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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 ムカシガタリズ、第10話。ちまっこいエリアスとかいう予想の斜め上の萌え要素が飛び出してきたのでびっくりしている。

 今作がスタートして初めての、チセとエリアスの別行動を描いたお話。これまでもちょいちょい一緒じゃないことはあったが、大体は不測の事態の結果であり、2人の意志でもってはっきりと認識できる別行動は初めてのこと。逆に考えると随分長いことべったりだったわけだが……まぁ、当然といえば当然。たった2人だけの「家族」ですからね(銀の君は置いとくとして)。

 チセが家を空けた理由は一応「杖をさっさと作ってしまうため」ということでリンデルさんから久しぶりにお呼びがかかったからだが、それだけだったら今まで通りにエリアスの付き添いがあってもいいわけで、わざわざチセを単身で呼び出したところに、リンデルの心配事が見え隠れしている。ひょっとしたらエリアスもその辺りの含みは理解していたのだろうか、まぁ、ちゃんと保護者がいてくれる状態ならば多少チセから目を離しても問題なかろう、というので割とあっさりこの旅行日程を承諾。チセからすると久しぶりにエリアス無しでの「不安な」生活、そしてエリアスからするとずっと気にかけていた対象が抜け落ちてしまった「静かな」生活ということになる。

 杖を作るためにドラゴンの国を再訪したチセ。以前遊んであげた子があっという間の成長を見せていたり、相変わらず謎が多い魔法使い界隈の新たな常識を色々と見て回る。肝心の杖を作る作業が進んだかどうかは定かでないが、その分、自分とエリアスの奇妙な共同生活について、多少なりともリンデルには伝わっただろうか。リンデルがチセをエリアスから遠ざけた理由の1つは「幾ら何でも囲い込みがひどい」という懸念だったので、こうして別々に夜を迎え、チセが新しい人間関係を構築できるならばそれだけでも目的の一端は成功と言えるだろう。まぁ、もともとスレイベガは放っておいても周りに妖精だの何だのが寄ってくるのだけども。

 そして、ことのついでに始まったのがエリアスとの馴れ初めを綴った昔語りである。最初からチセに話して聞かせるつもりだったかどうかは分からないが、この期に及んでチセにほとんど自分たちのことを話していないエリアスの秘密主義というか、まだるっこしいところに引っかかったご様子。別にエリアスとしても悪意があって秘密を作っているわけでもないのだろうが、それでもまぁ、弟子(嫁)との関係性としてはちょっとおかしいのは事実だろう。その辺りを強引に推し進めるために、エリアスが話していなかった過去の事実をここでぶちまけてしまおうというわけだ。これがいいことなのか悪いことなのかは分からないが……まぁ、割と驚くべきことではあるよね。エリアスはどこから来たのかもよく分からないし、どういう存在なのかもよく分からなかったという、やっぱり不確定情報ばかりの誕生エピソード。「ほとんどは精霊や妖精と同じ存在だが、若干肉もある」というのは、果たしてどういう? まぁ、その辺りの謎はまだしばらく解決されない部分なんでしょうけどね。

 ようやく語られたエリアスの「原初」のお話。まぁ、チセとしてもそれを聞いたから何かが変わるわけではなく、「エリアスだけが自分を受け入れてくれた存在」という信頼関係は堅牢だ。強いて変わった点を挙げるなら、エリアスの名前が出て来たときにちょっと頬を赤らめるくらいの反応を見せるようにはなっていますかね。周りの心配をよそに、チセの方ではがっつりエリアスへの信頼感を高めているのである。まぁ、そのことはエリアス側も同じなのだろうけど。

 そして、そんなエリアスの下にも別方面からの使節が来ていた。鳥型通信機(というか鳥)の後ろの方でしゃべっていたのは何とレンフレッドさんだった。てっきりカレッジとか言ってたから教会とかお国のお達しでチセをちゃんと学校で教育させよう、というご連絡なのかと思いきや、向こうにいるのは魔法使いではなく魔術師。はて、一体どんな相談になるのか。チセさんは、今度は誰の思惑でどこに振り回されてしまうんでしょうね

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 あんな馬鹿でかい犬が乗ってきても大丈夫なバスは心強いな、第9話。エリアス邸の近所の人たちって、どれくらい魔法やらなんやらに理解があるんだろうな。

 前回までの切った張ったの大騒動を終え、今回は多少なりとも骨休め。エリアスに至ってはほとんど動いてすらいない。しかし、そんな中だからこそ見えてくるものがあるわけで。毎度のことながらしっかりと各キャラクターの心情に寄り添った内容になっております。

 今回注目すべきは、改めて「魔法使いの嫁」というタイトルがどういう意味なのか、というところだろうか。今作は「魔法使いの弟子」ではないのだ。「嫁」という響きも現代日本ではすっかり扱いが軽くなった感はあるものの、普通に考えればそこには特別な意味があるわけで。チセは「弟子」ではなく「嫁」になる。それが果たしてどういう関係性なのか。転機というにもあまりに大きな事件を経て、エリアス・チセの両名に起こった変化を探る。すったもんだのついでに、2人の間に積極的に介入できるルツという「緩衝材」が増えたのも、2人の関係性が進み始めた一因と言えるだろう。シルキーさんは色々と世話を焼いてくれてはいるのだけど、なかなか積極的に介入してくるっていうタイプじゃないのでね。

 部屋から出てこなくなってしまったエリアスを心配していたチセだが、鍵もかかっていないドアになかなか手をかけることが出来ない。悶々とした状態を見かねたシルキーさんの計らいでお外へ出てみたところ、最初に遭遇したのはアンジェリカさん。彼女もやっぱりチセたちのことが気になっていたらしい。何かと気にかけてアドバイスしてくれる、頼れる姉御タイプのアンジェリカさんだが、しばらくショッピングと洒落込み、最後に少しだけ確信に触れることだけを指摘してくれた。それがチセとエリアスの「依存」関係のお話。実はこの「依存」という言葉の扱いも、ことこの2人に関してはなかなか難しい。何しろスタート地点が「金で買ったやつ」と「買われたやつ」である。そこだけを見れば、もう依存とかいうレベルではなくて「所有」なのである。しかし、実際にはエリアスは独占欲を満たすために金を払ったわけでもないし、やっていることだけを見れば本当に親と同じだけのことをチセに与えてくれる。そしてチセも、元来ドライな性格だったおかげで自分の置かれている変な状況に頓着せず、まわりの人間のなすがまま、自分の状況を受け入れてきた。

 しかし、今回そうした「なすがまま」について、アンジェリカさんは「依存」ではないかと言ったのである。これは、彼女がエリアスに甘えているとか、そういう叱咤ではないだろう。常識的に考えて、金で買われた彼女に何かを選ぶ権利なんてないはずなのだから。むしろ心配というか、彼女の今後の人生を思っての気遣いからの発言だったと思うのだが、これが今のチセには思いの外響く言葉になってしまった。彼女が「依存」するのは、何も物質的な側面だけではない。「自分は買われたのだ」「何も知らないひよっこなのだ」と思うことで、全ての判断をエリアスに委ね、思考を放棄する。あとに待つのが破滅なのか死なのか、それすら定かでないにも関わらず、大した執着も持たぬ彼女はエリアスに全てを委ね、「しょうがないことだ」と諦めているのである。エリアスもあの通りの変人なのでそんなチセの状態を「なんとなく都合がいい」くらいに受け止めているわけだが、このままでは本当に「所有される道具」でしかなく、チセという1人の人間の人生としては真っ当なものではないだろう。

 「相手がどうとも思っていない人間なのなら、裏切られても何も問題はない」。チセはそう言い訳をして、エリアスとの空虚な関係を受け入れてきた。しかし、一連の騒動を終えた今、彼女にとってエリアスはすでにそんな無機質な「飼い主」ではないのだ。そこには人と人との関係性があり、一緒に人生を歩むための感情の往来がある。それを隠して、全て「自分のせいではない」と言って目を伏せ続けることは、もう出来ないのである。だから、チセはついにエリアスの居室のドアを開けた。これまでは「エリアスに言われていない」から開けなかったドア。「エリアスが見えなくても自分に影響はない」から開けなかったドア。それを開いたということは、ついに彼女の中に「エリアスに会う動機」が生まれたということである。ここまでだいぶかかった気がするが、ようやくチセの中に特別な「感情」が与えらえたということだ。

 自分はエリアスに求めるだけなのか。エリアスは自分に何を求めるのか。2人の間に横たわる関係性を考え始めると、チセは自分がまだ何も知らないことにようやく思い至る。エリアスのことを知らないのはもちろんのこと、他者とどのように心を通わせればいいかというコミュニケーションのノウハウすら、彼女にとっては未知の領域だったのかもしれない。自分で考え、自分で動く。そうして自分の足を動かすことで、ようやく一人の人間としての「生き方」が生まれ、責任が生じる。今まで恐れてきたその領域に、彼女はようやく足を踏み入れたのだ。

 そして村で出会った1組の奇妙なカップル。そこにはなんと、互いに通じ合うための「関係性」すら存在せず、片方がただひたすらに相手を見つめ、もう片方はいもしない相手になんとなく焦がれているという。しかし、そんな生活を長年続けてきたリャナンシーは「それでも関係性だ」と主張している。愛するということの形を定義する方が馬鹿げている。自分が好きになったらこの人は死ぬかもしれないのだから、愛さずにそばに居続ける。それだけで満足できるなら自分はそれでいい。不思議な哲学を持つリャナンシーを見て、チセはさらに自分たちのことを考える。リャナンシーのように「見えない」ならしょうがない。しかし、見えるのに話してくれないエリアス、触れられるのに触れようともしなかった自分。それは未だに名前がついていない状態。愛情でもなければ、主従でもない。まずは「繋げる」ところから始めなければ。

 こうしてチセの視線はようやくエリアスの方へとまっすぐ向けられることになった。果たして、エリアスはこの視線に、この気持ちにどのように応えるのか。「嫁」までの道はまだまだ遠そうだが、少しずつ、2人の関係は変化している。

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 一つの帰着、第8話。忠犬の話って、いくつになっても涙なしには見られないですよね。

 非常にシンプルに、想定通りの内容に収まっていく。ユリシィ改めルツとなった黒犬は、悲しみを乗り越えて新しい人生(犬生?)を歩み始めるのだ。多少荒療治にはなってしまったが、これでようやく元の飼い主も安心できるのではなかろうか。まぁ、多分村では一番の忠犬の物語として語り継がれるのは間違いないだろう。それにしても、何で人間態のルツはあんなに目つきが悪いのだろう……。

 魔法使いと魔術師の対決。しかし、ぶつかるといってもお互いに同じ舞台に上がっているようにも見えないのが憎たらしいところで、ヨセフ(カルタフィリス)はどこまでも飄々と、人を食ったような態度で全く本気で対峙しているようには見えない。人間の怒りも悲しみも、魔術師の前では胡乱な感情へと堕してしまう。それはエリアスとて同じことなのだろうか。激情に駆られて真の姿へと変貌したエリアスを見ても、ヨセフは特に動じることもなく。互いの主義信条の違いが浮き彫りになるばかり。「自然の理を曲げてはいけない」と自制するエリアス・チセに対し、あらゆる事象は自分のために改変されるべきだと信じて疑わないヨセフ。一生交わることのないこの対立構造は、今後も根深く続いていくのだろう。

 チセを傷つけられたことで我を失ったエリアスだったが、チセが思いの外タフだったおかげですんでのところで「人」に戻ることができた(なんでチセが平然と戻ってきたのかはよくわからないが)。みっともない姿を見られてしまったと恥じ入るエリアスに対し、チセは「玄関のドアがくぐれないから不便そう」という何とも所帯染みた答え。なるほど冷静であるし、「嫁」としては最善の対応だ。そりゃまぁ、初見ではびっくりしたのが正直なところなんだろうが、考えてみりゃ初対面の時だってそれなりにびっくりしたわけだし、今更ちょっと姿形が変わるくらい、チセにとってはそこまで大きな問題ではないのかもしれない。そして、チセはおそらくエリアスがかけてほしい言葉が何となくわかるのだろう。これまでの人生において周りには「他者」が近づいてこなかったチセ。ようやく寄り添える相手が見つかったのだから、多少心を砕くくらいは造作もないことなのだ。

 そして、そんな冷静なチセでも憤ることはある。チセが感情をあらわにしたのは今作始まって初めてのことではなかろうか。残虐非道な魔術師に対し、義憤から害意を抱き、それを魔法の力で具現化するチセ。魔法というのは「だいたい何でもできる」力。スレイベガともなればその力の及ぶ範囲も桁違いなのだろう。魔法は勉強し始めたばかりのチセだが、感情に任せて力を行使すれば、一瞬で他者を亡き者にできるくらいのキャパはあるのだ。ついにその矛先が向けられる相手が現れてしまったわけだが、今度はエリアスが身を呈してそれを止める番。スレイベガの力を野放図に解放してしまえば、その代償は全てチセの身体に跳ね返ってくるのだ。何とかして暴走を抑え、彼女の命を永らえるのが、エリアスに与えられた使命なのである。

 互いにかばい合い、救いとなったエリアスとチセ。互いを思って孤独な戦いを続けていたレンフレッドとアリス、そしてひたすらに思い続けた相手との決着をつけることができたルツ。それぞれに絆の強さは疑いようがない。しかし、そんな中でただ1人だけ孤高であるヨセフ。彼はただ放埓に自分の望みを叶えるために動いているのだが、さて、それが少しでも内面に食い込んでくると不安定になってしまう。自分は何者なのか、何がしたくて動いていたのか。そんなことすら定かでなく、どす黒くありのままの願望は、そこに拠り所を持たない様子。やりたいことをやれる人間が、その「やりたいこと」を見失っているという救えない状況の中、魔術師は再び影へと消えた。このたびの問題は何とか解決したが、再びどこかで相見えることになるのは間違いないのだろう。魔法を使う者に課せられる運命というものは、なかなか業が深い。

 瞬間移動のために呼び出したウィルオーウィスプのおかげで、ルツの主人であったイザベルも無事に彼岸へと旅立った。新たな繋がりはチセとの「主従」になるのか、それとも「仲間」になるのか。まだまだ魔法使いの「弟子」であるチセには、下に「従者」を構えるってのも抵抗がありそうだが……まぁ、アリスちゃんも弟子兼守り人らしいし、関係性ってのは色々あっていいんでしょうね。住人(住犬)が一人増えて、チセたちの生活も多少賑やかになりそうだ。

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 マンドラゴラちゃんが超かわいいよね、第7話。……急に殺伐度合いが上がったから無理やりほのぼの系要素を探さないと精神的に辛いです。

 ハニームーンも各所を巡り、そこそこ落ち着いてきたチセさんとエリアス。すったもんだの挙句にエリアスの「裏事情」も全部ぶちまけてしまったため、かえって気遣い無しにお付き合いできるようになった感がある。チセはチセで「まぁ、利用されてるかもわからんけど、どうせこの人頼みなのは間違いないし、親切だし、ご飯くれるし」ってんでなんの問題もなくいうことを聞いている。そしてエリアスの方も、「どうせいつか話すことにはなったんだろうし、むしろチセの方が理解して率先して対策に乗り出してくれるなら作業も進めやすいかも」くらいの気持ち。本格的に魔法使いとしての素養を積み始めたチセさんは、スレイベガとしての体質とは別に、案外すんなりこの世界に馴染んでいる気もする。元々肝は座っている子だし、生きる手段が1つに定まれば、すぐさまそこに順応できる。あとはエリアスの言うとおりにするだけ。あっという間に魔法使いの初級編くらいはクリアしてるみたいなんですが、果たして日本にいた頃のチセさんって学業成績はどんなもんだったんでしょう。英語の専門書がスラスラ読めているのは……翻訳してくれる魔法とかあるんでしょうかね(まぁ、エリアスを含めて近隣住民と問題なく対話できている時点で、この作品では言語の違いは問題にならないみたいだが)。

 しかしまぁ、作業ってのは慣れてきたあたりが要注意。安定してきたと思われた生活にもまだまだスパイスは尽きない。今回は近所の教会で暴れていると言う悪霊(?)の監査という、いかにもはみ出し者向けのミッション。何事もなく終わればよかったのだが、当然世の中には「悪いもの」も溢れているわけで。フラフラと墓場に立ち入ったチセを歓迎したのは、カオナシの化け物みたいな「良くないもの」。対処法まではわからないが、初見でそれが「どういうものか」くらいは読み取れて、最善の対処法を選択できたチセさんは間違いなく成長している。まだ直に戦ったりはできないが、それでもなにも知らずに妖精に連れて行かれそうになった初日の夜とは大きな差。そしてそのおかげでなんとか一命はとりとめた。カオナシがうろうろしてたのは場所自体が「悪い」ところだったのか、その後のキメラ騒動の余波だったのか。

 そして出会ったのは、直前に使い魔の話をしていたチセさんには御誂え向きの黒い犬。エリアスが「覚醒したのはつい最近か」みたいなことを言っていたってことは、人間フォームを手に入れてまだまもないのだろう。その割に自分のことを人間だと言い張っているのは、いかにも忠犬が抱えていそうなプライド。愛情を持って育てられたペットは自分が他の家族とおんなじだと思ってるらしいですからね。自分よりも後に生まれた人間の娘のことも「妹」と言っていたし、おそらく立派なお兄ちゃんをやっていたに違いない。偶然にも妹はチセに似ているという(まぁ、髪の色くらいだけど)。このままことが片付けば、やっぱりすんなり使い魔に収まりそう。

 しかし、そんな希少な犬を狙うのはチセさんたちばかりではない。キメラの材料にするという物騒な理由で駆けつけたのは、例の魔術師二人組の女性の方、アリスちゃんである。どうやら男の方(レンフレッドって呼ばれてたね)とは師弟関係にあるらしく、チセさんが「魔法使いの嫁(兼弟子)」であるのと同様、あっちも「魔術師の弟子」として固い絆で結ばれている様子。ちょっとやんちゃがすぎるアリスちゃん、自分でも「頭が悪いから」と言っている通りにあんまり頭脳労働には向かない性格みたいだが、「あの人のことが好きなんですね」と尋ねられて「おうよ!」と元気に即答するあたり、根は真っ直ぐで良い子のようである。ちょっと粗野なところはあるのだが、クソ度胸のチセさんに睡眠薬アタックを食らってあっさり敗北、さらにふん縛られて残念な様子に。いや、これはアリスさんが悪いんじゃなくてチセさんの方を褒めるべきだとは思うけども。

 文字通り手も足も出ない状態のアリスちゃんは、元々困っていたという弱みもあったのだろう、あっさりと自分の窮状を打ち明けて「だから犬をくれ」と無茶なお願い。お前、よくその流れからチセさんが犬をくれると思ったな。さすがに無理があるだろ。当然、ここまでゴタゴタがひどくなったら保護者役のエリアスさんもご登場(いっつも女の子の尻の下から出てくる)。でもまぁ、エリアスも別に敵対意思があるわけではないようで、アリスちゃんのお悩みも「解決するよ」と2つ返事。悪い魔術師を退治するなら関係性としてはWin-Winなのだ。

 そして、そんな状況で飛んでくる絶望の一射。犬がいちはやく察知したことで、皮肉にもチセが2番目の気づいてアリスちゃんをかばう。余命僅かのスレイベガ。ただのモルモットかもしれない女の子。彼女が傷ついたことで、エリアスは予想外の反応を見せる。「過去にちょっとやらかしたことがある」と飄々と語っていたエリアス。彼は本来、教会からは追われる身だったという。その異形を普段あまり見せないのは、チセに余計な負担をかけないためだろうか。しかし、傷ついた弟子の姿にエリアスは我を失った。それだけ、彼にとってのチセはすでに大切な存在になっているのだ。

 魔法使いVS魔術師。人智を超えた勝負の結末は?

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 実に年季の入った良い「あらあら」でした、第6話。そのあとに続くのが「うふふ」だったらパーフェクトだったけど、「まぁまぁ」でもまぁまぁ良い。

 というわけで、まずはシナリオのことは差し置いてティターニアさんの話をさせてもらおう。それが私のジャスティスなのでどうしようもない。本当は今週放送された「クラシカロイド」の歌苗のお母さんの話も書きたかったのだが、時間がなかったので諦めた。まぁ、つまりは世界的に「母親」像を確立するためにはもはや大原さやかは不可欠だと、そういう話をしたかっただけである。「クラシカロイド」の方は天然ポワポワ母さんのテイストでしたが、こちらは「夜の支配者」の二つ名まで持ってるようなので圧倒的に「魔女」のテイストに近い方向性。登場シーンの恐ろしく間尺をとった重厚さは圧巻で、何よりも垂れ気味でポユンポユン揺れる柔らかすぎるおっぱいも圧巻である。すでに隠す気がない衣装だし、半分脱いでるみたいなデザインなんだけども妖精なんだからしょうがない。肉がないなら服がなくてもいいじゃない、の精神である。

 よし、とりあえずティターニアさんの話を書いたから一回戻ろう。冒頭は前回の事件の幕引きから。チセの奇跡により、猫の村の澱みは霧散して全てが片付いた。エリアスといがみ合う魔術師コンビ、ミハイルとアリスは、そんなチセの偉業を見てどこかホッとした様子。この人たち、いがみ合ってはいるけども別に悪い人ってわけではなさそうだ。スレイベガを金で買っていいように扱ってるんじゃないの? という嫌疑がエリアスにかかっているせいでその部分に食ってかかっても来たが、当事者であるチセが「まぁ、とりあえず置いとこ」みたいな態度だったもんだから「そんなら仕方ない」ってんで今回は撤収。エリアス曰く「魔法使いを憎んでいるから魔術師」とのことだったが、果たして過去にどんな因縁があったのでしょう。ただ、撤収後に例の悪い魔術師のところへ行っていたのは気になるところ。

 それ以上に気になるのは、忘れてなかったチセがちゃんと「私はいつ死ぬの?」と聞いた時のエリアスの反応である。てっきり、これまでの流れからするとすぐさま「僕が死なせないさ」みたいな聞こえのいい台詞で納得させにくるかと思ったら、なんと、ここで突然の手のひら返し。「まぁ、お買い得だったから金出して買ったし、初対面の時も色々と調子のいいこと行って取り入ったよね」みたいな話をぶちまける。何故ここにきていきなりチセの不信感を煽るようなことを言い出したのかはわからないが、基本的にエリアスは「騙そう」という気があってやっているわけではないのだろう。「都合のいいことを言って丸め込んだ」という部分だって、裏を返せばそれだけちゃんとチセが望む通りのおもてなしをしてくれたということであるし、エリアスは案外、本人も言ってる通りに「人間の感情の機微がよくわかっていない」だけなのかもしれない。そして、「スレイベガはお買い得だったし、色々と秘密にしてることもあるんだ、嫌いになってもしょうがないね」とこれまでの付き合いを反故にしてしまいそうな言葉を並べていたエリアスに向かって、チセは一言、「そんなに怖がらないで」。サイモンの言葉じゃないが、チセも「布の下の骨の顔色」を何か読み取り始めているのかもしれない。なんだかいびつには違いないが、少しずつ「エリアス→チセ」という影響に混じって、「チセ→エリアス」という方向の影響も出始めている。

 そして、魔力放出の治療のための森で遭遇したのが、ティタニア・オベロンのアホ夫婦なわけですよ。いや、今作のティタニアさん(今作だとティターニア表記か)は別にアホではないんですが、僕がプレイしてるとあるゲームだとオベロンが嫁の尻に敷かれるアホ亭主で、ティタニアさんは恐妻なんだけど勝手に人里から子供をさらって来ちゃうハイパーショタコンおばさんとして描かれているので、どうにもそっちのイメージに引っ張られてしまってな。オベロンの方は大体その通りで一安心(?)だが、ティタニアさんはもうちょい威厳があるっぽい。登場シーンの重厚さは前述の通りだし、一言一言に女王としてのえも言われぬ迫力、器の大きさが滲み出る。スレイベガは各方面から注目される存在だぞ、とミハイルさんも言っていましたが、妖精夫婦もチセに(というかこのヘンテコカップルに)興味津々のようです。アホ夫婦なので早速「お子さんのご予定は?」とかいうデリケートな質問をしちゃうけど、エリアスは余裕のスルー。チセも割とスルー力は高いので一度は軽く流したが、あとで冷静に考えてちょっとだけ頬を染めちゃうあたりは抜群に可愛い。ダメだよチセさん、あんたまだ法的に異性交遊が許されてないから(日本ではね)。

 とりあえずチセは先週宣言した通りに「受け入れてくれたエリアスを信じてみるわ」という姿勢を貫き通す予定。すでにチセの中ではエリアスのもう少し深い部分までの共感があるようにも見える。そしてエリアスはそんなチセを見て「ありがたい話だ」とは思っているが、問題はそこから先の感情がどのくらいあるか。どうやら、すでに「内臓がチクチクする」くらいの変化は出ているようで……これ、単なる夫婦のイチャイチャを見せつけられるだけの展開なのでは……まぁいいや、もっとやれ。もっと突っ込んだ話になったらチセさんが頬を赤らめる機会も増えるんでしょうかね。

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 たった1つの悪意の果て、第5話。ついに今作にも「純粋な悪人」が現れてしまったか。もちろん、これだけ万能な魔法の力が存在するなら悪用する人間が出てくるのも当たり前なのだが。

 猫の里の冒険、後編。まずはスレイベガという存在をめぐって、乱入者の2人(男の方がミハイル、ナイフのおねーちゃんがアリス)とチセが対峙する。衝撃の真実を知らされたチセであったが、ぶっちゃけ、前回の分析通りに彼女にとって「死」はそこまで重要な問題ではなかった。ただ、それでも彼女が無条件にエリアスに身を寄せたことは意外ではあったか。これまで一度たりとも求められなかったという彼女の人生。金で買おうが嘘八百だろうが、とにかくはっきりと彼女が必要だと求め、居場所を与えてくれた人間(?)はエリアスが初めてだったという。その先に何が待つのかは分からないし、本当に数年以内に死んでしまうのかもしれないが、それでも今は、エリアスに付き従うのみだという。

 この割り切り方はチセの強さとみるべきなのか、それとも命に拘泥しない彼女の短所とみるべきなのか。普通の人間ならば「命を握られている」と思えばそこに不信感や恐怖感があるだろう。実際、チセがエリアスの下に来てからも何度か「魔力によるダメージ」と思しき現象が発生しており、そのことについてエリアスが何も言わなかったのも事実。彼の誠意を疑おうと思えばいくらでも疑うことはできる。しかし、彼女はそうした他者との関係性に慣れていないということもあるのだろう。そもそもこれまで「他者を信じた」経験が無いと思われるわけで、その前提をクリアした上で「疑うかどうか」という俎上に上がったのがエリアスで1人目なのだ。それなら、どうせ最初からなかった人間関係。ダメだったとしても最悪死ぬだけだし、その時に支払われた金の分だけでも彼女がエリアスの役に立ったのなら、それはそれで取引としてはイーブンなのである。人身売買と言われた時点で、あらゆる不遇を想定して彼女はやって来たはずなのだ。今更命がどうこう言われたところで、つかの間のプラスがゼロに戻るだけ。それならば、これまでのほんの短い間の接触で自分がエリアスに感じた信頼に、今は賭けてもてもいいはずなのだ。

 チセがそこまで刹那的な考えを持っていたのかどうかは定かでないが、少なくともぽっと出の怪しげなコンビよりは、(まぁ、こっちも怪しいけど)いくらか気心の知れたエリアスを信じる。彼がここ数日で彼女に与えてくれたものを信じる。そうして、彼女はエリアスと意思をつないでいくのである。これまで散々な人生を歩んで来たチセなりの、一種の「処世術」だったのかも知れない。

 こうして、結局「澱み」のお祓い任務を続けることになったチセ。彼女が見せられた過去の記憶は、前回の猫たちの話から想像できる範疇のものだったのでそこまで大きな驚きは無いのだが、そこにポツンと小さな、根深い悪意が紛れていたことには注意が必要だ。「魔法使い」と「魔術師」。なんでそんな半端な言葉で区別するのだろうと思っていたが、なるほど、エリアスと「こいつ」を一緒くたにするのは抵抗があるか。人の心を持たずただ魔力のみを行使する悪魔のような存在。そんなものに関わってしまったが故に、1組の哀れな夫婦が永劫の闇に囚われてしまったのである。そして、その闇の中に、この村の猫たちも長年縛られ続けているのだ。これを解放してやるのが、スレイベガとしての大きな大きな第一歩。

 最終的にどこがどういう理屈でミナたちが救われたのかもよく分からなかったのだが、とにかく「精霊たちと尋常じゃなく仲良くできる」というチセの能力が見事に噛み合った結果らしい。もともとミナもマシューも悪人ではないただの被害者なのであるから、こういう形で救われるのはありがたい話である。多くの仲間を犠牲にしてしまった猫チームからはそれでいいのかという声も上がるかもしれないが、チセの機転により女王が生きながらえることができたのだから、ここはWIN-WINだったということで手を打とうではないか(猫の手をね!)。かくして、村には平和が訪れたのであった。

 これで全てが片付いて一件落着……というわけにもいかない。ミハイルたちが残した「スレイベガの余命」問題は残されているのだ。エリアスは「手を打とうとしている」と言っていたが、さて、チセは今後どのように自分の力を使役することになるのか……次回、なんかすげぇ魔女っぽい声の妖精の女王が登場するぞ。

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 にゃんダフル! 第4話。いいなぁ、猫の王国。にゃんこフェスタだなぁ。こんなにも充実した猫エナジーが満ちたアニメは「ふらいんぐういっち」以来ではないでしょうか。

 チセさんたちの「ハニームーン」とやらが進行する。チセさんは「将来的には嫁にするよ」というエリアスさんの申請を一応は受諾したものの、マジで嫁になるかどうかはまだ実感も湧いてない段階だと思うのだが、それでもハネムーンと言っていいんでしょうかね? まぁ、マジで挙式するなら後からもっとすごい儀式がありそうな気はするけど。とにかく、なんか不思議な車掌さんのいるSLでやってきました猫の国。ただ、普通の女の子も生活しているし、猫たちは人間の前では猫のふりをしているようなので、別に異世界に飛んだわけではなく、イギリスのどっかの片田舎が密かに猫の暗躍する素敵ワールドになっているというだけのことなのだろう。だったら普通の交通手段でも行ける気はするけどな。

 今作が本当に良いなぁと思う要素の1つに映像の丁寧さがあるのだが、今回の猫ワールドは猫の猫らしさを妥協せずにしっかりと描いてくれていてとても魅力的だ。造形はかなりリアル寄りなので「かわいい!」ばかりの顔ではないのだが、例えば普通に歩いている時の首回りの皮のたるみとか、エリアスに放り投げられた時の着地のモーション、あくびしてから遅れてベロがしまわれるまでの流れに、チセの足元てタシタシとマッサージしてくれる手つきなど、どれもこれも猫好きならば「あるある」と思えるような「猫らしさ」である。こうして可愛いだけじゃなくて実感を伴った猫が平然と人語を話したりするそのギャップでこそ、「魔法」感がより真に迫ったものになる。「3月のライオン」の川本家にいる猫トリオは「猫の愛らしさ」だけを凝縮したようなイデア猫であるが、こちらの猫は愛らしさに加えてどこか手間のかかる厄介さ、そして時折見せる薄気味悪さまで、全てをひっくるめた猫の姿が、魔法によく馴染む。猫は9つの命があり、それを使いながら賢くなっていくという。うちの実家で飼っていたあの子もあの子も、ひょっとしたらお別れした後にどこか別な世界で人語を話しながらのんびり暮らしているのかもしれないなぁ。

 さておき、そんな猫ワールドも残念ながら平和な姿ばかりではない。そもそも王国設立の際に「残虐な猫殺しを総力戦で叩き潰し、食らいつくした」という忌むべき歴史があり、その咎をも背負いながら、猫たちは生きている。そして、封印されたその時の咎の成れの果てが、今回チセが浄化すべき澱みであった。猫たちの「人間を殺した」記憶と、チセが湖中で見た若夫婦の記憶、2つを重ね合わせると、あの旦那が猫殺しの犯人だったということだが、果たしてどんな悲劇があったというのだろうか。そして、儀式に乱入した「魔術師」を名乗る二人は何者なのか。エリアスがチセを謀っているというのはどういうことなのか。本当に次回が気になることばかりですね。

 とりあえず今回わかったことをまとめておくと、エリアスについては「その本性は影なのだ」と自己申告しており、そのために魔法にも得手不得手があるらしい。「影」というならばこれまでの生い立ちが色々と重たかったチセも影っぽい印象はあるのだが、彼女は浄化の任を任されたのだからもうちょっと「光」寄りの存在になれるということなのかな。だからこその「つがい」ということでしょうか? 今回、浄化の命を受けてチセが心配していたのは「成功するかどうか」とか「失敗したら命が危ないんじゃないか」とかでなく、「失敗したらエリアスに失望されてしまうだろうか」ということばかりだった。すでに彼女の人生にはエリアスが不可欠になっており、現時点で彼女はエリアスに大きく依存する精神状態になっているということ。まぁ、そもそも彼女は死を恐れていないわけでね。2週続けて水中に放り投げられるヒロインというのもなかなか災難である。

 そしてそんな彼女だからこそ、謎のマントおねーちゃん達に「死ぬよ」と言われてもその「死」自体にはそこまで動じなかったかもしれないが、「エリアスが自分を騙しているかもしれない」という話には当然心が揺れるわけで。結局、チセさんは目の下のクマクマが取れないままなんですよね(明るい表情の時は消えることもあるんだけども)。なかなか本当の意味で心休まる瞬間は訪れません。猫を撫でるだけで過ごせる人生でありたい。

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 ドラゴンと恐竜の違いははっきりと認識しなければいけない(「イクサラン」制作チームの記述より)、第3話。今回のやつはMagicだとドラゴンって認めてもらえないタイプのやつらもおったな。まぁ、ゲーム的には存在しなくてもちっちゃいドラゴンだってどこかにはいるんだろうけども。

 前回颯爽と誘拐されてしまったチセ。てっきりここからはドラゴンにまたがった誘拐犯との冒険活劇でも始まるのかと思いきや……なんと、まさかの「生と死」というとんでもないテーマを扱ったお話へと進展した。なるほど、この世界は色々と物騒な存在も多いし、やろうと思えば魔法を使った大バトル展開だってできるのだろうけど、あくまでもメインテーマとして描かれるべきはチセという一人の少女の内面なのであるな。タイトルに偽り無しだ。

 アイスランドは実はドラゴン保護区だったという驚きの真実。どう考えてもあれだけ広大な土地で野放図に飼育してたら人間に見つかるやんけ、と思いきや、どうやらそれ専門の担当魔術師が長い年月をかけて最後の聖域を守るための魔法を管理し続けているらしい。その男の名はリンデル。CV浪川のおちゃらけ野郎で、なんとなく思いつきでチセを誘拐したり、うっかりそのまま冷や水の中にぶち込んだりもするが、その正体はエリアスなんかよりよっぽど歳を重ねた大ベテランらしい。この世界の魔法使いは年齢も操作できるのか、はたまた幻術なんかで外見だけをごまかしているのか。まぁ、あんまり人に会う理由もない職業だろうし、外見だけごまかす意味はないよな。魔法使いになったらどれだけ長生きできるようになるんでしょうな。

 誘拐事件はちょっとした挨拶がわりだったが、その流れで死にかけたチセはたまったもんじゃない。しかし、そうして訪ずれた死の淵であっても、ろくすっぽ抵抗しないのがチセという女の子。ぽいと水に捨てられたというのに、一切抵抗する様子もなく、ただぼんやりと沈んでいくだけ。彼女にとっての「生」とは、わざわざ手を伸ばしてまで掴みたいものではない。生きていても意味がない、むしろ生きていれば辛いことばかり。それが彼女のこれまでの人生だったのだから。

 そして、そんな彼女の捨て鉢な人生観は、エリアスだけではなかなか塗り替えられなかったのではなかろうか。果たしてエリアスは狙って二人を会わせたのかどうか。巨大な老ドラゴン・ネヴィンとの出会いは、チセに少なからず影響を与えたようだ。チセにとって、生はすがりつくものではなく、死は安易な逃げ道の1つである。半ば死んだような気持ちでわざわざ自身を売りに出したのだから、彼女は自分の命に頓着はない。「死を恐れない」という意味ではドラゴン族も同じようなものだが、しかし、ドラゴンの「生死観」はチセのような捨て鉢なものではなく、「生の続きとして死が存在し、己が死を次の世代に引き継いでいく」というもの。つまり、死は逃げ道や終点ではなく、あくまでも経過であり、必然なのだ。長命のドラゴンだからこそ持てる価値観なのは間違いないが、チセにとって、彼らのもたらした「死」は一考の余地があるものだった。

 骨格と筋肉を遺伝子レベルで改変しなければ人間は飛べない。しかし、生きるための力は誰にでもある。ネヴィンはそれを「翼」と称し、「生きるために飛ぶこと」をチセに諭した。奇しくもチセは魔法使いの見習いになったばかりであり、その命がどこまで続くのかもわからないし、本当に空を飛べる可能性だってある。スレイベガの彼女なら、ひょっとしたらネヴィンですら考えもしなかったことができるかもしれない。それをただ費やすだけの命にするのは惜しいことである。チセのこれまでの人生では、こうして他者の命と交感し、命の価値を考える機会もなかったのだろうが、ネヴィンは自らの最期をもって、チセに新しい命の形を与えてくれた。

 「通りすがりの人にほんのちょっと親切にされただけ」というのはなんともあけすけな、チセらしい物言いであったが、そんなことを言いながらもネヴィンから多くのものを受け取ったのは間違いない。これまでは自分の周りを素通りするか、害を与えて去っていくばかりだった雑踏。そんな中で、チセは「ほんのちょっとの親切」に触れることができたのである。彼女の人生も、これで少し前を向き、翼を広げるきっかけができたのではなかろうか。

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 ウーパールーパーが可愛い、第2話。あんなもんに容赦無く巻きつかれても動じないチセさん強い。

 とても見やすくて1話の好印象が持続している第2話である。「宝石の国」は展開が読めなくてちょっと感想が書きにくかったのだが、こちらはわかりやすいのですんなり書ける。とにかく世界が優しいので、過酷な作品が多いこのご時世にはたまらん癒し成分になります。いや、チセさんの生い立ちだけは充分へヴィなんだけどね。それを補って余りある今後の人生が待っているような気がしてね。

 意外だったのは、エリアスさんが割としっかり周りの人間と交流していたということである。魔法使いってだけで完全な隠遁生活をイメージしていて、ともすれば迫害だって受けてるだろうと勝手に想像していたのだが、多分このイメージは似たような設定の「純潔のマリア」からのものだな。あっちの魔女は本当に人間との対立構図がひどくて、使い魔のフクロウと同族だけが友達っていう状態だった。幸い、エリアスさんは大人な付き合いができる知り合いが多いみたいですね。いや、ひょっとしたら今回出てきた2人だけなのかもしれないけども。ま、その2人が両方ともいい人っぽいからそれでもOKだよね。

 初めに会いにいったのは魔法使いが暮らしていく上で欠かせないツールを色々と用意してくれるという道具屋のおねーさん。彼女も魔法使いだといっていたけども……おいくつなんでしょうかね。娘もいるし、普通に人間社会で生活してるみたいだから、見た目通りの常識的な年齢でいいのかな? CVが甲斐田裕子ということもあり(?)、たいそうな巨乳である。途中からおっぱいにしか目がいかないくらいの巨乳である。でも、不思議とやらしさはない。世界観のなせる技かな。姉御肌で面倒見が良く、突然連れられたチセにも親切にしてくれる。その上で、ちょっとほとばしりすぎちゃうチセの魔力に面食らうも、ちゃんと理解を示して善後策を講じてくれる。やっぱりいい人。エリアスさんには容赦なく腹パンかますけどね。エリアスさん、知り合い相手だと割と扱いが軽いんだよな。見た目以上にフランクに付き合えるおっさんなのかもしれない。

 そんな道具屋・アンジェリカさんの工房で見せてしまったチセの爆発的なポテンシャル。まぁ、わざわざエリアスさんが大金叩いて「買ってきた」物件なんだからコワレなのは分かっていたことだが、「妖精などに懐かれやすい」とざっくり説明していた能力も、どうやら魔力の触媒として考えると結構破壊的な性能らしい。「ネギま」でも同じ説明がなされていたが、体内のエネルギーを使って超常的な現象を起こすのが「気」の力であるなら、外界にある超越したエネルギーや現象を使いこなすのが「魔法」。そのためには使役する法則を学び、人ならざるものを使役する術を会得する必要がある。しかし、チセさんはもともと「好かれやすい」性質なので、その辺りのコントロールに要するトレーニングやエネルギーが少なくて済むようだ。そして、事前にアンジェリカさんのいっていた通り、ちょっと間違えるだけで暴走してしまう恐れもあるという。なるほど、エリアスさんがのらりくらりと魔法についてあまり踏み込まなかったのは、本当にゆっくり教えていかないと危ないと思っていたからかもしれませんね。

 なんとか街中デートを終えて戻ってきた2人が遭遇するのは、エリアスさんの二人目の知人、CV森川智之の神父である。こちらはエリアスの対外干渉担当かな? さすがに魔法使いだってバレてると教会からの監視は必須なのね。「神」と「魔法」ってこの世界ではどの程度共存できているんでしょうか。まぁ、さすがに仲良しってわけにはいかないんだろうけども。西洋の、というかキリスト教の考え方だと魔法って「髪の御業」でなければいけないので、人間が使役するのは背教に当たっちゃうからね。幸い今回出てきた神父さん・サイモンはその辺りはある程度容認派らしい。今のところ人類に仇なすわけでもない有益な存在であるエリアスを排斥するのも得策ではないしね。とりあえずはやんわりと嫌味を言い合いながらも悪くないおつきあいってことで。

 こうして周りに少しずつ「社会」が広がっていくのを、チセはどのように見ているんでしょうかね。今まで完全に閉じていたはずの「外界」。それがエリアスの力によって(チセ本人の意を介さずに)少しずつ広がっていく。絶望的な過去を抱えていた彼女にとって、この広がりは慣れない刺激ではあるものの、決して悪いものではなさそうだ。1話目で痛々しかった目の下の隈もすっかり取れているしね。シルキーさんに出された特大サンドイッチを頬張るチセさんが可愛らしくて癒される。

 ……とか思っていたのに、いきなりアイスランド・ハニームーンからのドラゴンを用いた拉致事件発生である。ドラゴン?! そんなご大層なものが?! まだまだ底の見えない世界だなぁ……。

 

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