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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 締めた、締まった、最終話。予想以上にきっちりとまとめてきて非常に感心しました。わずか11話とは思えない密度の構成で、よくこれだけの話が作れたものだ。

 もちろん短いなりにちょっとした不満点はあるので先に書いておくなら、化けの皮が剥がれた朔夜さんはちょっと弱すぎた。いや、メンタル面とか、小物臭とかじゃなくて、冒頭、体術で朱ちゃんに負けてしまったのはどうなのよ、っていう。まー、元々ステゴロじゃなくて権謀術数で相手を貶めるタイプだったんだろうから、こういう修羅場はあんまり慣れていなかったのかも。でもこれまでの現場ではあんなに有能そうだったのけども。あと、成り行きで鹿矛囲を殺してしまったのも安易といえば安易。むしろあそこで「常守朱の結末」を強調するならば、諸悪の根源と目されていた鹿矛囲も殺さずに逮捕して「裁く」方が正しい。ただまあ、これ以上重要キャラが生き残って絡んできちゃうと、ますます世界がややこしくなるからな。劇場版を考えると、あくまでこのテレビシリーズのみのキャラと割り切って消しておくのはしょうがない措置か。代わりに酒々井さんが生き残って彼の志を(下手したらすげぇおかしな方向に)引き継いでくれることでしょう。

 今回は最終話ということで終始緊張感の続く素晴らしいエピソードになっており、1つ1つの台詞回しも含蓄に富む印象的なものが多い。せっかくなので、ゾクッときた台詞を時系列順に抜き出して、今回の感想文に絡めていこう。

「法を守ることを絶対に諦めちゃいけない」

 結局、常守朱というキャラクターはこのシリーズ中でも一度たりともぶれなかった正真正銘のヒーローである。先週は多少揺らぎかけたものの、そこは狡噛効果で切り抜け、彼女は最初から最後までこの「遵法精神」を貫き通している。鹿矛囲(達)によるカウンセリングでは、「法の外で動く」という選択肢は存在しないという彼女の断定が、彼女の色相をクリアに保つファクターだと分析されていた。もちろん、ここでいう「法」とは彼女なりの正義であり、シビュラと同一でもなければ、鹿矛囲にも賛同はしない。彼女の力が、最終的にシビュラに変革をもたらす時代のターニングポイントとなったのである。

「黒いものはより黒く、清いものすら黒く黒く染める」

 全て明かされた東金朔夜の生い立ちとメンタリティ。こうして改めて見ると、やっぱりただのマザコン坊やなのである。シナリオ的な立ち位置は「旧世代シビュラ代表」でありながら、色相を積極的に悪化させようとするバグみたいな存在。彼の告白を聞いたシビュラ(東金美沙子)も、喜んで受け入れるっていうよりもちょっと呆れたような顔を見せていたのがなんとも。末期のシーンでは、自身が持つ歴代記録である犯罪係数をぶっちぎって800越え、900に届かんばかりの数字を達成。まぁ、ある意味で今作最大のネタキャラ、可哀想なキャラだったとも言えるか。

「犯罪係数、オーバー300、執行モード、エリミネーター」

 シビュラがシビュラ自身を裁いた、歴史的転換点。相変わらずだが、今作はクライマックスになってシビュラがしゃべりはじめると、日高のり子ボイスの存在意義がぐっと増して画面が締まる。合議を繰り返しシビュラ内部が下した決断は、またも常守朱という一個人の申請を飲み、自らに変革をもたらすことであった。前々から議論はあったともいっており、おそらくシビュラ自身も自己の内在した矛盾については懐疑的な部分があったようだ。もちろん、いざそうした変化を導入した後の問題点についても自覚的であり、このたびの決断はシビュラというシステムが確立してからの、初めての大きな挑戦といえるだろう。まぁ、現時点ではその結果として「自らに内在する色相を悪化させる要因」を除去するという対処療法的なものに留まり、今回だってあくまで「東金美沙子と一部の成員を削る」ことで解決をみただけである。とはいえ、これまで少しずつ蓄え、培ってきたシビュラの「容量」はこれで大きく減ってしまったことだろう。再びの進化のために、シビュラは新たな担い手を求めることになるはずだ。ここで「自分が黒いと言われないように判断基準の方を曲げる」という選択肢も理論上はありえたはずだが、それをやってしまったら当然シビュラの崇高さは地に落ちる。集団としての色相を認識し、そこから「自分はクリアである」ことを維持するための対処というのが精一杯の譲歩案であろう。余談だが、今作1期はエンディングテーマ「名前のない怪物」がシビュラを意味する言葉になっており、今回も綺麗に「Fallen」で「堕天した神」の存在を揶揄するものになっているのは格好いい。

「お前の後輩を取り戻したぞ、青柳」

 ギノさん最大の見せ場。もう、その酒々井さんを取り返したところで絶望しかないんじゃねぇかって気もするが、結局酒々井については安易に殺すのではなく、鹿矛囲事件の語り部、生き証人として、苦闘の生を強要する方向に動いたようだ。ギノさん、酒々井との対決シーンではボーガンを右手で弾く描写があり、ちょこっとだけあのサイボーグアームが役に立っている。狡噛には出番があるのにおやっさんは忘れ去られたような状況なので、こういう演出があるとちょっと救われる。他方、酒々井の方は完全にキチピーじみた表情になっており、鹿矛囲があれだけ満足げに逝ったことを考えると、本当に余計な置き土産になってしまった。まぁ、鹿矛囲からしたら百数十人の同志と違って、酒々井なんてドミネーター強奪のために途中で拝借した道具の1つでしかなかったからなぁ。完全にヤリ逃げ状態である。だが、そんな酒々井さんもラストシーンでは鹿矛囲との絆である右目を押さえながらもまだ生気の籠もった表情を見せており、どうもこのままじゃ終わらない気配を感じさせる。施設の中に消えた雑賀先生に加え、このアマ、ひょっとしたら劇場版でも何かキーになるかもしれません。なお、雛河さんは本当の本当になにもなかった模様。ダイナミックなレッドヘリングだったな。

「こうしなきゃ、アタシがクリアじゃなくなるの」

「ここから先へは進みません。全部忘れます」

「わたし、この社会が大好きですから!」

 東金さんが最後の最後で小物な最期を迎えたため、2期オリジナルキャラとしてはぶっちぎりでトップの輝きを放つ結果となったのが、我らが霜月美佳さんである。正直、この東金との対峙シーンは涙が出そうなくらいに好き。狂おしいほどに美佳ちゃんが愛おしい。この物語は常守朱という「完全なる遵法者」を主人公としたものであるが、そんな「強者」である常守と対比的に描かれるべきは、鹿矛囲でもシビュラでも、ましてや東金などでもなく、ひょっとしたら霜月という卑屈で矮小で姑息な人間だったのかもしれない。彼女もまた、「自分を持ち、強く生きる」術に長けた「強者」である。彼女のメンタリティは、どこにでもいる凡庸な人間のそれに他ならず、誰もが霜月美佳になれるチャンスがある。なってしまう危険がある。「社会」と「人」のありようを考える上で、常守という超常的な「人」を描くと同時に、霜月という地べたに這いつくばった「人」もあればこそ、シビュラというシステムの根幹が見えてくるのである。そして、彼女も彼女なりに、このシリーズで大きく成長した。そのことを示すのが、ラストの六合塚さんとのお茶のシーン。

「誰であれ、許す気は無いわ」「同感です」

 こういうシーンもいいよなぁ。本当に、あやねるは最近良い役者になってることがよく分かる、静かな中にも様々な感情、思惑が詰め込まれた一言だ。今後、同じ職場にいる朱ちゃんとはどういう関係を築いていくんだろう。今回冒頭でも「あいつが全部悪い」と息巻いており、このたびの事件でますます同僚との溝は深まったようです。

 こうしてこのたびの鹿矛囲事件は幕を下ろす。1期の時同様、物語としての「結末」というのとはちょっと違うが、「この社会は終わらず、始まったところである」ことがよく伝わってくる幕引き。未来のことを想像すると、楽しみでもあり、恐ろしくもあり。

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