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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 ○「化物語」 6

 ある意味今期最大の注目作。西尾維新作品の初アニメにして、シャフトの新作。一体何が起こるか分からないし、おそらく観た後にも分からない可能性がある。

 まず、世間的な風評をフォローしておくと、およそ原作既知の人間の評判は悪い。そもそも新房シャフトは「原作クラッシャー」という悪名高き存在なわけで、西尾維新のような熱狂的な信者を持つ作品でそのバッシングが強いのは当然といえる。あまりにイメージとかけ離れたものが飛び出してくれば文句が出るのは当然で、シャフトが「イメージ通りのもの」を出してくるはずもない。奇怪な演出で腹を立てた原作ファンが多いことだろう。

 しかし、残念ながら私は「西尾維新信者」ではなく「新房ファン」である。「夏のあらし!」が新房的には少しおとなしめの作風だったせいもあり、今回の純正っぷりには鼻血が出そうな勢いだ。メインのディレクターに尾石達也を配したことにより画面は混迷を極め、キャラクターデザインは「SOUL TAKER」以来、久しぶりに渡辺明夫が名乗りを上げる。もう、全ての要素が鼻血の原料。

 元々、西尾維新の作品は問答無用でアニメ化には向いていない。過去の事例を挙げるならば「×××HOLiC」の117話で原作として使われているわけだが、あの時も、水島努監督は原案通りに「画を作る」のを放棄することで解決をみていた。何が問題かといえば、圧倒的に台詞量が多いのだ。原作を読んでいないので予断にしかならないが、おそらく地の文のテキスト量も、実際のタイムテーブルに相当するカット数からはみ出るほどの分量があるだろう。つまり、この「余剰テキスト」こそが、西尾維新の(そして引いては現代ラノベの)「味」になっている。通時的にシーンを動かす必要のあるアニメーションに於いて、この余剰部分である「虚飾」は絶対的に相容れない。

 そして面白いことに、シャフトというスタジオの持ち味(の一部)もこの「虚飾」である。実際のストーリー部分とは関係のない飾り立てが、新房組を特徴付ける1要因であることは間違いないだろう。2つの虚飾がぶつかり合ったその先に、この「化物語」が生み出された。それは、アニメーションとしては暴虐とも言えるほどの「画」と「音」の二重構造。

 これまでのシャフトの作品を振り返ると、たとえば「さよなら絶望先生」ならば「虚飾」という要素が漫画原作の持つ特徴をそのまま書き出すことが可能となり、奇跡的な調和を見せた。不条理ギャグ作品の「ぱにぽに」も似たようなところがあり、「虚飾」を置くことそのものが、まるで原作にはじめからあったかのような親和性を生み出した。対するのは「ひだまりスケッチ」や「ef」シリーズだろうか。これらの場合、原作の背景は非常に情報量が少ない。その分をシャフトが「虚飾によって書き足す」ことで新たな発展を見せたわけだ。

 今回の場合、これらのどちらも通用しない。原作情報量はどだいアニメ化が無理なほど多いし、かといってあふれ出る文字情報をそのまま画面に落とし込んだところで何の発展性も無い。普通の作劇法なら、確実に八方ふさがりだ。

 しかし、新房組はここで奇妙な「ステレオ形式」を採用することでこの難問をぶち破る。不可解な台詞回しは極力そのままの「味」として採用し、最低限の作画で脚本部分を伝える。そしてその間のあまりある時間を、独自の画面情報で覆い尽くすことによってカヴァーしている。「虚飾」の「語り」と「虚飾」の「画」は、本来全く違うものであるはずなのに、あまりに突拍子も無いために逆に何がおかしいのかが分かりにくくなっているのだ。

 はっきり言って視聴者には無理難題を強いているわけだが、西尾維新作品の持つ「文章」ならば、この画面でも吸引力を維持することが可能であるとの判断だろう。もちろん、万全の信頼を置いたキャスト陣の実力を信頼して、という部分もある。

 1話は演出に尾石氏、作監に渡辺氏を招集しての万全の体制。画の嵐、言葉の嵐によるオーバーフローの情報に、飲み込まれるような1本になっている。丁寧に1つ1つ観ていけば、実際は粗も目立ち(たとえば序盤のひたぎの走るシーンなど、お世辞にもうまい動画とは言えない)、単純な「作画」という面から見たら決して飛び抜けたものではない。しかし、過度な陰影で特徴付けられた新房テイストによって、その全ては「ごまかされて」いる。もちろん、こうした「ごまかし」が最大限の計算に裏打ちされた構成力によるものであることは言うまでもない。このクオリティが維持されるならば、また新たな新房組の看板になるかもしれない。

 最後はやっぱりキャスト話。文中でも少し触れたが、この作品はキャストの「語り」でもっている。久しぶりのシャフトでメインを張る千和の恐ろしいまでの柔軟性と、安心のコンビネーションを演じる神谷兄ぃさま。唯一の心残りは、寄りにもよって「絶望先生」と同時期に放送しているってことか。流石に……被るなという方が無理だ。

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