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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「コンクリート・レボルティオ 〜超人幻想〜」 5→5

 一言で表すなら、ぐちゃぐちゃした作品だった。ただ、このぐちゃぐちゃは決して悪いばかりのものではない。「ぐちゃぐちゃになった作品」と「ぐちゃぐちゃにした作品」は区別しなければならないだろう。

 1話目の感想では「一番近いのは『ローリング・ガールズ』か」と書いたが、奇しくも、1クールを終えての印象は「ロリガでやりたかったことを、別方向から幾らかでも成功させた作品」というもの。1つはレトロ趣味という外側を覆うデザイン性のことで、もう1つは「ごちゃごちゃした世界をそのまま面白さに繋げたい」というコンセプトそのもののこと。今作では前者のデザイン性の方は複数のクリエイターに別々に発注することで実現させ、後者のストーリーコンセプトの方は「超人と正義」という縦軸を物語に据えることである程度の成功を収めている。

 まずは映像面。総合的なアニメーションのクオリティ、いわゆる「動画面」では「ロリガ」に軍配が上がるだろうが、こちらは野暮ったさを意図的に維持することで「レトロ感」をそのまま持ち味に転化してしまうという思い切ったスタイルで独自性をみせた。「レトロ感」というのも色々と使い道があって、例えば今期ならば「おそ松さん」の世界もある程度「レトロ」を意識したものだが、あちらはパステル調にぼかし、赤塚作品という不条理な世界を淡く包み込むような描写にすることで独自に丸みを出して女性人気に繋がる「可愛らしさ」を演出した。対してこちらは、ロボット・怪人・怪獣に妖怪といった男の子の好きな要素をそのまんま投げ出すために、雑多な雰囲気をそのまま維持するように原色を多用し、一見すると乱雑に見える配置で古めかしいおもちゃ箱のような世界観を成立させている。変身するメカのディティールなんかは思い切りカクカクさせたり、歪ませたりしてヘンテコ感を出すわけだが、そのあたりもごちゃ混ぜ世界の中では個性を出すための演出の1つ。変幻自在の「お化け」はするりと苦もなく「化け」、魔法少女はしゃららと派手な演出で「変身し」、ロボットはガチャガチャとけたたましい音を立てながら無骨に「変形」する。あらゆる「超人」文化の融合が、全て画像面で溶け合わずに個を主張しながらも、全てがこの「猥雑さ」の中で統一されている感覚はもぞもぞするけどなんだか癖になる。

 こうして、独自のギミックとして手に入れた「レトロカオス」で、今度は「超人と正義」の物語を組み上げていく。話の根幹はひどく単純だ。こうして現れた異形の超人たちを、異形であるが故に「区別」するかどうかというお話。異なるものとの関係性を描くために、「互いに相容れない個の世界」が形作られている。非常にデリケートであり、答えの出ない問題であるために、シナリオラインがすっきりと解題されることはない。あくまでも個々の「超人」のケースバイケースで、各話では「こういう答えもあるかもしれない」という1つの結末が描かれるのみだ。1話ずつ区切られた断片だけを見ると、どうにもチープなお涙頂戴だったり、ありきたりで浅薄に見えるお話があったり、毎回テレビにしがみついて見るようなモチベーションは維持しにくい。しかし、こうして「毎回雑多な情報が目の前を過ぎていく」という構成自体も、今作の狙いに直結しているといえる。1つの答えは無いからこそ、あらゆる事例、あらゆる「超人」を見て、その1つ1つから考えていくしかない。視聴者側はストレスが溜まるので大変である。このあたりのコンセプトはオープニングテーマ「カタラレズトモ」の歌詞に綺麗にまとめられているので、そちらを見れば何となく伝わるのではなかろうか。

 非常に面白いチャレンジの作品で、その狙いのいくらかは成功したと言えるのではなかろうか。ただ、上述のように、1話1話で区切ってみると退屈なお話があるのも事実。また、時系列シャッフルからジローの動向すらもかき混ぜてカオスにしてしまうという構成は、その狙いこそ理解出来るが果たして十全に効果を発揮していたのかは疑問だ。2期目があるので現時点でその部分に結論を出すわけにはいかないが、少なくとも1期最終話まで観た段階では、流石に視聴者に過度の負担を強いていたのではないか、という気もする。ただでさえややこしい部分が多い作品なので、もうちょっとスリムにしてくれた方が助かったと思うのですよ。最近スタミナが無くなってきたおっさんは特にそう思っちゃう。もちろん、こういう面倒な構成にしたからこそ、食いついてはまり込んだ視聴者もいるのだろうけどね。

 ひょっとしたら2期目で更なる混沌が巻き起こるかもしれないし、1期目のこの過度なややこしさに意外な意味が与えられるかもしれない。こうして何が起こるか分からないのも、アニメオリジナルの楽しみやね。決して無駄な作品ではないので、今後も楽しみに見守りたい。

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