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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「さくら荘のペットな彼女」 4→4

 少し前の「ココロコネクト」と同様に、とても可哀想な理由でケチをつけられた非常に不幸な作品。相変わらずああいうムーブメントを見ているとネット文化ってのは一切プラス要素が無いな、とはしみじみ思うのだが、自分もそうしたネットの恩恵を受けまくっている層の人間なので痛し痒し。出来ることならば他山の石を置いて賢明なアニメ視聴者でありたいものだ。

 で、個人的には余計な誹謗中傷については一切考慮していないつもりではあるのだが、それでも点数を加点する気は起こらなかった。まず、「減点の必要がなかった理由」を先に挙げておくと、その独特の美術設定の面白さがあげられるだろう。亀井幹太氏を彷彿させる(つまり同時期ならば「俺修羅」がやや近い)パステル調の彩色に、藤井昌宏氏のキャラクターデザインのメリハリが相まって、「絵」としての完成度は悪くない。「さくら荘」という名前の通り、最終回近辺ずっと桜に彩られた世界になっており、淡い桃色がごく自然に画面にマッチする風合いは素直に良いものだと思えた。アニメーションとしての質も一定以上のものを維持しており、大きな驚きは無いものの、確実に「描きたい対象」を良い形で描けていた作品といえるだろう。女の子前提の話なのだから、基本的に女の子が可愛く描けているかどうかで1つめの採点基準が出来上がるのは間違いないのだ。

 そうした「絵」としての出来は文句を付ける部分が無いのだが、それでもやはり、ドラマとしてのシナリオ部分の辛さが足を引っ張ってしまっている。今期は2クール続く作品も多く、周りに配された2クール作品は確実に後半から勢いを増して面白くなっていたのだが、この作品の場合、前半から首をかしげ続けていた要素が、そのまま首を捻り続ける要素にしかなっておらず、長めの尺もプラス方向に転がらなかった。1話目視聴時に懸念していたのは「いかにもラノベ風の設定で、さくら荘には変人の天才ばかりが集まるとか言ってるけど、天才なんて書くだけの力量があるんだろうか」というありきたりなものだったが、案の定、その辺の要素が違和感の温床になっていた。学園祭のイベントなんてどこをどう盛り上がったのか分からなかったし、卒業式での感動イベントも、「流石にそれは感動のさせ方として間違っているんじゃないか」という疑問が先に来てしまった。作者がどういう方向に筋を運びたいかが見えているだけに、「その方向性で行くには色々足りてない」ことが見えてしまうというのはどうしようもなかったのではなかろうか。途中からましろの「ペットな彼女」要素も一切無くなって、普通にパンツも穿くし自分で行動出来るキャラになってたし。多分、最初の設定は扱いきれないっていう判断だったんだろうけど、特徴が無くなると作品としての立ち位置も同時に失ってしまうんだよね。

 1つだけシナリオ面で「おっ」と思ったのは、中盤、空太がコンペで落とされ、更にましろの方にだけ絵の仕事の依頼が来てどん底に落ちるっていう展開で、ここまで主人公を突き落とすシチュエーションはなかなか無いだろうし、唯一「天才」(というか、いる世界が違う人間)の存在感を出すのには良いシナリオだと思ったのだが、これもその後の収束がパッとせず、単にもやもやが残るだけの結果になった気がする。確かに「辛いシチュエーション」をちゃんと書く、というのは大切なことだし、面白いものにもなると思うのだが、やはりドラマなのだから「辛くした理由」と「解決」を提示してもらわないことにはすっきりしないだろう。何が辛いって、それまでの描写が不足していたおかげで、空太の失意が伝わってこず、単なる「わがままの八つ当たり」に見えてしまったこと。頑張って頑張って失意に至った七海がまるで同じ存在のように扱われているのも違和感があった。最終的に「才能が及ばずに失意に至った普通の人」が上を見上げているだけ、という図式は変わらず、この作品全体で何を描きたかったのかも分からずじまいだったし。どうにも焦点の見えにくい作品であった。もちろん、先のましろの「ペットな彼女」設定も合わせて考えれば、この作品の最大のテーマは「若さと成長」であったことは理解出来るが、目標として設定されている「天才」のキャラクターの説得力が不足しているために「発展途上であることは美しいことである」というテーマ性が描ききれなかったのは勿体ない部分だ。

 繰り返しになるが、個々の要素で面白い部分も少なくなく、最終回の締め方なんかは、非常に清々しくて気持ちの良いものだった。それでも「尺があったが故の不満点」は解消されなかったので、最終的なジャッジは「今ひとつ」になると思う。2期目のエンディングテーマと映像とか、そういうのは好きだったんですけどね。あと、美咲先輩のキャラも好きだった。あそこまで真っ直ぐなトラブルメイカーヒロインってのも珍しいと思うし、中の人の仕事も見事だった。卒業式の謎演説が無ければ,もう少しキャラが立ったまま終えられたんだろうけどなぁ。


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