忍者ブログ
最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

 あのエンディングからみのりんのCDのCMに繋ぐのはずるいと思うの、第10話。いや、全然関係無いんだけどね。こうなったら対抗して高坂さんの中の人もソロでCD出すしかないで(割とマジな願い)。

 今回もじっくりしっかりの展開です。オーディションまでの流れは予定調和的な部分があったが、ここからコンクール本番までは何がどうなるかまだ分かりませんね。まぁ、コンクールは勝つんだろうが。残り話数を考えたら後は全員で志気を高めて、最高の形で本戦にぶつけるんだろうと思っていただけに、ここに来て最大級の火種が炸裂したのは意外といえば意外。っつうか、ここまでいつの間にやら滝イズムが吹部に浸透していると思われていたので、反乱分子が割と明確に動いたことが驚きである。あのデカリボン、「滝への反感」では行動を起こせなかったのに、「香織先輩への思慕」なら動くことができたんやな。とどのつまりは「Oh,百合強い」。まー、これまでの滝への不満が溜まりに溜まってのラストストローではあるんだろうけども。部活全体のことを考えたら、反乱するにしてももう少し早めにやってくれよ、とは思うわな。副部長先輩でなくても、こんな形で演奏の完成度を下げられたらやっぱり怒るで。

 さて、今回はそんなトランペット問題も含めて大きく3つの事象が動いている。1つ目は、「中川先輩、尋常じゃなく良い人過ぎて株がストップ高」。もう、この世界でいちばん美しいのは中川先輩で間違いない。ホント良い人。久美子が過去のトラウマをフラッシュバックさせてパニックに陥りそうなのを読み切ったかのようなタイミングで動いており、フォローが完璧。その際に選ぶ言葉についても、余計な気遣いとか、心にもない上っ面の言葉でなく、彼女の本心からの言葉であるとよく分かるのがとても良い。どうやら、これまで何度となく仄めかされていた久美子の「過去のトラウマ」は、やはり今回と全く同じようなオーディションに関係するものであったようだ(まぁ、姉貴との確執もあるのでこれで全部ではないだろうけども)。彼女は「オーディションで他人を蹴落とすこと」に必要以上の罪悪感を抱えてしまい、実際にはがむしゃらで突破した今回のオーディションについても、「中川先輩は絶対不本意だろうし、いっそ自分が退いて……」まで考えていた可能性すらある。そんな状況で、先輩のかけてくれた言葉のありがたさといったら。過去のトラウマがあまりにもきれいに浄化されていくその様子は、もうこのまま久美子が「良い性格」になってしまうんじゃないかと不安になるくらいだ。まぁ、あの狭い空間でパート練習の日々は続くのだから、出来るだけ早いうちにわだかまりの種を潰しておこう、と考えるのは当然なのかもしれないけど。オーディションに落ちてもちゃんと部活に参加して久美子と屈託無く話してくれるのもいいよねぇ(まぁ、また窓際に戻っちゃったけども)。今回初めて気付いたけど、中川先輩って2年だから、今年駄目でも久美子と演奏出来る機会はあるんだね。「来年こそ!」っていうメッセージを送れるのはすごく救われた気分です。あ、でも僕もチョコシェイクがいいんで、ストロベリーとは交換してください。

 そんな久美子との人間関係でいうと、2つ目の進展は「高坂麗奈の真実」である。まぁ、前から薄々分かっていたことではあるが、どこの世界にもゴシップ好きの耳ざとい人間というのはいるもので、「高坂さんと滝センは過去に面識があったらしいぞ」といううわさ話が一気に広がることに。たったそれだけの情報なのに「ひょっとしてコネ審査が?」というところまで一足飛びに噂が拡大しちゃうのはどうかと思うが、急激に締め上げたと思っていても、やっぱりまだ北宇治吹部には過去の「何かと理不尽な空気」は残っていたということなんだろう。デカリボンと同じように、潜在的に滝センへの不満を募らせていた部員がここぞとばかりにそれを表面化させたという面もあるのかもしれない。

 結局、うわさ話ははっきりと「不平」の形で現れ、高坂さんは謂われの無い中傷にブチギレモード。慌てて追いかけた久美子との百合シチュエーションをたっぷりと堪能しつつ、バタバタと暴れてみせるのである。もう、久美子の前だと何一つ隠そうとしないのが素晴らしいですね。でも「滝センにはLOVE」なわけですよ。このあたりの潔さも高坂さんの凄いところ。久美子のことは好き。でもそれって人間性への興味であって、本能的な結びつきとは別次元の、ある意味では極限まで「人間的な好き」。滝センへの感情は、小難しいことを考える必要が特にない、純粋な好き。2つの「好き」を何の苦もなく使いこなし、自分の感情を隠し立てせずに振り回す高坂麗奈。やっぱり「特別」な人です。そんな高坂さんの振る舞いにもすっかり慣れた久美子の、適当な手綱の振り方もいかにも「性格の悪い」久美子らしいものになっている。この短期間で「対高坂」のスタンスを万全の状態で固められたあたり、久美子も無条件で彼女に惹かれるものがあったってことの裏付けだなぁ。

 そして今回メインとなった3つ目のファクター、香織先輩の戦い。高坂さんと対決する意志を固めた香織先輩の心情については、何とも切ないものがある。彼女は、おそらく部活内の和を大切にしたいと思っており、オーディションの結果も(苦しいながらも)受け入れたはずだ。それにも関わらず、デカリボンの余計な怨念に後押しされてしまい、あれよあれよという間に再オーディションの準備が整ってしまった。普通に考えれば、彼女はこれを受けるべきではない。対立の構図を示すことで部内の火種がより明確になってしまうし、熱狂的シンパ(と反滝派)がいる時点で、「オーディションに余計な要素が介入する」可能性は、1回目よりも高まってしまっている。純粋に合奏の完成度を考えるなら、おそらく自身で「高坂麗奈に劣っている」ことを認めている彼女は、オーディションに再挑戦するメリットがないのである。しかし、部内の空気は、彼女を押し上げてしまった。もちろん、「納得していないだろう」という副部長先輩の言の通り、彼女自身にもリトライの願望はあっただろう。しかし、今となってはそれは些細なことである。彼女は自分の意志とは関係無しに、もう一度演奏しなければならない義務が産まれてしまったのだ。それは、「自分が高坂麗奈に劣っている」ことを、公衆の面前で示すためである。「自分は負けている」ということ、「滝のオーディションが公正であり、疑問を差し挟む余地が無い」ことを証明する唯一の方法は、彼女が再び吹くしかないのである。あまりにも苦しい針のむしろ。負けることがほぼ必定となる戦いに、彼女は挑まなければならない。ここで万に一つの番狂わせが起こればそれはそれで良しだが……何らかの外的要因で高坂麗奈という堅牢な魂が崩れない限りはどうしようもなかろうなぁ……。辛い。

 そして、「堅牢さ」で言えば高坂さんすら超える恐ろしい存在といえば、やはり田中あすか副部長。今週も……怖かったです……。あのシーンがおそらく今週のハイライト(次点はペットボトル押しつけられて飛び上がる久美子)。副部長先輩がしゃべっていることはどこまでが本音か分からない、っていうのが久美子の感想だったわけなんだが、演出見てたらそれははっきり分かるんだよね。それに絡めて今回非常に興味深かったのは、彼女が手にするペットボトル。久美子に押しつけたことからも分かる通り、彼女が振り回していたペットボトルは「冷たさ」の象徴。彼女がそれを持っていることが、熱気溢れる吹部の中でも彼女だけがオンリーワンの存在であることの提示になっている。そして、今回のハイライトで「どうでもいいんだよね」と漏らしたその一瞬だけ、彼女は「依り代」としてのペットボトルから手を離し、窓際に置くのである。つまり、あの言葉から溢れ出る「冷たさ」には、ペットボトルの冷たさは関与していない。全て、彼女自身の発露なのだ。そこからまたすぐにペットボトルを手に取り、「冷たい仮面」をかぶって飄々と去っていく彼女の背中は、本当に異質で恐ろしい。

 ここから先、彼女は一体、何をしでかしますかねぇ……。

拍手

PR

 張り詰める緊張感、第9話。ついに訪れた分水嶺、オーディション回である。

 前回のインパクトがあまりに強かったために、つい今回の話数を見る前に8話を見直してから導入したのであるが、続けて見るとやっぱり明らかに演出意図が異なっているのが見て取れるのが面白い。8話のあの情感は、出そうと思って簡単に出せるものではなく、今回描かれたような「シナリオ」部分とはまた違った重みを与えるものになっていた。もちろん、だからといって今回が軽いということでは決して無い。今回描くべきは久美子がはっきりと口にしていた通りに、「先輩と戦う」「仲間と戦う」という覚悟のお話である。

 前回のラストが「オーディションを始めます」だったので、すぐにオーディションに入るものかと思ったが、その前に恋愛関係の諸々の処理から。葉月は本当に良い娘であり、塚本に振られたコトについて、引きずっていないわけではないのだが、それを回りに投げかけるようなことはしない。緑輝は随分気にしていたわけだが、これも作中で言われていた通り、彼女が「勝手に」気にしていたことであって、葉月の本意ではないものだ。前回あれだけうざい絡み方をしておきながら、ここに来て勝手に反省するというのは、やっぱり子供っぽくて面倒なメンタリティである。いいか悪いかで分類するなら、明らかに緑輝は「悪い」立ち位置なんだけどな。

 「悪い」というなら、ここでの久美子のスタンスも非常に興味深いものである。高坂さんには何度も「性格が悪い」と指摘されていた通り、この期に及んで恋愛関係に対する彼女のスタンスは煮え切らないというか、これこそが「黄前流」の真骨頂とも言える事なかれなぬるま湯反応に終始している。塚本と葉月が対話したこと、それによって葉月が傷ついたこと、その一因として(久美子自身に責任は無いとはいえ)久美子が関わっていること。察しの良い彼女ならばその全てを見通せているはずなのに、葉月や緑輝に対する態度は我関せずである。この辺りの対人関係構築こそが、高坂麗奈のいう「性格の悪さ」なのであろう。葉月に指摘された時には半ば本気で塚本との関係性を否定しているわけだが、それ以降の反応を見れば、彼女の本心は明らかである。まぁ、これまた葉月のいう通りに「こっちも無自覚系」なのだろうけれども、愚かなことは時として罪であることを、久美子はもっと自覚的になるべきだろう。

 そして、この恋愛騒動の副産物として、「激怒する副部長」という恐ろしいものを見ることが出来たのもある意味で収穫だった。彼女の人ならざる神経はこれまで幾度か取り沙汰されてきたが、今回の「怒り」はその真骨頂とでもいうべきもの。久美子もなかなかに「性格が悪い」ので恋愛話に「知らぬ振り」を貫くが、副部長に至っては「知らぬ」ではなくて「要らぬ」なのである。そして、久美子のように表面上波風を立てないように努力するのではなく、一切他人の心理状態に関与しない。ひょっとしたらこの作品、田中あすかという存在こそが、最悪にしてラスボスなのではないか、という気もしてきた。最終的に彼女の落としどころはどういうポジションになるのだろうか。

 葉月の気持ちはほろ苦いものを抱えながらも何とか解決。彼女が「さっぱりと諦めた」わけではないことは、塚本が食べていたパンをすぐに貪っていたことなどからも窺えるわけだが、あくまで彼女の中では「終わった」問題。残された問題はオーディションの話だけである。ここで行われる選別は、ある意味、予想通りの消化試合である。下馬評で通ると言われていた人は大体通るわけだし、葉月が落ちることだって当然の結果。高坂さんが先輩からソロを強奪することも、これまでの流れからほぼ確実なことである。つまり、分水嶺の話数とはいえ、その流れ行く方向はあらかた想定内だったわけだ。その上で、オーディションシーンに連なる一連の流れが緊張感を維持し続けられたのは、唯一の不確定要素であった中川先輩の存在があったからこそだろう。

 これまで私もお気に入りでずっと追いかけてきた中川先輩。登場直後は吹部の「不真面目」の象徴的人物として窓際を占拠し、そのまま葵ちゃんと同じようにフェードアウトするのかと思いきや、まさかの一念発起で「再始動する吹部」の象徴的存在となった。それまでの気だるげな表情から、一転して過去の罪を悔い改め努力に輝くその笑顔は、「今までサボってたくせに」なんていう(正当な)文句を吹き飛ばすには充分なものであった。まるで彼女の輝きが現在の吹部の輝きそのものであるかのように、眩しく感じられたものである(ひいき目で)。

 しかし、現実は非常である。残念ながら「怪物」田中あすかや、年季の違う久美子と戦うには復帰が遅すぎたようで、中川先輩はオーディションという壁を乗り越えることが出来なかった。彼女の物語の上での存在意義は、ここで途切れることになる。「久美子が蹴落とした捨て石」「踏み台」としての、あまりに尊い犠牲である。これまで何をするにも本気になれなかった久美子は、今後中川先輩の生霊を背負って戦わなければならない。彼女の努力を、彼女の想いを知っているからこそ、久美子はもう逃げられない。もちろん、別に中川先輩がおらずとも「オーディションに落ちた部員」はたくさんいるのだから、久美子が頑張らなければいけないことにかわりはないのだが、はっきりと「捨て石」として提示された彼女の存在は、ドラマに大きく打ち込まれたあからさまな楔となる(葉月ではその任を担うには不充分である)。これで本番に臨むユーフォ奏者は僅かに2人だけになってしまったのだ。久美子は、恋愛に、そして演奏に、どちらにも「本気」を迫られた人生のターニングポイントになったわけだ。何という青春模様だろうか。

 そして、こんなターニングポイントを生み出してしまったのは、当然あの高坂麗奈ということになる。久美子が「変わった」のは麗奈との夜があったからこそ。それは本人も言っているのだから間違いない。全部が全部ではなかろうが、久美子は麗奈の訴える「特別存在への昇華」に共感してしまった。トランペットを吹くことで「脱却すること」を望む麗奈の世界を、美しいと思ってしまった。だからこそ、彼女は本気の中川先輩の練習風景を見ても、そこで折れずに前を向くことが出来たのである。既に2人だけの世界を構築できる関係になった怪しげな「友達」どうし。今後はソロ担当の麗奈にどんな試練が待ち受けるのか定かではないが、彼女の苦境は久美子にも苦境。3年生という大きな壁をぶち破らなければならないのは久美子も一緒なのである。「愛の力」で、吹き飛ばすことが出来るだろうか。

 ……それにしても、的確に久美子が精神的にダウナー状態にあるタイミングを察知してやってくる麗奈さんは凄まじいサイコオーラを感じる。ほっぺたをぎゅ〜っと押さえるシーンは一見すればギャグだが、足下のみを映したカットなんかの含意は明らかだ。精神的な感応が必要以上にエロい。そんな素敵な百合アニメです。

拍手

 すげぇ回がきちまった……第8話。今まで散々楽しんできた本作であるが、まさかそっちの方向へと開花するとはおもわなんだ。脚本は花田十輝なんだよな。こんなんも書けるものか……。

 今回のテーマは、ものすごく乱暴にまとめると「他者への興味関心」ということになる。人間関係というのは実に様々な要素でくっついたり離れたりするものであるが、打算や利害ではなく、純粋に「こいつなんやねん」「この人はどんな人なのだろう」「あの人がもっと知りたい」という興味関心というのは、ある意味で最も「他者」を必要とする感情であり、原初的なコミュニケーションの第一歩といえる。今回描かれた吹部の「お祭り騒ぎ」の中には、そうした「興味」に溢れかえっている。

 一番分かりやすいゴシップ根性から、典型的な「興味」を振り回すのが緑輝。はっきり言って、そばに置いておくにはかなり鬱陶しい存在である。葉月の恋愛感情を聞きつけるや否や、本人の意志など関係無しに自分の妄想で突っ走ってまわりをかき回そうとするその姿勢は、純真無垢だからこそ面倒臭い。「こいつホント駄目だな」と思ってはみたものの、エンディングの様子を見る限り、彼女が一切その興味を隠し立てすることなくおおっぴらに接していたおかげで、葉月も思い切り泣きじゃくってすっきり出来たのかもしれない。何事も適材適所ではあるが。あ、妹さんも可愛らしいですね。

 純粋な恋愛感情というものは「興味」の発現としては分かりやすいものだが、実は既にその関係性は完成していたというチューバ先輩(長瀬さんというらしい)と後藤。まぁ、今までの様子を見ていれば確かに……いや、でもなんか羨ましいな、後藤め。同じパートにそういう関係の人間がいると回りも気を遣うんじゃないかなー、とか考えたけど、低音パートにいるのって中川先輩と副部長だけだったんだな。じゃぁいいか。中川先輩も、同じパートにいるのがあの副部長と、イチャイチャしてるカップルってんだから、そりゃ窓際でヤサグレたくなるのもしょうがなかった。そしてそんな副部長先輩は、基本的に「他者」への興味というものは皆無である。彼女にとって「人間」など大した存在ではなく、自分の理解が及ぶ程度の範囲は全て些事である。彼女にとって、葉月が男連れで祭りを歩いていることも、後藤と長瀬さんが付き合っていることも、友達が神社でお願いする内容も、そして不安の欠片もないオーディションも、どれもこれも「自分には問題じゃない」という意味で同じカテゴリ。そんなことよりも、どうやったらより心揺さぶる音楽が作れるかしか考えていない。今作で一番壊れているキャラの1人といえる。

 そして、そんな色めき立つ吹部の中で、うっかり春が来ちゃった葉月の「興味」は、初めての恋愛経験。勢い任せで塚本に惚れるも、当の塚本は幼なじみの久美子が気になっていたために即勝負、即玉砕。このさっぱりとした失恋は、本当に彼女らしい一直線の分かりやすい感情の揺れであった。確かに失恋はショックだし、心の傷ではあるのだろうが、彼女の持ち前の強さと、緑輝のあけすけなフォローによって、きっと後を引かない傷で済むのではなかろうか。塚本の野郎、きちんとノーと言えるだけの侠気はみせたわけだが、その後の葉月の質問に対してはっきり返答出来なかったあたりはもう一歩といったところ。「チューバは陰で支えるんです」という台詞に対して返答しなかったあたりに、彼の本心は見え隠れ。というか、はっきり見えてはいるのだけど。しかし、何であんな女に思いを寄せるものかと謎は深まるばかりである。

 「他人への興味」という意味では、一番浅薄であり、人間的な情動という側面から魅力に欠けていたのが、我らが主人公・黄前久美子。彼女は他者に対して強烈な興味を持つことも、感情をぶつけることもしない。もし他者への積極的な感情が生まれたとしても、それを理性や羞恥、外聞で押し潰し、表面は波風を立てないようにする人間である。中学時代から続く高坂さんとの確執も、そんな彼女の「取り繕い」のなれの果てだ。久美子は、他者の深奥を見ようとしないし、自分の本質をさらけ出すこともしない。ただ、何もそれは彼女だけのことではない。世の中の人間というものは、大なり小なりそういうものである。事なかれ、無関心、それが現代のスタート地点なのである。

 しかし、そんな冴えない主人公のところに、ついに訪れた盛大なガールミーツガール。高坂麗奈というイレギュラー中のイレギュラーが、彼女の全てをぶっ壊すためにやってきた。単なるアクシデントから発生した謎の登山イベント。下駄箱のシーンでの「集合場所は?」には「この娘、こんな性格なのか!?」と驚いて大爆笑したものであるが、そこから始まる2人きりの「お忍び登山」は、どれもこれもがまるで夢物語のようである。高坂麗奈は、確かに変な人間であり、どこかに中二臭い「夢」を抱えたままの幼い少女である。しかし、彼女の「興味」の発露は実に真っ直ぐだ。彼女の目には、黄前久美子は自分と同じものを持つイレギュラーだと映った。「性格が悪い」という褒め言葉は、「普通じゃない」と言い換えても良い。そこいらにいる女子高生の有象無象とは一線を画す「おかしさ」を、彼女は久美子に感じ取った。だからこそ祭りへの招待を受け入れ、この期とばかりに彼女を山へと引っ張り上げた。昔から、山は霊所である。高みに登れば登るほど、現世と隔絶し、隠り世に近づく。青春18切符すら必要としないお手軽な「隔世」ではあるが、祭りという特別な夜に、人っ子一人いない山へと登るその行為は、何とも滑稽であり、異常なものだ。だからこそ、高坂さんは「興味」の対象である久美子を「引き上げる」場所としての価値を見いだした。

 あまりに異質なその世界に呑まれ、久美子はこれまでのようなしがらみから少しずつ解放されていく。高坂に対して持っていた負い目が消え、次第に対等になっていく対話。全くキャッチボールになっていないはずなのに、少しずつ魂の底で通じていく感覚。一歩一歩の登山道が二人の呼吸を合わせ、互いに背負う楽器の重みを分かち、気付けば2人は同じ目的で、同じ場所に立っている。高坂の「愛」が、久美子を絡め取っていく。そして、たった2人だけのアンサンブルが始まるのである。この「山」のシーンの、互いの距離を測り合う緊張感。どこまでが上っ面で、どこからが本当なのかがあやふやな危機感。そして、いつの間にか肌と肌で繋がる密接な距離感。何もかもが、「麗奈と久美子」の世界を不動のものとしている。いつまでも見ていたい、怖気の走るようなシーンであった。今回のコンテ演出は藤田春香さんという人。恐るべし京アニ。こんだけの仕事をする人間がまだ出てくるのか。石原さんの演出指導ががっつり入ってるおかげなのかもしれないが、これだけの画作り、なかなか一朝一夕で出来るもんじゃないぞ。

 とにかく圧巻。まぁ、すげぇ簡単にまとめると「キマシタワー」ということになるのだけど、もう、ここまで来ると百合とかそういう次元ですらない気もする。高坂さん、油断すると次の週には仏とかに昇華してるかもしれない。このアニメ、本当に一筋縄ではいかないわぁ……。

拍手

 京阪電車のあのシートが好き、第7話。良いデザインだと思う。ところで、何で下校中に「葉月が降りた駅」で塚本が「乗ってくる」んだろう。塚本は友達の家で練習してたのかな。でも、下校するタイミング一緒だと思うんだけど。

 今回も粛々とお話は進んでいく。ものすごく感覚的な話なので多分あんまり共感してくれる人はいない気がするんだけど、京アニの中でも武本さんってすごく「理性的な」画を作る人だと思ってるのよ。もちろん京アニのメイン張る人たちはほとんどがデザイナーとしてもクリエイターとしても一線級なんだけども、私の大好きな石原さんとか、あとは石立さんとか山田さんなんかは「情に訴える」形のドラマ作りの「何かをひっかける方法」が突出してて、武本さんは画の情報の効率化とか、シンプルに「伝える」ことに重きを置いているというか。よく言えばクール、悪く言えばあんまり画にあそびが出来ない。今回のお話もそんな武本コンテの性格が出てる気がするんだよね。「芋」から「芋」に繋ぐシーンまたぎなんかは分かりやすく場面を繋ぐ役割を果たしているのだけど、それって外延的な面白さで、キャラの心情に関係無い部分なんだ。今回クライマックスとなった葵ちゃんの出ていくシーン、そして久美子が部長先輩に突っかかられてたじろぐシーンなんかも、シーン自体のエグさに比して、理解しやすさが先に立つ印象。まぁ、あそこをマジでドロドロと処理されると本当に胃が痛くてしょうがなくなるだろうけど。適材適所ってことだろうね。

 そんなわけで、今回は非常にお話の意図が見えやすいエピソードである。中心となるのは当然(待ちに待った)「葵ちゃんの退部」であるが、その事件を中心に、吹奏楽部に眠っている過去をえぐり出し、3年生チームの関係性を描くことを目的としている。葵ちゃんについては先週までで大体のパーソナリティが描かれていたので予定調和の進行であるが、ついに爆発した部長先輩の弱気は、久美子を理不尽に巻き込んでなかなかの迷惑。あそこで後輩に突っかかってしまうあたり、相当フラストレーションがたまっていたのだろう。普段お利口さんな人がああいう面倒臭い絡み方をしてくると、本当にどうしようもない。いや、久美子のレスもとんでもなく無責任だし、あいつはあいつで悪い奴だとは思うのだが、まー、あの状態で部長先輩に何を言っても納得はしてくれないだろう。「女性の怒りに必要なのは説得でなく共感」という言論が広まっているが、あの状況じゃぁ説得はもちろん、共感してもアウトという泥沼状態なのだ。ただでさえ立場の弱い1年生にそれをクリア出来るはずがない。そんな愚痴をへし折るには、副部長先輩のような傲岸不遜な「更なる理不尽」で対抗するしかないのである。この3年生チームの関係性って、すげぇヘンテコだし成立するかどうかも怪しいのに、「部長が優しい」「副部長が人外過ぎる」という2つの特異点によって成立してるんだよなぁ。非常に興味深い人間関係だ。

 その他、メンバー全員の緩衝材として働くのが同じくトランペットの中世古先輩(CVみのりん)。「部活のマドンナ」という(エラく時代遅れな)言葉にも一切動じずに受け入れる胆力を持つ陰の強者。昔から「マドンナにはいも」と決まっているのですよ(ソースは藤子不二雄)。彼女のおふくろのような包容力と、天然とも取れる空気の読めなさ(読まなさ?)によって、ギスギスしていた3年生チームの関係性は何とか修復。最終形には葵ちゃんの居場所はなくなっていたが、それも仕方ないこと。強引にこの形で修復出来ただけでも立派なものだ。副部長は相変わらずゴーイングマイウェイだが、彼女がびくともせずに部の中心で拠り所となっているおかげで、今の吹部の危うい状態も維持出来ていると考えられる。普通ならばステージの中心に立つべき「俺ツエー」キャラが、こうして問題児としても浮き上がってくるのが今作の面白いところだろう。

 そして、個人的に一番驚いたのは、中川先輩のポジションシフトである。てっきり葵ちゃんたち同様にリタイア組に入るんだろうとばかり思っていたのだが、なんと、先週辺りから着実に方向性を変え、今回見事に「真面目組」に路線変更を完了させた。「私ですらちょっと本気になってる」などという上から目線な気もする恥ずかしい発言をしており、今までの窓際無気力族設定は全てリセットしてみせた。そして、「不真面目だったけど更生したよ!」というキャラ設定は、1年前の吹部の事件を語る語り部としてもとても便利なポジションである。彼女は「滝センによる吹部の革新」を表現するもっとも分かりやすいサンプルであり、更に久美子たちを3年生の事件、はては「真面目な部活とは何か」という問題の答えにまで導く、便利な接続役として見事にアイデンティティを獲得した。いや、そりゃ中間の学年なんだから当たり前といえば当たり前なのかもしれないけど。中川先輩のポニテが可憐に揺れるだけでも、この世界は盛り上がるのです。不真面目でだるそうだった彼女が重たいユーフォ担いで帰ってる様子を想像するだけでもキュンキュンしますよね。

 そうそう、あともう1つ意外だったのは、葵ちゃん退部に対する滝センの反応である。今作の特徴として「滝→葵」や「副部長→部長」といった「容赦無い正論による暴力」があげられ、今回滝センが行った葵ちゃん一人つるし上げ行為も全くの正義であるわけだが、それでついにドロップアウトに至ってしまった葵ちゃんを見て、滝センはなんだか悔しそうだった(正確には、彼女の退部届を見て口惜しそうにしていた)。彼の信念からすると、大して練習もせず、ハードなトレーニングに文句を言っていなくなる人間を追う理由も無いし、ノイズが無くなればせいせいするくらいのものだと思っていたのだが、実際には、彼は「部員が辞める」という事態に思うところがあるらしい。やっぱり、実は良い人なの……かなぁ。彼のメンタリティはまだはっきりと見えてきませんね。

 この先、葵ちゃんがどうなるかは五分五分だろうか。彼女のいなくなった吹部は滞りなく進んでいるし、これが新しい姿だと言われれば、もう彼女が帰ってくる場所はない。でも、ドラマとしては戻ってきた方が綺麗ではあるんだよね。葵ちゃんは気付いていないようだが、彼女が退部した動機は、実は大きな欺瞞がある。彼女曰く、「去年辞めていった人を引き止められなかった私は、今の部活をだらだらと続ける権利などない」とのことであるが、同じく彼女は「高校は受験に失敗したので、大学はそれが許されない」とも言っている。そりゃ人生において受験の方が何倍も影響力がでかいのだから比べること自体がおかしいのだが、それでも彼女は、「一度失敗したことに対して、次こそは願いを叶える」ということを最大の理由にしてしまっている。ということは、部活動の在り方にだって同じことが言えるのだ。一度は犯してしまった過ちを、今こそ取り返すチャンス。ここで自分たちが必死の練習に耐え、改めて当時辞めていった部員たちに捧げることこそが、彼女の償いの方法であるはずだ。はたして、葵ちゃんはそのことに気付いているのだろうか。

 そして、久美子はこの半端な立ち位置からどこへ行くことになるのか……過去のトラウマ話を匂わせながら、先輩に振り回され、高坂さんに威嚇され、更に葉月には恋愛話で勘ぐられ……なんだこの主人公。

拍手

 全国のチューバ奏者の人に怒られるんじゃなかろうか、第6話。それとも、みんなして「あるあるwww」って共感してくれるのか。単体で体を成しにくい楽器を演奏するモチベーションってのは素人には分からない世界だなぁ。

 順当に進行している。冒頭でいきなり滝センから「オーディションするよー、ゴミどもは出番無しだよー」という駆逐の一言が告げられた割には、そこまで殺伐とせずに穏当な進み方ではある。あるのだが……多分それは、今回「別にオーディションに受からなくてもいいし、そもそもオーディション受けられるかどうかも怪しい」という割と気楽なポジションに位置する葉月がメインとなっていたため。ここで葉月メインを持ってくるってのはなかなか上手い構成になっていて、彼女はオーディション宣言で特にギスギスする必要がなく、真っ向から「ひょっとしたらひょっとするかも?」という夢に向かって邁進できる唯一のキャラクターなのである。彼女の頑張りには緑輝も「楽器始めたばかりの頃を思い出す」と言っており、おそらく演奏者ならば誰もが通過したことのある「一番キラキラしている時期」なのだろう。適当そうに見えても後輩思いの先輩たち、同輩たちに支えられ、葉月の夢は少しずつ形を成していく。彼女を中心としたおかげで、北宇治高校がサンフェスを終えてからの「新しい門出の一歩」に相応しいエピソードになっていたのではなかろうか。葉月をメインにすると笑いを生み出しやすいっていうのも良い部分で、今回は笑えるシーンが強めのギャグ寄りになってて、チューバ君のくだりなんかは実に適当で大変よろしい。なんだかんだで付き合ってくれる久美子さん優しいわ(去年の文化祭で副部長先輩は何をやったんだろう……)。

 しかし、そんな明るく楽しい成長物語の裏には、当然様々な地雷が仕込まれているわけで……今後は成長物語以外にも人間関係でずっしりみっしりとのしかかってくる部分も多くなりそうである。一見すると平和そうに見える低音パートですら、ポニテ中川先輩という不穏分子を抱えている。彼女は「久美子のユーフォが思った以上に上手い」ってんで既に諦めムード。おそらく彼女はユーフォをはじめてまだそれほど経っていないのだろう。典型的な「1年に押し出されるかもしれない先輩」候補である。元々やる気があったわけじゃなし、ここで3人しかいないユーフォから1人切られても文句は言えない立場にあるが、他のチューバトリオ、そして緑輝などは満遍なく努力家タイプであり、低音では唯一浮いている存在なのがどうにも気がかりである。久美子はまた「先輩を押しのけてまでは……」なんて余計なことを考えて悶々とする展開が訪れるのだろうか。

 我関せずで黙々と練習を続ける高坂さんも、相変わらずの火種ではある。久美子との関係は確実に改善され、少しずつコミュニケーションが柔らかくなっているが、根っからの実力主義気質、滝シンパであり「勝つためだったら何が起こっても構わない」彼女は、部長先輩に大きな大きな圧力をかけている。「3年の中ではね……」という高坂さんの台詞からして、おそらくトランペットの腕は高坂さんの方が部長よりも上。となると、部長という要職にある先輩ですら、高坂さんが容赦無く蹴落とす展開はほぼ間違いない。流石にオーディション落ちはなかろうが、ソロパートを持っていかれるのは確実だろう。そうなると、はっきりとした下克上の構図に、滝への不審感を募らせている部員は黙っちゃいない。「部長を選ばないなんて!」という錦の御旗をもって滝に抵抗するようになる。そんな状態でも、高坂さんはケロッとソロパートの練習に励む。……うむ、単に部長が板挟みでキリキリしてる様子しか想像できないな。「私間違ってないじゃん」と堂々とする高坂さんを前に、久美子はどういう態度を表明することになるのか。

 そして、放送開始から一貫してブレない「反・滝」の代表格である葵ちゃんは、そろそろお別れのシーズンだろうか。「オーディション頑張ろうね」ではなく、「オーディション頑張ってね」の時点で彼女はもう勝ち残る気がない。元から「楽しむための部活がしたい」と公言していたのだから当然といえば当然なのだが、そのことに気付いた久美子は少なからずショックを受けていたようだ。自分と一緒に頑張って全国を目指してくれると思っていた葵ちゃんが、早々に脱落を決め込んでいるのである。「そういう選択もある」ということを突きつけられて、またこの子は悶々とするよ。まだまだ過去のトラウマ問題も抱えているみたいだし……悩みの尽きない主人公だなぁ。いいことだけども。

 こんだけ不穏な状態でも、画面は終始あり得ないくらいにキラキラし続けている。過去の京アニ作品の中でも図抜けた透明感だが、これが「可愛らしさ」「きらびやかさ」だけではなくて「怜悧さ」に繋がっている気がするのが面白いところである。今週はひたすらに葉月ちゃんが可愛かったので無問題だが、高坂さんのお美しいご尊顔が出てくるたびに、「またこの顔が苦痛で歪むかもしれん」とドキドキする。多分、滝センの顔は最後まで絶対歪まない。

 まー、個人的には後藤先輩の顔さえ歪まなければそれでいいや。先輩、格好良いじゃない。チューバを担当する人間は人格者揃いに違いない(チューバ奏者への勝手なフォロー)。

拍手

 うぉぉぉぉぉ! ライディーンやぁぁ!! 第5話。これがマーチングの曲になってるとはぁぁぁ! 滝セン、選曲のセンスがすげぇな。わざわざ先週敢えて曲名を明かさずに練習させてたので驚きもひとしおである。

 まるでお話のように(そらそうだ)綺麗に「弱小高校が上達して強豪校と戦う」準備を整えていることがよく分かるお話。まー、冷静に考えればどう考えてもご都合主義で、出来すぎな展開である。「それまで一切やる気が無かった吹奏楽部が、どれだけ性根を入れ替えたとしても数週間でそんなに劇的に生まれ変われるハズないし、出来るなら苦労しねーよ」というのが普通の世界でのお話であり、北宇治高校にいたっては、部員の中に未だ完全にスイッチが切り替わってないメンバーもたくさんいるのである。そんな状態で有名強豪校と渡り会えるような演奏が急に出来るようになるわけがない。また、滝センと部員の確執に関しても未だ煮え切らない状態にあり、結局あれだけの暴言を吐いて年頃の女子高生を泣かせまくっていた鬼畜顧問の滝センに対し、部員全員が心を許したわけではないし、未だ反乱分子はくすぶっているはず。久美子視点からは「みんながあの日の合奏で何かを掴み、何かが変わったのかも」という風に見えているわけだが、いくらなんでもそれで万事丸く収まるんじゃぁ、滝セン無双が過ぎるだろう。それら全て含めて「青春の出世物語」ということで受け入れてしまっても良いが、ある程度は「はいはい、ご都合ご都合」と飲み込むことも必要である。まぁ、「Free」で怜ちゃんが急成長したのと同じくらいの感じで。

 そんな分かりやすい成長ドラマへの違和感を差し引けば、今回の展開も相変わらずアツい。吹奏楽部の演奏形態なんてバリエーション無いだろ、と思っていたのだが、なるほど、マーチングというオプションもあるのか。「炎天下で重たい楽器を担いで一糸乱れぬ行進を維持しながらの演奏」というのは、私のようにこのジャンルに疎い人間にも非常に分かりやすいハードミッション。「62.5㎝の歩幅を身体に刻め」とか、そういう「無茶やんそんなの」と思えるトレーニングを繰り返し描写することにより、「この子たちも色々と無茶なハードメニューをこなしてるんだから急成長してもええやんけ」という理由付けの効果がある。他にも、久美子単体では中学時代の同級生との対話によって精神的な進歩が分かりやすく表示されているし、未だ楽器を吹かせてもらえない葉月についても、冒頭の肺活量検査のところで確実に基礎レベルが向上していることが示されている。「吹奏楽のスキルの進歩なんてアニメでどうやって描写するんやろ?」と不安な部分もあったのだが、なるほど、あの手この手で成長過程を見せることは出来るもんですね。ちなみに久美子たちの胸については……まぁ、まだ1年生だったら今後があるやろ(適当)。久美子はあの言い方だとBか。葉月、緑輝両名はAかなぁ……メインを張ってる4人のうち3人がひんぬーというのも……まぁ、放課後ティータイムと大して変わらないデスヨ。その分副部長が頑張ってくれてるし、何より高坂さんが無双出来るからこれはこれで。

 そう、今回のハイライトは演奏シーンもさることながら、何と言っても高坂さん無双ですよ。夜の下校路、久美子と2人でちょっとたどたどしい会話をしながら帰る高坂さん。滝センの話が出ると目の色が変わる高坂さん。髪をかき上げ、明らかに雌の顔を見せる高坂さん。なんやねんあの色気は。彼女は我々をどうしたいねん。軍門に下れというのか。じゃぁ仕方ないな。前回までで低音パートのイヤホン先輩(中川さん)が可愛いなぁ、と思っていたし、今回ようやく向こうから久美子に話しかけてくれたので彼女の動向も引き続き気になってはいるのだが、高坂さんの圧倒的な破壊力の前に、他の部員たちは霞んでしまうことを止められない。対抗出来るのは現時点では中川さん、それに元気溌剌の副部長くらいのもんである。でもなぁ、副部長はまだ何か闇を抱えてそうなのが怖いんだよなぁ。

 そして残された闇というと、「少しずつ一致団結していく部員たち」の描写の中に、一粒の異物として混ぜ込まれている葵ちゃんの存在である。2話目当初に予想されていたような明確な反抗こそ行っていないものの、彼女だけは、まるで「やる気のない部員」を代表するかのように少しずつ「はずれた」行動が描写されている。そのことは、部活全体と歩調があっている久美子が彼女の扱いを決めかねている描写からも分かるだろう。「今まで出来なかったことが出来た」というので盛り上がりを見せる吹部全体の中で、彼女の存在はどのようなブレーキになってしまうのだろう。滝センは相変わらずの様子なので彼女の存在など欠片も気にしないだろうが、曲がりなりにも良い空気が形成されているだけに、一度崩れた時にどうなってしまうのかは想像するだに恐ろしい。でもこのままハッピーエンドってわけにもいかないしなぁ……。

 なお、多数のヒロインが相変わらず可愛かった本編ですが、冒頭の「ひたすら息を吐き続ける葉月」が今回の殊勲賞だったことを最後に付記しておきますね。普段のキラキラデザインが引き立っているだけに、変顔が際だつのよね。あ、あとスカートから覗く膝裏の描写にも何か執念みたいなものを感じます。大変良いことですね。大変良いことですね。

拍手

 アバンの入り方なんやねん、第4話。「何ですかこれは?」「しらんわ」。

 順調すぎで拍子抜けしてしまうくらいの第一ステップクリア。本気出した滝センのパフォーマンスの高さが尋常ではなく、ある意味でこれ以上無いくらいの「俺ツエー」作品になってしまっているわけだが、それでも学生たちとの関係性を見ているととてもじゃないけど「こんなんチートやんけー」とかいう感想は湧いてこないという。すごくギリギリのラインを突いてるんだよな。滝センのチート感と、それに反発する部員たちの関係性が、本当ならあっという間に瓦解してしまってもおかしくない状態にあるのに、絶妙に不穏分子を散らしながら描写しているおかげで、何とか「まだ大人しく従ってやる」という状態に見えないこともないという。どこかで一回爆発するポイントは間違いなくあるのだろうが、現時点においてはまだ「教師と生徒」の関係では教師の方が強いようである。そして、一応そうした生徒側の心理をフォローするために、滝センが絶妙な配分でアメとムチを使い分けているのも興味深いところ。多分、ヤツは純粋に自分が正義だと信じた指導法で突っ走っているだけでなので、「どこかで反感を覚えてリタイアする部員が出てくること」については、ほとんど問題視していないのだと思う。今回サンフェス出場を許可したことについても、生徒の気持ちを慮ったとか、元から出場させるつもりだったとかいうことは一切無く、純粋に「まぁ、ギリギリ出場を許せるラインに到達したかな」と思ったからこそ許可を出したのだろう。あれだけボコボコに叩かれた状態ならば、ちょいと緩めて認めるだけでも生徒側は大きな恩恵を感じることが出来るので、指導法としては本当に効果的なタイミングだ。うーむ、そこまで全部引っくるめてのチートクラスや。

 もちろん、滝センが単にスペックに物を言わせて突っ走っているだけの薄っぺらいキャラだというつもりはない。本当かどうか定かじゃないが、塚本の話では滝センは吹奏楽部の顧問をやるのは初めてであるという。もちろんそれ以前に何らかの形で音楽や吹部に関わっていたことはあるのだろうが、「百戦錬磨でいくつもの高校を全国に導いた実績がある」とか、そういう人物ではないだろう。その上で、きちんと「全国を目指すためのメニュー」を自分から考え、組み込み、実行する。60人以上もの部員で溢れかえり、各々のパートで抱える問題が異なっている吹奏楽部において、行き届いた指導を隅から隅まで徹底するのは並大抵の労力ではなし得ないことである。更に個々人のレベルでの問題まで認識し、それをリアルタイムで指導に反映させ、最適化させたプログラムを提供するとなると、教職の片手間で出来るレベルではないんじゃなかろうか。スポ根もの特有の「何してるかよく分からない特訓」も含めて、彼の指導はちゃんと部活全体のレベルを底上げすることに貢献していたようであるし、何から何まで的を射た結果となっているのは末恐ろしい才能である。うん、やっぱり「俺ツエー」だな。ステータス極振りしたせいで「思いやり」とか「オブラートに包む才能」とかは欠如してしまったようだが、思い切り叩きつけることで反骨精神を養うところまでがプログラムの一環……なのかもね。

 そんな恐ろしい指導者の下、着実に連帯感を強めて伸びていく高校生たち。今回はついに久美子と高坂さんの間に大きな動きがあった。相変わらず何を考えているかよく分からない高坂であるが、滝センの陰口を聞いて思わず激昂。多分見る人が見れば「理にかなっているし、なんて冷静で的確な判断力なんだー!」ってなるのかもしれないけど、まぁ、あそこで突然塚本との会話に乱入して怒鳴りつけるのは確かにやり過ぎではあるわな。滝センが人間的にOKかどうかってのはまだ別問題なのだし、現時点で妄信的に彼を慕ってしまうのはちょいとリスキーである。それでも、高坂さんとしては念願だった「ガチ部活」の夢が叶い、その立役者となった滝センには完全に心酔しきっているのだろう。このあたりが高坂さんのこわいところだ。もちろん、彼女は単なる盲信者ではなく、ただ「勝つための部活がやりたいマン」なだけなので、一晩寝ちゃえば「ちょっとマジになりすぎたかな」ってんで久美子に謝るくらいのセンスは持ち合わせている。そして、そんな校舎裏呼び出し劇をこの上ないチャンスだと捉えた久美子さん、ようやく高坂さんと意味のある対話をすることが出来ました。その結果、高坂さんデレました。友達少なそうだし……ここから友情タッグを繋ぐ展開まで持っていけるかな?

 その他、滝センの指導でフラストレーションの溜まる部員も多いものの、少なくとも久美子の回りではプラス方向の変化が多いようで、それを最も端的に体現していたのは同じパートの中川先輩。結局彼女、ほとんど真面目に練習してる姿が目撃されていないのだが、滝センに怒られていないということはそこそこの実力はあるのだろう。そして、合奏成功後には久美子と目配せしてようやくの笑顔。うーむ、彼女が怠けている状態だったのは変わらないので、ここで勝ち誇った顔をされても困るのだが……あくまで「久美子が部員間のつながりに貢献出来た」事例としての存在意義があるのかな? 彼女が後藤(ツダケン)ときちんと手をむすんで、2年生の横のつながりも完成できれば、少なくとも低音パートは出来上がると思うのだが。そして、低音パートが完成したら、あとはそれが少しずつ他のパートに波及していくだけよね。フルート勢とか、なかなかハードル高そう。

 あれ? そういえば今回葵ちゃんっていたっけ? 同じ声のパートリーダーはいたけども、葵ちゃんがどういう状態だったか確認出来なかった気が……。どうなるのでしょうね。

拍手

 滝セン格好良いねぇ、第3話。こういう分かりやすくゴツいキャラクター大好きよ。死ぬまでに一度言ってみたい台詞だよな、「私の時間を無駄にしないでください」。

 予定通りに進行しております、不穏分子しかいないこのアニメ。キャラの設定も配置も分かりやすいものばかりなのでスッと入ってくるが、その分「吹奏楽部」というテーマがあまり馴染みのないものだし、これまでにないセッティングなので決してマンネリに終わらず、ちゃんと独自の面白さが考えられているのが流石である。要素ごとに見ていくと、まず、「5060人規模の集団のコントロール」という要素は、「部活もの」「青春もの」としては非常に珍しい。部活を取り扱った漫画・アニメというのは数多く存在しているが、この吹奏楽部のような大所帯を扱うものというのはあまり記憶にない。「ダイヤのA」みたいな大所帯の野球部とかだと2軍まで含めればそれなりの人数になるが、あくまでコントロールする必要があるのは「1軍メンバーとその近辺」だけである。今作のように「やる気のあるヤツ、才能のあるヤツ、やる気のないヤツ、何も無いヤツ」を全部引っくるめて1つの方向へと引っ張らなければいけないというセッティングは色々と新規性の高いものだろう。まぁ、イメージが一番近いのは学園が舞台の作品で「クラスで何か出し物をする」という状況の時くらいか。

 吹奏楽で面白いのは、こうして「全体としての集団」があることに加えて、明確に「パート」という小集団にも分かれているという部分。各々のパートが別の生き物のように意志を持っており、単に「数十人を1つにする」のではなく、「数人単位のいくつかのパートを1つにする」必要がある。同じように見えるが実はこれが大きく異なっており、それぞれのパートは群であり個でもある。「1人1人の個人」を描くのはむしろドラマ作りの方法論としては難しいものではない。しかし、それぞれのパートの意志となってくると、「何となく」で流してしまえるほどに希薄なものにはならず、それぞれにしっかりとした描写が必要になってくるのだ。今作では「低音」を中心にしてトランペットやホルンといったパートが表面に上がってきている段階だが、最終的には全てのパートが1つのキャラクターであるかのようにはっきりと個性を示し、それらが統合していく姿を見せない限りは物語はゴールにたどり着かない。非常に難しいストーリーテリングになると思われるが、どのように料理してくれるだろう。

 流石に、このままではちょっと煩雑になりすぎるだろうと思われるので、いくらか構図をシンプルにするために採用された図案が「2年生退部事件」である。3年生の先輩たち(というか部長と副部長)はそれなりにやる気のありそうな人たちだったので意外な事実であったが、過去に大量の「やる気のある」人間が辞めているというとんでもない事件が発生していたという。つまり、先週の滝センセによる方針決定事案が確定する以前から、この部活は不穏分子だらけでろくに練習も出来ないようなダメ部活だったわけだ(まぁ、新歓の描写からそれは窺えたわけだが)。この事件によって、わざわざ描写を重ねずとも部内に「明らかにやる気のない一団」がいることが分かり、対立構図が一気に見やすくなっている。

 1年生トリオは一番親しみやすい副部長に引っ張られる形で部活に馴染んでいったので、そうした「やる気のない」雰囲気には抵抗を示している。もちろん高坂さんは言わずもがなだ。このまま進むと、やる気のない2・3年生集団(葵ちゃんを含むと思われる)は高坂を中心とした「マジ部活集団」との対立が必至。そしてこの時、部長たちがどのようなスタンスに立つのかがまだ見えてこないのが非常に気になるところ。「滝は何一つ間違ったことを言っていない」という大義名分があるため、どれだけ部員たちがギャーギャー騒ごうとも真面目軍団には戦う理由はあるのだが、それはあくまで賛同できる人間が充分な数いてこそ。現段階では、「マジ部活集団」に誰か所属してくれるのかが全く見えないので、その辺はハラハラしっぱなしである。

 細かい要素を見ていくと、当然主人公チームはこの「マジ部活」側に分類される。今回非常に興味深かった描写として、練習せずにだべっているホルンパートを見た時の久美子の反応がある。実は彼女、正面から「マジ部活する」と決心した描写は今まで一度たりとも無く、厳密に言えば彼女も「部活辞めたい派」に転がってもおかしくない状況である。しかし、彼女はホルンパートの様子を見て明らかに嫌悪感を覚え、更に「罪悪感」を噛みしめているように見える。過去に「本気で全国行けるなんて思ってたの?」と高坂に漏らしてしまった自分の小さなミス(これを罪とみなすかどうかはまだ揺れているかもしれない)を、彼女は未だ抱え込んでいる。あそこで悩んだ時点で、久美子はおそらく高坂と志を同じにしていくだろうことが分かる。回りにいる2人の友人がその流れを後押ししてくれているのもありがたい。しかし、彼女はまだそれをはっきりと形にできるだけの意志を持ち合わせていない。おそらく、今後彼女が「演奏するという意志」を確固たるものにするために、なんか感じの悪い姉貴なんかも活躍してくれるに違いない。

 ただ、そうした1年生チームの結束とは裏腹に、2年生、3年生には不安が残る。個人的に気になるのは副部長の立ち位置だ。彼女のテンションは常に前向きで「やる気がある」ように見えるのだが、今のところ明確に「滝派である」ことを表明してはおらず、あくまでも部内でのもめ事から部長を守るために動いているだけである。彼女が「全国を目指す」意志があるのかは誰にも分からない。そして、部長はパートリーダー会議の顛末を悩んでいることについて、副部長ではなくてトランペットリーダーである香織さん(CVみのりん)と相談(秘密会議)をしていた。普通に考えるなら、あそこで相談しなければならないのは発言力も強く、ポジションも上の副部長であるべきではないか? そうしなかったということは、単に都合がつかなかっただけなのか、部長の中で副部長の立ち位置が微妙なラインにあるからなのか。色々と想像は尽きない。

 とりあえず、鬼畜眼鏡・滝の次の暴虐が早く見たいので来週も楽しみです。まぁ、俺が高校時代にあんな顧問の部活にぶち当たったら確実に辞めてるとは思うけども。

 あと、今回高坂さんの台詞が叫び声しかなかったのは如何なものか。ユーフォニアムニコ生を見て安済さんのファンになったので、今後は高坂さん中心に応援したいと思っています。安済さん、スタイル抜群の美人さんなのに、なんであんなにポンコツ風味が充溢してるんだろう。最高です。あと、はやみんがストレスで胃に穴をあけそうなポジションなのも最高です。

拍手

 いいね、第2話。なんやろ、この不可思議な安心感は。石原コンテならではの間の取り方、抜き方がホッとするのかしら。

 適度に刺激と甘みが混じり、今後への期待が高まる非常に丁寧な「2話目」になっている。1話目を見た時の感想として「Freeの方法論で変質させたけいおんみたなもんやろ」とか言っていたわけだが、まぁ、そんな単純なもんじゃないわな(当たり前だ)。今作で何がやりたいのか、少しずつ見えてきて視界が良くなっていくのが気持ちいいです。

 1つ目のポイントとなるのは、「けいおん」とは別ベクトルでの、女子高生間の交流模様。特に面白いのはメインとなっている久美子と高坂の関係性。これ、文字に書き表すと本当に「なんじゃそれ」っていうくらいにしょうもない確執なんだよね。「中学の最後のコンクール、ダメ金だったことを当たり前だと思っていた久美子が、『本気で全国行けると思っていたの?』という心無い一言で激怒した」という事実があり、当然そんなことしちまったら高坂さんもずっと怒っているに違いない、ってんで声がかけられない。「気にしてるんだったら謝ればいいじゃん」と周りの友達はいう。確かにそうだ。どう考えても中学校最後のチャンスで涙している人間にかけるべき言葉は「本気で全国行けると思ってたの?」ではないだろう。もし、本当に高坂1人だけが全く空気を読まずに1人だけ熱血特訓をして完全に浮いていた、ってんなら話も分からなくもないが、それにしては回りのテンションとの差が無かったように見えるし、仮にそうだったとしても、ガチ泣きしている人間の気持ちを踏みにじるようなことを言う方が悪いに決まっている。非があるとしたら、流石に久美子の方である。

 しかし、彼女のいう「あの場では割と大勢の人間が自分と同じ気持ちだったから、ワタシ悪くない」という気持ちも分からないではない。いや、「悪くない」は言い過ぎだと思うが、「こんだけ時間が空いてしまって、今更あんな微妙な案件でどうやって謝ればいいのさ」という困惑は理解できる。何しろあの場で彼女をいじめたわけでもないし、馬鹿にしたわけでもない。久美子はあくまでも「普通だと思っていた本音」をポロッと漏らしてしまっただけであり、それが最悪のタイミングだっただけである。この期に及んで謝ろうにも、「あのときは空気読めなくてご免ね」とでも謝るのか。今更そんなん言ったところで、高坂さんの方だって「しらんがな」で終わってしまう可能性があるわけで、わざわざ謝りに行くというストレスのかかる行為がペイするかどうかは微妙なところだ。

 思春期の人間関係というものは、かくも微妙なものである。何となくのわだかまりで疎遠になり、何となくのつながりでも一緒にいたりする。そこにわざわざエネルギーを加えて動かすことの難しさ、そういう奇妙な「苦労話」がこのアニメにはちらほらと見えるのが面白い。今回は他にも「マジ部活か、お友達部活かの投票」というイベントも発生しており、ここにもストレスの元がある。新入生だけで22人の大所帯、単純計算だと5060人ほども在籍しているだろうか、そんな集団で「真面目に練習する? 適当にやる?」と聞かれたら、一般的な日本の高校生たちは何となく「真面目にやるって言うよね」と、特に考えもせずに手を挙げてしまうものだ。高坂さんのように確固たる意志がある人間もいるだろうが、そうでない人間でも、あそこでは「何となく手をあげる」ことが一番ストレスフリーである。久美子の場合、高坂という枷があったおかげでそれすら出来ずにもやもやしていたが、中学時代の因縁がなければ、彼女もおそらく「何となくあげる」側の人間になっていことだろう。それが普通なのだ。

 そこに現れるイレギュラー、ちょっと先輩の葵ちゃん。彼女も「何となくもやもや」の燃料として今後物語の鍵を握る人物だろう。彼女のいう「アリバイ作り」ははっきりとした意図がくみ取れる。滝という吹奏楽部顧問は、その昼行灯のような風貌の割には、容赦無く生徒たちに選択を迫るところを見るに、実際はかなりのやり手。今後の「全国を目指すための部活」は相当ハードなものになると予想される。「自主性を重んじる」という指導者は、「責任を当事者に負わせる」ことを必要条件と考えているわけで、実はかなり厳しい人間なのは容易に想像できるところだろう。そんな状況になったときに、くだんの「何となく挙手」組は当然「おもてたんと違う」と不平を言い始めるが、そこで強制力を発揮するのが滝のいう「自主性」である。「おまえらが選んだんだから文句を言うな」と、今後の吹部にはプレッシャーがかかる。言われた方も、ただでさえしんどい状態に加えて「なんであんなときあんな事してもうたんや」という、後悔がついて回るのでより心的負担が大きくなってしまう。そこで、葵ちゃんは事前にアリバイとして、「私は嫌やってはっきり言ってたやん」を用意したわけだ。これも彼女なりの処世術、意志の強さである。今後の展開としては、ほぼ間違いなく葵が辞めるだの辞めないだのというお話が出てくることだろう。今回の不穏な語りから考えるに、滝の指導方針とぶつかって部活を去るポジションを葵が担うことになるのかもしれない。そして、そんな状況で振り回されるのが、「何となく」組代表の久美子なわけだ。高坂のスタンスと葵のスタンスは真っ向から対立しており、「葵のいうことが分かる」久美子は、一方では高坂への罪悪感や仲間意識から、どんどん板挟みの状態へと落とされていくわけだ。……いいねぇ。せいぜい悩み苦しむがいい、青少年共よ。そんなことで思い切り悩めるのも若者の特権だもの。

 こうしてみると、これだって「けいおん」「Free」、それどころか「中二病」と並べても問題無い「青春物語」である。あくまでその切り口が違っているだけ。微に入り細を穿つ執拗な心理描写と阿漕な見せ方は石原監督の十八番である。今後も久美子が嫌らしい悩みを抱え続けるのを楽しみに見させてもらおう。それにしても副部長のキャラ立ってるなぁ。美菜子は最近本当に良い方向に演技ののばし方を確立した気がするわ。

拍手



忍者ブログ [PR]
カレンダー
02 2024/03 04
S M T W T F S
10 11 12 13 14 15 16
29 30
31
ブログ内検索
カテゴリー
プロフィール
HN:
Thraxi
性別:
男性
趣味:
声優のこと全般
自己紹介:
関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子
ーーーーーーーーーー
↑越えられない壁
沢城みゆき 斎藤千和 
中原麻衣  田中理恵  
渡辺明乃 能登麻美子
佐藤利奈  佐藤聡美
高垣彩陽   悠木碧
最新CM
[03/26 名無し]
[03/26 NONAME]
[03/25 Seachicken様はお元気でしょうか]
[03/22 NONAME]
[03/21 な]
バーコード