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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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  決戦前夜の第8話。煮詰まる煮詰まる、この緊張感こそが「へうげ」ワールドだな。

 既に臨界点に向かい勢い留まらぬ安土城。集まった顔ぶれは、利休・左介の師弟コンビに、信長・光秀、そして家康。武の体現者である三河武士、主君信長への謁見の場ですら装束に「質素」を貫く家康は、信長が築き、左介が憧れる数寄の王国とは真っ向からぶつかる理念を持つ者。そんな家康の気質を理解しつつ、信長は軽くたしなめる程度で、その才を評価するに留まっている。どれだけ自分に対して反感があるかは理解した上で、使える人材は平気で使うのが信長流だ。

 しかし、そんな不穏な空気を知りつつ使い続けているしわ寄せがついにやってきた。家康のもてなし役を任された光秀は、まるでその気質に合わない贅をこらした料理で家康を迎える。どう考えても、それが家康にとって心地よいものではないと分かりつつだ。そして、そんな険悪なムードにとどめを刺す汚れ役を図らずも買って出てしまった左介。堪忍袋の緒が切れた家康を見て、光秀の決意は更に揺るぎなきものとなったのだろう。

 船上では左介との対話、自室では家康との対話。何人もの忠臣が信長の現状に対して並々ならぬ思いを抱いていることを1つずつ確認した光秀は、四国への出陣の期に、いよいよもって動き出すことになる。

 既に決まったはずの光秀の謀反を、更に様々な視点から補足していくギリギリのエピソード。これまでの表情豊かなキャラクターたちに加え、更に個性の際立った家康が絡むことで、様々なキャラクターのやりとりにおける1つ1つの会話の運びが、絶妙な緊張感をもたらす。相変わらず、「間」の演出や会話の含意、それを見せる画面の構成などで時間いっぱいに見せる作劇が印象的だ。

 「間」でいうなら、例えば家康がぶち切れた宴席に信長が登場したシーン。2人がにらみ合うシーンはお約束の「目」の時間だが、この時間の持たせ方で、2人の関係性が様々に推察される。また、光秀と家康の茶の席でも、実に10秒以上ものあいだ、一つの音もなく、沈黙が画面を支配する耐え難いシーンがある。2人の間に、無言の思いが様々に飛び交っていることが伺える場面だ。これだけの時間、画も音も止めて間が作れるアニメも、最近はなかなか無いだろう。

 そして「会話の含意」。今回笑えたのは、船上での左介と光秀の対話だろう。「信長の乱世への不満」という、不可思議な繋がりで2人の会話は成立しているのだが、当然のごとく、2人の見ている方向は全く違う。左介は「もう乱世も終わっちゃうし、俺も稼ぎが出ないと将来が不安だなー」という愚痴なのだが、それに対しての光秀は、既に謀反を決意しての、決死の対話なのである。「労が報われる日が必ず来る」と説きなだめる光秀の表情が、逆行で真っ黒になって確認出来ないのも、いかにもこの作品らしい見せ方である。

 逆に、互いの心中を探り合いつつも、共通の意見で通じ合っているのが光秀と家康。互いに「自分の領内のことなれど」と断りながら語り合う世相批判は、義に篤い光秀に最後の一歩を踏み出させるには充分だった。「1000年の治世」を語り、家康に訴えた光秀は、それだけにものが見える人間であることが伺えるだろう。数十年の後、家康が1000年とはいかないまでも、400年近い「治世」を作り出したことが、光秀の志を受け継いだことに対応している。家康と別れた後、光秀は一人こっそりと信長から拝領した軸を焼き捨てる。ジリジリと燃える掛け軸は、光秀の心中でくすぶる気持ちを表すと同時に、燃え上がる火の粉を見つめる光秀の顔は、当然、この後の本能寺を暗示させていることは言うまでもない。

 光秀が動く、それを家康が知る、そして秀吉が待ち構える。役者が出揃い、着実に進み続ける歴史の時計。そんな状態なのに、嫁さんといちゃいちゃしてなんだか幸せそうな左介さん。……いい奥さんを持ったものだなぁ。こんなところで、光秀が言った「労が報われる日」が図らずも来ちゃったあたり、本当に安上がりで空気を読まない男である。ま、こんな男だからこそ、あの時代にミックスフルーツのアイスクリームなんか作れたんだろうけどね。

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関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
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