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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 立つ鷺、跡を濁さない最終話。これまで半年の間に本当に色々あった湯乃鷺温泉に、ついに別れの日が来てしまいました。

 ここまで綺麗に幕を閉じ、その上で後口すっきりでくどくないという最終回は久し振りに見た気がします。この期に及んで初めて気がつくが、「花咲くいろは」というタイトルは、「花咲いた物語」を示唆するのではないのだね。「いろは」っていうのは物事の初心、はじめの段階のこと。「花咲くための、初期段階」というタイトルだったのだから、緒花たち女子高生の日常は、まだまだこれからということは最初から分かっていたこと。そんな「未来への余韻」を残すエンディングは、また格別のものでありました。

 今回は大きく分けて2つのパート。まず、前半はP.A.Worksの真骨頂ともいえる、盛大なぼんぼり祭りの情景。そういえば、P.A.が最初に頭角を現したのはあの「true tears」だった。そして、あの作品も鍵を握るのは、片田舎で開催される祭りの情景だった。夜の闇にぼんやりと浮かぶ多数の明かりや、暗がりの中でうきうきと心躍らせる人いきれ。そんな雰囲気が画面の隅から隅まで充ち満ちているのは、流石のお仕事である。そして、そんな祭りの情景の中で、たくさんの人たちの「願い札」の内容が明らかになり、そこから「未来への情景」が確認出来る。「続く未来」を最も端的なツールで表したのが、この祭りの夜だったというわけだ。

 そして、そんな中での2つの出会い。1つ目は当然、緒花と孝一だ。よくよく橋の上で会うのが好きなカップルだが、前回湯乃鷺を訪れた孝一は結局緒花とすれ違いばかりだったので、今回は念願叶っての対面ということになる。あのときとは全く違う緒花の気持ちは真っ直ぐに孝一にも伝わり、そのおかげで無駄に紅ショウガの多い焼きそばを食べる羽目になった。屋台のおっちゃん、気がききすぎるな。

 そして、この夜を舞台にしたもう1つの出会いは、裸の気持ちをようやく通わせることが出来たスイと皐月である。面白かったのは2人が祭りの会場を歩くシーンのカット割りで、どこか妙なアングルからの切り取りなので、決して「2人が同じ画面に入る」ことがなかったのである。結局、皐月はスイの生み出した文化に迎合することはなく、あくまで「松前」皐月としての生き様を見せ付けている。しかし、そんな頑なな「隔離」は、その夜の寝室で解消される。互いに譲り合い、わかり合う母子。スイの中には、もう皐月への複雑な感情はなくなっているのだろう。これが、「四十万」と「松前」の融和の起点である。

 後半パートは、結局一時閉じることになってしまった喜翠荘を舞台にした撤収劇。従業員は予定通りの未来へとそれぞれに歩を進めたが、数話前のようなバラバラの「離散」ではない。縁が宣言した「新たな喜翠荘」を目指すための一時解散だ。豆じいが去り、喜翠荘は「元の」喜翠荘としての姿を取り戻すことは出来なくなった。女将が歩きながら巡る誰もいない館内の数々の想い出は、この建物に残された最後の遺産となる。しかし、それが終わりではない。「四十万スイを喜ばせる旅館」が喜翠荘の存在意義であるとするなら、今の喜翠荘が失われたとしても、第2の「喜翠荘」を生み出せばいいだけの話。スイに満足してもらう。そんな次世代の旅館の夢は、既にいくらか現実になっているのかもしれない。

 そして、この建物を最後に離れるのは、やはりスイと、緒花であった。第1話、1番最初に緒花が命じられた廊下の水拭き。彼女が喜翠荘とのお別れに選んだのは、その記念すべき初労働だった。スイでなくとも、わずか半年の滞在でも、すぐに生まれ、大切に育てられる新たな想い出の数々。新しい世界はそこにいくらでも拓けているのだと、スイは痛感させられる。天真爛漫、何も考えていないような緒花の行動に、思わず彼女も寂寥の涙をこぼした。

 最後に残されたのは、「四十万」から「松前」への、正式な融和、橋渡し。未来の四十万スイを目指すことを神に誓った松前緒花に対し、スイは自分の想い出の全てとも言える業務日誌を託した。祖母から孫へ、世代を超えた新たな喜翠荘の夢は、ここに託されたのである。「待ってるよ」と呟いたスイの表情は、全てをやりきったものの達成感に満ち、孫の行く末を見守る暖かな祖母のものになっていた。

 みんな、まだ何が出来るわけじゃない。何が出来るかも分からない。しかし、それは、花咲くいつか。花咲くためのいろはが得られた人々は、そのいつかを目指して次なる扉を開けていくのだ。本当に綺麗だ、未来って奴は。

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