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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 映画ラッシュですね、最近はホントに。この作品もいつかは見に行こうと思ってた作品なんだけども、周りに1人「よかったですよ」と言っている人間がいたこと、あと、多少強引にでも「2016年度」のうちに見ておきたかったことが理由で、駆け込むことになった。まぁ、翌日1日がムービーデーだから安くなるはずだったんだが……ほら、土曜日はドラフトがあるし、あと春休み中の割引デーなんて混むに決まってるし。そんな理由付けで雨の中をレッツゴー。ただ、実際には行ってみたら割引デーでもなんでもないけどほぼ席が埋まっててちょっと焦ったんですけどね。近くの席は割と中高生なんかの若者で埋まっていたのが春休みらしさですかね。

 

 

(以下、ネタバレなどを含む可能性があるので未視聴注意)

 

 




 

 

 さて……これ、どう処理して良いものか、未だに分かりません。映画の視聴後(もしくは視聴中)に頭を抱えたのは久しぶりだ。これ、多分2回3回見ないと真意が見えてこないタイプのやつだ。何がしたいか分からないやつだ。いや、でも、「是非2回目を見なきゃ!」っていうモチベーションが起こる作品でもないんだよなぁ。まぁ、だから端的にいうと、「あんまりピンと来なかった」……。

 まず、題材が謎だ。方言で話す少女が主人公で、日本の田舎町からお送りする青春絵巻。流行りの「君の名は。」につながるようなイメージがあるし、そこから異世界へ飛ぶ(?)デザインは昨年の問題作「ポッピンQ」につながる部分もある。どうやら日本のアニメ映画はとにかく女子学生が何かをするところから始まらないと駄目みたいだ。そんな女子高生が主人公だということはすぐに分かり、さらにタイトルの「ひるね姫」であろうこともすぐに理解が及ぶ。何しろ作中で「すぐに眠っちゃう」という特性を与えられているのだから。そこまではいいのだが、さて、このひるね姫は何をする人物であるのか。映画全編を通じて彼女が何をしたかというと、「駆け落ちした両親の事実を知り、東京のおじいちゃんに会いに行った」……。単なるお盆休みやんけ。

 今作の最大の悩ましさは、「夢」というテーマそのものにあるだろう。夢なんてものは、本当に曖昧で、どうにでもなって、どうとも語れない不確定の代表みたいな存在である。「夢を使って物語を描く」という手法は本当にいやというほど世間に溢れているが、「夢」そのものをテーマにするとなるとその表現方法は限られてくる。何しろ、我々はフィクションを見に行っている。アニメーションというのは実写映画を飛び越えた最大級のデフォルメであり、最大級のフィクションである。その中で「真に迫るもの」を表現するにあたって、「アニメの中の現実」というものをどのように標榜し、どのように見せていくかが、アニメ製作者の腕の見せ所だろう。本作の場合、そのフィクションの中に「現実」パートと「夢」パートが存在し、それが少しずつ境界を曖昧にし、最終的には融合してしまうほどまでに近くなるところが面白いところ。クライマックスの、志島本社へ乗り込んで以降の夢と現実の設定がない交ぜになる部分が、本作最大の見どころと言ってしまって問題無いだろう。

 しかし、こうして「混ぜられ」ると、視聴者サイドは拠り所を失ってしまう。どこからが夢なのか、どこまでが夢なのか、分からない世界で何を信じていいのかが分からなくなる。「夢が融合する物語」だったのならそれで問題無いのだが、本作の場合、落としどころは確実に「現実」サイドでなければならない。それにもかかわらず、次第に曖昧になった境界は視聴者側から存在を確認することが出来ず、結局「現実で何が起こったのか分からない」という状況に陥ってしまう。クライマックス、宇宙へと飛んだエンジンヘッドのシーンから切り替わりビルのてっぺんで震え上がる森川親子のシーン。ココネは仰天して「何がどうなってるの!」と叫ぶが、叫びたいのはこっちだ。結局、あのシーンは何が起こったのだ。どこをどういじっても、説明が出来ないのだ。

 「夢と現実が入り交じる作品なのだから、そこにはっきりと線引きをして現実側に引き寄せるのは野暮だろう」という意見もあるかもしれない。「分からないのが面白味じゃないか」と。しかし、本作のほとんどの部分では、「線引きすること」を認めているのだ。例えばココネたちがいつの間にか道頓堀にワープしたシーン、信じられない情景はあたかも夢の世界の飛行イベントが実現したかのように見えるが、実際には全自動のサイドカーが勝手に高速を走ってきたと説明される。この時点で「そんなアホなことあるかい」という疑念が生じるために「夢と現実が曖昧なのかな?」という推察も起こるのだが、しかしここでサイドカーのオートナビ機能が完全に働いたという前提を設けなければ、事の真相であるタブレットの存在感が薄れてしまう。乗員が寝ていても自動で目的地まで到着するシステム、これが無ければ、クライマックスでの親父たちの抗争に意味が無くなるのだ。

 他にも、新幹線のチケットやお弁当が飛んできたおかげでタブレットの魔法があたかも現実まで侵食したように見えて、実際は志島の人間がココネの事情を察知して手配していたというシーン。これもタイミングの良さなんかを考えるととてもじゃないが現実的な説明ではなく、「やっぱり魔法なのでは?」と思わせる効果があるのだが、それでもやっぱり、「いや、現実なんですよ」と説明される。どれだけ納得いかなくとも、作品サイドがそう言ってるんだからしょうがない。あれは魔法ではないのだ。つまり、「夢と現実の混交」など、行われていない。そう説明されている。それにも関わらず、クライマックスのシーンになると、この混交が急激に進行し、ついにはココネの意識すら夢に飲み込まれてしまうのだ。この現象が何故起こっているのか、一切説明がなく、ココネがピンチになっていることを考えると、それがありがたい奇跡でも何でもない、気紛れな「トラブル」でしかないのはいかがなものだろうか。ひるめ姫は「ひるね」する権利はあるのだが、現実世界の「姫」になっていないのだ。

 途中までは、夢の世界の出来事は全て現実要素の置換物として解釈出来る。人間関係がそのまま投射されているし、駆け落ちの末に出来た孫娘のココネは、志島という「王国」にとっては忌むべき存在、隠されるべき子供。過度に機械化した巨大な国の姿勢が志島という巨大企業を揶揄し、いかにも町の小さな工場のおっさんがやっかんで寝物語に作ったようなお話である(それにしても自由過ぎるが)。ただ、そうして現実世界の物語を全て夢のシーンに置換しようとすると、これも最後の部分で無理が生じる。個人的に一番面白かったのは渡辺が「何もかも炎上してしまえ!」と言って呪いの言葉を発するシーン。あそこは文字通りの「炎上」のメタファーになっていて、渡辺は志島のシステムがオリンピックに間に合わないという事実をSNSなどで拡散し、そのことが一気に燃え広がった様子を表している。「鬼」を囲んで膨れあがった黒い鳥のビジョンは、どこかTwitterのシンボルにも似ており、志島は内部告発のツイートによって炎上し、会社全体は焦土と化した(当然、その報いとして渡辺自身の身体も燃え上がった)。多少苦しいが、「鬼」というのは迫り来るオリンピックという締めきりのメタファーで、それを何とかして「倒す」ことが出来なければ王国が滅亡する、というのもしっくり来るだろう。なんとしても鬼を倒すエンジンヘッド、つまりモモタローのシステムが必要だったのだ。

 そのあたりまでは「あくまで夢の話はたとえ話の世界だ」ということで理解出来るのだが、エンジンヘッドに翼が映え、ブースター全開で宇宙に消えるあたりで、もうそうした「メタファー」では説明が出来なくなる。何を表したい画面なのかが分からなくなる。もちろん、その後でサイドカー変形からココネが宇宙へ飛び出すシーンなんて分かるはずもない。あのあたりの「なんかすげぇことしてるっぽいけど意味は分からぬ」シーンが、今作の「夢」「現実」リンクに齟齬をきたす最大のネックなのだ。何となく画面は派手になってクライマックス感はあるのだが、シナリオラインの中での存在意義が分からないのだ。一番大事なシーンの意図を掴めぬまま終わってしまったため、私は頭を抱えることになったのである。

 「夢なんて元々支離滅裂なものなんだからしょうがないじゃん」と言われればそうなのだが、残念ながら我々は夢を観に行ったのではない。映画を観に行ったのだ。そこに「意味不明なもの」が置かれているだけでは納得出来るわけがない。いや、おそらく私の理解が及ばないだけで、何かしら説明可能な原理はあるのだろうが……残念ながら、1回目でそれを全て解釈可能にするほどの理解力は持ち合わせていない。そして、放映後の劇場の様子から鑑みるに、おそらく本作の狙いを全て受け止められた人間は、ほとんど存在し得ないのではないだろうか。「結局どういうことだったの?」っていう疑問が飛び交ってましたからね。

 結局「分からなかった」という話になってしまうので、2つの可能性が残り続けている。1つは、私の見方がマズくて、本当はもっと「感じ取りやすい」何かがあったという可能性。1つは、本当にそうした「分かりにくい」話だったという可能性(「意味など無い」っていう第3の可能性は考えないものとする)。出来ることなら後者だった方が私は救われるのだが……どうなんでしょう。本作のシナリオラインについて、「夢」の存在意義をしっかりと分析出来た方は、ご教授頂けると助かります。まぁ、確認のためにもう一回観たいかと言われると正直腰が引けるのだが……。

 こうして筋立ての肝要な部分に理解が及ばなかったために、どうしてもそこにばかり気を取られて他の要素に身が入らなかった。やっぱり序盤に「何を見るべきか」が定まっていないと、完全に初見で情報が無い作品ってのは神経を使いますね。一応今作の見どころをあげておくと、まぁやっぱりエンジンヘッドかな……。あの大胆で素敵なフォルムは流石の神山監督といったところ。ラストで登場する渡辺版の完成形エンジンヘッド(翼バージョン)とか、完全にギャグなので一見の価値あり。多分声にだして「アクエリオンやんけ」ってつぶやいてたはず。あとはタチコマとベイマックスを足して割ったようなサイドカー変形ギミックとか、冒頭の夢の中の壮大過ぎる離れへの移動ルートとか、機械的なギミックは面白い部分が多かったんだけどね。他にもスマホやタブレットをフル活用したコミュニケーションの取り方、劇中での使い方など、いかにも監督らしい「技術」への目の付け所は、もう少し素直にSFに寄せてくれてれば観やすくなった部分だとも思う。もっと攻殻をやれ、とは思わないけど、「潜脳調査室」の続編みたいなのだったら観てみたいかも。

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