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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「ユーリ!!! on ICE」 6→7

 バケモンみたいな作品でしたね。オリジナルアニメでここまで革命的な仕事を成し遂げる作品は、年に一本出るか出ないか。

 先に断っておくと、わたしゃホモは嫌いだ。正確に言うと嫌いというか、理解が及ばない。以前知り合いとそのあたりの話を喧々囂々で議論したことがあるのだが、自分に一切その気が無いので、その存在を頭で理解出来たとしても、絶対に共感出来ないと思っている。そして、共感出来ないキャラがいるということは、決してそこからプラスに働くことはなく、未知で不可知であるが故に障壁となることは間違いなくある。そういう意味で、「嫌い」なのである。過去にも様々なそっち向け作品のアニメを見てきたが、ギャグとして処理出来ればそれはそれでいい(「世界一初恋」etc)し、愛玩動物を愛でるような感情として処理出来る特例(「SUPER LOVERS」)なんてのもある。不可知であるからこそ、それを「真に迫ったもの」として認識しないことが求められるのだ。

 しかし、本作はそっち方面で話題になり、確実に作り手側もそれを意識した演出、構成を施している。その上ですんなりと本作を受けいれられた理由として、おそらくフィギュアスケートという競技の特殊性があるのじゃないかと考えている。フィギュアというのはスポーツの中でも審査競技であり、表現の勝負である。実在の選手を見ても分かることだが、そこでは間違いなく、華麗さ、優美さに加え、何らかのエロティシズムが含まれる。「男の色気」ってヤツを、合法的・効果的にいかに発揮するかの勝負。つまり、ものすごく乱暴にまとめると「フィギュアが強い選手」は「色っぽい選手」であり、「エロい選手」なのである。そして、この色気というものはどうやら性別の垣根を取っ払い、同性にも効果的なものであるらしい。ユーリが描く「エロス」はその端的な表出だが、「楽しませること」「魅せること」がどこかで性的魅力との境界を排して接続し、キャラの魅力、キャラのエロスが曖昧になる。そこに、同性愛的な表現を掘り下げる余地があった。

 つまり、世間的には完全にBL作品として処理されている本作を、私の場合は「極まったフィギュア選手同士の頂上決戦」と認識して受け入れることが出来るのである。ユーリがヴィクトルに、ヴィクトルがユーリに惹かれるのは、互いに持ち合わせた卓越した技巧によるもの。そして2人の志が重なることは、人生の目標を1つにして1つ屋根の下で共同作業を行う仲、とどのつまりは「結婚生活」を連想させることもおかしなことではない。つまり本作は、フィギュアスケートという題材をフル活用することで、「合法的にBLをスポ根として描くこと」を可能にしたのだ。もちろん、選手同士のリスペクトなんてものはどんなスポーツだろうが存在するし、そうした友情を描いた作品は多数あるわけだが、フィギュアの場合に互いを見つめる視線に性的な要素を含んだとしても(もちろん、含まないかもしれないがそう読み取れても)おかしくないのである。その傍証として、ユーリとヴィクトル以外の選手は、妹や母親、恋人との関係性の中で描かれている人間も多いが、そのどれもがユーリ同様、「男から見ても魅力的」な選手になっているのだ。この「性的官能の転写」が本作の特筆すべき1点目である。

 そして、そうした描写のためには当然「フィギュアスケート」をとことん描く必要があるわけだが、本作では「話数の半分を全て試合中継のみで構成する」というとんでもない荒技で難題をクリアしている。ここまで徹底的に「試合描写のみ」に全てを託したアニメというのは、ひょっとしたら史上初なのではなかろうか。テレビのフィギュア中継をそのまま写し取った演出は視聴者を「スポーツ観戦」の枠組みに引き落としつつ、そこにアニメならではの演出を紛れ込ませることで、ドラマパートも油断なく掘り下げていく。6話で本当に驚いたのはぽっと出の新キャラが競技を終えた30分後にはしっかりと個性を定着させ、まるで長々と自己紹介を終えたような状態になっていたこと。キャラの濃かったJ..なんかを見れば分かりやすいと思うが、彼がリンク以外の場所で他のキャラと絡んだ時間は驚くほど短い。それなのに、12話を見終わった我々の頭には、「キング」J..の圧倒的な存在感が焼き付いている。そして、こうした「掘り下げ」は競技に参加した全てのキャラがほぼ同価値で実現させている。個人的にはジャコメッティの存在感が一番気に入っているが、最後に駆け込むように入ってきたオタベック、1話しか出ていない南くんあたりもちゃんと印象に残るキャラになっているのがすごい。普通のスポーツものとして、今作は相当なハイレベルに位置しているのだ。

 すでに放送が終了している「ハイキュー」を評して私は「今期最もアツいスポ根アニメ」と書いたが、今作は「今期最も艶めいたスポ根アニメ」で間違いないだろう。今作を見れば、私のようにフィギュアに興味のなかった人間でも、「この冬からはフィギュアの中継を見てみたい」と思わせるだけのエネルギーと説得力がある。こんな力業でスポーツの面白さをたたき込んでくるアニメが作れるなんて、全く想像もしていなかった。これだから、アニメ視聴はやめられないのだ。

 最後に中の人の話は……もういいかな。各国の選手の濃すぎるキャラはもちろん、ヴィクトルの存在感、そしてユーリという実に不思議なスタンスの「主人公」を一分の狂いもなく作り上げた豊永利行の手腕。あらゆる作り手たちに支えられて、今作は完成したのです。これだけ人気が出れば当然続編って話になるが……次はユーリVSヴィクトルが見られるんですかねぇ……。

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