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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「文豪とアルケミスト〜審判ノ歯車〜」 5→5

 こんなタイミングで終了する作品があったっていいじゃないか。コロナ遅延の影響で多くの作品が1期分ずらして再放送していた中、遅延は素直に遅延と受け止め、伸びた分だけ放送期間を延長した潔い作品。おかげでなんとも中途半端な時期に放送が終わったわけだが、残りの期間、この枠はどんな風に使われるんでしょうね。

 終わってみると意外に真っ当な面白さがある作品だった。1話目から「太宰はそんなこと言わない。言わないけど、太宰じゃないならしょうがない」というなかなか巧妙な責任逃れというか、程よい「文豪との距離の置き方」ができていた作品で、「そんなこと言わない問題」について、それぞれが作家でありながら作家でなく、外部からその作家の生涯を俯瞰できる概念存在であるっていうのは結構便利な設定になっていた。その作家の作品全てを無理なく扱うことができるし、時代の近い作家どうしが、まるで後世の研究者のように各々の作品批評なんかをぶつけ合う姿を自然に見守ることも可能。単なるお飾りではなく、最低限の作品評と文学的価値を解説しながら展開するおかげで、見ているだけでなんだかこの当時の文学作品が近い存在であるかのようにも思えてくる。きちんとテーマに寄り添って作品作りしてくれるなら、いわゆる乙女ゲー設定だからと言って忌避する理由にもならないかもな、というのを再確認させてくれる作品だった。

 「そんなこと言わない問題」は単にこちら側の印象の良し悪しに影響する部分かと思っていたのだが、本作ではなんとこれがクライマックスのシナリオラインにダイレクトに関わる要素になっており、「芥川はそんなこと言わない! まぁね、芥川じゃねぇからな!」というどんでん返しの役割を果たしているという。その上で芥川龍之介という作家の二面性と苦悩をうまいことヒーローものの文脈や異能バトルの構造に組み入れ、今作ならではのドラマ性を生み出している。これなら1シーズンのアニメとしても文句なしで及第点だ。惜しむらくは、中盤では結局いつものように「大量のキャラがわちゃわちゃして一見さんお断り」みたいな展開になってしまったのでついていけない部分が出てしまったことだが、その最中にもきちんとクライマックスへの伏線がちょいちょい張られているわけで、決して不必要だったというわけでもない。こればかりはソシャゲアニメの宿命とも言える構造だったので、多少は酌量の余地もあるだろう。

 まぁ、結局純正の文学ファンにどのように映るかは分からないのだが、あんまり知らない身からして「啄木はそんなこと言わない!」よりも飲み込みやすかったので、案外これくらいのハードルでひょいと乗り越えられるくらいの「入りやすい文学の入り口」があっても良いのかもしれない。いや、こっから純文学にハマる若者がいるかどうかは知らんが。

 

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