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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 臙脂水晶とやらがどうしてもレイジングハートにしか見えない第4話。それにしても似ていた……いや、単に赤い玉なんだけども。

 今回は随分間が空いてしまったわけだが、3話がちょっと消化不良気味だったので、なんだか実際の期間よりも待たされた感がある。そして、待った日数の見返りが充分にある、本当に酷い話。色んな意味で酷い。この捻くれたセッティングこそ、西尾維新の真骨頂といえるだろう。

 まず、なんと言っても刀集めのくだりが酷い。確かに「いやぁアレは凄かった」といって武勇伝をさも描ききったかのようにしてしまうネタというのは過去にもあって、うすた京介なんかがよく使っている気もするのだが、それを一ヶ月に一本しか放送されないアニメ(原作でいうなら一ヶ月に1冊しか出ない本)でやってしまうのが酷い。アバンであれだけ思わせぶりな「錆白兵」の剣士としての想像を煽っておきながら、七花は今回一切戦わないという、全身全霊をもっての腰砕き。この思い切りの良さは、本当に売れた作家じゃないと許されない、特大の「なんじゃそれ」である。そして事後の茶屋で二人がまた得意げに話してみせることといったら。「激縮地」って、「薄刀開眼」って何さ! くそう、悔しいけど笑っちまったよ。こんなに天晴れな二人、久し振りに見た気がするわ。

 そして、もう1つの酷さは鑢七実というキャラクターそのものの存在。「格闘もの」なのだからどこかにジョーカーが潜んでいるという設定自体は有りっちゃ有りなのだが、それがまさかの七実ねーちゃんですか。しかも「病弱なのに死ねないことが弱点」とか、「強すぎるから流派が継げない」とか、「努力が出来ないので敵の努力をねたましく思う」とか、捻くれまくったキャラクター設定がいかにも西尾維新。「見取り」の達人っていう設定はギリギリ有りだとは思うが、あそこまでのチートを出してしまったら、本来なら作品世界は確実にぶっ壊れる(何せ七実の強さには理由が無いので、少年漫画にお約束の修行が出来ない)。それでもしれっと何食わぬ顔でこういうキャラクターが作れてしまうっていうのは……大胆というか、ええ加減というか。とにかく捻くれたいんだろうなぁ。

 そして、そんなチートキャラを描くのが今回の目的なので、視聴者視点は完全に真庭忍軍の方へ。これまでは蝙蝠だの喰鮫だのおかしなキャラクターばかりが登場していたマニワニどもだったが、今回はばっちり感情移入出来るように、きれいにキャラ立ちし、応援したくなるような3人を誂えてある。部下思いで冷静沈着、忍びとしてのプライドも健気な蟷螂。部隊のムードメーカーで、ちょっとやんちゃだけど仲間思いでまっすぐな蝶々。そして最年少で控えめながら、先輩達の意志を受け継いで志を強く持つ蜜蜂。どれもこれも、「真庭虫組物語」みたいな作品ならば主人公を張ってもおかしくないキャラばかりだ。

 そして、これらの応援したくなるキャラを眉一つ動かさずに惨殺していくのが、七実。このギャップが凄い。蟷螂戦ではまさかの強さをこれでもかと見せつけ、尋問の台詞回しで蠢く狂気と恐怖を否応なく叩きつける。こんなキャラクターデザインでは恐怖など描きようも無いと思ったのだが、蟷螂殺害シーンに限っては、「リアルじゃなくても狂気は描ける」というのが嫌というほど伝わってくる。

 蝶々戦は、事前に蝶々自身が大量の死亡フラグをばらまくという可哀想なネタもありつつ、最も「少年漫画の主人公属性」が強かった蝶々の「努力と友情」を全て丁寧に踏みにじっていく。構えを取った蝶々と七実の対峙するシーンは今回最も緊迫感に溢れる場面で、七実の映像は引きのものとアップのものが交互に移り変わるのに、蝶々を写すカットでは、必ず大きく引いて蝶々の全体像が小さく映るのみ。終いには七実がいびつな笑みを浮かべた口元がアップになり、蝶々の矮小さとの対比が痛々しい。己が努力のむなしさを末期に叩きつけられた蝶々の哀れなことと言ったら。

 そして最後は、虫組3人の意志を受け継ぐ蜜蜂との対決。このあたりまで来ると流石にオチは読めるようになるわけだが、それでもただひたすら任務に忠実であり、先に逝ってしまった2人の意志を継ごうと奮戦する蜜蜂が痛々しい。ご丁寧にとどめに使った毒薬の伏線まで七実自身が回収し、まさに虫けらのごとく、彼らはひねり潰されてしまった。最後の煙草のくだりだけは一応人情にのっとった処理がなされていたみたいだが、殺すことに一切の躊躇いがないのに、敵の最後の願いだけはあっさりと聞き届けるあたりが、逆に七実の「狂気」を表しているように見える。これで蜜蜂の最後の「刀で殺してくれ」などの願いも無下に踏みつぶしてくれれば、単なる殺戮狂ということで説明がつくだけ楽なのだ。残念ながら鑢七実はそんな人物ではなく、単に「他人を殺すのが極端に容易く、抵抗がないキャラクター」なだけである。

 このエピソードは……面白かったです。作品の構成自体はさておくとしても、今回描くべきはあくまで「鑢七実という人間」。それを余すことなく画面上で展開させ、背筋に来るような筋運びで見せられたのだから、刀集めがどうなろうと文句の有り様もない。正直、こういうのがもっと見たいです。

 今回は、こんな設定のおかげで七花ととがめにはほとんど出番無し。とがめは冒頭の鎖骨のくだりで嫌というほど存在感を示してくれたので別にいいんですけどね。いやぁ、今期は田村ゆかりはエロ声優ってことでいいんでしょうか。代わりに主人公を務めた(?)虫組3人は、なかなかいいキャスティングでした。個人的には蝶々役が阪口大助っていうだけで満足だったが、蟷螂役の保村真、蜜蜂役の三浦祥朗など、きちんと「主人公」出来るだけのキャストが集まっています。

 そしてなんと言っても七実の中の人、中原麻衣。もう、流石の一言ですわ。個人的には鴇羽舞衣、森宮蒼乃、竜宮レナという3大ヤンデレキャラを生み出した中原ボイスは至高だと思っているのだが、今回は既にヤンでもデレでもない、単なる狂気。この空気を作れるのは、業界広しといえども数える程しかいないのではなかろうか。静かな中に孕む迫力、殺意、そして無垢。役者ってすげぇ。中原麻衣の記念碑が、また新たな文字を刻んだ。 

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