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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 顔のない女性が一番魅力的という、本当に倒錯した状態が気がかりな第8話。4話の時もそうだったけど、セルティ・新羅のカップルがメインになると、この作品は何とも言えない安心感と刺激がいい塩梅にない交ぜになって展開する。

 一応今回の語り部は2話に続いてセルティであるが、物語の重層構造がどんどん多角化し、全ての局面が同程度のウェイトで視聴者に伝達されるようになってきているため、今回は語り部の地位がかなり低く、言い換えればナレーションはあまり重要ではない。その上で、まるで重ねたミルフィーユを少しずつ縦に切り取るように、様々な断片だけが、中心へ向かってじりじりと進行している。ほんと、この構成で物語が破綻を来さないというのは恐ろしい事態である。

 まずは脇から見ていこう。高校生3人組は、園原がいじめにあってしまったことで少しずつ関係性がおかしくなっている。生真面目な帝人、お調子者の紀田、その間で静かに笑う園原という構図だったのが、紀田はいじめに対して静かな怒りを燃やし、園原の中でも2人に対して(世界に対して?)何かが歪んでしまったように見える。これまでの園原の振るまいから考えて、わざわざ靴を届けてくれた帝人に対するあの態度は、確実にどこかおかしい。そして、そんな園原の動向を訝しく思いながらも、普通の高校生レベルでしか悩めないのが帝人。園原の変化に疑念は抱くが……どうにもしょうがないのかな。この作品で一番普通な奴だから、普通じゃない状況についていけてないんだなぁ。主人公(?)パートが一番地味だよ。

 個人的に(特に中の人的に)気になるのは狩沢・遊馬崎コンビ。これまでは「単にノリの軽いオタク」という認識しかなかったのだが、サイモンを前にしてまるで話を聞かずに自分の目的をダラダラ話し続ける狩沢は、やっぱりちょっとどこか変。無事に再会して街中で踊り狂う2人のテンションも相変わらずだ。なんかいいね、こいつら。もう1人の相方であるドタチンはシリアス全開なのにな。

 そして、矢霧製薬を中心にして展開するメインストーリー。花火を掴んで研究所に突撃する男と、女(張間美香)を「セルティ」と呼び、記憶を押さえつけようとする矢霧誠二。このあたりのファクターは、次週の語りが矢霧波江のようなので、おいおい説明があるだろう。

 そして、なんと言っても今回その関係性が濃密に描かれていたのがセルティ・新羅のカップルである。身勝手でどこかズレた新羅であるが、彼のセルティに対する気持ちだけは本物。顔のないセルティとの接し方は長年の経験で完成されており、セルティに対して「浮かない顔だねぇ」と看破してみたりするのは端的な見せ場。他にも会話をするときにきちんとセルティの正面にぐるりと回り込んでしゃべり出したり、うつむいたままの状態でも「そう喜ばれるとな……」と正対したセルティの心情の変化を悟ったりと、阿吽の呼吸を見せつけてくれる。セルティの手料理を食べて涙を流しているのも、別に味にたえているのではなく、本当に彼女の料理に感動しているためだろう。そんな新羅に対して、セルティの方からは直接的なアプローチこそないが、独白シーンでは「恋慕」という言葉も使っているし、ネギを抱えて愛馬で滑走する姿は実に甲斐甲斐しい。無駄にまがまがしい闇の能力で料理をひっつかまえたりしてみせるが、休日の過ごし方のプランは女性らしくてうらやましいことこの上ない。

 これで新羅の方が「今のセルティ」にこだわり、セルティが過去(首)を追い求めているというすれ違いさえなければ、この2人もうまくいくはずなのだが……最後のフォーチュンクッキーを見る限り、どうもこのすれ違いは決定的なものであるようだ。静雄と一緒に空き地を眺めるセルティ。彼女は「自分の顔さえ忘れそう」だが、その空き地に何があったかは「記憶」が残っている。池袋という土地で仕事をしたり、共同生活をしたする今の「ヒト」としてのセルティと、首を抱えたデュラハンとしてのセルティ。彼女が落ち着くのは、どちらの姿なのだろうか。「私はここにいる」という最後の台詞は、首の言葉か、「セルティ」の言葉か。

 相変わらず切れ切れの世界。それなのにどこかが繋がっている不思議な感覚。今回は広場で「さがしもの」を聞いていた金髪美人へのメッセージが面白い働きをしており、帝人が見たスケッチブックの中には、「羽島幽平!」に始まり、「家でした猫」「仕事」「首」、そして「ゆまっち」と続く。最初の描き込みは弟にこだわる静雄のものだということは容易に想像出来るし、「家でした猫」を探したいのはおそらく新羅だろう(実際は、彼があの場所でスケッチブックを書き込む時間は無かったと思うが)。「仕事」だけは誰とも限定できないが、その後の「首」は当然セルティ。今回登場したメインキャラの「さがしもの」が、1冊のスケッチブックを通じてクロスしていく。そして、最後に帝人が書いたものは「つながり」。この世界は、どことどこが繋がっているのか。

 ほんと、気にさせる演出は天下一品である。 

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