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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「大正野球娘。」 6→8

 毎週書き連ねてきた感想を見ていただければ分かる通り、あり得ないくらいに楽しませてもらった作品である。いわゆる「萌え」ものが好きだし、女の子だけで集まってきゃっきゃうふふするのが好きだ。野球も好きだし、監督をはじめとしたスタッフも好き。中の人達もおしなべて好き。結果的には、好きなものだけかき集めてきたお子様ランチみたいな作品になった。

 「萌えもの」としてのサポートは、おそらく色んな人がやっているから特に必要も無いだろうが、あえて触れておくなら、序盤からあまり強く印象づけてこなかった「大正」という要素が意外に効いていたのかもしれない。1話感想では「東京節」なんかのサブカテゴリ以外では大正時代というせっかくの珍しい時代背景があまりクローズアップされていない、と不平も書いたのだが、振り返ってみると、晶子の頑固な性格のよりどころや、小梅の純粋ながらもぶれない一本気なところ、そしてそれに絡んでくる朝香中との関係性などは、やはり現代を舞台にしたときには無理矢理な印象を強く与えてしまう部分だ。特別に意識せずとも、どうしても「大正の女性」=「貞淑、大和撫子」というイメージはあるもので、それを強調したり、崩してみたりすることで、独特なキャラクターの色づけがなされていた部分はあったのだと思う。特にメインヒロインである小梅が実に魅力的な女の子として描かれていたのは、家庭環境なども全て包括した世界観の集約としての意味合いが強かったのかもしれない。

 また、大正時代というファクターがより密接に関わったのが、「野球アニメ」としての部分。この国に野球漫画は掃いて捨てるほどあるが、完全にゼロの状態からのはじめて物語というのはなかなか無い。「野球なんてやったこと無いよ!」という素人の話ならまだしも、変化球はおろか、ポジショニングやセットプレーのノウハウも与えられていない状態でのスタートというのは前代未聞である。そして、本当に1からナインが形成されていく様子が、実におもしろおかしく描かれている。基本に忠実な部分もあるし、突然ナックルに開花するなんてトンデモな部分もあり、見ているこちらとしては何が出てくるのかと毎回ハラハラさせられる。多少能力にチートな部分はある(やっぱり野球素人だった女子中学生が男子高校生に肉薄するのは無理がありすぎる)が、そのあたりはお話として割り切ってしまえばむしろ美点とも言える「漫画的要素」だったろう。いくらかの遊び要素も入れつつ、最終話であれだけきちんと「試合」をしてくれたのだから、シナリオラインについては文句なしである。

 そして、「萌え」と「野球アニメ」という2つの一見相反する要素を、きちんと1つのアニメの画面の中で描けていたのが素晴らしい。考えてみれば、「萌えキャラとして女の子を売り込むこと」も、「ナインの一員としてゲームで活躍させること」も、「そのキャラクターの持つ個性を場面に応じて発揮させてやる」という演出的側面から見れば一緒のこと。例えば鏡子を例に挙げるなら、「年下百合気味ドジっ子」というテンプレ属性があり、ここから「野球のスキルは全く無く、軟派な理由で参加しているズブの素人メンバー」という、こちらも野球漫画ではテンプレの属性に繋がり、10話のエピソードが形作られる。こうした「2局面の属性の連結」は特にバッテリーの2人に顕著で、「高飛車お嬢様」属性の晶子はそのままピッチャーにありがちな「お山の大将」属性に繋がり、デレ期が「バッテリー間の信頼関係」に置換されたし、小梅の場合は「まっすぐな元気っ子」属性が、キャッチャーとしてナインをまとめる主人公属性につながっている。「2つの面を描かねばならない」という制限ではなく、「1人のキャラを演出する方策が2通り与えられた」と考えれば、萌えものとしての際立ちはすんなり理解できる。

 こうした魅力を引き出すのに、さりげなく描き込まれる野球の描写も忘れてはならない。最初はどこかぎこちなかったフォームが次第に形を成していく様子や、学んだことを1つ1つ再現していく丁寧な様子など、キャラクターが「やってしかるべきこと」がきちんと画面上に再現されることで、野球アニメとしての真実味が増している。まだ書いてない例であげるなら、例えば胡蝶のセーフティーは回を重ねるごとにスタートの精度が上がっているし、最終回でセンターへのヒットをホームで差したシーンでは、きちんと晶子がホーム裏でカバーに回っている描写がある。こうした細かいこだわりが、1つ1つのプレイに説得力を与え、ひいてはキャラクターの個性を補強することとなる。「お話が面白いなら原作小説や漫画でいいじゃない」という誹りを一切受け付けない、アニメならではの存在感がここにある。

 べた褒めだけで満足してしまうこの作品。とにもかくにも楽しませてもらいました。池端監督、今後とも良い仕事を期待してます。

 キャストの話は鉄板面子なので「いつも通り」の一言で終わるけど、あえてあげるならやっぱり小梅役の伊藤かな恵だろうか。すっかりいっぱしの「人気声優」の仲間入り。今後が楽しみな人材です。 

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