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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 終始胸が締め付けられるよう、第8話。本当にこの脚本、いちいち踏み込みたくない、触れないで済ませたい部分を的確に突いてくる。意地の悪いことこの上ない。

 言ってしまえば、全てのリセット、全ての語り直しとも言えるエピソード。そのきっかけを作ったのはめんまの実母、イレーヌであった。彼女の中で、超平和バスターズの面々はめんまの直接の死因以外の何ものでもなかった。自分の娘だけが失われたというのに、他の子供達がのうのうと生きているという現実。そこに憎しみを抱くのは人としておかしいということは分かっているのだろうが、それでも、失ったものの代償を、どこかに求めなければ生きていけない。だからこそ、理不尽と分かりつつも、娘の旧友たちに対して、身も世もなく本心を吐露してしまうまでに至る。どうしようもない「親」の心理。誰にも正すことなど出来ない、哀しい歪み。

 そんな現実が存在していることを知らされ、超平和バスターズのメンバーも、浮かれて遊び半分で動いていた自分たちの行動を振り返らざるを得ない状態になってしまった。過去の出来事が原因として再浮上しただけに、「昔のよしみ」というだけで動くことが出来なくなった。

 これまでのエピソードで明示的に語られてきた「wonder」は、「めんまの存在」である。仁太が繰り返し主張するめんまの存在は、何故そこにあり、何がそこにあるのか、ということが焦点となり、その謎を解明すべく5人は動いていた。しかし、今回改めて浮かび上がった「wonder」は、「めんまの不在」の方である。自分たちはそれぞれに違う人生を歩み続けているというのに、めんまだけがそこにいない。「いること」の不思議ばかりを追究してきたシナリオが、突然「いないこと」の意味を問いただし始めたのだ。この転換はゆきあつに甚大なダメージを与え、彼は過去の出来事の罪悪感に、どうしようもなく膝をついた。鳴子も同じだ。「いないこと」を突きつけられてしまえば、自然に浮かび上がるのは過去の自分の罪。仁太と、自身を結ぶ罪の記憶だ。一気に膨れあがった積年の罪悪感と嫉妬心は、どうしようもないと分かりつつも、仁太に浴びせかける以外の解決法を持ち合わせていなかった。

 そして仁太である。彼の場合の「wonder」は、「いないこと」と「いること」の狭間に揺れ動きながらも、厳然たる事実としてめんまが「いる」ことについてだ。これまでは「自分だけの差異」という認識でしかなかった事象が、実は「いること」によって罪の意識を薄め、めんまを取り巻く事象をある程度フラットな視線でみることが出来るようになる、特権的な立ち位置であると気が付いた。何がどうあろうと、めんまの口から直接「許し」が与えられるのは仁太しかいないのだ。そして、同様に「いないこと」をある程度冷静に見られる立場であるめんまの弟聡志との会談では、「親」という絶対的存在と自分の関係が、めんまにもそのまま対応していることに気づかされる。どこまで行こうとも、めんまを助けられるのは、血縁でも友情でもない、厳然たる「接触」を持つ自分だけだということにも。

 「いる」から「いない」へ。大きく揺れためんまの存在は、「みんな」と言いつつも常に欠けていたという「バスターズ」の事実を浮き彫りにし、せっかく繋がりかけた関係を再び寸断するかに見えた。しかし、間一髪のところでそれを押しとどめたのは、領分を越え、「いること」に手を出してしまっためんま自身だった。これまで彼女は、どれだけ仁太に存在を主張しようとも、「見えない」他者に対してはそれを行わなかったのだ。しかし、今回初めて、めんまが他者に対してインタラクションを行った。それが良いことなのか悪いことなのか。ただ、めんまは自分の存在がイレギュラーであることは認識しており、「おかしい状態」であると知っていた。だからこそ、極力まわりの人間との接触を避け、「仁太のめんま」であり続けてきたはずなのだ。しかし、窮余の一策として、今回その自制をといてしまった。はたして、この大きなアクションは、一体どのような変化を産むことになるのだろうか。

 「いないこと」という事実を突きつけるのだから、自然にそのシナリオは辛いものになってしまう。今回は本当に、視聴中はずっと胸がギリギリと締め付けられる展開だった。母イレーヌが、「めんまの時間」について「終わっている」ではなく「止まっている」と表現したことが、本当に辛い。既に数年の時が経ったはずの「めんまのいない世界」でも、母親にとってはみとめられない事実であり、いまだ「終わり」ではないのである。もちろん、そうした発言をしている自分自身も「時を止めている」ことに、本人は気づいていないのだろう。子供を失った母親の心情というのは、個人的には他人事でないのである程度知っているつもりなのだが、他者から見た時に、これほど心苦しいものはない。

 ひょっとして、めんまの「願い」とは、イレーヌの解放なのではなかろうか。どうにかして、未だに囚われ続ける母親から、自分の呪縛を解いて欲しいと、それを頼める唯一の存在が、「バスターズ」のリーダーたる仁太だったのではないか。めんまの優しさを思えば、何とかしてこのミッション、成功して欲しいものである。

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