴァに同調こそしないが、「悪」であるとは言い切らないのではなかろうか)。あくまで「1つの理想」の体現であり、今作の目的はディーヴァの欠点をあげつらうことではなく、「もう1つの楽園」の可能性を描くこと。だからこそフロンティアセッターの挑戦は結末が未知であるし、主人公であるアンジェラですら、彼の選択に同調せず、地球に残ることを選択したのである。こうして多層的な「理想郷」の姿を描き、一元的な解決を見せずに終わらせたにも関わらず、きちんと1つの物語として収束しているというのが、今作の白眉な点だったといえるのではなかろうか。

 さて、シナリオラインについてもまだまだ語ることは多そうだが、視点を変えて今度はアニメーションとしての映像制作面に話題をうつそう。今作の映像製作はグラフィニカというまだ若い3DCG製作会社によるものだが、CGアニメの持つ可能性をぎっちりと詰め込み、新しいアニメーションの形を示唆する道標の役割を担う出来になっていたと思う。昨今の3D2D論争というアニメ業界のムーヴメントは、直近の「SHIROBAKO」でも話題になった通りに実にホットな話題である。往々にして「3Dでは画が活きない」とか、そういう論調になって2D側から忌避されるのも、「SHIROBAKO」でまとめられた通り。実際、日本にアニメーションにおける「手描き」「2D」への信仰とも言えるこだわりは大きな意味を持っており、海外のアニメ映画であれだけ3Dが主流になっている中ではガラパゴス的な様相を呈している。しかし、時代の流れは確実に3Dにも市民権を与える動きになっており、ジャパニメーションに求められるのは新旧の混交、新たな「日本オリジナルの3D」のあり方である。この辺りの話はパンフレットにある演出の京田知己氏、そして水島精二監督のインタビューに詳しいので、出来ればそちらを参照してほしいが、とにかく「3Dクリエイターにこれまでの日本のアニメの所産を受け継ぐ」方向性での挑戦が、制作プロセスで大きなウェートを占めていたことが分かる。

 「フルCGで日本のアニメ」といえば最近では「アルペジオ」の記憶が新しいし、地味ではあるが現在も「山賊の娘ローニャ」で宮崎悟朗が新しい形にチャレンジしている。今作CGも「ローニャ」と同じ方向性で動いており、積極的に「手描きの良さ」に近づけながらも、出来る限り3Dで表現することに力を注いでいる。そして、今作の「かなりいいところまできている」という感触は、クリエイター側にも、そして視聴者側にも共有することが出来たのではないかと思う。メカ戦闘などで本領を発揮するCGモーションの弱点はいわゆる「日常芝居」であり、人間の動きをアニメ的に見せる「見得」の文化は、なかなか3Dでは向上させづらい。かなり自然になったとはいえ、「アルペジオ」ではやはりそのあたりに限界が感じられた部分もあったし、「ローニャ」も現在進行形とはいえ、どうしてもディティールが消化作業的な部分もあり、人の手によるディティールの調整には、労力に見合うペイが来ない、もしくは「労力を費やせるクリエイターがいない」という現状が見え隠れする部分であった。しかし、本作の場合は2D側のメインクリエイターといえる上記の2人がそうしたすり合わせに非常に神経を使ったことがよく分かり、限りなく自然に、3Dによる「日本アニメ」の目標ラインに近づけられている。作中でも注目したい部分は多くあったが、パンフの中でも少し触れられているのは、クライマックスでメカ戦闘に当たっているアンジェラが、敵機と組み合って「このぉ!」と叫びながらぶつかるシーンの顔芝居。CGヒロイン史上でも屈指の可愛さである。その他にもアーカイブ空間でフロンティアセッターと再会したアンジェラが吹き出した時の笑顔など、本作は積極的に「表情」をつける部分が多く、そこから3Dとのボーダレスな接続が垣間見える。目立たない部分では、上記の「ビルを上るアンジェラ」が肩で息をしながら走る時のモーションや、体重移動させながらはしごを登る芝居なども注目してほしい部分である。

 さて、シナリオ・映像と2つの観点をざっと確認したので、そろそろ言いたいこと書いても良いフェイズですよね。まぁ、ぶっちゃけ「2時間エンドレスくぎゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅタイム」ですよ。もうね、劇場音響で聞く釘宮地獄ね。やはり、どれだけ時間が経っても決して「なれてしまう」ことはないんだなぁ。くぎゅぅは、正義なんだな。今回のアンジェラ、きちんと「ロリボディである」意味がシナリオ内部で活きているのが憎らしい。「手柄をあげたい」というディーヴァ内での正義を貫くために選択したロリボディ。ならくぎゅ声でもしょうがないじゃない! いや、残念ながら胸部装甲はあんまりロリぃくないけども! 何故あんなに長いツインテールなのかも分からないけども! 俺、ツインテールに満足! やっぱりこの声、この性格だとツインテだよね! CGモーションでゆっさゆっさ動くしね! ツンデレてるけど真っ直ぐな性格で、芯の強さを見せるアンジェラのキャラクターは、正統派釘キャラとして、物語の主人公として万全のもの。気付けば同じ東映作品で「京騒戯画」に近いスタンスの「楽園の探査者」の役なんだよね。戦闘シーンでの雄叫びは堂に入ってるし、細かい息芝居で見せるちょっとした表情がいちいちセクシー。個人的にツボだったのは、すべての真実を知ったアンジェラが2人の協力を得て一旦ディーヴァに帰還した時の第一声で、アンジェラは特になにもしゃべらず、深く大きくため息を吐くんですよ。その一声で、「確かに地球での肉の身体も意味があるとは思うけど、やっぱり私はこっちの電脳パーソナリティの方が落ち着くわぁ」みたいな複雑な心境がどっと流れ出てきてニヤッとしてしまうのです。この歳になっても、まだまだ「代表作」が増え続ける釘宮ミラクルに最大級の賛辞を。

 残りは当然三木眞一郎・神谷浩史両名だが、こちらも濃い濃い。ミキシンについては「いつも通りだな!」ってなもんだが、こんだけ臭い「男」芝居でも鼻につかないのはやっぱりミキシン。彼の持つ不可解な非現実性は、ディンゴというスーパースターを作り上げる上で必要不可欠なものだった。「これならアンジェラが即落ちするのもしょうがない」ってなもんですよ。まぁ、ラストシーンで唐突にボーカル有りで歌い出したのはどうかと思ったけども。骨で感じるしかないな。対照的に、にじみ出る人間性を「作り上げた声」で産みだす神谷浩史の確かなプランニングも相変わらずの名人芸。今作の1つの面白さに「ロボットのような人間」と「人間のようなロボット」という対比構造があるわけだが、フロンティアセッターは、本当に「人間」になってしまっては物語が成立しない。あくまで、ラストシーンまで話が進み、すべての要素が重なった瞬間に、彼が「地球人類の末裔」として独り立ち出来る構図にならなければならない。この絶妙な「自我」のコントロールは、神谷兄の持つ舞台勘の賜物といえるだろう。他のアニメにいる完全に人間的なロボットキャラ(パッと出てきた例がダンディのQTなんだけど、まぁ、そのへん)や、ロボ的なロボから完全に離れないキャラ(ガルガンティアのチェインバーなど)あたりと、今作のフロンティアセッターを見比べてみると、その役作りの絶妙なポイントが見えてくるんじゃなかろうか。それにしても、彼はあの「F」の野球帽は自作したのだろうか……。

 その他、一瞬だけの登場のくせして無駄に豪華過ぎるフロンティアセッター討伐部隊の面々なんかも思わず笑ってしまうキャスティング。作品の上映時間的に見ると、ラスト20〜30分くらいでようやく出てきた「アンジェラ以外の女性キャラ」で、「一体誰が声をあてるんだろう、まぁ、ちょい役だからその辺の適当な若手を使うか」と思っていたら、しゃべりはじめたのが重鎮ばかりで吹いたのである。多分、あの3人もこんなキャスティングは最近じゃ珍しいんじゃなかろうか。あと、冒頭で出てきたチャラ男が古谷徹っていういきなりの笑わせポイントね。あれ? でも「友情出演」って書いてあったけど、水島監督とつながりがあるのって、謎の新人声優蒼月昇さんだったような気がするんですが……。あ、あとアーハンの音声が安済知佳でした。最近ちょこちょこ仕事が増えてて嬉しい。頑張れ。そういやアーハンといえば、初見では「なんかガンつく1っぽいもっさり感やな」と思っていたら、実際の活躍シーンでしゃきしゃき動きすぎて驚いたのである。やっぱりCGだとロボ格好いいロボ。量産型はどっちかっていうとメガゾードβっぽく見えないこともない(東映つながり)。あと新型アーハン強奪からの宇宙への武器散布、迎撃システム撃墜の流れも見せ場としてやたら格好いい。スィングバイを利用して相手ミサイルたたき壊すシーンがお気に入り。やっぱりオンラインだと強いですね、アンジェラさん。

 とりあえず以上ですかね。とにかく見るべき点が多い作品なので、色々と考えながら鑑賞する価値があると思います。ちなみにパンフレットで一番嬉しかったのは、偽装のためのパケット状アンジェラのデザインもちゃんと載っていたことです。可愛い。

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