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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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第3位 
‘05「かみちゅ!」 ‘06「BLACK LAGOON」
‘07「sola」 ‘08「喰霊-零-」
‘09「ささめきこと」 ‘10「刀語」
‘11「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」

 そう、今年は「オリジナルアニメの夜明け」と言っても良いくらいにオリジナル作品が各所で芽を出した記念すべき年。そして、そんな「オリジナルアニメの声」がはっきりしたきっかけの1つが、この「あの花」である。「とらドラ」「超電磁砲」でヒットを飛ばした俊英・長井龍雪が中心となり、脚本を務めるのが無敵の怪物・岡田麿里。総作監を田中将賀が務め、全てを託されたのはA-1 Pictures。この布陣でハズレ作品が出るわけがない。わずか11話の短い短い夏の物語に詰め込まれた「風景」の密度の濃さは、あらゆる媒体の中で「これはアニメでしかなし得ないだろう」と観念するしかない、アニメならではの「見得」がたっぷり詰め込まれている。細かい部分については各話の感想で書いているのではしょるが、とにかく、1人1人のキャラの行動、表情、仕草、呼吸の1つに至るまで、徹底的に無駄を削り、意味を付与し、ドラマに厚みを重ねていく。このシナリオをやろうとした岡田麿里が既にヤバいと思うのだが、これを受け止めて全てを見せきった長井監督の画作りは、他の誰にもなし得なかったものであっただろう。

 長井作品といえばこの「あの花」に続いて「夏待ち」もあったわけだが、「夏待ち」の方が、やはりシナリオの重層性は押さえられた「分かりやすい」方向性を意識して作られたものであり、「あの花」のようにストイックで重苦しい画面は少なかった。もちろんどちらがいいという話ではなく、やりたいことが違うだけだとは思うのだが、個人的には、やはり「あの花」のくどくてしつこくて重苦しい、じっとりとした空気が好みだ。表層だけを見れば陳腐なお涙ちょうだいに見える場合もあるのかもしれないが、このアニメをそんな風に見てしまうのは、本当にもったいない話である。これまで積み上げられてきた「長井龍雪のアニメ」の1つの到達点として、「あの花」は後々まで様々な場面で引き合いに出される試金石として機能するのではなかろうか。

 
 
準グランプリ
‘05「魔法少女リリカルなのはA’s」 ‘06「コードギアス〜反逆のルルーシュ〜」
‘07「CLANNAD」 ‘08「コードギアス 反逆のルルーシュR2」 
‘09「獣の奏者エリン」 ‘10「STAR DRIVER 輝きのタクト」
‘11「花咲くいろは」

 「あの花」の話が出たのだから、次は「花咲くいろは」だ。同時期に放送していた、奇しくも「花」の文字を関した2本のオリジナルアニメ作品。脚本はどちらも岡田麿里である。となると、ここは長井龍雪と安藤真裕の対比、そしてA-1 Picturesと P.A.WORKSの対比ということになるのだろう。監督としてのお二方は優劣なんて決めることはとても出来ないが、個人的に、スタジオの最後の一押しなら、やはり現時点ではP.A.WORKSを推したくなってしまう。この「いろは」を「あの花」より上に選出させてもらった理由の1つはそこにある。そして、毎年書いていることなのだが、どうしても話数が多いシリーズの方が、感情移入しやすくて印象深くなる、という理由もあるのかもしれない。

 「花咲くいろは」の魅力は何かと聞かれたら、とにかく贅沢に、あらゆる要素をぶち込んだお子様ランチみたいなシリーズ構成にある、と答えたい。メインとなるテーマは老舗旅館を舞台にした親子3代の奮闘記なわけだが、そこには「家族」のあり方を問うことがテーマとして設定されており、結果的に喜翠荘は閉館するという結末が待ち構えている。安易なアニメならばこの結末はあまり受け入れられないものであっただろうが、今作の場合、緒花と皐月とスイという3世代のあり方を追いかけ続けると、そこに残されるのが喜翠荘の閉館しかない、ということがわかり、その行く末が物語の結末として最上のものであることが理解出来る。

 また、視点を変えてみれば、たとえば緒花と孝一のラブストーリーとしての要素も、ほとんど省かれることなく描ききった部分である。単純な遠距離恋愛としての側面に加え、緒花の珍妙な人間性のおかげで、一風変わったラブロマンスがそこには敷かれている。そして、そんな緒花1人の話題に絞ってみても、なれない旅館仕事を1から始めて成り上がる、現代アニメでは標準装備の女の子のサクセスストーリーとして楽しむことが出来るだろう。最終的には松前緒花という一人の少女に収束するこれらの要素は、限られた話数の中でも逃げることなく細部まで構築されていながら、最終的にはどれについても「結論」は出ていないというのが白眉。あくまでもこの物語は緒花が「花咲く」ための「いろは」であって、彼女の、娘として、従業員として、1人の女の子としての人生は、ここから始まっていくのである。1つの「閉じた物語」ではなく、あくまでも北陸地方の片田舎にあった「ある半年」が切り取られた「物語の集合体」としての魅力が、この作品の全てだ。

 そして、それを構築するためのノウハウが、安藤監督にはあったということ。既に「CANAAN」の時からのファンなので本当にじっくりしっかり細部まで観させてもらったわけだが、「あの花」の長井監督に負けず劣らず、この人の画も実に雄弁に語る。敢えて難を上げるなら、あまりにP.A.WORKSの仕事が見事すぎて、単に1枚の画として鑑賞したくなってしまい、「流れ」を追うのが大変なことくらいだ。これだけぜいたくなスタッフが揃っているのだから、そこにコテコテに盛りつけられた「物語」が、でっかいものになったのはある意味当然のことだったのかもしれない。

 
 
グランプリ
‘05「ぱにぽにだっしゅ」 ‘06「うたわれるもの」
‘07「電脳コイル」 ‘08「SOUL EATER」 
09「空中ブランコ」 ‘10「けいおん!!」
‘11「へうげもの」

 視聴が終わった時点で、この作品が今年のトップなんだろうな、というのはほぼ決まっていた。当然その後の放送でこれを超える作品が現れるはずもなく、すんなりと今年を代表する作品に落ち着くことが出来た。大体の評価については番組感想で述べてしまっているので省くが、とにかく奇跡的に様々な要素が噛み合った、見事な「アニメ作品」である。

 アニメを構成する、という作業を夢想するに、基本的には2つの「やりたいこと」があると思う。1つは、「物語をどれだけ上手くみせるか」というチャレンジ。これはほぼ全てのアニメに求められる努力であり、シリーズを通じた大局的な視野を求められたり、1カットのレベルでどれだけの情報を伝え、どれだけの想いが載せられるか、という局所的な技術も求められる、アニメの「最終目標」である。そして、もう1つの「やりたいこと」としては、「他の媒体では描けない何か描く」というチャレンジがある。抽象度の具合でいうなら、アニメは文字媒体・漫画媒体よりは具体的であるが、実写媒体よりもフィクションに寄ったもの。この、何とも絶妙なフィールドでのみ可能な「表現」があるとするならば、それがアニメーションという媒体そのものの存在価値として認められるだろう。今年度の作品でこうした「他では描けない何か」にチャレンジした作品には、たとえば「C」などがあったと思うが、「へうげもの」も、そうした「不可視の可視化」を強く求められる作品だったのではないかと思う。

 「数寄」という、本当に捉えどころのない不可解な概念についての物語は、「数寄」に寄せる心や欲求を人に還元することで描写することが基本となるわけだが、この「人を持って人の外を表す」という方法論は、やはり真下耕一に任せるのが正解である。彼の持つ演出のノウハウは利休の心に宿り、織部の目に溜まり、光秀の想いに残った。戦乱の時代、そればかりを考えて生きることがかなわなかった武人たちの熱意が、時を超えてアニメーションとして現れた。ここまで濃密なドラマが、損得勘定無しでただひたすら「描くこと」のみを目的として形をなしたことは、本当にすばらしいことだと思う。改めて、1話から見直して利休や光秀、そして織部の生き様に思いを馳せてみたい作品である。



<サブタイトル部門>

 個々の話数を語り合うサブタイトル部門。他の部門との線引きがすごく難しいので色々と悩むことが多い部門であります。そして、今年度は構成が素直な作品が多かったのか、毎年自分に課している「初回と最終回からは選出しない」という縛りが結構きつくて大変。なんかねー、良い最終回が多かったんですよね。どうしてもそこを選びたくなってしまうのだけど……最終回を選ぶと、どうしても作品全体の評価になってしまって、サブタイトルで選ぶ意味がなくなってしまうのでね。一応、今年も頑張って守っていきます。

 さて、何度か書いている通り、今年はショートアニメが元気な年だったので、短めの作品からインパクト充分のエピソードをあげていこう。「47都道府犬」からは18話「ともだちいっぱい埼玉犬」を……いや、そうじゃない。流石に30秒は短すぎる。もう少し長いやつで。15分枠からは「よんでますよ、アザゼルさん」より9話「苺の戦士、登場ニョリンwww」。どのエピソードもかっとんでて11話「アルピニストエンジェル」とかも最高なんだけど、個人的には佐隈さんが一番生き生きしていたエピソードを推したい。他には「gdgd妖精s」だと「3話」かな。何せ持田房子の初登場回だからな。あけこが仕事で役を放棄して、完全に素に戻った記念すべきエピソード。

 少し真面目にいこう。じわりと来る後味の深みでいうと、「異国迷路のクロワーゼ」6話「Crinoline 鳥籠」あたりは印象的。少しずつクロードとカミーユの関係性が伺えるようになる転機となる話数で、「鳥籠」という拘束のイメージが、自然に名家のお嬢様の憂いに繋がるという接点が見事。似たような憂いと優しさのバランスなら「たまゆら〜hitotose〜」から、9話「ももねこさまの憂鬱、なので/失恋カメラ、なので」も好き。Aパートがもこもこふわふわのももねこさま視点のお話で笑わせておいて、Bパートは千和が真正面から泣かせに来るという憎らしい構成。いかにもサトジュンらしい、といえばらしい出来でしたね。

 しみいる話もたくさんあります。名作「うさぎドロップ」も印象深いエピソードだらけなのだが、1話選んでみるとしたら、6話「わたしの木」。この作品のメインテーマである「育むこと」「受け継ぐこと」が1本の樹を通してすごく自然に、印象的に伝達される。こういう演出に出会えると、心底幸せを感じることが出来ます。よりストレートなインパクトなら「あの夏で待ってる」9話、「せんぱい」。分かりやすくいえば柑菜ちゃん失恋回だが、女子高生の失恋を見てわんわん泣いたのはこれが初めてかもしれない。憎らしいくらいにわしづかまれる演出であります。そして、放送時に触れなかったので案外忘れられそうだったのが、「バカトテストと召喚獣にっ」より、第8話「ウチと日本と知らない言葉」。突発的に美波視点で描かれたエピソードなのだが、彼女の感じる言葉の壁、心の壁の描写が、見事に大沼演出で表現されていたのに驚かされた一本。少し切なくて、それでいてすごく優しい「バカテス」のあったか成分全開の、是非見て欲しいお話だ。

 多少インパクト強めの方に進むと、荘厳さでは他の追随をゆるさない「Fate/Zero」からは、11話「聖杯問答」を。おっさん達が海のものとも山のものともつかぬ理想論を振り回すだけのおしゃべり回だったはずなのに、いつしか3人の「王」の語る信念に引き込まれ、振り回されてしまうという、アクション多めの作品では異端ともいえるエピソード。それだけに気合いが入った演出面の工夫には見るべき点が多いし、溜まりたまったボルテージをライダーが一気にはき出すクライマックスは圧巻だ。そして同じような「問答のインパクト」でいうと、比べるのも妙な話だが「真剣で私に恋しなさい!」3話「真剣で私に萌えなさい!!」は未だに忘れられない。もうね、ゴットゥーザ様がね、本当にね。

 さらにゆがんだ際だちを見せるインパクトといえば、上でも触れているが「C シーキューブ」から5話「たとえ呪われても」。ピーヴィーさんが敗れる前半戦の締めであるが、とにかく悪逆非道、徹底的に下衆として貶められていくピーヴィーの断末魔が、圧倒的な描画で胸に迫る。大原信者としては、今年はこれ一本を優勝に祭り上げても良いくらいの出来だ。そして、まねできない方向性といえば、「ダンタリアンの書架」からは9話の「黄昏の書」。まぁ、小林治回と言ってしまえばそれまでなのだが、やっぱり異物を異物として扱えるシナリオだと、この人のコンテワークは強烈だ。そして、1人のクリエイターだけで異物の存在を際だたせる人といえば、今年はやっぱり幾原監督。「ピングドラム」で1話だけ選べ、っていうのはどだい無理な話であるが、あえて1話「らしい」話をもってくるとしたら、9話の「氷の世界」だろうか。少女趣味と幻想趣味が、本当に難解な方向から現れる怪作である。今思うと、色々なものが序盤からガンガンばらまかれていた作品だったんだよなぁ。

 まだあるぞ。直近のインパクト値が振り切れた回といえば、「Another」11話、「Make up -惨劇-」。杉浦フィーバーは思い出すだけでも色々捗る高カロリー。昨年度この部門で1位をとった「ミルキィホームズ」からは、6話「江ノ電急行変人事件」をピックアップ。ミルキィらしさが一番出ていたフリーダム回って、今期はこれだと思う。ラードがらみのクライマックスもすごかったけど、やっぱりミルキィは前後の脈絡を気にしない投げっぱなし芸が信条ですよ。あとは「逆境無頼カイジ破戒録篇」より8話「因果応報」。何の回かは言わなくても分かるな。分からなくてもノーカン! ノーカン! そして「偽物語」からは8話「月火フェニックス其ノ壱」。何の回かは言わなくても分かるな!!

 前振りがなげぇ!
 
 
第3位
‘05 「魔法少女リリカルなのはA’s」第4話「新たなる力、起動なの!」
‘06 「×××HOLiC」 17話「ジショウ」
‘07 「ARIA The ORIGINATION」 第9話「そのオレンジの風につつまれて…」
‘08 「かんなぎ」 第七幕「キューティー大ピンチ! 激辛ひつまぶしの逆襲(後篇)」 
‘09 「獣の奏者エリン」 第48話「リョザの夜明け」
‘10 「侵略!イカ娘」 第5話Cパート「飼わなイカ?
‘11 「ベン・トー」 #10「それは昔祖母の家で食べた温かで優しい味わい。心にも体にも優しい和の料理。梅とちりめんじゃこご飯と季節の野菜たっぷりの煮物弁当 480kcal

 選んだのはいいけど、タイトルなげぇ……。しかもタイトルを見てもどんな話かピンとこない気がするのだが、端的に言えば、オルトロスとの初戦である。正直、Aパート全部とBパートも大半は、オルトロスとの関係性を少しずつ明かしていく描写に費やされているのでエピソード全体としての盛り上がりがすさまじいというわけではないのだが、とにかく、オルトロスとのバトルのインパクトが圧倒的である。「Another」を見たら怖くなって傘を持てなくなったりするが、このエピソードを見れば、怖くて買い物カゴがもてなくなること請け合い。すさまじいカゴの乱舞、すさまじいカゴの破壊力。とにかく、半額弁当は本当に恐ろしいものであるということが、尊い犠牲によって余すことなく伝わってくるエピソードになっている。2話などもそうかもしれないが、こうした「徹底的にシリアスに描いた馬鹿馬鹿しさ」こそが、この作品の真骨頂であったのだから、この10話こそが、アニメ「ベン・トー」の真髄であったといえるのではなかろうか。
 
 
第2位
‘05 「かみちゅ!」 第11回「夢色のメッセージ」
‘06 「BLACK LAGOON」 #15「Swan Song at Dawn」
‘07 「らき☆すた」 22話「ここにある彼方」
‘08 「とらドラ!」 16話「踏み出す一歩」
‘09 「とある科学の超電磁砲」23話「いま、あなたの目には何が見えていますか?
‘10「けいおん!!」 #20「またまた学園祭!
‘11「BLOOD-C」 第11話「たれをかも

 アニメ史に残る偉業を成し遂げた、今期最大の茶番劇が全貌を明らかにしたエピソード。そりゃもう、本当に楽しかったんですよ。この1話(正確には最終話もふくめて2話)のためだけに延々10話も話を重ねてきたという、その積み重なった全てが、たった1話を作り上げたのである。

 賛否両論があるのは知っている。手放しでこれを褒めるつもりもない。世の中には守るべき規範もあるし、積み重ねられた伝統もある。「今まで誰もやらなかったことは、誰もやる価値がないこと」という揶揄もある。確かに、これをやったからといって、後に何が残されるかを考えれば、視聴者を馬鹿にしただけのネタにも見える。しかし、やる意味があるかどうかなんて、やってみなければ分からないじゃないか。そして、意味があるかなんて、やった直後に分かるもんじゃない。あたしゃ、これは意味があった茶番だと思うのです。

 記憶をたどると、これに少し近いサプライズとしては「喰霊 -零-」の1話があったが、あちらは作品内で成立している厳然たる事実であるのに対し、こちらは本当にメタレベルでの茶番(作品内作品として、小夜1人の世界がある)。それを回収するために、突如アクターたちが一斉放棄するという身も蓋もない「解決編」であるが、さらに一段上のメタレベルで、「こんな妙な制服とか名字なんてあるわけねーだろwww」と笑われる。いや、そんなん知らんし。お前がいつもやってることやろうが、CLAMP! という怒声も飛び交います。でも、そこまで含めて全てが茶番。絶対に怒られることは分かった上で、それでも3ヶ月かけて作り上げた、時間と金をつぎ込んだ茶番。1話目から丁寧に丁寧に、絶対に顧みられることなど無いと知りつつも、ただ貪欲に「だまし」と「真実」を織り交ぜてくみ上げられた茶番の屋台骨。これをくみ上げることは、常人では耐えきれない、想像を絶する苦行である。やれと言われて、これが出来る人間は他にいない。水島努は、最近本当に茨の道を突き進み、バリバリと道を拓いているような気がする。

 あとは、なんと言っても声優ファンにはたまらない圧倒的演技での見せ方が評価のポイントとなる。福圓先生によるノノネネフィーバーや、時真によるハイパー最低野郎の演出には鈴木のたっつんが良い味わい。台本を渡されたときに、キャスト陣は一体何を思ったやら。いや、お見事。
 

 
第1位
‘05 「フタコイオルタナティブ」1話「コロッケとヘリと地下ボクシングと私」
‘06 「涼宮ハルヒの憂鬱」 12話「ライブアライブ」
‘07 「CLANNAD」 第9回「夢の最後まで」
‘08 「喰霊-零-」 第9話「罪螺旋-つみのらせん-」
‘09 「CANAAN」 第11話 「彼女添
‘10 「探偵オペラミルキィホームズ」 第4話「バリツの秘密
‘11 「花咲くいろは」 第十七話「プール・オン・ザ・ヒル

 様々な方向からインパクト充分なエピソードをピックアップしてきた中で、この「花咲くいろは」の中盤の1話は、おそらくそこまで印象に残っている人はいないのではなかろうか。びっくりするようなオチがあるわけでもないし、劇的に盛り上がるアクション動画で見せるわけでもない。あくまで「喜翠荘のとある1日を描いただけ」の、いつも通りの「いろは」のエピソード。しかし、敢えて今年度のベストエピソードにはこれを選ばせてもらった。

 もちろん、他の候補もたくさんあった。毎回毎回震えるような衝撃を受けた「あの花」各話や、度々とんでもないインパクトを爆発させていた「へうげもの」の事件など、もっとそれっぽいものも選ぶことは出来た気がするのだが、何故だか、この半年間、ずっとこのエピソードのことばかりが、頭に残っていた。いざ1番を決めたい、というときに、衝撃的なお話でも、腹を抱えたお話でも、わんわん泣いた話でもない、これを選びたくなった。こういうのって、理屈よりも相性、印象なんですよね。

 一応、言葉を連ねれば理由もあげることはできる。この「プール・オン・ザ・ヒル」は、サブタイトルだけ見ても分からないかもしれないが、縁と貴子が結婚を巡ってすったもんだし、映画の撮影詐欺にひっかかった事件のエピローグとなる話数である。騙されたことが分かった縁が困り果て、躍起になった貴子とぎすぎすしながらも信頼関係を築いていく、いわば「縁メイン」の貴重な話数。そして、やっぱり僕って男の子。どれだけ女性が強い女系家族でも、その中で頼りない男の子が頑張っているのを見ると、強い共感を持ってしまうのです(我が家も徹底的な女系家族だったもので)。縁は、頼りないなりに精一杯喜翠荘のことを考えていたし、貴子にしてもそうだ。それをスイと皐月が静かに見守り、頼りない息子・弟の成長を暖かく見守る様子に、この作品が描きたかった「家族」像の中の「頑張れ男の子」が見えた気がした。「母と娘」という関係がメインテーマであるこの作品の中で、唯一の「母と息子」という図式が、省かれることなく、きっちりと形を成したのだ。どうしても、そのことが嬉しかったのではないかと思う。

 そして、なんと言っても印象的だったのが、サブタイトルにもなっている「プール」の映像だ。P.A.WORKSの真骨頂である自然物、背景の描写が夏の日差し照りつけるプールの水面に見事に反映されており、日本の夏に特有のうだるような暑さが見事に表現されている。そして、この「プール」が家族群像を表現する見事なメタファーとして機能し、縁がこれから向かう先や、四十万の家・松前の血が進むべき道を示している。こうして様々な「風景」を重ねていくことでメインとなるドラマが彫り込まれるというのは、本当に巧みで、考え抜かれた「アニメの映像」でなければなし得ないものだ。

 また暑い夏が来たら、いつかこの喜翠荘のプールを思い出す日が来る気がする。そんな新たな夏の思い出の1ページが、このお話によって刻まれた。

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