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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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SSSS.GRIDMAN」 5→7

 今期最大の話題作の1つ(英語的表現)。まぁ、色々と素敵でしたよね。直撃世代からしたらありがとうしか言葉が出ない。

 どっかで見た今作の評価に、「元々当時を懐かしむおっさん世代を狙った作品だったのに、意外と現代的な評判も呼んじゃったダークホース」っていうのがあって、まぁ、確かにそうだよな、っていう。しかし、元々どれくらいの「当て」を狙ったのかは定かではないが、そんな「遊び」のある土壌を活用した様々な実験的試みが導入されていたのが本作最大の見どころだったのではないかと考えている。

 切り口は数多くあるだろうが、きりがないので個人的に注目したい2つのポイントに絞って評価していこう。1つはTRIGGERというスタジオの独自性を発揮した「アニメと特撮の融合」というチャレンジ。元々特撮というのは「現実の映像にどれだけ虚構を混ぜ込むことができるか」というチャレンジであり、対して(少なくとも一部の)アニメーションというのは「架空の映像でどれくらい真に迫ったものを描けるか」というチャレンジ。目するものは相補的でありながらも、何故かこの2つは決して1点で交わることはなく、不可解なねじれの位置にある創作理念になっていた。ウルトラマンのような国内伝統の特撮作品でもなかなかアニメーションで突出した作品が生まれないのは、このねじれの関係性が原因である。これがよその国の媒体であるなら、どっちかというとアニメーションの「架空を現実に寄せる」力が強く働き、例えば一連のアメコミ映画のように3DCGをバリバリに駆使した実写映画などがその融和点を見出すに至っているが、ジャパニメーションの場合、あまりにも目指した方向が独特であり、とてもではないがその良さを特撮方向に落とし込むことができないでいたわけだ。

 しかし、本作では開き直った「特撮観」みたいなものをあけっぴろげに示すことにより、新たな着地点を見いだすに至った。雨宮監督たちが作り上げた解決法は、「特撮の中でもより嘘くさい部分を際立たせる」という方向性である。つまり、特撮をやっているとどうしたって出てくる「偽物感」というか、ちょっと子供騙しにも見えるような大仰な演出部分を、今度はアニメーションとして切り出すことで、「現実の投射ではなく、特撮の投射」としての映像制作を実現させた。具体的に作中で言及するなら、グリッドマンの本当に重々しいアクションの見せ方、大きなものを過度に大きく見せるカメラワーク、細かく飛び散る噴煙や石飛礫など、「現実にはないけど、特撮にはある」というパーツが効果的に使われている。この辺りの「特撮らしさ」を過度に際立たせる方向性は、少し前に話題になった「シン・ゴジラ」につながるものがあるかもしれない。また、「嘘臭さ」をアニメと融合させるという方向性の補強要素として、過去のロボットアニメなどの執拗なオマージュ的再利用が挙げられる。今作の話題には何度となく大張正己氏の名前が登場していたのを目にしたが、いわゆる「バリ演出」のような、「嘘でもいいからとにかく格好いい」を徹底して見せていくことで、「アニメの格好よさ」と「特撮の格好よさ」をシームレスに繋いでくことを狙いにしているように思われる。これがどこまで成功しているのか、残念ながら私は特撮フォロワーとしてもロボットアニメフォロワーとしてもキャリアが無いので正確な判断はできないが、充分に話題性があり、見せたかった効果が出てきたとは思えるのである。

 そうして特撮とアニメの橋渡しをしてくれたのが、今から20年以上も前に制作されたグリッドマンだったというのがなんとも不思議な運命のいたずらであり、この「グリッドマン」という題材の扱い方そのものが、注目したい2つ目のポイントである。昨今のリバイバルブームでは数多のレジェンド作品が現代アニメとして蘇っているが、原作グリッドマンの(誤解を恐れない言い方をすれば)「よくある典型的な特撮番組的な構造」を、どうやって1クールのアニメのプロットに落とし込むか。そこでスタッフが考え出した構造が、「コンピューターワールドに絞ったストーリー展開」という斜め上の発想だったわけだ。

 この思い切った舵取りのおかげでシナリオが適度にコンパクトになったことに加え、最後にどんでん返しを見せることで現代アニメ視聴者が喜びそうな「セカイの改変」を伴うサプライズを見せることができる。まぁ、切り方としてはそこまで目新しい「ネタ」ではなかろうが、その部分のサプライズのみを単発ネタとして使うわけではなく、あくまでも原作の「グリッドマン」への帰着に必要なプロセスとして見せることで、最終話の綺麗な収束部分へと繋げていくことができる。改めて見直せば、作品世界の異質さ・違和感が全てこの「我々と違う次元の世界」を構築するために工夫されており、単なるこけおどしではなかったことが理解できる。端的な部分で言えば、今作は作中を通して徹底して余計な音というものを排除している。びっくりするくらいにBGMが少ないし、いわゆるSEを使った環境音の演出などもほぼ無いような状態。なんとも珍妙なこの光景は、この世界が完全に外界から切り離された閉鎖空間の中にあることの表れ、アカネという気まぐれな神が、そんな細かい部分にまでこだわらずに作った適当な産物だったことが示されたもの。鳥の声もなく、車も走っておらず、おそらく虫や動物だっていないような世界。それは、アカネがただ現実から逃げ出し、「他人との関係性」のみを想定して構築した小さくいびつな箱庭世界。その世界構築が恐ろしいほどに緻密で、残酷なのである。

 原作ファンからしてみれば、こうして作られた世界がかつてグリッドマンが「直していた」あの世界だったと言われれば納得せざるを得ない。これこそ、アニメと特撮をつなぐ「間の空間」だったのだと言われたら唸るしかない。よくもまぁ、こんなずるっこい企画を考え出したものである。個人的にはこういうトリッキーな挑戦が大好きなので、このプロットを成立させたというだけでも大満足である。あとはもう、みんなでアクセスフラッシュできるっていう、それだけでね。

 もちろん、アカネちゃんが可愛い、というのも大事大事である。まぁ、ほら、やっぱり現代アニメの視聴者を引きつけておくのにはエロい女の子を置いとくのが一番効率的だからさ……。今作の「主人公」だったアカネの描写に容赦がなかったことが、今作の勝因の1つとも言えるのではなかろうか。

 さぁ、あとは何年後かに新たに「電光超人グリッドマン2」が始まることに期待しましょう。多分、アニメとは全然関係ない話が展開されることになるだろうけど、物語中盤あたりでこっそり主人公チーム(グリッドマン同盟)を助けてくれる謎の少女(演:上田麗奈)が出てくるっていう展開を楽しみに待っている。単に実写のうえしゃまの活躍が見たいだけ、という話もある。

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