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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 安西先生……娘が……娘がほしいです……第4話。なんかもう、持てるロリパワーの全てを駆使して視聴者を殺しに来てるとしか思えない萌えキャラっぷりのカンナちゃん。ランドセル背負ってクルッてしてるとこなんてマジで凶器ですよ(注・当方ロリコンではありません(自己申告))。

 タイトルの通り、今回の主役はカンナちゃんであり、彼女の可愛らしさを伝えるためだけに存在していると言っても過言ではないエピソード。初見の時にカンナちゃんの容姿について「ヴィニエイラ様に似てる」って書いたんだけど、訂正しよう。比じゃなく可愛いわ。やっぱり圧倒的作画力の影響はでかいな。ただ、「カンナちゃん可愛い」だけだと1行で終わってしまうので、蛇足ながらももう少し他のポイントも見ていこう。

 まず、今作の特徴として突如現れる圧倒的な上から目線という要素がある。普段は単なる問題児のトール(とカンナ)だが、何の前触れもなく急にエンシェントドラゴン目線になり、人類の愚かさなり浅はかさなりをたしなめるのである。トールはその要素が極端に出ているキャラで、隣に小林がいなければいつでも世間を滅ぼしかねない危うさもまた彼女の魅力の1つといえるかもしれない。カンナは元の属性も幼女(幼竜?)なのでそこまでの達観ではないようだが、それでも見た目通りの幼女ではなく、そこそこロリババアの領域なのでものの考え方は割と達観している。そして、そんな2人を契機に出てくる問題が、日本の小学校教育から見る社会的価値観の問題、そしてそれは、古えの竜からすると人類不偏の「愚かさ」に映るようである。まぁ、確かにおかしいとは思うんだけどね。小林みたいなヒネた言い方になっちゃうと特にね。でもトールに言われても「オマエが言うな」っていう気持ちが先に来るよね。小林の飲みかけの缶をもらって満足するような奴に言われたくないよね。

 そして、そんなおかしな日本の小学校の文化を皮肉るかのように巨額の入学準備費用が必要になってくるのだが、前回の引っ越し同様、縁もゆかりもないはずの単なる幼女のためにポンと諸経費を払ってくれる小林の豪儀さ。こうしてみると世のご家庭のお父さんお母さんがどれくらい子供にお金を掛けているかがよく分かりますね。本当にご苦労様です。でもまぁ、大事な子供さんですしねぇ、子供って道具はすぐにぶっ壊しちゃうしねぇ。なるべく良いものを持たせてあげた方が結果的には安く済むかもしれないわけで、学校側もそれを分かった上で最初にそれなりの出費を強いているところもあるんでしょうね。普通は子供が生まれたときからこつこつと蓄えていって、小学校入学や大学入学など、節目のタイミングで支払うのが家庭の経済って奴なんですよ。小林、その費用は将来の結婚費用とかに充てなくていいのかね。……まぁ、すでに小林&トールでカンナの両親みたいになってるけども……。小林のお父さん属性が半端じゃないんだけど、トールが判子捺してもらいたくて突然脱ぎだすシーンあたりで普通の萌えものの主人公と反応が違うことで「あぁ、そういえば小林って女性だったな」ってことを思い出すのです。

 そんなこんなで、小学校の文化にすんなり馴染んだカンナを見て「思いの外トラブルもなく溶け込んでてトールなんかよりもよっぽどおりこうさんだ!」と安心したのも束の間。若干面倒なクラスメイト才川さんに絡まれた結果、マブダチにはなったんだけど面倒ごとも増えた。才川さん、むしろあんたの方がいじめられそうなキャラに見えるのだが(っていうか実際にいじめみたいな発言をされているが)、どうやら彼女は純粋に生まれ持った面倒くささがある子らしい。ツンデレ……じゃねぇなぁ、これ。やけっぱち体質? この歳の女の子が同学年の子に「萌え」って言っちゃうのもどうかと思うけど、とにかくそんな才川さんのせいで巻き起こるドッジボール対決。人間との対決は穏当に終わったが、その後のドラゴン・ドッジはいつもの通り。ルコアさんも割とこういうことはマジでやってくれる人だったのね。ちなみにあれだけ酷使されたのにボールが壊れなかったのは、トールたちが魔力をエンチャントしていたせい。多分。あのシーンを見てしまった才川さんは、今後どういう態度でカンナに接するんだろう。彼女の記憶も消されちゃうのかしら。

 ところで、今回登場したカンナのクラスの担任がCV後藤邑子先生だったんですよね。少しずつ仕事に復帰出来て……るのかな? 本人のブログなんかを見るとまだまだ復活というわけにもいかないみたいだけど、是非とも今後末永く声を聴かせてほしいもんです。奇しくも今作(京アニ作品)でSOS団員が2人揃ってるしな。

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 とにかくカンナが可愛い、第3話。もう、ドラゴンが云々とかいう要素はほぼ残っておらず、単なる幼女としての愛らしさである。お気に入りは引っ越し準備の時の段ボール被ってるカンナです。ちなみにトールのチャームポイントは、どれだけ可愛い顔になっても譲らないは虫類な眼球。

 いきなりの引っ越し決意。すし詰め状態で窮屈な中にもその近さがスキンシップとなって楽しい部分もあると思うんだけど、まぁ、実生活の中でそんなことはなかなかありがたみには感じられないかな。インドア派っぽい割には引っ越しと決めたらすぐに決断して動けるあたり、小林も案外アクティブ。思い立った時にすぐに今よりでかい家に住み替えるくらいの甲斐性はあるし、それを実行してメイドとロリを引っ張れるリーダーシップがある。毎回、何故か小林の人間力の確かさを確認させられるエピソードが多いな。この人、コミュ障だの何だの言ってる割には、度胸も愛嬌もあるし、余計な気を遣わない割には肝心なところでちゃんとトールのことを考えてあげているので、本当に良い「御主人」なのよね。

 トールはそんな小林についていけばちゃんと幸せが約束されている。従順な「メイド」としての生を全うするだけかと思いきや、人間嫌いのくせに何故か小林に対してだけは性的欲求に近い感情を抱いているのが困りもの。幼少期の小林のアルバムを見つけたときのマニアックな食いつき方は……なんで人類種の上に立つはずのドラゴンが人間の「死んだ魚のような目」にビンビンくるんでしょうね。暴君なのに偏食なんでしょうかね。ひょっとしたら「人間味のない人間」の方が好みとか? だとすると、今後のトールの周りには厄介なのしか集まってこないことになるが……。

 実際、引っ越しを終えて最初のご近所コミュニケーションではばっちり厄介な奴が集まった。集合住宅における近所付き合いの面倒さは小林でなくとも辟易する部分だが、トールは割とざっくばらんにそのあたりの問題にあたっている。一瞬のメタモルフォーゼから殺意を見せたりもしたけど、一応小林の言うことを聞いて穏便に済ませようとはしているみたいだし、周りの連中も明らかにおかしい尻尾メイドのことも特に色眼鏡で見ている様子もない。まー、謎の料理主婦にデスメタルミュージシャン、それにマンションでドリルを使うはた迷惑なクリエイターという変人の集まりだし、そのあたりは寛容な連中なのかも(商店街の人らもあんまり気にしてなかったけど)。そして、そんな面倒な連中をとりまとめるのも何故か小林の役目。引っ越してきた直後の住人のくせに、先人たちのご近所トラブルを処理してしまえるあたりは流石だ。いやぁ、でも流石にドリルやらバンド音楽の騒音は譲歩じゃなくて禁止でもいいような……。

 そして、広いおうちを手に入れたことで実現したのが人間と竜が入り乱れてのホームパーティであった。突然トールが呼び出したのは、これまで電話相談に応えてくれていた仲良し2人、ファフニールさんとケツァルコアトルさん。個人的に構成されたファフニールのイメージって「邪竜」とか「毒竜」のイメージなんだけど、こちらの世界では黒執事のようです。最初のお宅訪問時はどっちかっていうとデビルみたいな格好でしたけど。トールの呼び出しとはいえ、よく暴れずに下界まで下りてこられたもんだな。道すがら国の1つも滅ぼしかねない勢いだったけども。そしてケツァルコアトルさん(ルコアさん)は、以前電話で話した時と同様、話の分かるおねーさん。ただし巨乳で痴女で、酒に異常な警戒心を示すだけ。小林さん、別にドラゴンが全員巨乳なわけじゃないよ。カンナがいるから元気出せ。こうしていつの間にか仲良くなってる竜と人間の関係性を見ていると、竜は何で人間界まで出てこないのか、ってのが不思議になりますね。まぁ、トールが言っていたように、人間サイズにあわせると窮屈でしょうがないんだろうけども。

 そんなときは屋上で洗車ならぬ洗竜すればええんやで。いやぁ、でもあのサイズは車ってレベルじゃない、小型ジェット機よりもでかい。全部洗おうと思ったらマジで1日仕事になるな……。もう、小林もトールのことべろべろ舐めたらいいじゃん(いいじゃん)。

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 そこかしこから中村ボイス、第2話。先週は空き巣で今週はひったくり、中村悠一界隈の治安が悪すぎる世界。その他にも商店街のモブなど、世の男性のほとんどが中村ボイス。「キルミーベイベー」における立木文彦みたいになっとる。

 順調に狙い通りの方向に進化している2話目。新キャラ1人追加でてこ入れしつつ、主人公・小林とトールの関係性も少しずつ深めていく。新キャラのロリドラゴン・カンナはなんだかヴィニエイラ様みたいな出で立ちだが、ドラゴン的には純正のロリっ子のようである。登場時にはポカポカ殴ってきてもリアル幼女だったのだが、充電したら普通のドラゴンスペックになってしまったので、実は小林はすんでのところで一命を取り留めていたことが発覚。常識のないドラゴンがそこら中をうろついている世界はなかなかデンジャラスだ。ドラゴン業界も、子供のお仕置き程度で人間世界を危険にさらすの勘弁してくれ。そういえばカンナは「電気で回復するから」と言っていたが、それってドラゴン全員に共通する性質なんですかね。彼女の口ぶりからすると個体によってエネルギー摂取の方向性が違うようだが。トールは甘味なんですかね。

 トールの場合、別に充電をせずとも、ちょっと本気を出せばすぐにドラゴンのスペックが発揮可能。どうやら短期間のうちに「人間界でやるとまずいこと」はちゃんと学習しているようで、人間フォルムのままでも超性能を発揮出来るのはなかなか優秀。というか、ちょっと尻尾の肉を刻むことを除けば、もうほとんどいっぱしのメイドとして機能しているように見える。やったじゃん小林、拾いものじゃん。まぁ、その小林の方も、カンナに対する態度を見ていると純粋にいい奴っぽいので、人間力の高さにトールが惹かれたのもしょうがないかな、って気もする。ほら、ドラゴンってファンタジーでも真の勇者には協力的になったりしますからね。案外小林にはその資質があったのかもしれません。

 もし小林がろくでもない奴だった場合、傷が癒えたトールのイライラが人間界にぶつけられて軽く滅んでいた可能性もあるわけだ。今回はトールとカンナの「遊び」という形でその超絶パワーが発揮されていたが、その矛先が人間に向かなくて本当に良かったと思えるレベルの超絶戦闘。ここで作画リソースを注ぎ込んでくる相変わらずの京アニクオリティ。それ以外にも、カンナ登場時に逆上したトールの野生解放モードなんかも迫力があってよい画面。こういう画がしっかりメリハリを付けてくれるから退屈しないんだよなぁ。あとは小林がこの超生物たちを上手いこと使役してくれることを祈るのみだ。

 幸い、トールはますます小林にぞっこんなのでよほどのことが無い限り人類に牙を剥くことは無さそう。カンナの方も小林に恩義は感じているし、トールのように人間を見下しているという様子でもないので、そっとしておけば単なる幼女で済むのだろう。あとは、エンディング映像で出てきてる残り2体のドラゴンがどんなスタンスかだな。次週、3話目なので当然3体目が出てくることになるようだが……。この世界のドラゴンって、人間界との行き来はフリーパスなんですかね? 認識阻害の魔法なんてものまで使えるし、マジでちょっと本気出せば人間界滅ぼせますよ? 今期のアニメはドラゴンに狙われたり天使や悪魔に滅ぼすことを検討されたり……人類頑張れ。

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 泣いて笑って、最終話。清々しさの中に残る寂しさ、希望。ただそれだけのお話。

 もう、特に書くこともない気がします。アニメの構成としては理想的な「1話まるまるエピローグ」。前回の大会では演奏シーンがカットされたわけだが、今回はきちっと在校生側の演奏が描かれ、ずるすぎる思い出回想シーン。やっぱり、今年の北宇治高校を象徴する曲といえば何を差し置いても「三日月の舞」なわけですね。もう、イントロの時点で涙がぶわってなる。そりゃ部長先輩たちだって泣くよ。笑顔で聞いてられる田中あすかのメンタルが鉄なだけで。

 「卒業」がテーマになるのだから、当然「残す者」「残される者」という対比が重要になる。学校というシステムの良し悪しについては先生たちが語っていた通りで、「残される」側は、1年間必死で積み上げ、崩されたものを、出来るだけ維持しながら、新しい部活動を作っていくことが求められる。予想、というか願望の通り、新部長に任命されたのはなんと大天使・吉川優子。もう、ここまで来たら彼女についていくしかないでしょう。ズバッとものが言える実直さ、部員の端々にまで目が届く気遣いの細やかさ、あれだけバタバタさせながらもきっちりレギュラーに残っている確かな実力、そして何よりも、たくさんの人の心を引っ張ることが出来るエネルギー。同学年の子らはおちゃらけてみせたものの、おそらく彼女ほど部長に適任の人間はいないだろう。ぶっちゃけ、直近の大会でレギュラーに残れなかった中川パイセンの方が副部長就任に問題があるような気もするんだが、まぁ、別に上手下手だけが役員に必要な条件ではないからね。吉川・中川コンビによって、新たな北宇治高校吹奏楽部がスタートする。まだまだ三年生の先輩方には追いつけない部分も多いが、彼女達の学年は艱難辛苦を乗り越えて今の吹部の礎を作った、良くも悪くも転機となる学年である。きっと今まで以上に素晴らしい部を作り上げてくれるに違いない。

 1年生は、そんな2年生たちを支える役割を担い、来春からは新たにやってくる新入生を指導する立場に回る。久美子や麗奈、緑輝に葉月。どうにも「先輩」ってポジションが似合わない連中が多いが、彼女達には三年生が残していった北宇治スピリッツが根付いているはず。責任ある立場に回ったとき、彼女達がどのように成長するのかは楽しみである。まぁ、麗奈さんの場合はそんなことよりも滝センとの関係性の方が気掛かりだが……おそらく彼女のコトだし、前回の騒動で一旦線引きは出来てるんだろう。「次にチャレンジするのは高校卒業後」ってんなら先生も安心だけど、多分、「全国行って金賞取れたらもう一回」みたいに思ってるんだろうな……。

 そして、我らが主人公、「残された者」黄前久美子嬢。前回ちょろっとフラグを立てた(ような気がした)秀一はサラッと蹴飛ばしておいて、彼女の心残りはあすか先輩のことばかり。彼女の念願は全国大会で一部分だけは果たされたわけだが、もちろん、ゴールまではほど遠いはず。田中あすかの今後の人生に、ユーフォはもう必要ないのか。自分との思い出は過去のものになってしまうのか。あすか先輩の様々な顔を見ているだけに、久美子はその答えを知らないまま終わらせるわけにはいかなかった。楽器室にユーフォが置かれていなかったことから、まだ彼女のユーフォが「終わった」わけではないことだけは確認出来るが、その心の中までは分からないのだ。

 卒業式の日、やはり「ラスボス」である田中あすかには1対1で挑む久美子。「性格の悪い」久美子は、事ここに至って、普段なら絶対に表に出さないような部分まで洗いざらい吐き出し、あすか先輩に「告白」する。彼女にユーフォを手放してほしくない、彼女の人生の続きが見たい、彼女の中で、自分を過去のものにしてほしくない。そんな気持ちの一部は単なるエゴでしかないのだが、もちろん、天下の田中あすかが久美子ごときの内面を知らぬはずもないわけで。笑顔で受け止め、新たな関係性として楽譜を託すあすか。彼女が「残す」のは思い出だけではない。彼女のユーフォの全てを後輩に引き継ぎ、新たな北宇治の糧とすることを命じる。もちろんそれは、あすか自身が終わったことを示すわけではない。「さよなら」は嫌だという久美子に、「じゃぁ、また」といつものように軽口を叩きながら去るあすか。しかし、彼女の言葉が力を持たなかったことは今まで一度たりともなかったのだ。田中あすかは終わらない。そして、久美子はその果てしない存在に近づくために、これからも信念を持って、ユーフォを奏でていけるのだろう。それこそが、「響け!ユーフォニアム」。

 ラストシーンはそんなあすか先輩の「退場」から、次の世代を担う若手の未来を示唆するもの。つまり久美子と麗奈のツーショットで締め。「午後から合奏練習」は、番組開始前のCMで何度も流れてきた2人の定番台詞である。時代が移り、人は変わっていくが、そこに宿る信念は繋がり、明日に続いていくのだ。

 「そして、次の曲が始まるのです」

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 音楽のない演奏会、第12話。これまで幾度となく素晴らしい演奏シーンを叩きつけてきた作品だけに、最後の晴れ舞台は一体どんなクオリティにしなきゃならんのだ、と思っていたが、なるほど、無いのだな。正直、演奏を見たかったという気持ちが無いではないが、結果を考えればこれはこれで良かったのかも。そして何より、演奏シーン無しでここまでドラマが構築出来る構成はやっぱりお見事というしかない。色々と、見たいものは見せてもらいました。

 諸々の問題を必死に片付けていたら、あっという間に来てしまった全国大会。北宇治はここまで、一体どれだけ真剣に練習に打ち込んできたことか! ……いや、実はそこはあんまり分からないんだ。練習シーンやトレーニングの苦しさを細かく描いていたのは、実は地区大会前がピークだった。2期に入り、関西大会突破後はあすか問題、麻美子問題、麗奈問題と立て続けに久美子の周りが騒がしくなり、結果的に練習シーンはほとんど描かれなかった。もちろん、その間も久美子を含めた部員たちは必死に練習していたはずなのだが、視聴者サイドからは実感として「苦労の上での成果」が見えてこない。ここで突然劇的な演奏シーンを作られても、ちょっと困ってしまった可能性があるのだ。何故、そうして練習シーンを描いてこなかったかといえば、あけすけな言い方をすれば、大会の結果がこうなることが(製作スタッフには)分かっているから。今回の結果を描くにあたって、練習シーンはそこまで重要ではないし、その延長上にある演奏シーンすらも、今回はウェイトを置くべき存在ではなかったということ。そりゃあった方が嬉しいのは間違いないが、京アニ史上最高クオリティの圧倒的全国大会の演奏は、北宇治が来年度改めて全国まで勝ち上がってきた時に期待しようではないか(あるかなー、あるといいなー)。考えてみれば、主軸であるあすか先輩にブランクがあり、ソロ担当の麗奈も直前までメンタルをやられており、万全の状態とは言えなかった北宇治。そして、関西大会を突破したとはいえ、実際に本気を出し始めたのは今年になってからという急造チームであるのも事実。それが全国大会まで勝ち上がってきた時点ですげぇのであって、もし、滝昇という優秀な指導者が同じペースで来年の大会を見据えて指導したなら、きっと北宇治はさらに一段上のレベルに到達出来るはず。葉月も加わって最強となった2年生軍団がみせるアンサンブルが楽しみですね(あるかなー、あるといいなー)。

 こうして演奏シーンを削って描かれたのは、それぞれの「事件」の顛末。あすか先輩の演奏は父親に届き、久美子の演奏、そして気持ちは麻美子に届く。もう、その表情が見られただけでも満足ですよ。残念ながら麗奈の気持ちだけは滝センには(100%は)届かなかったみたいだが、まぁ、滝センはあれでしたたかなところがありますのでね。おそらくずっと前から麗奈のことは重々承知してて、「流石に教師と生徒でそれはまずい」ってんですっとぼけてるんでしょうよ。麗奈さん、卒業して法的に堂々と交際できるようになってからが勝負やで。毎回毎回特大の地雷を叩きつけてくれる麗奈さんだが、今回の告白シーンも最高でしたね。あれが出来るからこその麗奈。そんで、やっておいて顔を真っ赤にして後悔するのが麗奈。あと、真っ先にフォロー入れてくれるいい奴が吉川。まぁ、来年の部長は中川先輩になるっぽいけども。

 細かい「結末」はそれぞれに胸に染みるものになっていたが、今回ついでに注目しておきたいのはその他2つのポイント。1つは、前日の旅館の夜をともにした久美子と秀一。久美子って秀一と話す時の声のトーンが母親とかお姉ちゃんと話すときのダルそうなトーンと全く同じなんだよね。ちょっと身体が当たって「あゴメン」っていうトーンとか、本当に秀一のことを欠片も意識してないし、異性だと考えてない感じがナチュラル過ぎて色々とソソる。秀一の方もそのあたりの久美子の性分は分かってるようで、誕生日プレゼントを渡すには渡すのだが、素っ気ない態度がかえって嬉しくなっていたり。まだまだ時間はかかりそうだが、決して脈が無い関係性ではないのです。

 そして、もう1つのドラマである「三年生の最後の演奏」という側面。あすか先輩にとっては別な意味での特別な演奏になったわけだが、それ以外の三年生も必死だったのは当然のこと。特に部長先輩の演奏前の演説は色々と感じ入るものがあった。彼女の話に何度も「ここまで来た」というフレーズが出てくることで思い起こされるのが、本作のオープニングである「サウンドスケープ」の歌詞だ。非常にストレートで分かりやすい歌詞の曲で、曲中に出てくる「上手くなりたい、特別になりたい」なんて歌詞はあまりにも露骨で初めて聞いた時に泣きそうになったくらい。そして、今回の三年生チームの「最後の願い」とこの曲がまたリンクする。「何百回挑戦かさねてここまで来た」とか、「一生に一度のために頑張ってきたんだ、お願い100%で挑ませて」とか。結果的にはその夢は届かなかったわけだが、「こんな景色じゃ終われない」と歌詞は続き、「もっともっと遠くへ」「もう一回大げさな夢を探しにいこう」と続いていく。後輩に託された三年生の気持ち、この先も歌い続けて、繋ぎ続けていくことになるのです。

「そして次の曲が始まる、奇跡をおこせ」。

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 ロリ麗奈さん! 第11話。全く面影の変わらない麗奈フェイスに学帽、そしてランドセル。ヤバめの破壊力がヤバい。なんかもう、ヤバい。語彙が無くなるくらいヤバい。

 いや、今回はそんなところは些事になるようなエピソードなのだけども。コンテは藤田春香。そして、彼女のコンテでの「第2回大吉山登山」と相成った。鎧塚先輩&希美、姉の麻美子、そしてラスボス田中あすかと、ことごとく強敵を打ち破ってきた(?!)久美子の前に立ちはだかるのは、彼女のオリジンにして最大の怨敵、高坂麗奈嬢その人である。いや、別に立ちはだかってないけどね。すたすた歩いて行っちゃうけどね。部活には他の憂いが何も無くなったこのタイミングで、麗奈はようやく仕掛けてきた。彼女は怒っている。もちろん、滝センの真実を知っていながら教えてくれなかった久美子に対して。久美子の性格の悪いところは、この失態を全くもって自覚していなかったところ。登山道での問答でも、心当たりも無いのに「なんとな〜く」とか適当なことを言ってお茶を濁そうとするあたりは流石の黄前さんだ。事なかれを貫く、波風は立てない。相手を過剰に反応させない。それが久美子流処世術。いや、前回あすか先輩を打破したあの感情の爆発は何だったんだよ、って話だけども。しょうがない、麗奈はすでに警戒すべき相手ではないのだし、ある意味で持ち前の「性格の悪さ」を一番発揮しやすい対象でもあるのだから。

 今回は記念すべき2度目の大吉山ということで、1期8話のように劇的な破壊力を持つエピソードになるかと思われたが、なんかもう、いちいち麗奈と久美子の言動が地雷過ぎて、どっちかというと笑ってしまう展開の方が多かった気がする。誓いを立てたあの場所が、2人が始めて音を合わせたあの場所が、単なる痴話喧嘩の舞台になってしまったのだから。まぁ、実をいうと高坂さんの言ってることも割と無茶で、久美子が「事実」を知ったからといってそれを連絡する義務は当然無いのだし、「麗奈を思って」という理由だって理解出来ないわけではないだろう。そもそも、滝センがバツイチだという事実が、たかだか高校2年生の小娘の感情にどの程度の影響を与えるのかもよく分からないのだ。しかし、やっぱり高坂さんにとってはこの事実は特別な意味があったようで。「教えて欲しかった」と悔しがりもするし、どうしていいか分からずにこれまで見せたこともないような表情で取り乱しもする。ここまで感情的な麗奈というのは、おそらく中学の最後のコンクール以来ではなかろうか。

 「滝センの奥さん」というたった1つの事実に揺らぐ麗奈と、その事実の重さは認識していたはずなのに、麗奈の反応が予想以上にでかくて戸惑う久美子。麗奈という少女は常に全力、直球以外の選択肢が無い不器用の塊みたいな存在。それがここまで取り乱し、悔しがっているのを見て、久美子はようやく自分の背信の重さを知る。知るのだが……だからといって久美子に何ができるわけでもないというのは、毎度のこと。先週のあすか先輩の言葉を借りれば、「黄前ちゃんは安全なところから見ているだけ」なのである。じゃぁ、麗奈にどんな言葉をかけてやるべきかというと……「もう、奥さんはいないんだよ」って。

 いやいやいやいや。まぁ、そらそうだけども。今ここでいう台詞がそれか?! すげぇ、性格が悪いとか、空気が読めないとか、そういうレベルじゃないな。言いたいことは分かるが、もうちょっと何かないんか。……ないのかな……。この2人の間に、余計なオブラートは存在しないのかな。久美子の言葉を要約すれば、「奥さんの亡霊を蹴散らして滝センに立ち向かえ」である。そして、久美子からこんな事を言われた麗奈さんは、改めて思い悩むことになる。

 トランペットの音も弱まるほどに麗奈が悩む。今まで見せたことのない弱みを部活の仲間達にまで見せてしまう。当然、こういう窮状に駆けつけてくれるのは吹部一の人格者との呼び声高いデカリボン先輩。優子さん、もうツンデレのツンの要素ほとんど残ってないじゃないですか! 単なる神じゃないですか! この人、来年3年生だよね。部長はこの人で決まりだな!! まぁ、麗奈は残念ながら優子さんにはあまり興味がなかったみたいですけどね。それでも周りの人間に心配されていることは分かるわけで、そこまで気にされたら彼女に出来ることは…………直球を投げることだ。そう、160㎞オーバーの豪速球を、滝セン本人に投げ込んだ。これ以上無いノビのあるストレート。滝センも最初は何とか捌こうとしていたが、あまりの連投に回避を断念。正面から受け止め、教師と生徒にあるまじき過去の打ち明け話を展開。まぁ、誰もいない夜の職員室だからこそ出来たお話なのかもしれません。

 聞くまでもなかったのだろうが、聞いてみて改めて分かる、滝昇と死んだ奥さんの関係性。それを見て膝をつくようなら、高坂麗奈は今まで麗奈として生きてはいまい。色々と対処法を考えた挙げ句に選んだのは、「元奥さんを乗り越える」ことである。殊勝な顔での墓参り。それは祈念のようにも見えたが、ハタから見たらどう考えても宣戦布告。麗奈なりの筋の通し方で奥さんに挨拶をし、彼女自身の手で吹部を金賞まで持っていくことで、滝センにこびりついた過去の因縁をむしり取ろうという魂胆ではなかろうか。まぁ、そこまで殺伐とした感情では無いだろうが、少なくとも「おとなしく身を引く」なんて選択肢は彼女には無いのだ。何しろ、久美子が恋人繋ぎで手を握った上で応援したのだから。墓参りに久美子を連れいていったことに関しては、「久美子に見せる」というのが1つの通過儀礼として機能したということなのだろう。自分の戦う意志を、他人に見てもらうという目的が1つ。そして、なんだかんだ言っても1人では決心がつかないから久美子についてきてもらうというお友達感覚もあったのかも。隣に久美子を置いておけば、麗奈は「特別」になれるのだから。

 目的はどうあれ、高坂麗奈はリブートし、新たな決意を胸にむしろレベルアップ。これで最終ステージへの準備は整った。なお、滝センに「黄前さんに聞いたんですか」と確認された時に「ハイ」って答えたのは、多分彼女なりの意趣返しだろう。どう考えても滝センから見たら「久美子この野郎」だからね。その辺の対応は抜け目ない麗奈さんなのです。まぁ、悪いのは久美子っていうよりも橋本の野郎だった気もするのだが……。

 最終回へ向けて、個人的には、今回処理出来た麗奈のモチベーションより、沸々と湧き上がっているであろう、あすか先輩の気概の方が気になるトピックかな。ブランクが空いてしまったせいで技術の低下を痛感するあすか先輩は、中川先輩と親しげに話をしていた。そして、その手に渡されるのは1期で彼女の「仮面」を表すために使われたキーアイテム、ペットボトルである。「冷たさ」の象徴だったペットボトルの水だったが、今回は中川先輩が大事そうに両手で抱えているし、冬の寒さの中で、露もつかずに「冷たさ」の表現になっていない。むしろ、2人の手を介することで「繋がる」アイテムとして機能しているあたり、やっぱり卒のないコンテ作りである。「こんな姿を見られるのは今日だけだから」っていうあすか先輩の台詞、彼女じゃなきゃ絶対に言えない、めちゃめちゃ格好良い台詞でしたよ。

 そして、次の曲が始まるのです。

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 VS田中あすか編決着、第10話。ラスボスとの対決は、抜き身の刀での壮絶な斬り合いであった。

 前回のお話であすか先輩編はほぼ片がついたと思っていたが、流石のラスボス、変身しての最終形態を残していた。まぁ、確かに考えてみりゃ前回のお話では先輩サイドが一方的に門戸を開いただけであって、そこに久美子が踏み込むところまでは行ってなかったのだ。「起承転結」の「転」までは進んだが「結」に到っていない、と前回書いたわけだが、今回はその「結」の部分である。

 久美子のお宅訪問は、弱っていたあすか先輩の内情を引き出すところまでは行ったが、最後の一押しが足りない。というか、先輩サイドも自陣に久美子を引き入れるに当たって、むしろ「自分の置かれた状況を理解させ、仲介役の久美子を諦めさせることで吹部全体を大人しくさせよう」みたいな意図があったのかもしれない。実際、久美子がお宅訪問したにも関わらず変化が起こらなかったことに対し、他の部員たちも多少がっかりした部分はあったようだ。何事もなければ、このまま田中あすかは表舞台から退場し、吹部は中川先輩を引き連れてちょっと寂しい全国大会に挑んでいた可能性もあった。

 しかしそこは運命の悪戯。折悪しく(折良く?)、黄前家でも一つの問題が自然解消しようとしていた。久美子の姉・麻美子の突然のわがままは、結局一言でまとめれば「遅れてきた反抗期」だった。「何もそんなタイミングで大学やめんでも」とは思うのだが、これまでの二十年の人生に、彼女も思うところがあったのだろう。円満解決とまではいかずとも、両親には何とか自分の気持ちを伝え、自分の道を進むことを決意したようである。姉の旅立ちを最後に後押ししたのは、図らずも「羨ましかった」とぼやかれた妹の存在。自分がきっかけで妹が始めたユーフォ、その音があまりに真っ直ぐで、妹は自分が出来なかった「やりたいこと」をやっていることを痛感した麻美子は、遅ればせながら自分も夢を取り戻す決心を固めたという。彼女の人生にとってこれがプラスなのかどうかは今の時点で判断出来ないことだが、少なくとも、お互いの心情を吐露し、わだかまり無く人生を進み始めた姉妹の関係性においてはプラスだったようである。姉の言い残した言葉を噛みしめ、久美子は一人、涙した。

 そうして青春の在り方を考えさせられた久美子が、相変わらずの家政婦気質で見聞きしてしまったのが、三年生首脳陣によるごたごた。中瀬古先輩は基本的にぽやっとした人なので「繰り返し説得すればあすかも折れてくれるかもしれない」という期待があったようだが、付き合いが長く、メンタリティを理解している部長先輩は諦めムード、というか、「あすかならしょうがない」という理解があった。「憤りというよりは失望」と彼女は言っていたが、何でも出来る完璧超人田中あすかという偶像は自分たちが勝手に作り上げたものだということも理解しており、そうしてなにもかもをあすかに押しつけてきたことの後ろめたさもあって、彼女はあまり積極的にあすか先輩を押すことも出来ない様子。何より、そうした「完璧超人」が本気で「部活に加わらない」と決意して防護を固めてしまえば、自分たちがどれだけ抗っても無意味であるということも、彼女は分かっているのだ。結局外堀は少しずつ埋められており、「全国大会にあすかは出ない」ということが決定事項に。

 これまでなら、そこで終わりだったはずのエピソード。しかし、今の久美子はそこからのもう一歩があった。決意を固めて挑んだ最終決戦。相変わらず、彼女には策略も武器もなく、ただ思ったことを口にするだけ。そして、そんな生中な説得に応じるくらいなら、問題はそこまでこじれていない。改めて、田中あすかが恐ろしい人間であることを認識させられる。2人きりの自宅であそこまで開けっぴろげに自分をさらけ出しておきながら、いざ「部活に復帰するかどうか」という具体的な問題になると、彼女は再び仮面を被り、徹底して理詰めで防御を固める。「自分は吹部に戻ってはいけない」という理由をそこかしこから選び出し、隙を作らない。ここで以前の希美復帰問題を引っ張り出してくるあたりは実に周到。彼女は、「久美子が諦めざるを得ない」言葉を的確に繰り出し、撃破しようとするのだ。そんな彼女が最後に取り出したのは、久美子の内面性に関わる決定的な一言。つまり、彼女の「性格の悪さ」。家政婦体質で首を突っ込むが、常に一線を引いた久美子のスタンス。希美事件の時に結局関われなかったことは事実であるし、事なかれ主義を標榜し、他人の強い感情からは目を逸らす、それが久美子の生き方だったのだ。当然、これまで散々茶化していたあすかはそのことを熟知しており、最後にとどめを刺すつもりで、一番言いにくいそのことを引っ張り出してきたのだろう。どこまでも残酷で、冷徹な女である。

 しかし、この攻撃が今の久美子をかえってかき立てることになった。姉との一件を通して、自分の生き方を思い悩んだ久美子。彼女の脳内を「自分」「他人」「大人」「子供」といった様々なタームがかき回したことだろう。そして、全てが吹き飛んだ後に残された行動は、ただ感情のままに、わがままをぶつけるだけの久美子だった。姉が成し得なかったという、「子供らしい高校生」の振る舞いだった。ハタからみれば単なるわがまま。理屈も何もあったもんじゃない言葉の数々。しかし、それは未だかつてあすかが受けたことのないものだった。「特別」であり続けたあすかは、久美子を揶揄して逃げおおせたと思っていたものの、実際には、突き刺した言葉が己に帰ってくることを想定していなかったのだ。一歩引いて物事を見る生き方。自分はあくまで観察し、客観を尽くす。そうした生き方を続けてきた「良い子」は、何も久美子だけではない。あすか自身、そうした生き方を強いられ、そうした生き方しかできなかった人間だった。そのことを、一歩先へと進んだ久美子にぶつけられ、彼女は揺らぐ。今まで受けたことのない生の感情を叩きつけられ、みっともなく狼狽する。前回見せた彼女の「生の笑顔」が起承転結の「転」であるなら、今回彼女が「見せなかった」表情こそが、「結」である。久美子が全身全霊でもってたたき落とした彼女の仮面。その奥にどんな表情があるのか。画で見せられずとも、それは明らかであろう。かくして、ラスボスは打倒されたのである。

 ラストシーン、全く同じ構図で並ぶ2本のユーフォニアムが、今回の顛末を象徴している。もう、田中あすかは仮面を被る必要はないはずだ。「自分のための演奏」を好きなだけ追求し、わがままを言える関係性になったはずだ。万難は排された。

 ……はずだったのだが…………あれ? 高坂さん? 麗奈さん? どうされました?? ……あの写真のことがなぁ……まさか久美子の方にもなぁ……。田中あすかはラスボス、それは間違いないのですが、最近のゲームって、ラスボスの後にもっと強い隠しボスが必ずいるよね……。

 そして、次の曲が始まるのです。

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 サブタイトルドン、第9話。こんな半端なところでタイトル回が来るのかよ、って思ったが、どうしてどうして、それに相応しい重厚な一本になりました。

 今回はとにかく「ラスボス」田中あすかの攻略という焦点にほぼ絞られるお話。そのために黄前家の乱は一時棚上げ(ご丁寧にお姉ちゃん外出中だと明示)、あと高坂さんが気付いちゃいけないことに気付くなんていう大事な展開もあったんですが、高坂さんのコーナーはこの文章では最後に回させて頂きます。ご丁寧にAパートラストの2人してため息吐くカットでは、2人とも画面から見切れた状態で「各々の嘆息」を漏らす演出になっており、高坂さんの問題は一旦ここで切れることが暗示されています。

 今回のコンテは石立さん。つまりは京アニの本気の一部ということだが、田中あすかという怪物がいよいよそのベールを剥がされるお話ということで、とにかく微に入り細を穿ち、入念なコンテでもって彼女の「変化」が描かれている。ぶっちゃけると、田中あすかという怪物は、本作においてその存在感が大きくなりすぎているきらいがある。これだけ大迫力でお腹いっぱいになるアニメで、2クールもの間視聴者をその気にさせてグイグイ引っ張ってきたのだ、そりゃぁもう周りからの期待も畏敬も大きくなり過ぎて、なかなか普通には処理出来ないレベルの存在にまで昇華している。今期のお話は、そんな天上の存在だった田中あすかを、久美子達と同じ「人」のラインまで引きずり下ろそうというお話なのだから、並大抵の仕事ではない。「人が神へと昇る」カタルシスはお話も作りやすく、描出の仕方もあれこれ考えられるだろうが、「神が人へと下る」物語を、そこに何らかの高揚を籠めて紡ぐのはなかなかに難儀である。

 そこで今回のお話は、大きく分けて3つの段階を経ている。1つ目は、あすか先輩が登場せず、周りの人間があおり立てるだけの段階。具体的には中川先輩の献身や、そこに集まってくる希美・鎧塚先輩。中瀬古先輩の秘策もあったし、あの高坂麗奈も戦地に赴く久美子に激励の言葉を向ける。外堀から埋め、人々の目線から対象となる田中あすかを語らせることで、神の座にある彼女の存在を補強するパートである。中川先輩の献身は今回の見どころの1つで、本当に素敵な彼女の人柄がうかがい知れるし、実は案外珍しい、彼女が久美子と2人きりで本音を話すシーンだったのだが、今回は申し訳ないが、その陰、いや、その上に立ちはだかる田中あすかの大きさを語る「語り部」としての役割が大きかった。

 2つ目の段階は、起承転結で言えば「承」にあたるだろうか。ここまで語られ、見せつけられてきたあすか先輩が、実際にその大きさを見せつける段階。昇降口で待ち合わせたあすか先輩は、ずっと部活をサボっていた(?)にも関わらず悪びれる様子もなく普通に久美子に接し、相変わらず得体の知れない存在として描かれる。そして、今回一番びびったシーンは、何と言っても中瀬古先輩とのやりとりだろう。靴紐を結ぶ香織先輩と、それを見下ろすあすか。逆光で彼女の表情は読み取れないが、明らかに威圧的で、ステージが違うことを示す演出になっている。正直、ちびりそうなくらいに怖い。彼女が中瀬古先輩に対して悪意や敵意を持っているという意味でないのは間違いなかろうが、やはり彼女はどこか同輩と一線引いていることがここで示されている(その「一線」の正体は、この後の展開で紐解かれることになるわけだ)。突き放したような表情、どこまでも自分を崩さない鉄面皮。これこそが「神」たる田中あすかの姿である。

 そこから勉強会を経て、「ちょっと休憩」するまでのあれこれでは、やたらと足元のカットが増える。二人が正座しながら語らうシーンも、お茶を探すシーンも、何故か表情が描かれず、まるで足がしゃべっているかのような、言ってしまえば「妙な」構図が続く。勝手な読み解きであるが、おそらく、今回はあまり「田中あすかの顔」を描くことが出来ないという事情があったのではなかろうか。もちろん、彼女の表情は要所でちゃんと示されているし、別段隠されているという印象でもないのだが、度々登場する足のカットは、「この時の彼女は一体表情をしているのか」と視聴者に想像させる効果がある。彼女の鉄面皮はそのままなのか、久美子との他愛のない会話は本心なのか。そこを表情から読み取らせず、移ろいゆく彼女の「地位」を、あれこれ推測する余地を与える揺らぎの演出だ。

 そしていよいよ第3の段階。身の上話が始まり、彼女は「地に降り」始める。父親のこと、母親のこと、ユーフォのこと、自分のこと。同じ学年の友人達に、どれくらい話したことがあった内容なのだろうか。これまで組み上げられてきた「神」としての彼女の地位を、自ら少しずつ崩していくあすか。別に、父親が誰であろうと、動機が何であろうと、彼女がユーフォに向かう姿勢が間違ったものだったわけでもないし、彼女の実力に疑いようはない。ただ吹ける環境さえあればそれで全てが解決するわけで、彼女は大きく影を落とすような問題を起こしてもいない。しかし、彼女にとって、これまで吹部のメンバーに対してとり続けてきた態度は、どうやら「不実」であり、「エゴ」であると認識されているようだ。確かに、母親の一件について「みんなに迷惑は掛けない」と言い続けて仕事(彼女にとっての部活は仕事と称して問題無いだろう)とプライベートははっきり区別してきたはずなのに、その部活を支え続けたモチベーションが、実は離れ離れになった父親だった。彼女にとって、これは許されざる背信であり、言い訳の出来ない瑕疵なのである。彼女を神の座に座らせていたものは、最も神の存在から縁遠い、身勝手で、個人的な動機だったのだ。

 もちろん、これはあくまでも真面目過ぎるあすか自身の考え方である。周りの人間から見て、それが不実であるかはまた別問題であろうし、実際、目の前にいた久美子にとって、これは隔絶のきっかけなどにはならず、田中あすかを自分の隣に引きずり下ろす絶好の機会である。彼女たちのゴールが、OP映像のラストカットの笑顔であることは、おそらく視聴者ならば全員承知のこと。「性格の悪い」黄前久美子は、目の前で神が自らを裁こうとしているところに、空気を読まずに入り込む。これまで様々なシーンで家政婦体質を見せつけてきた「目撃者」の久美子であったが、ここに来て最大限にその「性格の悪さ」を発揮。他人では踏み込まないところに、グッと歩を進めて立ち入る力。嘘がつけない馬鹿な性質のために、田中あすかを動かすことが出来る言葉の力。なるほど、彼女は間違いなく、主人公だ。「本当は母親のことが嫌いなんですよね」とか、普通は切り込めない、そもそも「元・父親」のところで窮する人間だって多いはず。久美子は特に中瀬古先輩たちからの指令を意識していたわけでもないのだろうが、持って生まれた才能だけで、あすか先輩の深淵に切り込んだ。これこそが、高坂麗奈の見出した、久美子の「特別」なのだろう。そして、田中あすかが隙を見せてしまった最大の要因なのだろう。

 降りてきた「神」は、あとは「人」としての安住の地を定めるのみ。二人を繋ぐ架け橋はサブタイトルの通り。ユーフォを掴み、音を奏でることで距離を縮めていく2人。これまでならば絶対に歩み寄ることが無かった田中あすかが、久美子の言葉に素直に手を差し出し、最後のカットでは久美子ですら嘆息するような笑顔を見せる。ここでついに、田中あすかの「顔」が(おそらくシリーズを通して初めて)見えたのである。もう、事実上のクライマックスと言っていいのではないだろうか。これだけの画を組み上げられては、田中あすかという存在が「降りてきてしまった」ことへの悔しさなど吹き飛んでしまう。「落とされた」のではない、「降りてきた」のだ。もう、それでいいではないか。一応、今回の演出は「3つの段階」があり、実は起承転結の「結」の部分は不完全である。田中あすかが「転」じて神から人になった。あとは、彼女が家庭の問題を解決し、吹部の一員として席に着くことが出来れば「結」だ。そして、その未来はきっと遠くないだろう。二人の笑顔が重なる日が楽しみである。

 で、最後は「今週の高坂さん」のコーナーです。なんか、こんだけ書いてくると蛇足っぽくもなっちゃうけど、これが蛇足じゃないんですね。むしろこっちも本編ですからね。久美子の愚痴に対して、過去の思い出を引きずり出して正面から殴りつける麗奈。この時のちょっと後ろにステップする女の子らしいモーションがずるいくらいに可愛い。そしてそこから「近すぎィ!」な直接攻撃を繰り出し、久美子との関係はお腹いっぱい。そして、返す刀で滝センのところへ向かい、なんとまぁ、あまりに古典的な「天にも昇る」モーション演出。まるでディズニーみたいやな。流石に笑ってしまったが、あれだけ久美子に顔を接近させるのに滝センに手を触れられるだけでつま先飛んじゃう麗奈さん最高ですね。それだけに、写真を見つけちゃった衝撃も……。あんなとこに堂々と置いてあったのに今まで鍵を借りるときに気付かなかったんかな。まぁ、普段は滝センの顔ばっかり見てたせいかもしれんが……。こっちのお悩みは、誰が解決してくれるんでしょうかね……。

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 パメルク、ラルク、高らかに、第8話。はしもっちゃんがおジャ魔女好きだった可能性が? いや、別に関係無いんだけどさ。個人的には、昨日今日で「聲の形」→「けいおん20話」→「ユーフォ」という謎の京アニラッシュをたたき込まれて完全にKO。どれもこれも素晴らしい。

 本編の要素だけで言えば、今回は諸々のミッションに特に変化が無いので「繋ぎ」のエピソードといえる。風邪引きなんて分かりやすいアクシデントがサブタイトルについているのだが、風邪引き要素はあんまり重要ではなく、久美子のまわりでは色々な外堀が埋まっていっている。現状、2つの家庭環境の問題が大きく存在しているわけだが、そのうち1つ、黄前家の問題については今回幾らか解決の兆しを見ることが出来ただろうか。

 久美子の姉・麻美子の突然の反抗については、これまで彼女の人となりがほとんど描かれて来なかったので正直何とも言いがたい。一般論だけで問題を切ってしまえば、悪いのはどう考えても麻美子の方であろう。夢を追いかけたいという若者を悪く言うつもりもないが、親御さんからしたらいきなり大学を辞めると言われて面食らわない訳がない。「何故このタイミングで」というのが正直なところ。夢を追いかけたくなったならそれはそれで尊重してもいいが、いくらなんでも「あと1年で大学が終わり」のタイミングでの申し出は彼女の将来を思えばこそ受け入れがたい。最悪、学歴だけでも確保してから専門学校に入り直せば夢は追えるのだ。「その1年が」と若者は言うかもしれないが、少なくとも大学3年分の学費に折り合いを付けなければそんな話は出来ない。何もかもタイミングが最悪なのである。突然の彼女の暴走の理由として一番分かりやすいのは「男になんか余計なこと吹き込まれた」なのだろうが……いかんせんそういう作品じゃないからなぁ。純粋に青春の情動のほとばしり過ぎなんだろうなぁ。

 「姉がこれまで何を思い、何を考えて生きてきたか」。久美子の前に降って湧いた問題はこれである。幼い頃は憧れの対象で、何をするにも後をついていきたかったお姉ちゃん。思春期を迎えてからは、上から目線が気に入らず、やっていることもなんだか気に触るお姉ちゃん。まぁ、兄弟姉妹ってのはそういうもんである。これが男兄弟ならせいぜい弟がプロレス技の実験台として苦しむとか、エロ本の所有権を巡って諍いが起こる程度なのだが(俺調べ)、姉妹関係ってのもなかなか面倒なもんでね。姉は「全部妹が持っていく」と文句を言い、妹は「姉は好きなことばかりやって」と疎ましがる。いつの時代も、どこの家庭もそんなもんだ。ただ、黄前家の場合、その諍いが面倒なタイミングで表面化してしまっただけなのだ。親にとっては経済的・将来的な問題を抱えたタイミング。そして妹にとっては、たまたま「楽器を続ける意味」を問われているタイミングで……。

 ただ、北宇治の変革と共に生まれ変わった久美子と違い、姉の方の「楽器を続けたかった」気持ちは、おそらくもう終わってしまったものだろう。今回ぶちまけたのだって、親子喧嘩で売り言葉に買い言葉。トロンボーンをやめた当時はそりゃぁ悔しい思いもしたのだろうが、おそらく現在はそこまで楽器を吹きたいという思いはないのじゃなかろうか。ただ、自分が閉ざされた道で溌剌としている妹を見てしまえば、そりゃ面白くないのが年上の本音。そんなクサクサした気持ちが、CDを巡る姉妹喧嘩に現れてしまっただけである。後になって(なんにも知らない)塚本のナイスフォローにより、かつての妹からの熱視線に初めて気付いたお姉ちゃん。学校云々の問題は残しつつも、楽器を巡る妹との関係性は雪解けの兆しです。すげぇな、秀一が役に立ったのって初めてじゃなかろうか。

 さて、こうして久美子は「家庭環境と楽器」という問題を家庭内にはらみ続けながらも、その問題はいよいよ吹部の中心へ。田中あすかの周辺部は、一向に落ち着いてくれない。彼女は繰り返し「迷惑はかけない」と応えるだけだが、未だに「辞めない」だの「大会に確実に出る」だのといった確約は一度も口にしていない。このあたりが彼女の周到なところで、すでに先週の時点で中川先輩にもしものことは託してあるだろう。何とか「一番迷惑をかけない」形は模索しているのだろうが、さしもの女帝も、実母の問題となると完全な答えは出せていないようである。そして、そんな彼女を問い詰める「性格の悪い」久美子に対し、田中あすかのカウンターアタックは、なんと「おうちへご招待」。「その日は夜まであたし一人だから」っていうのは状況次第ではかなりのパワーワードだが、今回は全く意味合いが違う。さらには「1人で来い」とまで指定。かつて、別作品では球磨川禊という「悪役」が捨て台詞として「さもなくば君をディナーに招く」と脅したことがあるのだが、それに似た恐ろしさを感じる。いや、別にあすか先輩にとって食われるわけじゃないが……「先輩から家に誘われた」→「なんか気に触ることでもしたの?」というナチュラル暴言な高坂さん、流石です。

 あすか先輩の真意は現状では闇の中。しかし、ここで同輩の中瀬古先輩や部長先輩ではなく、久美子を一人で招いたというのはどういうことか。少なくとも謝罪が目的だったり、泣き言を言いたくてすがったりということではないだろう。事務的な結果報告なら、3年生に伝えるはずだ。となると、久美子が呼ばれた理由として考えられるのは2つ。1つはユーフォというパート。低音パートから自分が欠けることのダメージは本人が一番分かっており、「迷惑をかけない」ために、後継者たる久美子に何らかの訓辞を示すことが目的だ。ただ、これについては、わざわざ家に招かずとも出来ることであるし、同様のことを中川先輩に託しているであろうことを考えると動機としては薄い。となると考えられる理由は、久美子の「性格の悪さ」ではないか。物事をドライで一歩引いた目線から見守る久美子の人生観は、煩わしいあれやこれを忌避するあすか先輩にとっては一応プラスの存在。そんな彼女を通じて自分の存在の「欠落」を吹部全体に伝えるというのは、穏当な手段として考えられるかもしれない。部活を辞めたいとか、辞めなきゃいけないという話をした際に、吹部の中で一番あっさりと対処してくれるのは間違いなく久美子だろう。つまり、今回の「招待」は、田中あすかにとっても最後の選択なのかもしれない。まぁ、そんなバットエンドを向かえる作品じゃないだろうからあんまり心配はしてないけどさ。オープニングのラストカット、あの表情が早く見たいなぁ。

 さて、2つの問題を中心に見てきたが、今回意外だったのは、まさかの葵ちゃんの再登場だった。田中あすかの進退について、久美子以外にも「ドライに」処理してくれるもう1人の人材が、実は葵ちゃん。いや、ドライにはならんだろうな。自分が退部した後に吹部が躍進した、っていう変な引け目もあるだろうから。今回の「氷を毛布でくるんだような」という彼女の割り切れない感情は、「自分の退部に何の反応も示さなかった田中あすか」が、奇しくもこうして退部の危機に追い込まれていることへの反応なのだろうか。彼女の底も見えないなぁ。次回以降も葵ちゃんが絡んでこないと今回出てきた意味がないので、おそらくもうちょっと関わってくるのだろうが……どうなっちゃうんだろ。ちなみに、「氷を云々」の表情芝居なんかを見てると当たり前のようにその変化を受け入れてしまうが、これ、作画で表現出来てる京アニってやっぱりすごいよな。「聲の形」で散々そういう「普通に凄いこと」を叩きつけられたせいで、今回のお話もちょっと違って見えました。

 今回はシリアス連発で心休まる隙が無かったぜ……と思っていたら、「目覚めた寝床、一番最初に目に入るのが麗奈」というワンパンで確実に内蔵をえぐりとるシチュエーションが容赦無く展開された。高坂さん、絶対にそのポジションは意識してキープしてたでしょう。「朝目覚めて一番最初に君を見たい」みたいなこと意識したでしょう。平然と1人で見舞いにくるのやめてください。病人が起き上がってすぐにナチュラルにベッドの隣に座るのやめてください。おたくの久美子さん、今回あすか先輩にも唇つままれてましたよ。緑輝にはおでこもゴチンってやられてたし、久美子さんの顔面、案外色んな人にいじられてましてよ。麗奈さん、取り返さなくていいんですか? ……いいんですよね、このままで……。(昇天)

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