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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 史上最も禍々しい契約シーン、第5話。その耳(?)は何? その手つきは何? キュゥべえの勧誘の強引さも目に余るし……もう、幸せな結末なんてありゃしないの?

 改めて語られるさやかの契約。冒頭、夕日に照らされた契約シーンは、ビルの屋上に伸びきった二人の影が余計な不安感をあおり立てる。どこかの考察で「キュゥべえ」=「魔性の者、九尾の狐」という推論を見たことがあるのだが、妙な形の観葉植物を背負って契約を施したキュゥべえから伸びるシルエットは、まさしく九尾のような禍々しさがあった。

 上條の手の治療と引き替えに得られた「引き返せない運命」は、あらゆる人々に絶望をもたらす。契約したさやか本人は、自らを「幸せだ」と言ってみせた。上條は順調に回復し、不安定だった精神状態も戻りつつある。復帰戦となった演奏も周りの人々の祝福に囲まれつつ行われ、こちらの「現実」は順風満帆。その光景が見られただけでも、さやかの笑顔は嘘ではない。「友達を2人も無くしていた可能性」を排除することにも成功し、現時点において、さやかは決して後悔していない。しかし、やはり「素人魔法少女」にとって、これからずっと戦い続けなければいけないという運命は荷が重い。キュゥべえに連れられた初のパトロールも、まどかの気持ちがなければ自分を奮い立たせることも難しい状態であった。彼女の重責は、これから少しずつその身に刻まれていくことになるのか。

 そして、そんな友人を止めることが出来ず、あまつさえ変身する理由の1つにすらなってしまったまどかは、何も出来ない無力な自分にひたすら後悔ばかりを積み重ねる。さやかを止められなかった自分。さやかに心配をかけてしまった自分。そして、さやかのために何もしてやれないのに、一人前に心配だけをしている自分。「魔法少女の立場になければ、他人を責める権利など無い」とは、先週のキュゥべえの言葉であるが、ついに対等な立場ではなくなってしまったまどかとさやかの間では、両者がどれほどわかり合おうとしても埋められない溝があるのだ。「変身しないままでいる無責任さ」がまどかの重荷であり続け、さやかもつい最近まで同じ立場にいただけに、その気持ちを充分に理解出来る。選んでしまった者と、選ばないことを選んだ者。今後の2人の友情は、どのような形で維持されることになるか。

 そして、そんな2人の様子を遠くから見守り、大きな後悔を抱いているのが、ほむらである。自分に近付いてくれていたまどかに対しては充分な警告が与えられたが、さやかの方にまではフォローが行き届かなかった。彼女の目的は相変わらず謎であるが、さやかの現状については、ほむらは「後悔している」と明言する。キュゥべえをして「イレギュラー」と言わしめたほむらは望み云々を差し置いても、「他者の契約」を阻止することを至上命題としているようだ。

 その上で、彼女の言葉は辛辣だ。「どのような献身も見返りなどありえない」とは、さやかの現状に対する否定であるし、そのものずばり、「さやかのことは諦めて」とまどかに断言した。「どうやっても償いきれないミスである」「一度魔法少女になってしまったら、救われる望みなんて無い」と、現状が最悪の展開であることを吐露している。「全てを諦めた」と語るほむらにとって、つかの間の幸せを手にしたさやかも、それを見て悲嘆に暮れるまどかも、等しく後悔の的であった。

 サブタイトルとは裏腹に、数多の後悔が渦巻く今回。事態はさらに面倒な方向へと進み、初仕事に張り切るさやかが命を削り合ったのは、宿敵である魔女などではなく、同業者でポリシーが対立する魔法少女、杏子。遠慮無しに命を奪いに来た杏子と、怒りをぶつけるさやかの対決は、「誰にも止められない」とキュゥべえは言う。巴マミは、人々を守るために命を失ったが、杏子はその命すら自らの益と成そうとしている。その姿勢だけはさやかは許すことが出来ない。どちらかがへし折れるまで続く対決は、介入したほむらに預けられることに。

 

 とにかく、現状認識の絶望感だけが際立つエピソード。端的にそのことが伝わってくるのはまどかとほむらの対話のシーンで、冷静に聞いていると、ほむらの中では「魔法少女になること」は「死ぬこと」と同義の最悪の事態である。マミの死が最悪の悲劇であるのと同様に、さやかの契約も「地獄と同義」であるというのである。この時点で、もうさやかの契約は本当に失敗以外のなにものでもないという描写になってしまっているわけだ。一応、形の上ではさやかが「幸せだ」と言っているのに、この扱いはひどい。しかも、そこまで必死に決断した契約の結果、さやかは一切望んでいなかった「魔法少女との対決」に巻き込まれているのである。この時点でさやかの選択からは「街を守るため」という大義名分すら失われており、残されたものは上條の回復というほんのささやかな幸福だけ。既に転落の秒読み段階に入っているかのようだ。

 そして、そんな悲劇の裏側で、キュゥべえはあの手この手でまどかに契約を迫っている。もう、本当に悪魔の所業。窮地で登場したほむらの勇姿が、この作品で最も格好いい「ヒーロー」に見えたのは、自分で火種を広げておきながら静観しているだけのキュゥべえとの対比効果もあるのだろう。ほんと、一体奴は何を考えているのだろうか。

 今回メインとなったさやかの心情についても、現時点では色々と複雑である。性根がシンプルな子なので実際の言動だけをみればほとんど裏表は無いのだろうが、まどかとの関係性は簡単には割り切れないものがあるだろう。「自分は変身出来ないけど協力したい」と嘆願するまどかに対し、さやかは最終的に「その気持ちは本当に嬉しく思う」と受け入れたわけだが、まどかが最初に申し入れてきた時には、彼女は一瞬だけ笑顔を消して、口元を結んだカットが挿入されている。それは、自分から窮地に飛び込もうとする友人を気遣ってのものだったのか、それとも、確実に運命を分かった「ただの人間」に対する苛立ちだったのか。そのことを判断することが出来るのは「同じ魔法少女の立場に立った者だけ」である。

 後半パートの見せ場は、新キャラ杏子の本格参戦。多節棍と槍を組み合わせたような奇妙な武器を操る新たな魔法少女のバトルシーンは、実に流麗で見応えのあるアクションに仕上がっている。対するさやかが単なる剣によるシンプルな武装なので、トリッキーな遠距離武器と槍による波状攻撃が映えるのだ。おかげで、どうしてもさやかの方が噛ませ犬っぽく見えちゃうんだけどね。これだけ打撃メインの肉弾戦を演じておいて魔法少女を名乗るのもどうかと思うわ。一応、望遠鏡で覗く時なんかはそれっぽい「魔法」を使っているみたいだったけどさ。

 その他、河原でさやかとまどかが語らうシーンでは、川縁で無機質に回り続ける大量の発電用風車が不気味な圧迫感を出していたり、上條の演奏シーンで大写しになる落日が、どうしても不安なイメージを喚起したり、どの画面をとっても爽やかさや安心感とは無縁の作品。今回もエキセントリックな魔女の使い魔のデザインが、ひとさじの狂気を確認させてくれます。「ぶーんうっわー!」って叫んでる使い魔の鳴き声って、多分あれあおちゃんだよな。……この作品、少ないキャストでのインパクトの出し方がたまらんものがある。野中藍の悪辣系魔法少女って……配役的になんか「とらドラ!」っぽいイメージになってる。

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