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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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2010年度・俺的アニメグランプリ

 

 今年もやって参りました。1年間の総仕上げにして、アニメ視聴のモチベーションの1つ、勝手なランキング企画である。このブログ上では2回目ですが(1回目はこちらです)、個人的に勝手に決めていたのも換算すると、既に7年目になるんですよね。すごいですね、暇ですね。いったいいつまでこんなことをやり続けるつもりなんでしょうね。無論、死ぬまで。いや、働きたくなるまで? 分からん、今追いかけてる声優が全員突然死とかしたり、突然結婚ラッシュとかが来たら考えるわ。

 一応断り書きしておくと、タイトル賞の選出は何故か毎年「仮装大賞」の賞に依っている。「単にベストで順位を決めるのは難しいから、なるべく取り上げる作品を増やしたい」っていうのが当初の狙いだったんだけど、流石に無茶が出てきている気もするので、そろそろこの設定も考えた方がいいのかもしれないな。タイトル部門以外の賞は、基本的に3位まで取り上げてある。

 今期エントリーされたのは、ある程度最後まで視聴していた以下の67作品。過去の履歴だと、3年前から76本、74本、59本と推移しており、去年に比べると少しは回復したことが確認出来る。それとも、放送本数は変わらないけど、安定して最後まで観られるものが増えてきてるのかな。何にせよ、ある程度数が確保出来るのは良いことである。ただ、今期は震災の影響もあり、この記事を上げる時点で放送が終了していない作品もいくつかある部分だけは、考慮しなければならない。本来の主旨を考えるならば全ての番組が終了するまで待つべきなのだが、これ以上時期を遅らせるのもどうかと思ったので、執筆に踏み切らせてもらった。多少問題はあるが、御容赦願いたい。

 そして、劇場作品については去年が7本だったのに対し、こちらは4本でちょっと数が減った。でも、2011年は現時点で既にけっこうな数の「見なきゃいけない」映画がある気がするので、今後は劇場作品を評価する部門も考えたいところだ。ただ、現時点ではいささか不当なのは承知しつつも、劇場作品については敢えてエントリーからは外している。地上波と比べるのって、基準がないから難しいんですよね。

 

 

○一応ある程度見ていたエントリー作品(アイウエオ順)

「あそびにいくヨ!」「あにゃまる探偵キルミンずぅ」「アマガミSS」「荒川アンダーザブリッジ」「荒川アンダーザブリッジ*2」「インフィニット・ストラトス」「えむえむっ!」「Angel Beats!」「オオカミさんと7人の仲間たち」「おおきく振りかぶって〜夏の大会編〜」「おとめ妖怪ざくろ」「お兄ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ!!」「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」「会長はメイド様!」「学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD」「刀語」「神のみぞ知るセカイ」「君に届け2nd Season」「海月姫」「黒執事Ⅱ」「けいおん!!」「GOSICK」「これはゾンビですか?」「さらい屋五葉」「屍鬼」「GIANT KILLING」「侵略! イカ娘」「心霊探偵八雲」「STAR DRIVER 輝きのタクト」「ストライクウィッチーズ2」「世紀末オカルト学院」「聖痕のクェイサー」「生徒会役員共」「セキレイ pure engagement」「戦国BASARA弐」「そらのおとしものf」「それでも町は廻っている」「探偵オペラミルキィホームズ」「テガミバチ REVERSE」「デュラララ!!」「とある魔術の禁書目録Ⅱ」「咎狗の血」「ドラゴンクライシス!」「薄桜鬼」「薄桜鬼-碧血録-」「バクマン。」「パンティ&ストッキングwithガーターベルト」「B型H系」「HEROMAN」「百花繚乱サムライガールズ」「FORTUNE ARTERIAL 赤い約束」「フラクタル」「フリージング」「放浪息子」「迷い猫オーバーラン!」「魔法少女まどか☆マギカ」「みつどもえ」「みつどもえ増量中!」「もっと To LOVEる」「ゆとりちゃん」「夢喰いメリー」「四畳半神話大系」「ヨスガノソラ」「Rio –RainbowGate!-」「RAINBOW 二舎六房の7人」「レベルE」「WORKING!

 

○今期視聴した劇場アニメ作品

「いばらの王 –King of Thorn-」「宇宙ショーへようこそ」「装甲騎兵ボトムズ Case;IRVINE –ケース;アービン-」「マクロスF 恋離飛翼〜サヨナラノツバサ〜」

<タイトル部門>

技術賞

‘05「創世のアクエリオン」 ‘06「がくえんゆーとぴあ まなびストレート」

‘07「モノノ怪」 ‘08「キャシャーン Sins」 09「化物語」

‘10「デュラララ!」

 作品を作る上での、様々な意味での技術的側面を評する賞。過去の受賞歴を見ると、CGなどの純粋に「映像技術」を評価する向きから、最近は画面構成に代表される画作りの技術力を評する流れにシフトしているようだ。07年からの推移を見れば、中村健治、山内重保、そして尾石達也(新房昭之)と、癖の強い演出家の作品を選り好んでいるのが分かるだろう。

 今期も様々なクドい作品がそろい踏み。純粋な「アニメ好き」としてストレートに嬉しい作品といえば、五十嵐卓哉と榎戸洋司の手によるぶっ飛びロボットアクション学園ラブコメ「STAR DRIVER 輝きのタクト」。いかにもボンズらしい映像美術のレベルの高さはもちろんのこと、言葉選びのセンスには榎戸テイストが全開だったし、それを全て理解した上で取り込み、1つのテレビシリーズとして完成させた五十嵐監督の裁量も見事なもの。アニメオリジナルでここまで面白いものが出来るってんだから、大したものだ。

 監督の個性とこだわりが徹底的に画面を支配した作品といえば、いささか度が過ぎたが「夢喰いメリー」が鮮烈だ。山内重保による重い重いどんよりとしたコンテワークは、未だかつて無い息苦しさを与えてくれた。これが正しい姿勢だったのかは疑問が残るわけだが、どこまで行っても曲がらない個性というのは、それだけで楽しいものだ。更に個性を強めた作品では「四畳半神話大系」がある。原作自体がかなり個性的なものなので、アニメとして成立させるのは非常に難しい作品だったはずなのだが、それを何事も無かったかのように「画」の世界に変質させたのが、唯一無二の才能である湯浅政明である。彼の作るエキセントリックな映像世界は、気づけば「四畳半」ワールドを組み上げるのに最も適した素材となっていた。この奇跡的なコラボレーションは、後の世まで誰も踏み越えることのできない異質な金字塔になったといえるだろう。

 また、毛色は違うが他の人間がチャレンジしない領域という意味では、こだわりの制作集団アームスがお送りした「百花繚乱 サムライガールズ」がある。おっぱいおっぱいは置いておくとしても、墨汁アニメとしての異質さを全面に押し出し、奇妙な湿度でもって表現された「異国」大日本の風景は、良くも悪くも「まねできないもの」になっていたはずだ。

 そして、そんな「サムライガールズ」の特徴の一端を引き延ばした2作品もここで取り上げよう。1つ目は、「おっぱいおっぱい( ゚∀゚)o彡゜」の側面をとことんまで昇華させた異色作「学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD」。荒木哲郎はびっくりするようなアイディアでもって「映像化」を成す監督だが、この作品における彼のこだわりは、男ならば敬意を表さずにいられないめざましいものであった。馬鹿馬鹿しさ100%の「乳抜きショット」を大真面目に描ききった胆力は流石の一言。他方、「じめじめした日本の湿度」という異質さを押し出したのは「さらい屋五葉」。こちらはシリーズを通じてたった1つのコンセプトである「静けさ」にこだわり続けた作品作りを達成しており、アニメクリエイターならばどうしてもやりたくなってしまう「動くこと、見せること」を極力廃したストイックな画作りが、他に類を見ない作品構成に繋がった。こうした息の長い努力こそが、1つのアニメシリーズの完成度を高めるために不可欠なものだろう。

 そして、今期最も「うまい」と思わされた作品というと、1年前の「デュラララ!」を選びたくなってしまった。つまり、今年選んだ監督は、大森貴弘ということだ。彼ほど明確な作意を画面に盛り込む監督というのはなかなかおらず、この「デュラララ!」においても、隅から隅まで、全て「作品のため」に構築している徹底したこだわりには舌を巻く。およそアニメ脚本としては荒唐無稽な群像劇という題材において、彼の構成方針は非常に理知的であり、効果的であった。全ての面が作品を見やすくする方向に働いているにも関わらず、それが単なるメディアの置き換えに終わるのではなく、ちゃんと「アニメーションとしての魅力」として完成し、魅力を一回りも二回りも増すことになっている。本当に細やかなレベルでの「手心」であるため、ともすると見過ごされがちになってしまう作意であるが、1つ1つのエピソードとして各放送回を見ても面白いし、シリーズ全体でくくったときに、全てのエピソードが繋がり、大きな池袋の街の姿を浮き彫りにする。テレビシリーズ1本を追いかけて、最終的に大きな満足感が得られる絶妙なさじ加減となっている。同原作者が描いた「BACCANO!」でもその傾向は充分に楽しめたが、より長く、より大きなシリーズを作るに至って、大森監督の作品方針は1つの作風として完成に至ったように思う。

 こういう作品がどんどん増えてもらえれば、まだまだ楽しいアニメは増えていくのではなかろうか。



努力賞 

‘05「蟲師」  ‘06「ひぐらしのなく頃に」

‘07「true tears」  ‘08「かんなぎ」 09「けいおん!」

‘10「世紀末オカルト学院」

 とにかく個人的に頑張ったと思える作品を評したい賞。こんだけラフな設定な企画の中でも、断トツで適当な部門といえる。

 今期、その頑張りが印象的だった作品というと、真っ先に水島努の名前を挙げてしまいたい。具体的には、「おおきく振りかぶって〜夏の大会編〜」と、「侵略!イカ娘」という2本の作品を、全く違ったテンションで最後までやりきったことを評したものだ。「おお振り」は2期目ということもあって目新しさこそ無くなってしまったが、やはりその野球シーンのこだわりは別格であったし、あれだけ地味で描きにくい「高校球児の心理描写」を、原作のこだわりを損なうことなく、見事に再現してみせた手腕は流石。こういう仕事が出来るというのが、アニメ監督としての底力だ。そして、そんな丁寧さが別方向に噴出した「イカ娘」。あれだけの原作で、まさかヒットアニメが生まれるなどと誰が想像しただろうか。アニメスタッフの頑張りは、本物である。

 個人的に捨てがたい作品には、「会長はメイド様!」がある。どうも周りを囲む作品がど派手だったおかげで添え物みたいな扱いに見られがちだった作品であるが、中身は本物だ。桜井弘明によるテンポの良いギャグの切り出し方と、それを受けてなお広がりを見せる「少女漫画的ラブコメ」のバランスは絶妙。正しい姿で「原作もののアニメ化」に成功した作品といえるだろう。さらにもう1つ拾っておきたい作品といえば「放浪息子」もある。ただひたすら白く白く、という独特な色彩設定は中学生という微妙な年頃のドロドロとした情欲を描くメインテーマを実に見事に脱色しており、後口の良さに繋げることに成功した。あおきえいの持つ映像センスが光る部分であった。

 とまぁ、ここまで挙げてきた作品は全てが原作もの。そんな中、一際輝いていた作品として、アニメ完全オリジナルである「世紀末オカルト学院」を持ってきたい。製作の段階で一切の言い訳が出来ないアニメオリジナルであり、「アニメノチカラ」という1つのブランドの最後を飾った記念碑的作品。それまでの「ソ・ラ・ノ・ヲ・ト」「閃光のナイトレイド」がやや不安なエンディングを迎えてしまっただけに、その出来には期待と不安が集まったが、この作品に限っては、オリジナルの長所である「先の読めなさ」が見事にプラスに機能した。馬鹿馬鹿しいギャグと胡散臭いネタで塗り固められてたベースラインは、よくよく掘り返してみると実に丁寧な気遣いに溢れていることが分かり、その骨子には一切の無駄がない。画作りのクオリティも目を引く部分だし、毎回毎回飽きさせないだけのサービス精神を常に持ち続けて1クールを走りきった、サーカスみたいな作品であった。

 多少ひいき目もあるかもしれないが、この作品を何らかの形で評価しないというのは、確実に今期のアニメを語る上での取りこぼしとなる。改めて1から見直したい作品ではなかろうか。

 

ファンタジー賞 

‘05「ふしぎ星のふたご姫」 ‘06「あさっての方向。」

‘07「天元突破グレンラガン」 ‘08「RD 潜脳調査室」 09「狼と香辛料Ⅱ」

‘10「あにゃまる探偵キルミンずぅ」

 何となくファンタジー! な作品の世界造形にうっとりするための賞。過去の履歴を振り返ると多少疑問符が飛ばないでもないが、気にしない方向でお願いします。

 アニメと言えばファンタジー、というのが一昔前の風潮だった気がするのだが、近年は「日常もの」ジャンルなども増え、単純な「ファンタジーなフィクション」という要素はちょっと探せば見付かる、というようなものではなくなった。そんな中、異世界交流というファンタジーの基本の基本を見せてくれたのは、不思議な盛り上がりを見せてくれた「侵略!イカ娘」だろうか。常夏の浜辺というある種パラレルな世界に降り立った異世界の使者、イカ娘。彼女の生態と生き様だけが、この作品に描かれる全てであった。イカちゃんったら、本当にファンタジックな生き物だこと。

 「ファンタジーっていうくらいならやっぱり能力でバトルじゃないか?」という御仁には、古式ゆかしき変身ファンタジー、「ハートキャッチプリキュア!」が今期は飛び抜けていただろう。あの「おジャ魔女」を生み出したチームが再結集した新たな時代のプリキュアは、伝統を受け継ぎながらも、新たな息吹を「定番」の中に注ぎ込む絶妙な刺激物として作用した。本当に楽しいものは、まず子供達から楽しむべき、それがアニメの有るべき姿である。

 それじゃ、すれっからした大きなお友達はファンタジーを心から楽しんではいけない? いやいや、そんなことはない。「今まで観たこともないバトルアニメ」であることは間違い無い「聖痕のクェイサー」がある。ファンタジーとは、直訳するならば「空想、夢想」。そして、我々男性陣の夢想の中には、常に乳への憧れがあった。ジョルジュ長岡が現れるまでもなく、それはアニメ視聴層に強く訴えかける、強力な求心力たるものである。最高のファンタジーは、現実のしがらみも、恥も外聞も全てなげうった、馬鹿の集まりによって生み出されるものである。

 そして、そんな馬鹿の集まりの親玉の1人が、あの「ラーゼフォン」「アクエリオン」「アルジュナ」の生みの親、河森正治という男。彼が突然「女の子が変身する萌え作品を作る」と言い出したんだから、そりゃぁもう驚きだ。そこに生み出された奇形作品「あにゃまる探偵キルミンずぅ」。そこには気づけば純度の高い「河森哲学」が転がっているというのも異形であるが、韓国との共同制作のスタイルをとった製作姿勢は、日本人の力だけでは現れないような、何とも奇妙な町、神浜市を生み出した。そこで描かれる「人間と動物」「自然と生活」「進化と順応」の怪しげな物語は、一見すると子供だましのファンタジーのようであり、深読みすると河森監督お得意の「地球論」のようでもあり。作中で何度も描かれた「生物逆進化論」は、案外新たな時代の「変身」の定義にも一役買ってくれるかもしれない、アニメの新機軸の一端ではなかろうか。

 とか何とかいいながら、単に御子神姉妹が可愛かったことしか覚えてないんですけどね!! リコ、リム、ナギサの三姉妹は、動物のきぐるみ、キルミンの愛らしさに、少女本来の愛らしさを足し算どころかかけ算、いや、累乗算すら越えた愛らしさを見せる。幼女は可愛い。小動物も可愛い。それなら、小動物の着ぐるみを着て小動物に変身出来る幼女はものすごく可愛い。何というシンプルかつ優雅な結論であろうか。これこそが、現代アニメに求められる一つの極としての「ファンタジー」である。

 でもな、これはファンタジーだからな。現実にはリコもリムもいないんだぞ。そうだ……いないんだ…………でも大丈夫。現実にはあおちゃんとしゅが美がいるから! さぁ、キルミン動画で君もキルミン!

 

 

演技賞 

‘05「地獄少女」 ‘06「RED GARDEN ‘07「魔法少女リリカルなのはStrikerS

‘08「紅」 09「Phantom ~Requiem for the Phantom~

‘10「屍鬼」

 下記の声優部門とのネタ被りが気になって仕方がない部門。まぁ、作品ごとのトピックスっていうのもあるからさ。

 今期の忘れられない役者と言えば、まずは「四畳半神話大系」での浅沼晋太郎だろう。あそこまで1人のキャストに依存した作品作りっていうのは、なかなか見られない。さりげなくサポートに回りながらも遺憾なくクドさを出せる吉野裕行の存在感も流石であった。また、1人で空気を作った役者と言えば、「刀語」や「B型H系」における田村ゆかりも忘れられない。たった1人の声優を聞くために作品を見るというのも、ままあることなのでございます。

 意外な台詞から一気に盛り上がりを見せたのは、「学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD」。沢城みゆき演じる毒島冴子先輩による「濡れるッ!」は、アニメ史上に残る名台詞と相成った。他にも、「あたしって、ほんとバカ」「こんなの絶対おかしいよ」「人間は訳が分からないよ」など、数多の名台詞を生み出した「魔法少女まどか☆マギカ」も強烈なシナリオに負けないキャスト配置が魅力。ほんと、お疲れ様でした。同様に中の人お疲れの一言が自然に出てくるのが「お兄ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ!」。ヒロイン勢の頑張りには頭が下がりますね。

 一転、とにかく賑やかに花形声優を多く集めた純正ハーレム作品としては、「セキレイ pure engagement」や「IS インフィニットストラトス」などもあげられよう。なんだかゆかなが加わっているメンバーだと、相乗効果で周りのキャストまでエロっぽく聞こえてくるから不思議なものである。また、女の子が大挙しているのに一切ハーレム要素が無い「海月姫」のキャスト配置も白眉。こちらも大森貴弘監督の手腕が光る、絶妙な采配である。萌えと燃えの両立度合いで見事だったハーレムならば「そらのおとしものf」も見逃せない。4体のエンジェロイドを担当した4人の若手声優達の競演は、実に見応えのあるアツいアツいバトルでありました。

 声優ファンはとにかく声を聞いていれば幸せな人種なのでこの部門の選出が本当に難しいのだが、今期敢えてこの評価軸では「屍鬼」を持ってきたい。殊勲賞を射止めたのは、やはり我らが悠木碧嬢である。沙子の初登場時の見事な声の配置は、既に老獪さすら感じられる圧巻の演技プラン。直前の年に「ダンスインザヴァンパイアバンド」で似たような役をやっていたことから、更にその曲技が極まった感がある。最終回へ向けて次第に崩れゆく沙子の心理描写も見事であったし、本当に看板を背負えるだけの女優に成長しているのが分かるのである。また、この作品には同年代から負けじと気を吐く戸松遥も存在感を強く打ち出している。沙子の演技が「世界を作り、全てを定める」演技とするなら、戸松演じる清水恵は、そうした縛りを「ぶち壊す」方の演技プラン。呼吸一つで「ムラの閉塞感に飽き飽きした今時の女の子」が画面から吹き出す戸松節は、ただただ見事としか言いようがなかった。

 また、どうしても女性声優にばかり耳がいきがちになってしまうのは申し訳なかったが、尾崎敏夫を演じた大川透の貫禄の演技も必聴であるし、石井康嗣や高橋伸也などを中心として広がった村の人々の生活感は、その息づき方が絶妙なリアリティを孕んだ味わい深いものであった。こうしてジワリとにじみ出る「世界」というのは他ではなかなか体験できないものなので、参加した役者陣には何か大きな意志みたいなものが繋がっていたのかもしれない。お見事。

 

ユーモア賞 

‘05「アニマル横町」 ‘06「ひだまりスケッチ」 ‘07「俗・さよなら絶望先生」 

‘08「ひだまりスケッチ×365」 09「そらのおとしもの」

‘10「パンティ&ストッキングwithガーターベルト」

 腹の底から笑えた作品を評するための賞。ギャグアニメというのは1つのジャンルとして不動のものがあり、それだけに、他の賞と違って選定の毛色が変わり、確固たる信念の下で劇的なトップ争いが繰り広げられます。

 今年度、夏から秋にかけては、近年希に見る「ギャグアニメ激戦区」となった。昨年、ようやくシャフトアニメ勢を押しのけてこの賞に輝いた「そらのおとしもの」の続編である「そらのおとしものf」が秋から放送されたが、それと同時に「みつどもえ」「生徒会役員共」「侵略!イカ娘」などのショートギャグがまとめて放送され、そのどれもが高品質を維持していた。やはりアニメの場合はどうしても時間的な制約がかかるため、ストーリーもので引っ張るより、小ネタを繋いでいくショート形式の方がギャグとしての魅力を伝えやすいというのはあるだろう。「みつどもえ増量中!」まで、2期に渡って一切ペースダウンさせなかった「みつどもえ」シリーズが、この中では一歩抜きんでた存在だったろうか。

 他方、きちんとしたストーリーものの中でギャグを織り込んだ秀作と言えば、なんと言っても「世紀末オカルト学院」だ。タイトルが示す通り、どこか一昔前の笑いを感じさせる微妙なチョイスは、完成度の高いグラフィックで補強され、実に見事な「ネタ」として完成されていた。あれだけ真面目なキャラクター造形の中で「顔芸」のインパクトを見せるという、アニメーションならではの方向性を示してくれたのも、この作品の白眉なところである。同様にアニメによる純正進化を提示してくれた「お兄ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ!」も、見事なシナリオ配分でキャラクターを引き立たせてくれた嬉しい作品。変態を変態として描ききることがここまで楽しいものだったとは。

 と、ここまではある意味「まっとうな笑い」である。今回最後の最後まで選ぶかどうか迷った鬼門と言えば、やはり「探偵オペラミルキィホームズ」が忘れられない。どこまでも突き抜けた悪ふざけの極致が、気づけば有象無象を取り込んだ巨大な「ミルキィ空間」として統合され、何らかの指向性を持った意志として体現しているかのような錯覚を覚える。およそアニメ脚本として成立しないような荒技でもって組み伏された時のやるせなさと倒錯感は、他の作品では絶対に味わえないものであった。

 そして、ミルキィには申し訳ないが、同時期に放送されていたネタ作品として、今回は純度を優先し、より明確な方向性を打ち出した「パンスト」の方を選ばせてもらう。ミルキィの場合は「脚本を組んだらいつの間にか成立してない感じになった」のに対し、こちらは真正面から「今まで絶対成立させてこなかった」脚本を作り出すというチャレンジ。制作理念の1つ目が「無茶」である作品ならば、その完成形が無茶苦茶になるのは当然のこと。ありとあらゆる点から最低の魅力を叩き出してくれたこの作品は、間違い無くガイナックスという製作会社の歴史に残るべき逸品である。

 何はともあれ、今年は本当にギャグアニメの質が高い1年になった。そんな中で、3本ものオリジナル作品が突出して現れたというのは、実に嬉しい出来事。改めて「オカルト」「ミルキィ」「パンスト」と並べてみれば、この先アニメ業界が向かう「笑い」の未来が見えてくるかもしれない。願わくは、3作とも全て続編が出てくることを。……オカルトは無理だなぁ。

 

アイディア賞 

‘05「アカギ」 ‘06「地獄少女二籠」 ‘07「school days

‘08「地獄少女三鼎」 09「大正野球娘。」

‘10「魔法少女まどか☆マギカ」

 そのアイディア、いいね! を評する賞。うむ、よく分からなくなってきている。

 今期そのアイディアに感嘆した作品と言えば、なんと言っても2本のゲーム原作アニメ、「アマガミSS」と「ヨスガノソラ」がある。2本とも既存のアニメの手法では満足できず、独自の方法で「フルコンプルート」を目指した。前者「アマガミSS」は、余裕のある尺を活かしての全リセット形式からの複層構造を採り、全てのヒロインの魅力を100%伝えた。そして、更に技巧派なのが「ヨスガ」で、短い尺の中で巧みにリセットアンドロードを繰り返し、見事に枠の中に全てのルートを納めてしまったのである。その綱渡りのような脚本構成にはただただ感心するばかり。

 また、実験的な構成が功を奏して見事な連結ぶりを見せ付けてくれたのは「刀語」。月一放送という形式もそうだが、4話を巡る全力全霊の引っかけネタには、見事に釣られてしまった。本当にとんでもない悪ふざけだが、ああいうことが真面目に出来るというのはやはり感心してしまう。アホなチャレンジ精神ならば、作中作を見事に再現してインパクトを打ち出した「バクマン。」も観るべき価値があるだろうか。地味な作品ならば、地味でない部分を極力押し出せばいい、単純ながらなかなか実行に移せないだけのアイディアだろう。勝ったか負けたかで言ったら多分負けているアイディア勝負には「迷い猫オーバーラン!」なんて作品もある。全話監督を入れ替えるという訳の分からないチャレンジ精神だけは評価するが、まぁ、それが結実したかというと……ねぇ。

 そして、今年最も「他人が思いもよらないこと」を実現させた作品と言えば、なんと言っても「魔法少女まどか☆マギカ」しかない。虚淵玄+蒼樹うめ+シャフト。およそクリーチャーしか産まれないだろうと思われるぶっ飛んだ足し算の結果は、誰一人予想しない次元へと突き抜けるミラクルを生み出す悪魔の方程式となった。イヌカレー空間に代表されるシャフト独自の映像技術は、ともすると非常に受け入れの狭い、使いにくいだけのツールとなりがちだ。しかし、そんな使いにくい道具のアクの強さを逆手に取り、いっそのことよりグロい方向への奇形化を計ろうという突破策。虚淵の手に渡った様々な道具は、いよいよもって生きるべき世界を見付けたかのようである。そして、そこまでで充分であろう異端の存在に、更に蒼樹うめを足してしまうという判断。正気の沙汰ではあるまい。しかし、それが実現してしまったのだ。「今まで誰もやらなかったことは、誰もやろうとしなかったことである」という後ろ向きな格言があるが、コレこそまさに「やろうとしなかったこと」。それがもう、「やってしまったこと」になったのだ。今後の日本アニメは、さらなるカオスを迎えることだろう。

 惜しむらくは、この賞を選定する時点でこの作品は未だ完結を見ていない。最後まで観れば、もう少し上の賞に抜擢する案もあったのだが、終わっていないものを過剰に評価することは出来ない。とにかく現時点での衝撃を表現するために、ひとまずはこの位置で落ち着いてもらったことには御容赦願いたい。

 

 

第3位 

‘05「かみちゅ!」 ‘06「BLACK LAGOON

‘07「sola」 ‘08「喰霊--」 09「ささめきこと」

‘10「刀語」

 現代だからこそ立ち上げられた企画にして、その大きな身体を最後の最後まで走りきるのに使えた、希有な大作。その全体を評価する軸が他の作品に並び立ちにくいので難しい存在だが、やはり純粋に面白かった作品は、無条件で引っ張り上げるべきだ。

 この作品については、大きく2つの評価軸がある。1つは、アニメ作品としてのスタイル。一ヶ月に一本の放送で、その長さは1時間番組である。単に倍の長さになっただけ、という捉え方も出来るかもしれないが、製品として完成させるためには、そんな単純な話ではない。既に番組感想でも触れているが、30分で一本のまとまりを持つシナリオと、1時間で一本のシナリオは構成がガラリと変わってくる。「普通のアニメ」に慣れた脚本家がそれに対応するのもいうほど簡単な話ではないだろうし、視聴者側も、「1時間番組の見方」の体勢が出来ていない。そのため、きちんと長時間のモチベーションを維持させるだけのシナリオ配分が必要になるのだ。非常に些細な差ではあるが、そんな細かい部分での「新たな挑戦」は、この作品の1つのセールスポイントとして最大限に機能していた。また、一ヶ月に一本という放送期間のブランクも、本来ならばネックになるべき部分。視聴者は1年続くこの作品を追いかけるモチベーションが下がるやもしれないし、前回の話をすっかり忘れている危険性もあるのだ。そうしたリスクを考えて、全体構成を考えるのも大変な作業。よくもまぁ、一切の破綻無く走りきったものである。

 そして、そうしたメタ的なレベルの挑戦を大きく下支えしたのが、この作品の構造そのものだ。一ヶ月に一本ずつリリースされた原作小説のスタイルは、確かにこの放送形態に馴染んだものであったし、「毎月一本ずつの刀を収集する」という内容自体が、実にシンプルで理解しやすく、シナリオ構成を維持するのに役立った。そして、そんな「ベタな」中身であるはずなのに、極限まで捻くれて「見たことのないもの」を持ち出してくれるのが、西尾維新のすごいところである。4話で行われた暴虐は言うに及ばず、最終回にいたるまで、予定調和で片付いた部分などほとんど無い。冷静に見れば本当に「ひどい」シナリオで、ちょっとでも離れて見れば滅茶苦茶としかいいようがないのだが、一度作品世界に足を踏み入れてしまえば、そんなわがまま勝手も魅力に見えるのだから困ったものである。

 そうした「ひどい」原作を手渡された制作スタッフは、まず前述の通りに脚本家が四苦八苦。メインライターである上江洲誠の尽力が最大の功績とは思うが、長津晴子、待田堂子の両氏も、本当にご苦労様だ。そして、艱難辛苦を乗り越えてあがってきた脚本を料理するのが、今度はアニメーター達の力だ。小林智樹、こでらかつゆきなどの安定感のある仕事に加え、無茶をそのまま無茶で再現した離れ業の田中基樹、小松田大全などの個性溢れるクリエイターの味もそのまま発揮された。そして、それらを全て統括した元永慶太郎監督のビジョンの明確さが最大の功績なのは間違い無かろう。

 もちろん、この流れならば製作の最終段階で作品に携わったキャスト陣の話も出てきます。田村ゆかり・中原麻衣・戸松遥という三本柱が最大の焦点ではあるが、置鮎龍太郎や小山力也などの渋い仕事ぶりもたまらないし、毎回登場する豪華ゲストキャラクターたちの濃密な競演も贅沢極まりないサービス。四季崎記紀が森功至とか、たまらんですよね。

 最終的には、「全ての要素が基準値以上」という隙のなさが、この作品の最大の功績であろう。その上で、ただその品質に甘んじるだけに留まらないチャレンジ精神にも満ちており、毎回新しい刺激が得られたのが本当に嬉しい部分だった。なかなかこうした意欲的な作品は後を追いにくいが、是非とも自由な発想で新たなアニメ枠の構築を試みて欲しいものだと思う。

 

 

準グランプリ

‘05「魔法少女リリカルなのはA’s」 ‘06「コードギアス〜反逆のルルーシュ〜」

‘07「CLANNAD」 ‘08「コードギアス 反逆のルルーシュR2」 09「獣の奏者エリン」

‘10「STAR DRIVER 輝きのタクト」

 今期下半期を征した作品といえば、文句無しでコレしかない。加速する馬鹿の殿堂、スタドラ様だ。

 総評では「足りないものがない作品」という評価を下したわけだが、本当に節操無しに「面白い要素」をてんこ盛りにしているだけの作品である。その根本原理は、とにかく「視聴者が気になることをしまくる」ということ。1話でハートをキャッチされたのはタウバーンのどこか不安にさせるようなエキセントリックなデザイン様式であったし、「貴様、銀河美少年か!」というわけの分からない台詞だった。「アプリボワゼ」なんて独特な用語も、意味が分からない中でも視聴者を気にさせる一要因となっただろう。シリーズ構成を務めた榎戸洋司によれば、この「アプリボワゼ」は正直なんでも良かったという。今まで通りのアニメーションならば「変身!」だろうが「合体!」だろうが「蒸着!」だろうが、とにかく叫んでロボ登場なら様式美だ。しかし、それだけでは「気になる要素」にはなり得ないので、そこは一つ、訳が分からなくても「アプリボワゼ」だった。それだけで、この世界が一つ膨らむ。

 あとはすべてが同じ手法である。綺羅星、第1フェーズ、王の柱、四方の巫女、リビドーにエントロピープル。何か、よく分からないけど見たことがある気がして、その実見たことが無いもので脚本を隙間無く埋め立てたら、気づけばほら、スタドラワールドの出来上がり。ボンズに美麗な動画面を期待したい人は、是非ゼロ時間でのタウバーンの活躍を見て欲しいし、榎戸氏のすれっからした脚本が楽しみな人は、綺羅星とタクトの丁々発止の馬鹿バトルに食いつけばいい。単に夕方5時にダラダラアニメが見たいなら学園パートのお馬鹿なギャグでにやける時間が過ごせるし、ドラマティックな展開が所望なら、ワコやスガタを絡めたラブロマンスにも見えるかもしれない。とにかく、ただひたすら隙間を埋め尽くすことに邁進しただけに、どこからどこまでを見ても、何か「面白い」が見付かるのである。

 普通、こうしたいいとこ取りの作品ってのはどうあがいても破綻する。いや、破綻せずとも、どこかで多少の無理が生じるため、そこが気に入らない人間には突っ込まれる対象になってしまう。個人的にはどこか近い臭いがしたのは「コードギアス」で、あの作品の場合は、本当に色々なものを詰め込みまくり、それをさらに「成立させよう」と奮戦し、一ところにまとめ上げようとして、(見る人によっては)無視できないほどのほころびを生じさせてしまった。堅い堅い芯があればあるほどに、そこからポキリと折れてしまう場合もあるし、絶対に飲み込めない人も出てきてしまうのだ。

 しかし、この作品はそうした意固地さが無い。五十嵐卓哉監督のまとめあげた世界は、綻び、隙だらけの世界を作りながらも、その綻びが上手い具合にガス抜きとして機能しており、それが短所として映りにくい。彼の場合、間違い無く脚本部分では榎戸氏を信頼しているだろうし、画作りの基本部分においては、住み慣れたボンズの技術力を疑っていない。そのために、徹底的に「はみ出さないだけのバランス感」を維持することに労力を注ぐことが出来たのだろう。この作品にあってはならないものは、「スタドラっぽくないもの」だけであり、その一点を維持する注意力と決断力があれば、作品は成立したのである。そして、その舵取りが匠の技であることも、誰も疑いようが無かったわけだ。

 本当に、終わってみれば残されたのは単なる「世界の姿」だけ。物語なんて大して頭に残らないだろうし、個々のキャラの生き様なんて別にお手本にもしたくない。それでも、南十字島は我々の中に存在してしまった。胡散臭い人妻セレブ女子高生も、ショタ漁りに命を賭ける保険医も、過去に縛られてわがままに暴れる若作り親父も、すべてがこの島にいることは確定してしまった。そのすべてが、スタドラなのである。

「スタドラって何が面白かった?」と聞かれたら、「スタドラっぽいところ?」と答える。それでいいのだ。これでいいのだ。

 

グランプリ

‘05「ぱにぽにだっしゅ」 ‘06「うたわれるもの」

‘07「電脳コイル」 ‘08「SOUL EATER」 09「空中ブランコ」

‘10「けいおん!!」

 過去のグランプリ選出作品を見ると、なんだか知らないけど「ま、超メジャー作品は取り上げるのも癪だから外すんですけどね」みたいな姿勢が伺えるのだが、今年ばかりは仕方ない。これを選ばないことには、1年を締めくくることなど出来ないだろう。

 というわけで、今年最も私を楽しませてくれた作品は、結局のところ「けいおん」である。アニメーションを「描く」ことについて、京アニ作品は絶対的な自負があるために、一時たりとも手を抜かず、出来うる最高のものを作り上げてくれていることは疑いようがない。そして、「けいおん」という題材をとった時に、その到達点は想像以上に高かったのである。

 「日常系」というアニメジャンルについて、様々な議論はあるだろう。それに対して、この作品の番組感想を書いた時に自分なりの意見は表明したつもりだが、その時とはまた違った視点からこの作品を見ると、「ドラマとは何であるか」ということを考えることが出来ると思う。「日常系」には「ドラマがない」と捕らえると、「中身のないスカスカの作品」という言葉が当てはまる余地があるだろうが、改めて「けいおん」という作品を見ると、「ドラマがない」という表現は的外れであることが分かる。アニメにおける「ドラマ」といえば、例えば強大な敵と戦ったり、地球の危機を救ってみたり、意中のあの子を射止めようとするのがドラマといえる。しかし、考えてみれば人生におけるドラマなんて、そんなものではない。むしろ、女子高生達の日常生活におけるドラマというのは、例えば試験に備えて勉強をしてみたり、友人と一緒にイベントに出かけてみたり、文化祭でステージの上に立つことを言うのではないか? 人生における感動というものは、やはり日常生活の端々にこそ存在している。人生経験において新しいものを見る機会が多い高校生であれば、その傾向はなおさら強くなる。

 この作品は、そうした「等身大のドラマ」を、最大限にスポットを搾り、大きく描き出したものである。唯や律たちの日常生活において、明日のお菓子も世界の危機も、等しくドラマティックである。クライマックスとして迎えた文化祭や卒業式なんて、人生のかかった一世一代の大舞台だ。そうした「等身大のドラマ」を、いわゆる「ドラマ」を描いている他のアニメ作品と同等の立場で、極限まで鮮明に、鮮烈に描いたことが、この作品の功績なのではないか。女子校という特殊なフィールドではあるが、高校生活におけるあれこれは視聴者自身の想い出を刺激するだろうし、「萌え」に特化した現実味の薄い「女の子だけの空間」は、そうした「現実のドラマ」に絶妙なフィクションをもたらす。

 「あり得る物語なのに、絶対にあり得ない」。この切り取り方こそが、「日常系」というジャンルの存在意義なのだろう。以前の記事からの繰り返しになるが、このジャンルにおいて、「けいおん」の後を追うのは生半なことではない。放課後ティータイムを取り巻いた一連の「ドラマ」の純度は、そう簡単に成立するものではないのである。

 萌えアニメは何の価値があるのか。そんな苔むした考え方をする人間がいるとするならば、これ以上のドラマがあるのかと、逆に問うてみたいところである。

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コメント
無題
私の2010年は『ジュエルペット てぃんくる☆』。
最終回は感動で涙が溢れて止まらなかった。
主役の高森奈津美さんも1年間よくがんばった。
自分も魔法の力を信じてみたくなった。
このアニメを見て育った子供たちが大人になるのなら
日本の未来も明るいだろうと思えるぐらい素晴らしい出来だった。
【2011/04/06 19:20】 NAME[Gelb] WEBLINK[] EDIT[]
Re:無題
朝番組は録画がしんどいのでチェックから漏れてしまう……
プリキュア同様にジュエルペットも切れてしまったなぁ。
続編が続くとは思ってなかったんですがねぇ。
【2011/04/06 23:37】


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