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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「四畳半神話大系」 5→6

 視聴後の感想が、「面白い!」とか「凄い!」じゃなくて「なるほど!」というものだった。こうして最終回まで見終わった段階で「満足する」じゃなくて「腑に落ちる」作品というのもなかなか珍しいかもしれない。

 正直なところ、中盤の展開はかなりダレていて、あまり真面目に見る気も起こらなくなった時期があった。個々のエピソードにギミックはあるものの、結局それは繰り返し繰り返しの天丼構造を垂れ流しているようにしか見えず、悪評ばかりが集まった「エンドレスエイト」と本質的にどこが違うのかと、訝しんだこともあった。どれだけ画面に変化を加えたとして、この作品の中心に居座っているのは浅沼晋太郎による「私」の語り。その本質が替わらない限りは、この作品の「繰り返し」に意味はないのではないかと。

 しかし、6話からの3択問題のあたりから、ようやくこの世界の意味が分かり、それによって「この作品の見方」も分かった。なるほどという「納得」は、この作品が「繰り返し」などではなく、あくまで「積み重ね」であることが分かったことに対する反応だった。

 「繰り返すだけでなく、積み重ねている」。このシンプルな作品構造は、言葉にすれば簡単であるが、実際のシナリオと画面の構成に落とし込むのは非常に難しい。単に「昔出てきた要素をサブイベントとして臭わせる」程度では、それは要素として散り散りになってしまい、「1本の世界」としての収束をみない。この作品の前半は、そうした「収束」のための準備段階として蒔かれた種であった。

 城ヶ崎や羽貫といったキャラクターが地固めを始め、「私」の様々な経験が四畳半を取り囲み、10話でついに「砦」として完成するに至って、この作品は真の姿を現す。夢うつつの中で過ぎ去った数多のifは全て現実であり、そのすべてが並行した四畳半世界に存在している。そして、それを10話の「私」が断片から回収をしていく。次第に「語り」も視聴者目線にシンクロし始め、最終的に、「私」の目線は視聴者に重なる。モザイクのようにちりばめられた概念の断片は、この「私が作品世界から逸脱し、視聴者に並び立つためのツール」であり、後から「振り返る」のを容易にするための、圧縮ツールの役割を果たしている。最初は「結局『あること』をそのまま描写しただけの画面ではないか」と思っていた個々の演出が、全て結晶として四畳半の各部屋に沈殿していたその様子は、メタフィクションの中の結末としても実に新鮮で、わずか2話の中に10話分以上の中身が詰まっているという事実は素直に心躍るものであった。最終回の小津との関係性、10話以上もただぶら下がり続けた白のモチグマンなど、物語の風呂敷をたたむためのツールも機能的に配置されており、「改めて1話から見直してみたいな」と思わせるだけの説得力を有していた。これは確かに、凄い。

 「語りによる世界構築」という部分は、最初の感想でも書いた通りに、新房シャフトの演出と被る部分がある。その印象は別に間違っていないし、今でも替わらない。ただ、一つ見込み違いだったのは、西尾維新作品は「語りの負荷を増やすことで構築される要素を前面に押し出した」作品構成であり、この「四畳半」は、「語りが全てを負担しないことには成立しない物語」だったということだ。「この構成でなければ出来ないこと」をやったという意味では、むしろ全く別なジャンルのパイオニアであると捉えてしまってもいいのかもしれない。そして、そうしたチャレンジをするに際して、湯浅政明という才能は実に見事にフィットしていた。観念レベルの昇華という難題を、いきなり1話から「湯浅テイスト」で固めることで自然に解決し、自分の演出技法の1つの結果として飲み込んでしまった豪腕は、特筆すべきものである。

 そして当然、この作品を作ったもう1人の男は、浅沼晋太郎である。「私」の世界である四畳半を視聴者と同じ目線で見るということは、「作品世界に埋没する」ことを良しとする声優の仕事の中でも異色のミッションであったろうし、純粋に体力的、技術的に高いハードルであったことは間違いない。今後しばらくは、この作品が彼の代表作である。他にも小津役の吉野弘行、明石さん役の坂本真綾など、癖の強いキャラクター達をコミカルに演じてくれたキャストの皆さんにお疲れ様を。

 全部が全部これじゃパンクしてしまうが、1クールに1本くらい、こういう「挑戦」があるのはいいことだ。それにしても、最終回のオープニングエンディング入れ替え演出は笑わせて貰った。「これから本編が始まるからね! 終わりじゃないからね! 見てね!」って、そんなに不安ならやるなよ。素晴らしい馬鹿の結晶でした。

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