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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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<キャラクター部門・女性キャラ>

 男性キャラだったらシナリオや設定に絡めて選べるけど、女性キャラのランキングって、単なる趣味だよね……いや、選ぶけども。

 主人公クラスのキャラクターから挙げていくと、まずは全ての物語の中心となっていた「薄桜鬼」シリーズの雪村千鶴嬢。これぞ桑島キャラ、という脂ののった不幸っぷりと清楚な大和撫子っぷりは、乙女ゲーにのみ残された最後のオアシスである。新撰組の連中全員から好意を寄せられる男装麗人って、それだけでもスタンスが大変そうだけどな。強烈なキャラクターで作品を支えたメインヒロインと言えば、「世紀末オカルト学院」の神代マヤも印象的。Mな男性には極めつけのご褒美ですよね。あれだけツンケンしてるのに格好はエロいって、どんなサービス精神だろうか。また声がぴかしゃで歌が無駄に上手いのもセールスポイント。S属性繋がりなら「みつどもえ」の丸井家三姉妹は全員インパクト充分。個人的にはみつば派ですが、ひとははアニメ化で一番得したキャラクターだなぁ。もちろん、「みつどもえ」からは杉崎もエントリーしてたんだけど、誘致要因が中の人過ぎる気もしたので自重しました。そう言えばぶっ飛んだキャラと美味しいスタンスできれいなボケを連打してくれた「探偵オペラミルキィホームズ」のシャロもかなり印象深いですな。声に出して読みたいシャロ台詞が多すぎる。「まだですー」

 メインヒロインから離れると、毎年この部門で上位に食い込む部門に「ライバルキャラ、ラスボスキャラ」というカテゴリがある。実は今年はあんまり良い悪役がいなかったのだが(つまり良い田中理恵に巡り会っていないのだが)、主人公のお株を奪うかのように引き立っていた敵キャラというと、悠木碧の全力投球が振り切れたキャラになっていた「屍鬼」の桐敷沙子がいる。幼女にして老獪、頑強にして繊細。彼女と静信さんの間に幸多からんことを。また、ラスボスとして強烈なインパクトを残し、例年ならば確実にランクインしているであろうキャラ造形としては、「夢喰いメリー」のミストルティンもかなり美味しいポジション。3〜4年前に戻って自分に「矢作紗友里がラスボスキャラを演じるんだぜ」といっても、きっと信じられないに違いない。他にも敵キャラ部門だと、憎めないお馬鹿キャラ、「セキレイ」の紅翼とか、「パンスト」のニーソックスさんなんかもお気に入り。声に出して読みたい悪魔台詞、「私たちのルゥ〜ッル!」。

 あとは、どうしても中の人の影響が出てしまうものだからね……「ハートキャッチプリキュア」では断然キュアサンシャイン派であるし、綺羅星十字団ならオカモト・ミドリちゃんを応援せざるを得ない。保険医まじショタコン。最終的にはニチ・ケイトが一番インパクトのあるいいヒロインになったけどもな。ダンス映像は本当に何度見ても笑えるぞ。中の人縛りだと、あとは「あにゃまる探偵キルミンずぅ」の御子神リコリム姉妹ね。このへんは去年も選んだ気がするな。リコの中の人繋がりなら「それ町」の辰野俊子さんも好きだったし、リムの中の人繋がりなら「俺妹」の田村麻奈実嬢も外せません。マジで麻奈実エンド以外あり得ないと思うのだが、あの作品はどこをどう間違ってあんなエンディングになったんだろうな!!

 そして、ギリギリまでエントリーを悩んだのが「おちんこ」の象徴的存在、高梨奈緒。彼女の核弾頭のごとき破壊力と戦闘機のごとき俊敏さは、他のヒロイン勢には無かったどうしようもない依存性をもたらしてくれる。今時のアニメは、変態を変態として描ききったら勝ちだな。

 

 

第3位

‘05 「灼眼のシャナ」より「“弔詞の詠み手”マージョリー・ドー」

‘06 「天保異聞妖奇士」より「アトル」

‘07 「バンブーブレード」より「千葉紀梨乃」

‘08 「とらドラ!」より、「逢坂大河」とその他ヒロインズ

09 「デュラララ!!」より「セルティ・ストゥルルソン」

‘10 「会長はメイド様!」より「鮎沢美咲」

 男性キャラ部門で碓氷を選んで、女性キャラ部門で彼女を選ばないのはやっぱり無粋かな、と思いまして。碓氷が完璧超人だったのは間違い無いし、彼の活躍が作品をよりエキサイティングなものにしていたのも間違い無いと思うのですが、そんな野放図な遊びっぷりが映えたのも、やはり作品の根っこを支える美咲の働きがあったからこそだ。

 「少女漫画における男勝りなヒロイン像」については何度か触れているので今回改めて書いたりはしないが、美咲の場合、そうした「男勝りな完璧超人」としての側面が、碓氷を前にした時に時折見せる女性らしさと自然にかみ合い、相乗効果で更に魅力的に見えるようになっていた。独善的ともいえる敏腕生徒会長としての側面が、メイド喫茶での売れっ子メイドという側面と相互作用していたことも、自然に彼女の魅力を多層化出来た要因だろうか。要するに設定の妙なのだが、そうした2つの切り替えを単なる「要素の置換」で終わらせず、ちゃんと鮎沢美咲という女性の人生の1側面として、矛盾なく成立して見せ付けてこれたことが、彼女に魅力を与える大きな要因になったのだ。人としての弱い部分を見せ、それをちゃんと自覚的に改めようとする彼女の人間性は、単純な「ツンデレ」の中には含まれないセールスポイントだったように思う。そりゃ碓氷だって狙いたくもなるわな。彼女は良い母親になるんだろうなぁ。

 

第2位

‘05 「地獄少女」より「閻魔あい」

‘06 「うたわれるもの」より「トウカ」

‘07 「キミキス pure rouge」より「二見瑛理子」

‘08 「紅」より「九鳳院紫」

09 「ささめきこと」より「村雨純夏」

‘10 「刀語」より「否定姫」

 様々なキャラクターが卑怯ともいえる個性を打ち出し続けた作品、「刀語」。その中でたくさんの女性キャラが活躍してくれたわけだが、個人的に無視できない存在は、なんと言っても鑢七実であった。いかにも西尾維新らしい無茶苦茶過ぎるキャラクター設定は完全に浮世離れし、漫画の中のキャラクターとしてしか立脚できないものである。中原麻衣による他を寄せ付けない演技プランにより、そんな「あり得ない人間」ですら息をし始めたことは、ひょっとしたら作者や製作陣にすら誤算であったのではないかと思えるほどだ。七実こそがあの世界を体現した「超越者」であり、この作品の面白さを凝縮しきった「ジョーカー」なのである。本来メインヒロインであったはずのとがめも充分に魅力的な活躍を見せてはくれたのだが、どれだけ奇策を弄しようと、彼女は結局枠内の登場人物。全てを飲み込む悪意や作意を前にしたら、彼女は1つの駒としての任務を全うしたに過ぎない。

 そういう意味では、彼女のライバルだった否定姫も、四季崎記紀によって生み出された1つの駒であったことは間違い無かろう。しかし、「刀語」最終回において、その駒が時代のくびきから脱却し、未来を作り上げていくことを予感させている。それこそがこの作品におけるハッピーエンドの一端であり、この世界で最も強い女性が誰であったかを示しているかのようである。

 否定姫は、最初から最後までたった1人の女性であり、そこは何一つ変わらないままだった。作意に弄され、自らの幸せを追い求めるが故に、最後に死を選ぶしかなかった鑢七実。時代に立ち向かい、最愛の人との結末を描ききるために自らの命すら駒として遣いきった奇策士とがめ。2人は幸せを手にしたものの、そこで結末を生み、二度と時代に干渉することはかなわない身である。しかし、ただ1つの信念を守り通した否定姫だけは、夢を実現させると同時に、さらなる未来の可能性を残したのだ。この世界で最も強かったのは、彼女だったのではなかろうか。今期の「強いラスボスキャラ」として選ぶべきは、彼女以外には無いと思っている。

 勿論、そんな一本の芯を貫き通した人物造形を打ち立てたのは、中の人の実力であったことは疑う余地も無い。戸松遥により生み出された「否定姫の世界」は、「否」と叫び続けることで全てを自分の側へと引き寄せることに成功した。戸松のパワーが、世界を作った。ご大層なものである。

 

第1位

‘05 「ぱにぽにだっしゅ」より「レベッカ宮本」

‘06 「ローゼンメイデン・オーベルテューレ」より「水銀燈」

‘07 「ひぐらしのなく頃に解」より「鷹野三四」

‘08 「SOUL EATER」より「魔女メデューサ」

‘09 「CANAAN」より「リャン・チー」

‘10 「けいおん!!」より「田井中律」

 声優オタクのアニメの見方は歪んでいる。声オタが嫌われる理由は、勝手な基準軸を己が好みだけで勝手に打ち立て、それを純然たる技術のぶつかり合いであるアニメという基盤に介入させてしまうことだ。しかし、どれだけ悪癖だと分かっていても、こればかりは三つ子の魂だ。最終的に自分が楽しむことを目標とする娯楽媒体なのだから、その方向性を改めることは出来やしない。「〜〜が演じているからこのキャラが好き」という判定は、純粋に物語の中のキャラクターとして見る場合には、単なるノイズでしかない。しかし、キャラクターデザインなどの外的要因が好みを決めるのに影響するのだから、「どんな声でしゃべっているか」というのは非常に重要なファクターになりえるのではないか。その声でしゃべっているからこその愛着というのは、充分に判断基準として機能しているはずなのだ。

 今期、佐藤聡美キャラの躍進は相変わらずだ。純粋に声のみでメロメロになったキャラクターは、上述の通り、「俺妹」の田村麻奈実嬢がいる。彼女の声には本当に打ちのめされたし、リムだって誰だって、しゅが美ボイスは正義なのである。そんなわけで、最初に「けいおん」を見始めた時に、部長を応援し始めたのは外的要因からだったはずだ。「しゅが美ボイスはこんな引き出しもある!」と驚き、横並び一線で用意された軽音部員5人の中から誰を選ぶかと問われたら、1も2もなく律ちゃんを選ばせてもらった。1期目での入れ込み具合は、大体そんなものだったはずである。

 しかし、これが2期になり、追い続けているうちに、だんだん変質してきたことは自覚的である。3話「ドラマー!!」での楽しげなスティックさばきや、澪と絡んだ時の数々の名シーン。次第に1人の人間として、田井中律というキャラクターから目が離せなくなっていった。そして、気づけばこのポジションに彼女をピックアップしてしまっている。それは勿論「声が可愛いから!」と大きな声で言うつもりだが、それだけではない何かを、田井中律という女性がもっていたのである。

 「けいおん」は、徹底的に日常のドラマを彫り込み続ける作品。そして、そのためには全てのキャラクターの人生が彫り込まれている必要がある。登場回数が多いキャラクターなら、なおのこと1つ1つの描写には注意を払う必要があるだろう。そんなスタッフの心遣いが最も活きたのが、作中でも台詞が飛び抜けて多い彼女だったと、そういうことである。監督の山田尚子氏が一番好きなキャラクターは誰だったのか、画面を見ていれば嫌でも伝わってくるものなのだ。

 可愛いは正義だ。先人達は正しいことを言った。改めて書こう、律ちゃんは正義だ。

 

 

<声優部門>

 個人的には一番盛り上がるのが、当然この声優部門である。毎年毎年現れては消えていく泡沫のごとき多数の声優達の趨勢を見守りつつ、その年の総括を行えるのは幸せなことである。

 今年1年をまとめたとき、「最も活躍していた女性声優は?」と問われれば、意見は分かれるだろうが、およそ6人くらいに集約されるのではなかろうか。花澤・悠木・早見・日笠・豊崎・そして竹達だ。たくさんのアニメがあるが、この6人が活躍しなかった作品はほとんど無いと言ってもいいくらいの状況である。一極化はマンネリを引き起こすので避けたいところではあるのだが、あくまで声優の起用も人気商売。この流れは致し方ないところか。

 上記の6人を別々に見ていくと、まず昨年この部門で取り上げた悠木碧の躍進にはまだまだ楽しませてもらえそう。独特の声質に加えて、貪欲な向上精神を持つタレントの鑑のような性格は、今後の業界を牽引する一人前の役者としての貫禄が充分である。斎藤千和・沢城みゆきという二大巨頭に師事したことによって、今後新たな声優文化の礎となるやもしれぬ。同様の安定感を誇るのは、アイドル声優養成に定評があるアイムが大切に育て上げる、歌って演じられるハイブリッド声優、早見沙織。いわゆる「アニメ声」とは一線を画す落ち着いた音色が最大の武器で、演じる姿勢も真っ直ぐ。あおちゃんのような予想外の魔球は放らないかもしれないが、本格的なエースの素質といえる。

 他方、演技方面もさることながら、その強烈なキャラクター性で今年一気に波に乗ったのは日笠陽子。精神的なタフさとにじみ出る人柄の良さでファン心理をがっちりと掴み、今後も替えの効かないオリジナルブランドとしてニーズがあるだろう。安心の黒髪率や投げっぱなしで身体を張る気質からは、ポスト伊藤静みたいな奇妙な路線が見えそうだ。「日笠がやると全部日笠」という演技に対しての批判も無いではないが、キャリアを考えればまだまだ伸び盛り。今後の広がりへの期待も含めて、充分評価出来るレベルだろう。

 「××がやると全部××」といえば豊崎愛生も同じような非難が出やすい声優か。どうしても仕事が多くて一時に放送される本数が増えるとこうした非難は避けられない傾向にあるが、それだけ印象に残る、ということでもある。そして、「クェイサー」や「放浪息子」、「フラクタル」を聞けば、豊崎に対してこうした非難を向けるのはお門違いであることがよく分かる。どうしても「けいおん!」の唯などのキンキン声が印象に残る豊崎だが、そうした「受けやすい」武器にだけ甘んじている役者ではなく、実は特徴を活かしつつもかなり演技幅を広げられる声優なのである。日笠・豊崎、そして下記の花澤香菜の3名については、今年のグランプリ選出を最後まで迷った候補であった。

 そう、花澤香菜だ。今やすっかり天下を取った趣の花澤。出てきた当初は棒子棒子と揶揄され、かくいう私も散々忌み嫌っていた1人なのだが、気付けばそんな外野の声を強引に黙らせるだけの進化を遂げてしまった。今や替えの効かない花澤ボイスは安心と信頼のブランドにまで成り上がったわけだ。どこのトーンでもわき上がる奇妙なチャームを含んだ声音は、大沢兵器の一角、能登麻美子に迫る勢いの一大兵力。これは素直にシャッポを脱ぐしかなかろう。今後も楽しみにしております。そして最後に残った竹達彩奈については……ん、あんまり書くことが無い。この6人の中でピンと来た経験がないのは彼女1人なんだよなぁ。あ、可愛いとは思いますよ。

 「昔は棒だったのに」部門で今年1人取り上げるべきは、伊瀬茉莉也だろうか。初めて「エアギア」で聴いた時には番組視聴をやめる理由にすらなった彼女だったが、いつの間にやら不思議な存在感を持つ面白い役者になった。代表作となる「パンスト」では衣装デザインに協力するなど、独自の表現の場を広げるのも面白いところ。こういう「番狂わせ」な役者が出てくると、今後も新人のリサーチに力をいれたくなるというものだ。

 今年に入ってから注目し出した新人枠としては、多少事務所のごり押しが気にならないではない野水伊織がいる。今年はCDデビューをはたして間違い無く躍進の年となったわけだが、名前が知られ始めてからの来年以降が本当の勝負。声優としてやっていくのならば、ここからの「自分だけの武器」を見付けられるかどうかが明暗を分けるだろう。そういう意味では、「自分だけの武器」が明確な三森すずこの存在も気になるところ。歌って踊れる明らかにやり過ぎ感のあるスーパー表舞台役者な彼女だが、それ故に声優という特殊なフィールドで伸びられるかどうかは来年以降にかかっている(彼女の場合は無理に声優をやらなくても良さそうなのが悩ましいが)。他にパッと名前が出てくるところでは、新人賞声優、イカの人金元寿子、アイドル売りが吉と出るか凶と出るか東山奈央、プロ・フィットの追加戦力高森奈津美は気にしておくべき存在といえるだろうか。茅野愛衣佐倉綾音あたりは、正直言うと今ひとつピンと来ないレベルです。あ、橘田いずみが今後どんな間違った方向にいくのかは楽しみかもしれない!

 他の中堅以上の人は、まぁ、わざわざ上げる必要も無いか。ブログ右の柱を参照。男性声優では……浅沼晋太郎岡本信彦の躍進が目立つくらいかなぁ。浪川部長はいつも格好良くて濡れる。あと、何回も書いてるけど山本和臣ね。面白い立ち位置だから、今後一気に攻めに出て欲しい人材なんだがなぁ。

 

第3位

‘05「植田佳奈」 ‘06「小林ゆう」

‘07「戸松遥」 ‘08「佐藤聡美」 09「原田ひとみ」

‘10 「日高里菜」

    アニメ「とある魔術の禁書目録」「STAR DRIVER 輝きのタクト」

       「刀語」他

 毎年出来る限り「新人枠」をとるようにしていたのだが、今年は3位争いをしたのは上記の花澤・日笠・豊崎の3名。流石にこの名前では新人らしさが出ない。そんな悩みがあったことは置いておくとして、ここは一つ、一番年若いホープということで、日高里菜ちゃんに登場願った。現役高校生声優なんてものは最近ではあまり珍しくなくなっているわけだが、2年前にラストオーダーとして初めて現れた時の印象も強く、今年はその印象を更に固めるかのように、一気にスターダムにのし上がってきた。

 彼女の魅力は、やはり幼さが残る声質にあると思うが、「子役らしさ」を残しつつも、そこにプラスアルファで役者としての実力を見せつけるというのは案外難しい。デビュー時に似たような年齢だった早見沙織や戸松遥あたりも、充分「上手い」という印象ではあったが、彼女達の場合、「随分こなれた役者だけど、一体どんな人だろう」と思ったら新人だったので驚いた、という経験がある。つまり、「新人らしからぬ新人」だった。しかし、日高里菜の場合は違う。第一声を聞いて「あれ、新人だろうけど、上手いな」と思わせる何かがあった。声質の問題と言ってしまえばそれまでだが、「子役」としての武器をそのまま役者業の魅力に転化出来たというのは、他の役者とは違った魅力の打ち出し方が出来るということである。今後ともガンガン前に出てくる「若手」であって欲しいと思う。

 一応履歴を眺めておくと、彼女の活躍で一番印象的だったのは、意外にも「刀語」の凍空こなゆきだ。幼い少女でありながら、そこには七花をたたきのめすほどの怪力を備えた不遇の少女。彼女の奇妙な内面が里菜ちゃんの癖のある声音と重なって面白い味になっていた。特筆すべきは真庭狂犬に身体を乗っ取られた後の演技で、きちんと狂犬役の根谷美智子さんの音色をトレスしていたのである。この歳でこれだけのものが見せられてしまっては、嫌でも期待が高まるというものだろう。もちろん、ヒロインとして歌唱も楽しませてくれた「STAR DRIVER」のミズノも他の巫女に負けないだけの魅力があったし、看板キャラとなったラストオーダーの魅力は言わずもがな。1つ1つの役できちんと結果を出していけば、高校卒業後の活躍がより大きなものとなるはずだ。

 今から楽しみでございます。

 

 

第2位

‘05「斎藤千和」 ‘06「後藤邑子」

‘07「佐藤利奈」 ‘08「遠藤綾」 09 「悠木碧」

‘10 「喜多村英梨」

    アニメ「Angel Beats!」「学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD

       「魔法少女まどか☆マギカ」他

    ラジオ「Angel Beats! SSS RADIO」他

 今更、と言われてしまえば返す言葉も無い。しかし、彼女の存在は無視するわけにも行かないし、是非ともここらで「看板声優」としての立ち位置を明示しておきたい。百の芸を持つ声優、喜多村英梨様である。

 これまでも、この賞の選出ではキタエリの名前は何度も挙げてきた。どこにいたって存在感があるし、何をやらせても期待以上のものが帰ってくる、そんな素晴らしい技術と才能を持っていたはずなのに、なんだか彼女を評するのに「あと一歩」が踏ん切れなかった。決定的な「褒める理由」が見付からず、どこまで行っても「永遠の助演女優」みたいな扱いを続けてしまったのだ。

 しかし、そんな「一歩引いたキタエリ」の時代はもう終わった。「BLOOD+」で強烈な印象を与えながらも、そこから地に潜ること数年間を経て、上昇曲線を描き続けたキタエリのヒロイン道は、もう、他者を振り向かせずにいられないところまで来ていると見ていいだろう。毎年毎年、他の声優達がみたら羨むほどのレギュラーキャラをこなしてきたキタエリだが、今年の活躍はそんな中でも目を見張るものがある。何がすごいって、そこに「キタエリテンプレ」が存在していないというところ。「Angel Beats!」のユイ役はトバし気味のギャグテンションが素晴らしかったし、「WORKING!」の八千代さん役は、一転して落ち着いた中にも奇妙な狂気と色気がない交ぜになったにじみ出る変人性が極まっていた。「フリージング」のガネッサ、「学園黙示録」の高城沙耶など、分かりやすいキタエリらしさが出たキャラクターも、素直な魅力が出ていただろう。

 そして、キタエリの価値を最大まで高めたのが、今期最後に待ち構えていた2つの作品。まずは「魔法少女まどか☆マギカ」。悲劇のヒロイン美樹さやかの複雑な心情と、どこまでも転げ落ちる愛憎渦巻く悲劇の描写は、キタエリの力をもって初めてなしえた物語であろう。さやかの壮絶な最期が描かれた第8話は、同作の中でも屈指のエピソードである。

 そして、そんな悲劇と同時に描かれた「お兄ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ!!」では、この作品の全てを決定する、メインヒロイン奈緒を担当。こちらは中の人の濃密なキャラクター性がそのままにじみ出る、カブレラ級の飛距離を持つハイパーヒロインである。これまで「永遠の助演女優」だったキタエリが、記念すべき「看板」を手にした瞬間だったのではなかろうか。

 思えば、私がキタエリからいい一発をもらったのは、3年前の「とらドラ!」だったように思う。メインヒロインの1人、川嶋亜美。彼女が16話で残した「罪悪感は無くなった?」の一言のパワーが、あの作品をはるけき高みまで持ち上げていたと確信している。

 一言で作品を押し上げ、一人で作品を作り上げられるパワーとテクニック。万能の声優、喜多村英梨。彼女の到達すべき頂点は、我々には計り知れない。

 

第1位

‘05「生天目仁美」 ‘06「井上麻里奈」

‘07「阿澄佳奈」 ‘08「井口裕香」 09 「高垣彩陽」

‘10 「藤村歩」

  アニメ「聖痕のクェイサー」「テガミバチシリーズ」

     「会長はメイド様!」「侵略! イカ娘」他

  ラジオ「テガミバチラジオ」他 

 喜多村英梨と似ているようで違うスタンスにいる「看板女優」。それが藤村歩だ。デビュー直後から数々のヒロイン役を勤め上げながらも、何故か一部の声優のような「アイドル」売りが一切成されず、淡々と経歴だけを重ねて、静かにアニメの礎を作り続ける。まるで職人のごとき奇妙な「主演」性は、ともすると評価の網をするりと抜けてしまうような、何とも勿体ないものになっている。だからこそ、今年ここで捕まえておくことが、私の中の「藤村評」を固める良い機会ではないかと思えたのである。

 藤村歩と私の出会いは、彼女の初主演作である「あさっての方向。」。つまりはデビュー直後。そこから数々の脇役・主役を勤め上げたわけだが、印象が強かったのはマシンガントークで作品のカラーを完全に持っていった「狂乱家族日記」の凶華や、捻らないキャラクターが逆に新鮮な「テガミバチ」のニッチあたりだろうか。だが、ちゃんと「主演女優度」は高く、看板もあるはずなのに、何故か「藤村の時代」と呼ばれるものは来なかった。

 しかし、5年もの時を越えてようやく「藤村の時代」は訪れた。それがこの2010年度である。「聖痕のクェイサー」のまふゆ役を皮切りに、「会長はメイド様!」の美咲、「心霊探偵八雲」の晴香、「侵略!イカ娘」の栄子などなど、一気にこれまで溜まっていた「ヒロイン要素」を吐き出し、そのキャラクター性を固めに来たのである。他にも「バクマン。」では高慢堅物の岩瀬やその他端役で出ずっぱりだし、「とある魔術の禁書目録」では作中唯一のフラグブレイカーと言われる吹寄を好演。「パンスト」のニーソックスさんも、主役を出し抜いて作中の最萌えキャラへと名乗りを上げた。優しく愛らしくがヒロイン像の時代ではない。今の時代に求められているのは、藤村ボイスのような強い芯をもった、短所ともとれる我の強さを押し出したキャラクターなのである。

 今年頭に発売された「オトナアニメアワード」という雑誌では、注目の声優部門として、早見沙織と並んで藤村が紹介されている。その中で、「独善的な正義を振り回して、男をちょっとイラッとさせるヒロイン」で地位を確立したのが藤村である、と書かれている。何とも一面的な見方であるとは思うが、こうしてキャラクターを並べてみると、なるほどそういう取り方もある。彼女の演じたキャラクターに共通するのは、どれも全て「自分を持った強さがある」という部分。こうしたキャラクターが重なり、積み上げられた藤村像があるということは、それだけ彼女の声には説得力があり、それがニーズへと繋がったことの表れではなかろうか。

 上に挙げた喜多村英梨と違い、彼女の演技の場合、「声音を変える」ことによるインパクトは少ない。「え? これが藤村だったの?」という驚きはほとんど無く、ちょっと聞いただけで「あぁ、藤村がおる」という風に気づくことが出来る。しかし、それは決して技量が劣っているというわけではなく、その声1本でも、演技プランが構築されていることの表れである。似たようなスタンスの役者には歴戦の勇者である川澄綾子もいる。藤村の場合は川澄綾子のような「個に没し、個に消える」までの浸透力があるとは言い難いかもしれないが、代わりに有無を言わさぬパワーがある。彼女の声に生命をもらったキャラクターたちがどのような世界観でも輝くことを考えると、この「1本の声の戦場」は、彼女の晴れ舞台として結実したと見ていいのではなかろうか。

 相変わらず、彼女の周りには「アイドル性」が感じられず、前述した「オトナアニメアワード」でも、実際に写真が掲載されているのは早見沙織で、藤村はちょっと触れられている程度。裏方気質の強い賢プロ声優陣の中でも、彼女の「目立たなさ」は特筆すべきレベルである。それでも、彼女は見事に結果を出し、替えの効かない1枚看板として立脚するに至った。こうした「実力1本」の声優というのは、これからもずっと見ていたいし、聞いていたいというだけの魅力が感じられる。藤村あるところに名作有り。これからもずっと、そう言い続けていきたいものである。

 

 

今年も、良きアニメに巡り会えますように。

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関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子
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