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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 久しぶりに強烈な回がきました、第9話。元々「地獄少女」ファンからの流れで(?)この作品を気にしていた身としては、こういうヘヴィなお話が一番のストライクゾーン。いやはや参った。

 今回はいくつかの「うおぅ」が入り交じっているので、1つずつ見ていくことにしよう。まずは脚本、前回の引きの時点で「この2人が完全に無関係ってことはないよね」と言っていたわけだが、ここまで濃い絡みになっているというのは流石に予想の斜め上。どっちかがどっちかを殺した、っていうのも当たりではあったが……こんな展開になっているとは。辰巳(刑事の方)が殺された理由は、そこだけを切り取ればなかなか理不尽である。はっきり言って「誤認殺人」なわけで、本当にとばっちり、島田(青年の方)がちゃんと相手を確認しないうっかりっぷりにも困ったものだ。一応「彼は殺人現場を見られたと思って、目撃者を全員殺すつもりだったのか?」とも考えたが、彼の性根を見る限りではそういう意図ではなさそう。あくまで「ストーカー男の家に上がり込んできたってことは、きっとこいつが共犯に違いない」というすげぇ適当な予断で辰巳を殺してしまったことになる。ちょっと軽率過ぎる気はするが、まぁ、いざ人を殺めてしまった後となると、そのあたりの判断力は鈍っていたのかもしれないからしょうがないか。

 ただ、その1点がやや理不尽だったように見えた以外は、今回のシナリオはかなり「面白い」。「復讐心」という共通する動機を持って人を殺めた2人の男たちが出会い、互いに励まし合い、奮い立たせながら次の行動に移るように手を取り合っていたところを、少しずつ記憶が戻ることによってその構図が歪んでいく。本作の最大の特徴はこの「失われた記憶が少しずつ戻っていく」部分にあり、その超常現象による理不尽な展開がたっぷりと楽しめる。島田君の方は、「実際には手を下した後だった」ということを思い出してショックを受けた。「殺したい」と願うほどの復讐心だったはずなのだが、いざ「殺してしまったこと」を思い出すとやっぱり手が震えるし、そんな事実を目の前にいる刑事に話してしまったことも絶望的であった。彼の復讐心は、この時点では「人並み」の域を出ない。しかし、話した相手が悪かった。なんと、目の前にいる頼れる刑事は、実はネジの外れたサイコパス。復讐心が募りに募って、最終的にはぶっ壊れてしまったシリアルキラーなのである。結果的にはその殺人鬼を「殺して」しまった島田だったが、元々仲間だと思っていた「復讐者」というカテゴリのあまりの落差に感情が追いつかない。そして明かされる妹の真実。味方から仇へと180°振り切れてしまった相手を前に、青年の心は揺れに揺れまくるのである。

 このセッティングは、明らかにノーナさんが意図してデキムの元に送り届けたものであろう。「心無き裁定者」という、今回瀬戸ちゃんが必死に抗った忌むべき存在を問い直すためには、一番手っ取り早いのはデキムの前に別な「裁定者」を引きずり出すことである。今回のペアリングのおかげで明るみに出たのは、辰巳のあまりに悪辣で、偏った正義感である。独善的で暴力的なその信念は、殺された妻の声を免罪符にしながら暴れ回る単なる殺人者のものであり、裁定者でもなんでもない。しかし、辰巳の中でその信念は揺らぐことはなく、瀬戸ちゃんの言葉によって、「デキムたち裁定者も同じ穴の狢である」ことが晒される。彼女の涙ながらの訴えも色々と考えさせられるものがあり、これまでなんだかんだと仲良く過ごしてきたデキムに対し、今までに無いキツイ言葉を色々浴びせかけた。「生きたこともないくせに」っていうのはけだし名言である。最初はいつも通りの鉄面皮だったデキムも、瀬戸ちゃんの涙に明らかに狼狽する。彼が暴き出した「人間のどす黒い部分」というのは、そのまま自分たちの中にも横たわっていることを指摘されてしまったのである。相手の中に見るべきものを自己の内部に認識してしまった時点で、デキムはもはや「心無い裁定者」ではいられなくなってしまう。今後、彼がどのように形を変えていくことになるかは、本作最大のテーマといえる。

 そして、こうした怜悧なシナリオラインを盛り上げた今回の作画・演出面が手放しで面白い。前回はエアホッケーの部分がやや淡泊な描写になっており、「せっかくのデスゲームアニメ(仮)なのになんだか勿体ない」と思っていたものだが、今週はまるで何かに取り憑かれたかのような鬼気迫るコンテ・作劇になっている。ゲームシーンだけでもこれだけの温度差を設けているということは、前後編という2話またぎになった構成を最大限に活かし、後半の盛り上がりを印象づけるための方策だったのだろう。そして、いざゲームが終わったあとが今回の山場であり、仮面を脱いだ辰巳の大上段に構えた演説、それを聞きながらもがき苦しむ島田、必死に自己の正義を訴え続ける瀬戸ちゃんと、3者3様の心理描写はまさに迫真。1話の監督コンテ回に勝るとも劣らない、見事な「切実さ」でもって、この大舞台を演出してみせた。今回のコンテを担当した小林寛氏という名前は恥ずかしながらこれまで認識してこなかったが、今後は注意して観なければいけない名前になった気がする。ラスト、エンディングテーマをはさみながら島田が包丁を振り下ろすシーンなんかは本当に圧巻だ。辰巳の立ち居振る舞いも、瀬戸ちゃんの涙ながらの訴えも、全ては最後の島田の「笑顔」の為に用意された道具立て。こういう怖気の走るアニメがもっと見たいです。

 そしてもちろん、今回の立役者として、忘れちゃならない中の人たち。なるほど、ここに藤原啓治なわけだね……。ほんと、彼が実際に役作りのために2,3人殺してるって言われても驚かない自信がある。今回の辰巳役は、新たなけーじくんヒストリーの1ページに加えてしまって問題無いでしょう。そして、そんな辰巳の迫力に押されがちではあるものの、あれだけの圧力を受け止めきれるのが櫻井孝宏という男なわけで。最後の「笑み」をすとんと落としてくれるあたり、ぐうの音も出ないですわ。こんなおっさんたちに戦いを挑まなければならなかった瀬戸ちゃんもものすげぇプレッシャーだったろうが、負けじと押し返せてたのが流石だなぁ。

 いやぁ、本当に恵まれたアニメになってますよ。

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