たほいや譜（17／12／23）

　12月24日の午後9時から翌25日の午前３時までの六時間は、１年で最もたほいやをする人の多い「語彙の６時間」です。貴方の「しらんのか」を与える友人も「ゆめのいちろうべえ」のような友達もたほいやをしています。普段は「てれーず」のようなあの娘もたほいやをしています。あなたが「なまいどむ」ことを望む綺麗な女性もたほいやをしています。あなたにもし「ごりょん」や「ちこめく」娘さんがいて、いま家にいないのでしたら間違いなくたほいやしてます。貴方の下を去り「ひなのわかれ」を経験したあの娘も、貴方とやったようにたほいやをしています。貴方が将来「まながる」人も、ずっと「みんね」を持つだろう人も、今は違う知り合いとたほいやをしています。

 

　コンパクトに終わらせようと思ったのに結局７人戦だよ！（１まわしで終わらせたのはしょうがない判断だと思ってくれ）

 

Round１・「べーらむ」

１、電流逆流器。ユニットテストのファサード工程で用いられる。

２、１８世紀イギリスに設置された世界最初の精神病院。人間園。

３、アメリカの詩人、教育者。独立戦争の際に片腕を失い、痛みと苦しみの言語化を目指した。「焼き印」

４、イギリスの動物学者。羊の舌の研究から味覚の認知機構を提唱。

５、投書を盗み見ること。明治時代の流行語。

６、ベトナム南部の都市。南ベトナムの第二首都として南部の中心であった。

７、頭髪用の香水。ベーベリー樹の葉を漬けたラム酒を蒸留して製した。

　１問目、タイラントの出題だが、なんといきなりの全外し。これはかなり衝撃がでかかった。もう、広辞苑の書いていることは訳がわからん。　①「電流逆流器」がまず分からんからな。　②ひどすぎるだろ、と思ったら、執筆者曰く「この名称はある」とのこと。残念ながらググってもよく分からなかったけど。　③これ「米」の響きからテリーマンしか思い浮かばなかったんですよね。さすがに片足を失うとバレそうだったので（誰にだ？）、腕にしました。作品名は当然カーフブランディングから。　④「ラム」の「ベー」だから。　⑤これもよく分からなかったけど、そういや誰も掘り下げなかったな。　⑥ほら、第二首都が出てきた。　⑦ラム酒を蒸留したら何も残らないじゃないですかー、やだー。

 

Round２・「さかはてるてる」

１、端唄、うた沢、小唄。

２、アマテラスの怨敵。逆照（さかてらす）。

３、鎌倉時代の絵師。超獣の画図に優れ、高精度の解剖図を数点残す。

４、サトーハチローの代表曲の一。貧困層の出世欲をかり立てた。

５、雨ごいの祈祷の一種。てるてる坊主と呼ばれる人形を逆さにつるし雨を祈る。さかさてるてる。

６、降雨を願って逆さに吊るすてるてる坊主。

７、（仏）一つの道を極めた先にこそ悟りがあるという教え。

　まだこういう訳のわからない単語が眠っているのだなぁ……。　①全く分からない文化の話なので、ある意味何をやってもいいジャンルである。　②１文目で存分に笑わせておいてからのシャープな２文目で決める、小気味良い作品。「結局照らしてるんじゃねぇか」。　⑤⑥まぁ、しょうがないよね。　⑦一応、解答用紙には「坂果てる照る」と書かれています。あと署名は「社奮ダンサー」。お前、踊らねぇだろ。

 

Round３・「あねはのまつ」

１、浄瑠璃。全三幕。近松門左衛門作。

２、謡曲の一。住吉の女松、男松が貴人と一夜を共にし、死別する。「高砂」「飛び梅」と並び三松と称される。

３、宮城県栗原郡金成町姉歯にあった松。伝説に小野小町の姉または松浦佐用姫の墓の上の松という。

４、古備前の耳付き草木壺。青釉薬がかり。現在は室生寺所蔵。

５、樋口一葉の遺作。弟に向けた私信の形をとった。

６、狂言。見栄張りの太郎冠者が「あねはのまつ」について問われ、知ったふりをし、持って来てやると宣言するが、あねはのまつは存在しない。

７、狂言。聡明な姉の葉（よう）にあこがれ、用心棒になるために銃器の扱いを学ぶ妹の松の一日を吟じる。

　出題者は松がらみの人。　①とりあえず書いとけばいいの精神。我々本当に門左衛門しか知らないから。　②だからこういう訳のわからないものには飛びついてしまう。　③小野小町の姉とか言われても……なんか色々よくわからないです。　⑦毎度お馴染み、絶対狂言を別なものと勘違いしてるシリーズ。なお、シリーズの作者は大体いつも同じ。

 

Round４・「やまいだ」

１、姓名の一。

２、八毛作（やもうさく）の田園。

３、田舎の三要素。

４、東日本で、作ると耕作者が病にかかるとて嫌われる田。

５、シソ科の一年草。

６、山中に見られるとされた獣。見る者に福を与えると言われる。イタチの類か。

７、（東北地方で）盆田。

　私の出題だが、シンキングタイムに「あれかあれが答えなら軽蔑する」とか言われてしまう。いや、そんな答え提出するのマジでやめて。具体的には①と⑤。　①作成者は後から「考えて見たら姓だけど名じゃないな」と気づいたという。これまでのパターンからすると「氏姓の一」とかになりますね。　②流石に土壌を酷使しすぎだろ。「８つも何を植えるんだよ」「米と、米と、米と、米と、米と、米と、米と、米です」　③「山・井・田」でしょうかね。　④どういう原理だよ。もう妖怪扱いされてるし。　⑤時折混ぜ込むのまじやめて。　⑦「山間田」と記載されています。

 

Round５・「ひっくくり」

１、火中の栗。

２、のどわに同じ。

３、初心者。または初受牢者

４、ひっつめ髪。

５、（韓）マッコリで泥酔し、しゃっくりが止まらない者。

６、狂言。男が女房を離別しようとして欲しい物をやるというと、女房は欲しい物はこれだといって袋を夫の頭にかぶせひっくくり、引きずって行く。

７、岩石鑑定法の一。溶鉱炉に削った石の一部を投入し、成分の分析を行う。

　①要素としては大体足りてる。　⑤お前の中の韓国観は一体なんなんだ。　⑥雑に書かれているけど、これってツンデレとかヤンデレとか、そういう文化の走りだよね……。　⑦とけちゃったよ……。

 

Round６・「うはねかんびき」

１、水田に沈み込まないようわらじの下に装着する円形の木板。

２、唐代の陶芸の指南書。全十五巻。

３、（謎語画題）曇天に椋鳥を描く。

４、漢字の「于」は下をはね、「干」は下をはねないという区別を示す語。

５、ウサギを数え間違えること。

６、宦官流房中術の一。鵜の羽根で美姫を姦し、調略する。

７、諏訪七神事の一。二月に雪中から蛙取り上げ、神前に供する。この時必ず蛙が見つかるという。

　この順目での長いやつはキツい。　①水田でわざわざ浮く意味がないんだよね。解答発表後、投票してきたやつに対して「カンジキに決まってるじゃないですか、何だよカンビキって」と散々に煽る性格の悪い作成者。　②シンプルなだけに消しにくい系。こういう解答が出てきたときは、「絶対に出題者はこんな普通のお題を出さない」という信頼感が重要。　③ある程度以上の文字数があったらとりあえず謎語画題にしておけば完全消去はできない、っていう悪い考え。実際にどれくらいのバリエーションがあるのかなぁ。　④たまに出てくる「漢字の書き方解説」パターン。検索しにくいので全部は探せなかったが、最近だと例えば「ちょうけいうかい」なんかがあるし、似た要素としては「したのもの」なんかもそうだろうか。これまで正解だったことはなかったのだが、ついに実例が登場。　⑤「兎羽Count匹」と書かれており、大体の要素はｾﾂﾒｲｼﾁｬｯﾀけど、果たしてどこで使ったものやら。　⑥ｾﾂﾒｲｼﾁｬｯﾀけども……いや……。宦官の人たちも大変ですよね……。　⑦「東方が発想元だろうからふざけんなって思った」という理不尽な言いがかりをつけられ、「いや、実際こういう祭事があるんだって」と反論していました。詳しくはこちら。

 

Round７・「とかき」

１、優れた女房。

２、心中をうかがい知れない女性のこと。転じて、プロの女将。

３、ものごとの移り変わるさなか。

４、野草など、さり気な草花を刺した花いけ。

５、三途の川をこちらに向かって横断してくる鬼。

６、升に盛った穀類を、升の縁なみに平らにならす短い棒。ますかき。

７、江戸時代、戸を描く職人。

　最終問題です。今度は急に３文字でシンプルすぎて辛い。　①「なんでこんな意味に？」と聞いたら「土井垣からです」というとんでもないアンサーが得られました。　②こちらも意味はわかりませんが、語感から誰が書いたかは大体わかります。　③「過渡期じゃねぇか」「過渡期だよ！　そうだよ！」　④「徒花器」。「さりげな、とかいうのがムカつくわ……」。なんで俺っていっつも誰かにムカつかれてるんだろう？　⑤最後にふさわしいパワフルな答えです。これだけの文面なのに、なぜか三途の川をバタフライで突っ込んでくる鬼をイメージしてしまう。鬼って仕事場が川のこっち側だけど、自宅は向こうにあるのかな……。　⑥単にマスカキって言いたかった事例。　⑦誰だ。なんのためだ。どういうことだ。

　

　以上、今年もノルマの語彙なる夜（1日早い）をクリアしました。次は……いつになりますかね。