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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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<キャラクター部門・女性キャラ>

 男性キャラを選ぶ時よりもぐっと力が入る女性キャラ部門。今年はなるべく少なめでお送りしたいと思います……がね。

 まずは物語にガッツリ食い込んだ印象的なヒロイン勢から。「あの花」は3人のヒロイン勢が皆印象的な作品だったが、個人的にはあなる派でなしにつるここと鶴見知利子派。最後の最後までほとんど自分のキャラを崩さずに貫き通しつるこが、画面の端々でちらりと覗かせてしまう本心の描写が本当にキュンとくるのです。あんな変態相手に惚れてしまったのは最大の不幸かと思うが、覚醒ゆきあつは本当のイケメンなので、二人には幸せになって欲しいもの。不幸の度合いでなら負けていないのは「輪るピングドラム」から荻野目苹果ちゃん。序盤に見せた全力全開のストーカーアタックは開いた口がふさがらないバイタリティが見事だったし、後半に進むにつれて描かれる彼女の苦闘と努力は、この物語を一段高いレベルに持ち上げるすばらしい「純愛」であった。タマノホマレに栄光あれ。

 主人公枠でいうなら、たとえば番外編での際だちばかりが印象に残っているが枸雅詩緒ちゃんの愛らしさは抜群。健気で頑張り屋だけど、どこか素直になれないというナイス幼女。そして本年度ナイス幼女グランプリなら、当然鹿賀りんちゃんということになる。今年度は何かと「父性」という言葉が取り上げられる機会も多かったが、彼女の働きが「父性」に働きかけ、案外日本の少子高齢化も何とかなるんじゃないかと思えるレベルである。そして、今年最後のナイス幼女部門には白鬼院凛々蝶様も滑り込む。正確には高校生なんだから幼女じゃねーじゃん、という気もするが、彼女の発揮した徹底したフェティシズムは、何か危険なものを目覚めさせるのに一役買ったのは間違いないだろう。最後まで選出するかどうか悩んだ枠では、「未来日記」より我妻由乃がいる。突き詰めたヤンデレキャラというのはなかなか描出の難しいものだが、由乃は最後の最後まで芯がぶれず、見事に「怖くて」「可愛い」ヤンデレ妻を貫き通してくれた。

 続いてサブキャラ部門。このあたりになってくるとだんだん中の人の影響が強くなってくるのが困りものだが、単体でまず浮かぶのは「可哀想な青」でおなじみ谷川柑菜ちゃん。彼女が幸せになれない国なんて滅んでしまえばいいのに。そして、不幸の度合いで言ったら他の追随を許さない外道キャラとして圧倒的存在感を示したのは「BLOOD-C」の求衛のの・ねね姉妹(仮名)。壮絶過ぎる死に様は、その少し後に某合宿所で死んだ杉浦多佳子さんと被る部分もありますが、死に方の極まりっぷりは今年ナンバーワン。茶番を完璧な茶番として集結させた立役者である。そして中の人つながりだと、何故かそこから「はがない」の志熊理科につながる。ノノネネが外道だとするなら、理科は単なる下衆。ここまでまっすぐな下衆は見ていて本当に気持ちが良い。世間的には肉を応援する風潮が強いが、個人的には断然理科推しですね。あー、でも同じ作品なら羽瀬川小鳩ちゃんか……小鳩は最近の花澤キャラの中でも随一の飛び道具だったな……方言幼女ってなものがここまでの破壊力を持つとは思わなんだ……今期並み居る花澤キャラから小鳩を選ぶものどうかと思うけどね……

 中の人関係でもうちょっとピックアップしておくと、永遠のメインヒロイン伊藤かな恵キャラなら春風明日菜松前緒花両名。「かな恵元気で馬鹿が良い」といううたい文句もあるぐらいですから(今作ったんだけど)。続いて豊崎キャラなら池田千歳がいてファム・ファンファンがいてなこちがいて、そして因果ということになるでしょうか。オーソドックスあいなまキャラも良いし、驚異のバリエーションで見せてくれたインパクトも大きい。ぜいたくな選択肢ですね。そして我らが悠木碧キャラクターならば、直近なら立花響ちゃんということになるのだろうが、なんと言っても白粉花ちゃんが忘れられない。やっぱりぶっ飛びキャラの方が気持ちが良いのがあおちゃんなのです。そういう意味では「男子高校生の日常」のりんごちゃんも強烈だったから気に入ってる。「あおちゃん元気で馬鹿が良い」といううたい文句が……作ればいいじゃない。

 さんざんあげてきたけど、最後に触れておくのは、上の方でも紹介してるけど「C3 シーキューブ」のビッチねぇさんことピーヴィー・バロヲイさん。今年は「悪役部門」に入れそうなのが他に櫻井了子女史くらいしかいないので、ピーヴィーさんのド外道っぷりが印象に残っているのです。あとは……持田房子? ある意味ラスボス。
 

 
第3位
‘05 「灼眼のシャナ」より「“弔詞の詠み手”マージョリー・ドー」
‘06 「天保異聞妖奇士」より「アトル」
‘07 「バンブーブレード」より「千葉紀梨乃」
‘08 「とらドラ!」より、「逢坂大河」とその他ヒロインズ
‘09 「デュラララ!!」より「セルティ・ストゥルルソン」
‘10 「会長はメイド様!」より「鮎沢美咲」
‘11 「47都道府犬」より「名古屋犬愛知犬」

 ……え? 駄目? いや、いいじゃない。そういうもんなんだよ、人の趣味嗜好ってのはさ。今年圧倒的な存在感を示したメインヒロインと言って彼女の名前を挙げないことは、私の正義が許さないのさ。ほんとここだけ、ここだけだから、大目に見て下さいよ。

 いや、でもすばらしいヒロインだと思うんですよ。名古屋は本当に欲望に忠実で素直な女の子。ファッションに焦がれて明らかに着られないようなワンピースにチャレンジする乙女心とか(まぁ、愛媛も着られそうにない服なんだけどさ……)、稀代の名言「名もない花を踏みにじっていただかね!」に見られる救いようのない畜生っぷりとか、犬なのかなんなのかさっぱり分からない抜群の運動神経とか……ほら、もうファンクラブがあってもおかしくないレベル。同じ世界には他にもたくさんの魅力的なヒロインがいますが、ここは一つ、作品の看板である彼女を選出し、あの世界への賛辞にかえたい。私は大真面目です。
 

 
第2位
‘05 「地獄少女」より「閻魔あい」
‘06 「うたわれるもの」より「トウカ」
‘07 「キミキス pure rouge」より「二見瑛理子」
‘08 「紅」より「九鳳院紫」
‘09 「ささめきこと」より「村雨純夏」
‘10 「刀語」より「否定姫」
‘11 「花咲くいろは」より「四十万スイ」

 毎年この部門には出来るだけ選ぶようにしているのが「ラスボス」キャラである。今年は上で紹介したようにピーヴィーさんとか了子さんとか、魅力的なんだけど「ちょっとラスボスというには迫力が足りないかな」というキャラも多くて、「今年はヒロイン勢から選ぶことになるのかなぁ」と思っていたのだが、ちょっと待て、ラスボスが1人残っているじゃないか。まさかのサブタイトルで紹介されたこの女性、「ラスボスは四十万スイ」だ。

 既に書いたように、「花咲くいろは」は青春お仕事ストーリーであり、切ない遠距離恋愛を描いたラブストーリーであり、なんと言っても親子3代の絆を描いたホームドラマであった。そして、そのホームドラマとしての骨子を作り上げた「四十万の女3代」を生み出したのが、このスイなのである。緒花も皐月さんも充分に魅力的なキャラクターだったのだが、最終的にはこの人の手のひらの上であったことを考えると、その度量のでかさでは比較するまでもない。文句なしの「メインヒロイン」と言ってしまっていいだろう。よもや現代アニメにおいて、この年齢の女性の入浴シーンがあそこまでエキサイティングなものになるなど、誰が考えようか。

 彼女の場合に、個々のカットでのインパクトも大切な要素ではあったが、最終的にはシナリオ上で果たした「ラスボス」「ゴール」としての役割が大きい。突然の喜翠荘閉鎖宣言からの彼女の複雑な心境は慮るだけでも人生の重みが感じられるものだし、紆余曲折を経て得られた娘や孫との信頼関係と愛情は、今一度「親とは何か、子供とは何か」を考えさせてくれる。今の日本が失ってしまった「本当に強い母親像」が、彼女の中には残り続けている。このアニメを見れば、日本全国のお母さん方も、また新たな気持ちでぼんぼれるのではなかろうか。
 

 
第1位
‘05 「ぱにぽにだっしゅ」より「レベッカ宮本」
‘06 「ローゼンメイデン・オーベルテューレ」より「水銀燈」
‘07 「ひぐらしのなく頃に解」より「鷹野三四」
‘08 「SOUL EATER」より「’魔女’メデューサ」
‘09 「CANAAN」より「リャン・チー」
‘10 「けいおん!!」より「田井中律」
‘11 「よんでますよ、アザゼルさん。」より「佐隈りん子」

 なんか変化球を二球続けて投げてしまったような気もするので、最後に君臨するのはまっとうなメインヒロインで決めてみたい。え? まっとうじゃない? またまたご冗談を……

 佐隈さんの魅力といえば、「常識」「非常識」の圧倒的バランス感覚。1話目ではあれだけ振り回されていた「作中唯一の常識人」が、わずかな期間にどんどん汚れて最低の人間になりはてるギャップが実に見事。テレビシリーズでも出色の作画だった「バーで便所のドアを蹴りつける佐隈さん」とか、「変身ステッキで人を殴り殺してゆらりと立ち上がる佐隈さん」とか、人として完全に超えてはいけないラインを超えている感がひしひしと伝わってくるのが素晴らしかった。

 でもね、本当は彼女だって普通の女子大生だったはずなんですよ。そしてとても可愛い人だったんですよ。牛なんですよ、パンダなんですよ。佐藤利奈なんですよ。それが結論です。何をしても可愛い。サトリナー! 嫁に来い!
 

 
 
<声優部門>

 さぁ、今年も毎度おなじみ、この部門で締めたいと思います。わたくしとしては全精力を注いで選ばないといけない、嬉し恥ずかし声優部門だ。

 昨年度の総評を見ると、1年前に「今年もっとも活躍した女性声優は?」という質問ならば6人の名前が挙がるだろう、というコメントが書かれている。参考までに再掲しておくと、「花澤・悠木・早見・日笠・豊崎・竹達」である。この名前のリストを見てから改めて2011年度の声優の勢力図を見ると、この6人の勢いは相変わらずといったところ。花澤一強時代が終わる気配はないし、あおちゃんによる業界浸食も着実に進行中。はやみんとの同世代タッグが東山奈央寿美奈子を呼びつけて成人式をやったら盛り上がった、なんて話を聞くと、もうこの辺の世代が業界の中心なんじゃないかと思えてくるくらいである。

 そんな相変わらずな情勢だが、もちろんこの競争激しい業界で、入れ替わりが起こらないわけではない。新規戦力も数々の名前が上がり始めている。今年を代表する名前を挙げろ、といわれたら、事情に通じた人間なら、間違いなく同じ名前を挙げるだろう。茅野愛衣である。今年1年に限ったのびしろ、成長率をみれば、はっきり言ってかやのんはダルビッシュ級の化け物と言ってしまっていい。寡占独占もなんのそので大量の作品に食い込み、そのほとんどがレギュラー以上の主役級。そしてこれだけの仕事量にも関わらず、「また茅野か」というような飽きがくる様子は今のところ無い。ナチュラル・セラピーボイスを売りとした現代のシンデレラは、問答無用の一枚看板になってしまったのである。今回ベスト3を選出するに当たって、かやのんを入れるかどうかは最後の最後まで悩んだ。正当な評価で「2011年度を代表する声優」を選ぶならば、入れないのは確実におかしいのである。ただ、個人的な好みからこういう「お利口な」役者さんには「もう一暴れほしいなぁ」と思ってしまうひねた性分なので、ここはあえてハズさせてもらった。「限りなく1位に近い4位」だと思っていただいてかまわない。

 かやのんと並んで、今年一気にキた声優といえば、もう1人小倉唯の名前も挙がる。「ロウきゅーぶ」で一気に知名度を上げたスーパーロリータは、そのままの勢いで声優業界・アイドル業界の統合を狙っているかのような不気味な位置取りで着実にポジションを固めている。声のおかしさがそのまま仕事になる、という声優業界の基本を考えると、ある意味もっとも声優らしい声優といえるだろう。現時点では、まだその声の特徴におんぶにだっこの状態なので役者として選びたいか、と言われるとNOだが、彼女はまだ現役の高校生。ここから真剣に役者のスキルを磨いたときに、どのような完成形が見られるのかは興味深い。さらに、冬クールでノミネートに駆け込んできたのが、そんな小倉唯の相方、石原夏織である。代表作の数は少ないが、特徴のある声と堂に入った演技は、確実にここからファン層を広げてくる。個人的には最近の若手では一番気になる人材。巷でよく言われる通りに水橋かおりに似ている部分があり、現時点での「数多ある水橋声の1つ」という下馬評を打ち砕くことが出来れば、新たに石原ワールドが広がりそうである。

 その他、今年の流行を見ていくと、番組単位で一気に知名度をあげたのが「ゆるゆり」声優陣。特に同時にプリキュア声優の座も射止めた大久保瑠美の躍進はすばらしく、今後も正統派ののび方が楽しみな1人。同様に、声優アワードを受賞し、主役のアッカリ〜ン役でもいい仕事を見せてくれた三上枝織も、所属が青二ということで、じっくり育ててほしい人材だ。露出や特徴的な声という面では津田美波も出始めているのだが、彼女は他のメンバーに比べるとまだちょっと発声に不安が残っているのが気になるか。そういや、京子の中の人ってどうなんだろう。京子役は割と面白かったのに、他に仕事が無いのはもったいないな。

 また、他の番組では「輪るピングドラム」で出てきた荒川美穂三宅麻理恵の2人も注目度が高い。特に三宅については、個人的にはかなり気に入ったので、ここから駆け上がってほしいところ。同じ事務所の高森奈津美は、「Another」で一山当たった感があるが、ここから出てこられるだろうか。個人的には、今年ようやく「アイマス」がじっくり見られたので、その中で目に留まった沼倉愛美原由実も興味があるし、それまで色んなところで名前を見てきたけどようやく「キルミー」で爆裂した赤崎千夏も面白い。「ちはやふる」で堂々の主役をこなし器用さを見せつけた瀬戸麻沙美も、確実に今後の業界では見かける名前になることだろう。こうしてみると、やはり今年も新人たちが元気な1年であった。

 さて、これだけ名前を挙げたところでベスト3にいくわけだが、その前に1人だけ触れておきたい名前がある。いや、違う、沢城先生ではない。このブログの礎ともいえる声優、大原さやかである。実をいうと、今回はもういっそさぁやが1位でいいんじゃないか、と思ったくらいに、今年の仕事ぶりはすさまじかった。確認のために、たとえば今年も破竹の快進撃だった花澤香菜と比較してみよう。彼女のwikipediaの2011年アニメの欄を見ると、主役脇役をあわせて21個もの名前が並んでいる。これはものすごい仕事量だ。そして、翻って大原さやかのwikiを確認してほしい。すると、なんとこちらも21件の仕事なのだ。もちろん、レギュラーの本数などで差があるものの、今年のさぁやのお母さん率は尋常ではなく、どこのアニメにも最低1回は顔出してるんじゃないか、と思える出現頻度だった。日本のアニメは、もう既に大原さやか無しでは回らなくなっている、といっても過言じゃない。過言じゃない。ビバ、人妻ボイス。

 閑話休題、以上の名前を踏まえた上で、いよいよ今年のベスト3を見ていきましょう。

 
第3位
‘05「植田佳奈」 ‘06「小林ゆう」 ‘07「戸松遥」 
‘08「佐藤聡美」 ‘09「原田ひとみ」 ’10「日高里菜」
‘11 「伊瀬茉莉也」
アニメ 「TIGER&BUNNY」「ベン・トー」「まよチキ!」他

 
 最後の最後まで茅野愛衣とどちらを入れるか迷ったのがこの伊瀬茉莉也。実質的な部分をとるならば、破竹の勢いのかやのんには出演量で太刀打ち出来るはずもないのだが、個人的にはやはり声質の好みという部分と、キャラの出し方、そして何より、初めて知った時との差分などを考えて、こちらを選ばせてもらった。

 伊瀬茉莉也の声を初めて聞いたのは忘れもしない「エア・ギア」の時。あまりにあまりだったのでそっとチャンネルを変え……たりはしなかったが、そのまま2,3話で視聴をやめてしまったのは懐かしい思い出。あのときの棒読みの子が、昨年度の「パンティ&ストッキング」を契機にぐぐぐっと私の中で地位を上げ始め、今年は見事に不動の地位を獲得するに至った。中でも「まよチキ!」のマサムネ役は、まっとうなツンデレベースに乗せたキャラクターにちょっとうわずったような声がベストマッチしており、個人的にはかなりのお気に入りキャラである(まぁ、作中で一番好きだったのは紅羽だったりするんだが)。

 その他、あのヒットを飛ばしたタイバニでは屈指の萌えキャラであるドラゴンキッドちゃん、「ベン・トー」では抑えめの声でさりげなくも正統派なヒロインの槍水先輩を演じて懐の広さをみせたし、「HUNTER×HUNTER」では不安視されていたキルアの少年声も難なくこなしてみせた。この受けの広さは、今後の役者業を考えれば確実に武器になる。地声も特徴があって聞いていて面白い演技が見せられるので、それなりの期間の下積み経験を存分に活かした活躍が見込めるのではなかろうか。

 ちなみに本人も目力強めのなかなかの美人さん。声優ファンがルックス気にするのは邪道だが、そういう点もプラスで楽しめるならそれに超したことはない。年を重ねると柚木涼香みたいな落ち着き方をしそう。私の好みのタイプは「目力強め」なのです。目が笑ってないあけことかも好き。
 
 
 
第2位
‘05「斎藤千和」 ‘06「後藤邑子」 ‘07「佐藤利奈」 
‘08「遠藤綾」 ‘09 「悠木碧」 ’10「喜多村英梨」
‘11 「豊崎愛生」
アニメ 「けいおん!」「ラストエグザイル-銀翼のファム-」「UN-GO」「魔乳秘剣帖」「ゆるゆり」他多数

 

 何かときな臭かった今年度の声優業界。そんなごたごたの渦中に放り込まれてしまったことで望まざる中心人物となってしまった豊崎愛生。私個人としてはそういう問題は本当に面倒だからいい加減に騒ぎ立てる風潮は消えてほしいと思っているのだが、そんなことも含めて今年の彼女はとにかく目立ちまくっていた。もちろん、とても良い意味で。これまでこの部門では戸松・彩陽と順調にsphereメンバーを評価してきたわけだが、今年を逃してしまっては豊崎愛生という才能を賛美するタイミングを失ってしまいそうなので、是非とも彼女の足跡を色眼鏡無しで評価されるように願いも込めて、ここでピックアップしたい。

 「面白い声の子」による声優業というのは、「声がコンプレックスだった」というきっかけを語る場合が多いことから分かるように、業界の1つの流れとして存在している。彼女の場合にそうした方向性があったのかどうかは知らないが、デビュー直後の豊崎は、やはり「変な声の娘」というのが先立っていただろう。私の個人的な第一印象で言えば事実上のデビュー作である「ウミショー」であるが、そのときも「まだまだ新人臭さはあるけど面白い声の子だな」というものだった。えてしてこういう「声のアドバンテージ」がある人間というのは、その天賦の才にあぐらをかいてしまう傾向にあるのだが、豊崎は、自分が決してそういった「一芸」だけには終わらない、という明確な意志があり、その意志が見事に実ったことで、今年1年を「豊崎イヤー」たらしめたのだと思う。

 主立った活躍をあげるだけでもきりがないが、インパクトがでかかったのは「UN-GO」の因果2役だろう。少年っぽさを強く押し出したスタイルからぱっつんぱっつんで色香満載の大人バージョンへの変身は、初回に聞いただけでは「どっちも豊崎」というのが信じられないくらいの振れ幅。少年声については「あの花」でも見せてくれていたし、珍しいタイプのヒロインを勝ち取った「ラストエグザイル」のファムも新しい豊崎像を見せてくれた。その他まっとうなキャラでは「猫神やおよろず」のしゃもや「ゆるゆり」の千歳あたりがどストライクだったし、「聖痕のクェイサー」などから出てきて「魔乳秘剣帖」で爆裂した変態飛ばしキャラも実に面白い。そしてすべてを豊崎ボイスで包み込む「けいおん」での象徴的活躍は言わずもがなだ。

 芸達者な他のsphereメンバーと比べると「役者業」での押しが弱かったイメージから、一転してあらゆる方面に攻められる声優の鑑のような七色の声となったのだ。これだけのものを見せられたら、ファンならばただただ彼女の次の活躍を期待して待つばかり。来年は「めだかボックス」で主役のめだかを演じることが決定している。彼女ならばきっと我々の予想の上をいくめだかちゃんを見せてくれるに違いない。

 
 
第1位
‘05「生天目仁美」 ‘06「井上麻里奈」 ‘07「阿澄佳奈」 
‘08「井口裕香」 ‘09 「高垣彩陽」 ’10「藤村歩」
‘11 「福圓美里」
アニメ 「BLOOD-C」「スマイルプリキュア!」「神様ドォルズ」「僕は友達が少ない」 他多数

 
 今年1年を象徴し、今年1年でもっとも我々を楽しませてくれた声優。ここでそれを1人選ぶとしたら、もうそれは福圓美里しか思いつかない。声のバリエーションで楽しませてくれた豊崎が2位で、どこまでも貫き通したまっすぐなスタンスで地位を確立した福圓先生が1位という配置は、計らずも去年の同部門にならんだ「2位キタエリ・1位藤村」という並びに酷似している。

 福圓美里という声優の名前は、珍しさもあって割と以前から私の中にはインプットされていた。多分1番最初に見かけたのは「バトルプログラマーシラセ」の時だったと思うが、そこからは事務所のスタンスもあって、「水樹奈々の配下」とか、「舞太とコンビを組んだもう一人の方」とか、他の声優の添え物的な印象しか持てなかった。なかなかアニメでも大きな役がこなかったことが最大の原因だと思うのだが、彼女の場合、そこまで特徴的な声というわけでもなく、まっとうなヒロイン声というにも1つずれているような、実に微妙な立ち位置にいたのだ。数年前につかみ取った念願のメインヒロインも、大してしゃべらねぇ「DARKER」の銀ちゃんってんだから悩みが根深い。

 そしてそんな福圓先生に転機が訪れたのが、2008年の「ストライクウィッチーズ」というわけだ。ここで初めて「ヒロインらしいヒロイン」として声をアピールし始めた彼女は、「まっすぐなヒロイン性」の開拓に成功して一線声優の仲間入りを果たす。さらに人気アニメ「To LOVEる」なども押さえ、その存在が周知されるようになった。しかし、下積みの長かった彼女のもっていたものは、そんな凡庸なゴールでは収まりきらない次元にあったのである。

 今年度の彼女は、そこまで出演作が多いわけでもない。そこまでメジャーな作品が多いわけでもない。しかし、その1つ1つの破壊力は、「福圓でなければなし得ない」独自性と、充分すぎる中毒性を含んだ一撃必殺クラスのものばかり。個人的に真っ先に上げてしまいたいのは、やはり「BLOOD-C」のノノネネコンビだ。「似ているというステータスしかない双子」なんてのは1人でやるだけでも大変な配役なのだが、そこからじわじわと「2人いること」の意味を作り出し、最後の最後であのどんでん返し。あれだけ「動かず」「伝わらず」「視聴者の意に沿わず」という頑な過ぎた作品が、11話で一気にはじけることが出来たのは、間違いなく福圓美里という1人の役者のおかげである。

 その他にも、場外乱闘で作品の魅力を別方向から盛大に持ち上げた「神様ドォルズ」の詩緒ちゃんも、今年の福圓ヒストリーの大きな一歩。作中でのまっとうなかわいらしさが、「神様ドォルズ講座」でのブチキレとのギャップを生み出して笑いと萌えに昇華する。同様のぶっ飛ばし方は「はがない」の理科でも楽しめるし、「Another」で突然「ころせぇぇ!」と叫べば呪詛の力で人が死ぬ。劇場では宮藤少尉。後光がささんばかりのイケメンとして画面の外にまで飛び出してきそうだった。「福圓といえばテンション芸!」という唯一無二の一枚看板が、高々と掲げ上げられたのである。ここに実るまでにずいぶん長い時間を要した、盛大な「完成品」ではないか。

 彼女の活躍は、今後も日曜朝を舞台に続いていく。シグマセブンにいるのは、水樹奈々とそのお供の福圓美里では無い。シグマセブンには、「役者」の福圓美里と歌手の水樹奈々がいる。そういわれるようになれば、彼女の勝ちだ。
 



 
 
今年も、良きアニメに巡り会えますように。
 
 

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関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
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